くむーる&ぬむるす欧州旅行記


(10日目)
6月26日

 とうとう日本へ帰る日である。

 飛行機の時間が10:55と早い時間のフライトだったので、しぶとももは6時半に起床。モーニングコールを頼めない代わりに朝食を持ったウエイターが目覚ましになってくれる。機械より信頼できるし、しかも正確。ホテルからイロ・サクレの町並みを見ながら最後の朝食を取る。雨が降っていた。
 しぶはCD&LPで、ももはマグリットのカタログと前日土産に買ったPRIMUSビールのジョッキが異様に重い。ホテルから駅まで歩いてもせいぜい10分かからないのだがさっそく肩に内出血のアザが出来てしまう。TAXI呼べば良かった。雨降ってるし、おもいー(T_T)。
 ヨーロッパとお別れということは、すなわち土産のテディベア、くまじとの別れでもある。旅を一緒にしてきたこともあってかなり愛着を持ってしまった。しぶが「田舎に送った半年後はねー、子供に悪戯されてもうボロボロになってるんだよー」とおどかすので、余計手放したくなくなってしまった。お土産は最初に買うものではないな。



ブリュッセル中央駅のゴミ箱

 安値でかわいい、代わりのテディベアを探したのだが、ブリュッセル空港には売っていなかった。最後のお付き合いというか、「くまじ」を荷物として預けずに、自分で持って歩いていた。小学生か(^_^;)<わたくし

 余りに肩に荷重がかかってしまい、ももが気持ち悪くなってしまったので、港内のカフェで休むことにした。よく免税店についている回転式のバーの入り口になっていて、パンやヨーグルト、飲み物など種類が豊富なカフェテリア。しぶは朝から元気にビールを飲んでいる。ももは発泡水を飲みたかったがここにはSPAもBRUも置いていなかった。ヨーグルトだけちまちま食べる。眺めがとても良いところで(港内の最上階にある)、朝食に寄っていた人がかなりいた。

 ブリュッセルからフランクフルトまでのフライトLH4421便は定刻通り出発。またね、ベルギー。

 機内の中で慌ただしく昼食のようなものを食べているうちにフランクフルトへ到着。ここでしぶは初日に買い損ねたメタル/ハードコア系の雑誌を買いに走る!ももは「くまじ」を買った店に行き、安値のテディベアを見ていたが、同じような顔でも、やはり10日一緒に暮らした「くまじ」のほうが可愛く見えてしまうから不思議である。結局代わりのテディベアは買わなかった。
 手荷物検査のとき、ミネラルウォーターが入ったペットボトルを持たせた「くまじ」を見た係員のおねいさんが「う〜ん、べりないす」と喜んでくれた。一見ノホホンとした光景なのだが、「この中身がガソリンだったらどうするのだ?」と乗客の私のほうが心配してしまった。

 今回乗るフライトのチケットにはゾーンという表示がある。搭乗の際の整理に使う番号のようだったが、団体客のなかでもゾーンが別れていたり、隣の座席の人同士が別のゾーンに振り分けられていたり、一体どんな風に分かれていたのか謎である。

 そうこうしているうちに日本行きLH710便は出発。
 これで、さようなら。ヨーロッパ。

 座席ははアテンダントが食事などを準備するコーナーの近くで(足が伸ばせる!)通路側の2席。窓側に品の良い初老の男性、通路を挟んでの隣にその奥さんが座っていた。「席を代わりましょうか?」というと、「私等ぐらいの歳になると、離れていたほうがいいんですわい」と含蓄のあるお言葉を頂いてしまった。奥さんに「あら、素敵な熊ですこと」とお褒めのお言葉を頂いた「くまじ」。人気者である(^_^)。

いぬじ
いぬじ。RUSS製。
目の位置がずれてます。

 ルフトハンザの機内販売で「ルフトハンザのロゴが入ったセーターを着たテディベア・限定」なるものがあったので、しぶが「くまじ」の代わりにと買ってくれた。ビニールにみっしりと入ったクマなんともは哀れであった(^_^;)。
 しかしこのテディベア、耳が垂れてイヌのようなぬいぐるみなので、「いぬじ」と名前を付けた。

 あとは映画を見たり("Nothing to loose"、「仮面の男」、「赤の迷路」(*1))本を読んだり、両脇の夫婦の伝言を伝えたり(^_^;)して時間を過ごす。


 10日ぶりの日本は・・・暑かったぁ!朝の8時くらいなのにもう30度近いらしい。沖縄の空港に初めて降りた瞬間を思い出した。湿気がすごいのだ。
 憎たらしいほど重い荷物を取り上げ関税を抜けて、日常への扉をくぐる。


 朝の電車の混雑を避けるために松戸行きのバスに乗ることにするが、時間が余った。土産のビールジョッキだけ直接もも兄の家に送るため宅配便のコーナーへ行く。しぶはサイフとCD&LP以外はすべて自宅へ配送してしまった。
 最後のあがきに重い荷物を引きずり「くまじ」の代わりを探すが、テディベアの「テ」の字もない。あとは有名デパートか通販で買う手があるのだが、絶対3万はするだろうと思って諦める。

 バスで寝て、家に帰って、また昼寝。起きてから、夕食にソバを食べたことは言うまでもない(笑)。


 あれだけ雑多でケバケバしいと思っていた日本の中層ビル群も、ブリュッセルのグラン・プラスに比べたら色あせてしまう。どこか価値観が変わってしまったようだ。地味に見える、というよりは、どうでも良くなってしまったのだ。
 スタイルがいいこと。ブラント至上主義。過剰なサービス競争。あって困るものではないが、なくても生きていくには困らない。見てくれよりは実質の良さが大切。沢山の人種、色、体形、言語が入り混じった国に行って、理屈より肌身で感じたこと。
 日本の中だけ有効な狭い価値観にはまっていた自分に改めて気付いた。


(*1)「赤の迷路」
  リチャード・ギア主演の、中国を舞台にした法廷サスペンス。後に「北京のふたり」と邦題が変わっていた。

(後日)
 しぶのカバンの中には入れっぱなしにされた土産のヴィッタメーアのチョコレート。この日本の暑さと密閉されたトラックコンテナのお陰で、液体と化してしまいました。凄まじかったです。
 ちなみに秋田に送られた「くまじ」は、傾けると「ヴメエエェェ」と泣くのが子供には怖かったらしく、あまり虐待されず無事のようです。

御愛読有難うございましたm(__)m お疲れ様でした。


美しい椅子



日本 ストックホルム ブリュッセル
前日 6/17 6/18 6/19 6/20 6/21 6/22 6/23 6/24 6/24夜 6/25 6/26