くむーる&ぬむるす欧州旅行記
(9日目)
6月25日残すはあと一日。長かったような短かったような。今日は列車に乗って古都・ブルージュ(Brugge)に行く予定。
中央駅に行って「ブルージュまでIC(快速列車のインターナショナルの意)で、2人」と書いた紙を窓口に差し出すとキップ二枚ではなく「MULTI PASS 3 PERONNES」とタイプされたキップを渡された。行き先や日付は手書きというのがほほえましい。注意事項はフランス語とオランダ語の2言語で表されている。
時刻表がこれまた分かりにくい。最終到着地で列車を乗りわけるのは日本と同じ。だがそのに近くに路線図らしきものがどこにも見つからず、最初焦ってしまった。日本の地下鉄の複雑さに比べれば易しいものだろうが、馴れない土地の列車は難しい。まして初日の爆走列車に乗った身であれば(^_^; ;アウー。
列車に乗る前、すでにお約束の発泡水を買う際SPICE GIRLS CANDYを発見。日本では音楽ファンやファッション関係の間だけのアイドルでも、こちらではお子様まで巻き込んでるんだ。日本で言えば、かつてのピンク・レディー、今のMAXやSPEEDみたいなものでしょうか。
遠足の子供たちに囲まれて列車に乗り込み、出発。ベルギー初日の爆走列車とは違う進路を取った。あの駅は少なくともブルージュ方面では無かったらしい。
列車から眺める景色は田舎そのもの。あちこちに牛や馬が見られる。でもよくよく観察すると新興住宅地もあったりする。新築途中の家もあったが、日本のようなプレハブやサイディングのような新建材はあまり使用しておらず、やはりレンガ積みの外壁だった。規制コードが厳しいのか、当たり前すぎて他の建材など思いつかないのか?
1時間程でブルージュに到着。駅前こそロータリーが開けていたりかなり広い道路が通っていたりするが、道路を渡った向こう側は中世にタイムスリップしたような街。摩滅した石畳と日干レンガのように脱色した壁。花々に飾られた窓。(これが可愛い^_^)高くそびえ立つ鐘楼を目印に中心地へ行くまでの家並はまるでおとぎ話の世界に飛び込んだよう。観光客用だろうが、馬車まで走っている。 あちこちに橋が架かってます。 |
さんざん迷ってメムリンク美術館(メムリンク(Memling)はドイツからこの地に住みついた中世の画家。15世紀頃活躍した。美術館はやはり12世紀の、病院を兼ねた修道院を利用したもの)を目指すがなんと工事中で玉砕(T_T)。8月からオープンとか書いてあるし。もっとインターネットとか活用して事前に調べておけば良かったと今更な反省。その向かいの聖母教会の回りを歩いているうちに、しぶが暖炉(本当に火がはいっている)があるレストランを発見。Maria van Bourgondieなるお店。そこでお昼を食べることにした。
あらかじめ「ブルージュはオランダ語圏でメニューなどもほとんどオランダ語だ」と話を聞いていたので少々渋っていたのだが、、ウェイターが「English?
O.K!」と言ったのを信じて入る。例によってツーリスト・メニューを頼む。しぶは多分フリカデル・ブリュッセロワーズ(牛肉の薄切りシコンで煮込んだ・・・シコンって何だ?)を、ももは植物園の近くで食べたのと同じ豚のシチュー。ビールを飲もうとして「ビールのメニューはありませんか?」と聞くと口頭でアレとコレとコレとこんなんもありますが、と早口で言われてしまって困惑。面倒になってヨーロッパでの初めてのワインを飲んだ。味はまあまあだったが、お店の雰囲気はとても良かった。 聖母教会は(Onze Lieve Vrouwekerk)13世紀から15世紀にかけて作られた、122mの塔(圧巻!)が印象的な教会。中にはミケランジェロ作の大理石像「聖母子像」やフランドル絵画の画家、ファン・アイクの作品など数多くの芸術品が収蔵されている、らしい。なぜかそれらの記憶が欠落している。いかにも観光化されている売店のほうが記憶に残ってしまった。60BFを払わないと奥の内陣に入れないので諦めたが、チラッと覗き見えたステンドグラスは美しかった。この教会も外側が工事中で、裏に回ると足場に囲われていた。 聖母教会を見上げる。本当に高いです |
ブルージュの街は小さいが、渋い美術館が多く存在する。「メムリンク、もしかしたらマグリットも見れるかも」ということで、グルーニング(Greninge)美術館へ行く。運河沿いの道を歩き小路を入ると、中世のお屋敷に迷い込んだような小さい庭に入る。その奥に美術館はあった。15〜20世紀の幅広い絵画、彫刻などが納められている。入場料は200BFなり。
またまた遠足の子供たちに囲まれながら古典美術鑑賞。結構エグい絵(生きながら解剖されている罪人とか、首を斬られ、その傷口から血が吹いてるとか)が極彩色で生き生きと描かれて迫力倍増。遠近法もなにもない構成だから、日本の絵巻やマンダラに近いかも。その中でもやはりメムリンクは構図・絵柄共に抜き出ている。思いがけずボッシュ「最後の審判」やブリューゲルも見ることができて満足(^_^)。
