寝たのが早かったので起きるのも早かった。朝の2時半に起きて窓を覗いたらもう空は明るく、ホテル前のバス停には既にバスが止まっていた。もしかして24時間操業してるの?9時くらいに朝食を食べに下に降りる。しぶとあれこれ話していると、隣に座っていた年配の日本人女性から声をかけられた。どうやら娘とスウェーデンの夏至祭を観にやってきたそうだ。「私たちもスカンセン(野外博物館)にいって夏至祭を観てくるんです」と話したら「これからダーラナ地方(ストックホルムから西のほう、ノルウェーと隣接する地域)にいって、2泊してお祭りを観てくるんですよ」といっていた。そこでのお祭りはとても華やかだとガイドブックに書いてあったのを思い出した。どれくらいスウェーデンにいるのかと尋ねられ、「あさってにはブリュッセルに移動するんです」というと「3年くらい前に行ったの、あそこはとても華やかな街よ」と答えが返ってくるくらい旅なれた親子であった。はやくあんな悠々自適な老後を過ごしたい(--)。
身支度のために部屋に戻ってTVをつけるとなんと懐かしいバイキングのビッケのアニメを流していたぞ!でもスウェーデンではなくフィンランドの放送らしい。
ももの上着を買いに行く。ストックホルムのショッピングセンターは、昨日行ったセルゲル広場からドロットニング・ガータン(Drottning gatan)沿いに観光客向けの土産店や高級ブティックがたち並ぶ。6月だというのに毛皮を売っている店もある。良さそうなパーカーが売っていた怪しいTシャツ屋にはいるとそこはメタル/ハードコアのTシャツばかり。いろいろインチキ臭いのがあったが中でも「セパルチュラ」とカタカナで胸の辺りに縦書きに入ってる迷彩色のパーカーは出色であった(^_^;)。
「セパルチュラ」で大笑いした後また別のブティックへ行く。青いなめし皮のブルゾンが気に入ったのだがサイズが大きくてどうしようか迷う。店員がカモを逃すまじと「お得ですよ〜、イタリア製ですよ〜、いい仕立てでしょ〜」とグジャグジャいうので買ってしまう。いくらか忘れたが日本円で5〜6,000円だった気がする。確かにお買い得。
日本で言えば駄菓子屋のような狭い店が数軒たっていて、せっかくなので地元の怪しそうなジュースと絵はがきを購入。このジュースがまた・・・何ともいえない味わい。昔、トローチの様な形状の、水に溶かすとコーラもどきの飲料水になる駄菓子があったのだが、アレにそっくり。冷えてるんだけどなんともヌルい味。ヨーロッパにはこびっている青地にシルバーのチェックが入った缶RED BULLと、赤い缶のDYNAMITEにはご注意。
市庁舎を中庭から見る |
今日の第一の目玉、ストックホルム市庁舎見学。 ストックホルム市庁舎は1906年から17年掛かって建てられたレンガ積みの美しい建築。設計はスウェーデンの建築家エストベリ(OSTBERG,Ragner Oの上には¨が付く)。『水と歴史の都、ストックホルムをこの建物に象徴させるべく、シンプルなデザインで要塞のように造りあげました』(JALショッピング・ダイニング・ガイド/ストックホルムのページより)ノーベル賞祝賀晩餐会が行われることでも有名。 見学は毎日定時に行われるガイド・ツアー(40SEK)でのみ可。でも中庭に入るのはタダなので、お城のような建築をバックにメーラレン湖をノンビリ眺めたい、という時には絶好のスポット。 しぶ&ももは昼の12時のコースに参加。受付で料金を払ってから中の「青の間」で集合の合図を待つ。床に使われた大理石の色からそう名付けられたそうだ。高窓から柔らかい日差しが差し込み、とても清々しい。 一見古典的な建物なのだが、所々に子供のような気紛れが見受けられる。レンガに直接彫られた不連続なレリーフ、人型。一致しない窓の軸線。変だ。面白い。 若いガイドが3人やってきて、スウェーデン語のガイド組と英語組、ドイツ語組の三方に分かれた。とりあえず英語組に付く。何をいっているのかは指差す絵や彫刻、部屋によって推量(^_^;)。ガイドに色々尋ねる人、写真を撮りまくる人、ガイドを無視して脇道に逸れ置いてきぼりをくらう人、見る人も色々である。 毎月(第2火曜日だったかな?)定例議会が行われる大議会室は、赤で統一されたファブリックや重厚な家具が並び、先ほどの「青の間」とは対照的だった。バイキングの船を思わせる木組みの天井だったのが興味深い。 |
