くむーる&ぬむるす欧州旅行記
ウェイターの鳴らすブザーで起こされる。いい天気だ。
- 当初の予定では、Lyenaさん(*1)のアドヴァイスに基づき今日1日王立古典美術館で過ごすつもりだったが、オルタ美術館を発見できなかったため午前中のみの見学とした。もちろんメインはマグリット展である!
王宮方面まではもう馴れたもので、地図無しでも歩いて行けるようになった。古典美術館の位置もしっかり覚えている。入り口には人がたむろしていて、時々「マグリットのチケットを売ってください!!」と書かれた紙を持った人が居る。あらかじめ「当日券は長蛇の列ができて、1時間待ち」などと話をきいていたので、ここでは驚くことは無かった。しかし地元の画家だからか、マグリットは人々に本当に深く愛されていて500BFの絵にもなっている。ちなみに 100BF=James Ensor 辛辣な風刺的画風が印象深い 19世紀の画家 200BF=Adolphe Sax SAXPHONE(サックス)の発明者 1000BF=Constant Permeke すいません、わかりません。 2000BF=Victor Horta 後述を参照。建築家 (*現在はEU統一通貨になってるんでしょう) |
古典美術館エントランス横の彫刻。真っ黒です。 |
- 入り口が2つあって、右側の扉に並んだがいっこうに列は進まない。しかし左側の扉からスタスタと入場してる人も多い。なんだろうなぁと眺めていると、警備員が「こっちから入れ」という感じに手招きをする。とりあえず入る。館外の人は増えるばかり。
入ったところのロビーには7カ国語くらいの垂れ幕がさがっており、日本語のものも垂れていたので読んでみると
「会場販売の券は売り切れです」
(゜o゜)(゜o゜)ガ ア ァ ァ ァ ン ・ ・ ・ ・ ベルギー探訪の目的の1/3はここにあったのに・・・(涙)。
いくら人が並んでいても、まさか「観覧できない」という事態が待っているとは思わなかった。グッズ売り場から少しだけマグリット展会場が覗けたのだが、そんなに人が殺到している様子もない。なぜ?
そういえば今年の春先に東京都美術館で開催された「テート・ギャラリー」展、本邦初公開のミレー「オフィーリア」のお陰でヒドイ目に合った。もともと広い美術館ではない上に、美術館のキャパの完全に越えた観覧者を入場させている。肝心の「オフィーリア」といえば人の頭のすき間から覗く程度しか拝見できなかった。これでは美術館自体の評価も落としかねないと思うのだが・・・。海外の美術館は利益よりは観覧者の環境のほうに重きを置いてくれる、ということだろうか。
地元人なら市内をかけずりまわってでもチケットを手にいれることも可能だが、今はもう時間が無い。グッズ売り場でカタログと1999年のミニ・カレンダーを買い、常設展を観覧することにする。あ〜ん。
絵画・彫刻のに関してはほとんど無知に近いのだが、とにかく観れて嬉しかった絵画が何点かあった。ほぼ全部象徴主義の絵画だというあたり、ももの底の浅さが伺い知れる。(^.^;)
ジャン・デルヴィル(Jean Delville)/サタンの宝物(MORBID ANGELでお馴染み)
アントワーヌ・ウィールツ(Antoine Wiertz)/麗しのロジーヌ
フェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff)/芸術あるいは愛撫あるいはスフィンクス
ジェームズ・アンソール(James Ensor)
グザヴィエ・メレリ(Xavier Mellery)
フェリシアン・ロップス(Felicien Rops)
ちょうどメレリを観ていた辺りで12時になり、係員が「休み時間に入るから出てってくれ」と追い出しに入った。その続きもかなり面白そうなのが並んでいたので残念だったがとりあえず現代美術館のほうに移った。(地下でつながっているのだ)
ももは現代美術に関して古典以上に疎い。「だからなんだ?」という感想しか出てこない。理屈抜きでその絵画が持つパワーに圧倒されることもあるんですけどね。しかしこちらの館で展覧会にもれたマグリットの小作を何点か観ることが出来た。マグリットというとカッキリした印象が強かったが、実は立体派、あるときは印象派などを思わせる様様なタッチで絵を描いてることを知った。
現代美術館は中庭を囲うすりばち状になったガラスの壁をつたう様に地下8Fまで下がっていく。地下からはエレベーターで一気に上がるのだが、このエレベーターが面白かった。
運搬用も兼ねているのかとても広く、畳にすれば8帖近くもあった。そして椅子が置いてある。山手線の電車に付いているような座面があがるチャチな椅子ではなく、銀行で順番を待っているときに座るような、ちゃんとした椅子だ。これだけ大きければ車椅子だってラクラク乗れるし、足腰がよわいが地下8Fまで真面目に観てきた老人観覧客もくつろげる。面白い(^^)。昼食は地下のカフェテリアのバイキング。ここではウェストマル(WESTMALLE)というビールを飲んだ。シメイより癖がよわい。後で知ったのだがダブルとトリプルの2種類がある(もっとあるのかも)。トリプルの方が味がまろやかでお奨め。ケーキもおいしかった。