現代美術の方は、というとマグリットはやっぱり出張中。他はほとんど理解不能。そのときしぶとももは「ドンツク」が口癖になっていて、納得できないものや分からないもの目の前にするとを「ドンツクドンツク」と言っていた。(あまり意味はないっス)そこで「これはほとんどやった者勝ちではないだろうか?」と思われるものに勢いで「ドンツク美術」と命名した(^_^;)。
ショップではボッシュとデルボーの絵はがきを買う。この美術館のカタログがあったなら是非欲しかった。喉が乾いたのでカフェを求めてマルクト広場に出た。ここは完全に観光地化されて、まるでハウス・テンボスがそのまま引っ越ししてきたようだ。グラン・プラスのほうがむしろボロいくらい。しかし過剰なまでの装飾、華やかさ。
カフェではやはりビールを飲む。ブルージュにあるヘンドリック醸造所で造られている地ビール、Straffe Hendrikを注文。後味がさわやかでおいしい。イーストなどの酵母を中世のそれそのままを使っているらしい。お勧め。
関係ないが、鐘楼の足元にあるデパート、というか総合おみやげセンターのようなところでダリ展をやっていて、入り口ではダリの蝋人形が出迎えてくれていた。
次はキリストの血が拝られている、という聖血教会(Helling Bloedbasilek)を見に隣のブルフ広場へ移動した。広場の隅にひっそりと建っているが、「キリストの血」を一目拝もうという観光客で賑わっていた。 聖血教会の内部。天井にタイバーが見えます |
|
5時をまわって、そろそろブルージュとお別れ。今度来たときは一泊くらいして、もっとゆっくり周りたいな。特に美術館の充実ぶりにそう思った。
さて駅に向かおうかと歩いていると、道路沿いに流れる小川のほとりで休んでいる鶏の群れを発見!写真を撮ろうと思い近づいたが逃げられてしまった。せっかくなので芝生に座り和む。平和な時間が流れる。このまま土になりたいと思う。本当。
後から地図で確認すると「愛の湖公園」(Minnewater)という赤面してしまうような名前の公園だった。日本の旅行代理店が勝手に名付けたのだろうか?まぁそれにふさわしいロマンティックな公園だった。ブリュッセルに戻り「もう一度、あのCD屋のお兄さんの声が聞きたい!!!」と閉店間際の店に駆け込んだのだが、別の男性が店番をしていたので何も買わずに出る。うえぇん。
夕食までにまだ余裕があるので(すっかり宵っぱりになっている)小便小僧の女の子版、ジャンネケ・ピス像を探しに出た。オペラハウスであるモネ劇場の近くと書かれていたので1時間くらい探していたが見つからなかった。賛否両論あった彫刻像だったそうで、ヤバくて撤去されてしまったのだろうか?ガイドブックにも写真が掲載されていなかったのでどのような物だったかわからずじまい。
|
ブリュッセル最後の夕食は、初日に入ったファルスタッフで飾ることにした。この日は壁、天窓のステンドグラスを撮ろうと思い、奥のほうの席に座った。日本ではまず高くて食べる気にもならないオマール海老のポタージュを奮発。チーズと蜂蜜が掛かった大盛りサラダとパンとビール(^-^)。クワック(Kwak)ビールのグラスにはびっくり。(左の写真)下が膨み上がラッパのように広がった長いグラスで、底が丸いので専用スタンドがないと立たない(^_^;)。最初どう飲んだら良いのか分からなかったが、飲むときはスタンドから外してあおるらしい。油断すると「ゴボッ」と勢いよくビールが流れてくるので要注意だ。日本でも飲ませてくれるビアカフェ(*1)がある。 |
しばらくして隣の予約席に団体客が入ってきた。こういう中にはかならずウサン臭いおじさんが1人や2人いるもので、この集団にも、周りをしきりつつアミーゴと言いながら(本当は言ってない)カンパイして回ったり、写真を撮り回るオヤジがいた。う〜ん、このウサン臭さは言葉では説明しきれない(^-^;)。このテーブルの主賓席に座っていたおっさんも、見てからにアヤシいヒゲ面で、しぶと2人で受けまくっていた。その毒気にあてられたのか、ウェイターまで「メェェ〜〜ルシィィ〜〜〜」(語尾上がる)と「馬鹿にしてんのか!お前!」という言い方をするし、アヤシサ爆発の夜だった。
明日はとうとうヨーロッパとお別れの日。もっと居たいよぉ(;_;)
(*1)kwakビールを飲ませてくれるビアカフェ
神楽坂の「ブラッセル」で確認済み。チェーン店だが場所によって料理やビールの品揃えが微妙に違う。
日本 | ストックホルム | ブリュッセル | |||||||||
前日 | 6/17 | 6/18 | 6/19 | 6/20 | 6/21 | 6/22 | 6/23 | 6/24 | 6/24夜 | 6/25 | 6/26 |