ノーベル賞祝賀晩餐会で実際使われる「黄金の間」は圧巻。本当に壁が2センチ四方の金メッキタイルで埋め尽くされている。人工照明が付けられていないせいか、金が僅かな陽の光を吸収して底光りする。その正面に浮び上がるメーラレン湖の女神。唐突だが、まるでピラミッドの中にでも入ったんじゃないかと思わせるシンボル達。濃密だ。
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喉がかわいたので一旦市庁舎からでて、目の前のコーヒースタンドで何か飲むことにする。しぶが「アイス・コーヒー」と頼むと店主のおっさんは怪訝な顔をする。もう一度言うと「COLA?」と聞きかえしてきた。どうもアイス・コーヒーなるものは存在しないらしい。しょうがなくコーラを頼んだしぶ。ももはコーヒーを頼んだら、頼みもしないデニッシュまでもらった(というかセットだった)。近くの芝生が生える川辺に座ってノンビリ一服。脇ではカモも一服(^_^)。護岸工事されたところじゃこうはいかない。
実はここ、ホテルからすぐ近くで、ももは嬉しくて大騒ぎしていた建物。実際観てみると「結構小さいかなぁ」など思っていたが、それは付属する塔があまりに高くて比較するものが無いから錯覚を起こしたという、東京じゃ考えられない理由からだった。実際、夏の間だけ開放される(でも有料15SEK)塔の高さは106m。ビルにすると30階以上になり、ストックホルムは超高層と呼ばれるビルがほとんどないので余計分からなくなる。
入り口で入場料を払ってエレベーターで6Fまで上がると、装飾に使われている彫刻のレプリカや建設中の写真、図面等が展示されている部屋にでる。そこからさらに階段やスロープでぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる・・・・・・と塔を昇っていくのだった。親切すぎてかえってうるさい日本の観光施設と比べると無愛想といわれそうだが、苦労して昇りきった鐘楼からの眺めは格別だった!!
狭い通路なので昇ってくる人と降りてくる人で道は譲り合い。唯一駆使できるスウェーデン語「Tack sa mycket(ありがとう)」の連発。高いところが苦手でなかったらぜひ入ってほしいところ。
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上:塔の通路 左:市庁舎の塔からガムラ・スタンを見る |
スカンセンでの夏至祭が始まるまでまだ時間があるので、また市内をブラブラとアテもなく放浪。本当にアテもなく放浪していたので、自分たちがどこにいるかわからなくなってしまった(^_^;)。とりあえずお腹がすいたので食べることを優先にとにかく歩く。T字路の向こうにカフェが見えるぞ・・・。
オープンカフェで、勝手に座っていいものかと思いきや怖そうなウェイターに「あんたらはコッチだ」と移動を命じられた。メニューをみせてもらうが全然わからない。とにかく2,3品頼んで、ゲテモノがでたらそれはそれ、と腹をくくる。結局きたのは鰊と3色のソース添え、クラッカーやクラコット、チーズ、何かの魚のカルパッチョなど普通のメニューがきたので安心。ビールは銘柄だけでは良く分からないので近くの人が飲んでいたビールを差して「あれと同じもの」と頼む。よく見たらカールスバーグだった。字にするとそんなに量はないように見えるが既に腹がいっぱい。(ビールの飲み過ぎ?)ストックホルムにきて「適量」な食事をしていない気がする。
あとで地図でみたらここはステューレ・ガレリーアン(STURE GALLERIAN)という高級デパートの足元だったらしい。道理で気取った客が多いはずだ。建物が綺麗なので、眺めてお茶してスノッブ気分を味わいたいときはいいかも。地下鉄エステルマルムストリ(OSTERMALMSTORG)駅下車。地下鉄に乗ってホテルに戻り、今度は夜も寒くないよう着込んでからスカンセン野外博物館へ。ホテルからタクシーで20分位。フェリーでも行けるらしい。