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ヴィクトル・オルタ(Victor Horta)はブリュッセルのアール・ヌーヴォー建築の先駆者であり中心人物。住宅のほか、(ブリュッセル)中央駅、王宮近くに建つ多目的ホールのパレ・デ・ボザール(Palais de Beaux-Arts)など公共建築も手がける。鉄とガラスを大胆かつ繊細(笑)に使った作風は、重厚な石壁から、広い開口や自由な平面など、開放された空間の時代への幕開けにふさわしいものであった。ちなみにオルタ美術館は元・自邸(1898〜1900)を利用したものである。 |
ディテールの凝り様に「こんな濃密な空間、耐えられるだろうか?」というのが、旅行前に買ったアール・ヌーヴォー邸宅の本を見たときの感想だった。実際入ってみると小さくて、爽やかな印象だった。凝ってるといってもゴテゴテしてる訳でなく、むしろ洗練されてるといったほうが良かった。トレードマークであるうねった鉄の柵は、小さい部品がリベットで少しづつ繋げられて形を作っていた。その部品は当時、ひとつひとつ型に流したり、ハンマーで打ちながら成形していった物であるという。おまけに錆にに強い。その職人技が100年経っても建物を華やかに飾っている。
RUSHの「2112」〜V.Oracle:The Dream〜で"I see the work of gifted hands/Grace thisstrange and wondrous land"と唄う部分がある。ストックホルムもブリュッセルも目を見張る先人の仕事がしっかり残されている。それをどうこうするわけでなく、静かに尊敬し、分析も怠らない目を持っている。
といってもグッズ売り場はしっかりある(笑)ので、アール・ヌーヴォー建築地図とクノップフの絵はがきセット(解説書付き)、オルタ美術館の解説書を買う。先程の古典美術館のグッズ売り場もそうだったのだが、クレジットカードが使える。コノ手のグッズは値の張るものも多いので非常に助かる。(反面、誘惑も多い ^ ^;)
ルイーズ通りを経由して歩いてホテルまで戻り、小便小僧の近くのCD屋に寄る。なんなのだろうか私たち。
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メタルやプログレは少なめで、どうもニューウェーブが強いなぁとしぶが言う。私といえばやっぱりアヴァンギャルド・コーナーのCDをあさっていた。この店ではCDをケースそのままで並べない。雑誌の付属のCD-ROMが入っているような袋にスリーヴだけ入っている。万引き防止の為だろうが、これは省スペースのヒントになりそう。ここではしぶは買うものが無く、ももは以下のアイテムを購入。 DECIBEL/Mensaje desde Fomalhault 「メキシコのヘンリー・カウフォロワー」とポストイットに書いて貼ってあった。というより"Ruins"(バンドではなく曲名)コピーバンドって感じかなぁ(^_^;) Geoff Leigh/The Chemical Bank(*3) そのヘンリーカウの元SAX奏者。6曲入りのシングル盤。オランダのレーベルMCCBからの発売。 その他友達のおみやげにSUB ROSAのカタログ。 まずは得体が知れないDECIBELを試聴させてもらおうと、若い頃のラーシュ・ホルメル(*2)に似た店員に話しかけた。 いや〜〜、この店員さん、低音の声がメチャ渋いんですわ。もうフランス語を話すために生まれてきたような声。耳もとで囁かれたらメロメロっす、もう。すっかりファンになる(何言ってんだか)。店を出るとき「メルシ〜」と言うと手を振ってくれた。わ〜い\(^^)/ ダンナはすでにおいてきぼりである。(笑) |
夕食編に続く。しぶ・ももにせまるムール貝の悪夢!
(*1)Lyenaさん
前回出てきた、ベルギー旅行経験者。お世話になりました。(*2)ラーシュ・ホルメル
SMMのキーボーディスト。アコーディオンもいけます。来日もしました。
(*3)Geoff Leigh/The Chemical Bankの覚え書き(Fool's Mate Vol.12,18より)
MCCBはMass Culture Control Bureaueの略。オランダのマイナー・レーベル。Geoff Leigh/Red BaluneはMCCBより3作出している。
- Capitalist Kid ('78)
- Maximu Penalty ('79) 3曲入り
参加メンバーは、キャシー・ウィリアムス(Vo.Kd)コリン・マックリュア(B.Cello.G)ロビン・マスグローヴ(Ds.P)とゲストがHenry Cow3人(CC,TH,FF)とマルク・オランデル(Aksak Maboul)。- ソロ名義のThe Chemical Bank ('79)(今回買ったもの)
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