メーラレン湖に浮かぶ数々の島のひとつ、ジュールゴーデン(DJURGARDEN)島にある世界初の野外博物館。明治村とか韓国の民俗村みたいな、当時の建物を再現・保存しつつ、しかし実際に人が暮らしている街も擁している。しかも動物園、水族館まであるという訳がわからない楽しい場所。やはり祭り目当ての客で賑わっているようだ。近くには遊園地もあり、とても賑やか。
まずは入場料(55SEK)をはらい、ガイドブックをゲット(有料だったような^_^;)東の端にあるダンスホール(DANSBANA)で出演バンドが機材を運び入れている様子。ふとみると昨日会ったPeterさんに似た人がいたので「ANEKDOTENじゃ食えないからこんなところでバイトしてるんじゃないだろうな」という話で盛り上がる(多分、別人)。ちなみにこのバンドのVO.女性なんですが、メチャうまかったです。地元では人気のバンドらしい。
園内を心赴くままに歩き、ふと原っぱの隅を見るとお伽話の主人公たちを型どった木人形が置いてある。もちろんニルスもあり「そういえばスウェーデンなんだな」と思う。古びた教会の裏庭をのぞけば、ケルト十字の墓標が立ち、領事館の庭では白い彫刻が人を見張るかのようなに待っている。「おおおっゴス(ゴシック)だ!!」と訳の分からない盛り上がりを見せる二人だった。
博物館の中心の広場ではメイ・ポールをたて、その周りで民族衣装をつけた男女たちが伝統の踊りを見せていた。チロルダンスとかそのへんかなぁ?可愛い見かけによらず、とてもハイテンポでハードな踊りだった。
19:30、幾ら日が長い時期といえど日本ではもう日が沈みきっている頃。だがここではまだ夕方5時くらいに明るい。やっぱりこうなると夜に家にこもるのはもったいない!長い、暗い冬を過ごす北欧人ならなおさらだろう。ダンスホールではバンドの演奏に合わせて老若男女問わず楽しそうに踊っている。いいな、こういうの。ずっとずっと二人で暮らして、楽しいことも苦しいこともあったけど、今はまた二人で夏の到来をただ楽しく喜んでいる。憧れの老後(まだ早いって^_^;;)がここにある。
日本に帰った後でもこの光景を思い出すと涙してしまう。建物は発掘されて、保存されても人は再現などされない。人は、人が中心で建物や絵画が装飾にあたると思っている。しかし生きていける時間を考えると人のほうがほんの一瞬の染みなのかもしれない。そんな僅かな時間を私たちは笑ったり怒ったり悲しんだりで忙しい。それならばやはり笑って過ごしたい。一緒に笑ってくれる人が居れば最高だ。
9時を過ぎてもまだ明るいので今度は北側の動物園エリアへ行く。とりたてて珍しい動物や絶滅寸前の動物がいる訳ではない。なぜか熊が大人気で、上野動物園の虎と同じ位のVIP待遇。あと本物の狼を見た。ここのおりは電流が流れていた、みたい。
さすがに11時になると体のほうが夜の兆候を見せ始めてきた。入り口付近で路面電車が走っているのをしぶが目撃し、それで帰ることにする。スカンセンから終点のノルマルムストリ(NORMALMSIORG)まで14SEK。乗る際に車掌さんから切符を買う。かなり気合いが入った列車であった。
ホテルまでの道程の半分位までしか進んでいないので、バスに乗ろうかと路線図を見るが詳し過ぎてとても見にくい。では地下鉄で、と駅を探しているうちにホテルまで着いてしまった。夜中だというのに結構人通りがある。夏至祭だからかもしれない。しかし、いくら夜が長いといっても、遅くなるとそれなりに目付きのアヤシい兄ちゃんとかが出てくるのでご注意を。寝る前にちょ〜〜〜〜っとだけ、何か食べたいなと、ホテルのレストランへすべり込んだ。例によってメニューが分からないので、分かりやすいハンバーグとかサンドウィッチとか、その辺を頼む。うすうす予想はしていたもののやはり出てきたのは皿に山盛りのポテトとサラダ、嫌味なほどのボリュームのハンバーグ。私たちは少食家ではない。むしろ食べるほうだと思う。しかし毎日いじめのようなこのボリュームにはマイッタ。あんたたちの胃はどうなっているんだーーー!?
明日は、ももが大好きな建築家アスプルンドの作品をいろいろ回る予定(は未定)
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