The Flower Kings
地球が地軸を微妙に変化させながら自転するように、TFKは表面上変化を続けながら、核には優しい音世界を持ち続けている。しかしその軸が向いてる方向によって、ある人にはINで、ある人にはOUTなサウンドを仕立ててしまうやっかいなバンド。
あの感動のライヴを用事もなく蹴った人、後悔してね!祈・再来日なのです。
2013年1月に待望の再来日が決まりました!
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The Flower Kingsの詳細は下記:
・バンドのオフィシャルサイトが復活しました
http://www.flowerkings.se/
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http://flowerkings.web.fc2.com/
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☆Roine Stolt/The Flower King (MARQUEE MAR 95156) '95
本来ソロの項目に入れるべきなのでしょうが、The Flower Kingsはこのアルバムから始まったようなものなので、こちらにしました。
Vo.の堅さに初めはあまり良い印象はありませんでした。何度か聴いてインスト曲の素晴らしさには「いや〜、こんな曲を流し聴きしてはいかんなぁ」と反省しました。組曲はちょっと散漫かな。後の作品のヒントになるフレーズがすでに幾つか出ています。
しかしこの作品に関してはパートがどうこう、というレベルではなく、暗黒の90年代によくぞこんなファンタジックなアルバムを作った、というところが大快挙なのです。
☆Back In The World Of Adventures (MARQUEE MAR 95155) '95
「なにをいまさら」と言われそうですが、やっぱり書いちゃいます。大傑作。私が言うのも説得力はないが、シンフォ・ファンでこれを聴いてない人はモグリだ!
全体的にたおやかな雰囲気の曲が多いのですが、一定のテンションはキープしていて、静かに燃えるギターの音色にはドキドキしてしまいます。"Theme
for A Hero"で泣け!RoineのVo.もソロ名義の前作に比べると堅さが取れて、頼りなさも味にしてます。北欧らしい端正で暖かみのある音像とシンフォニック・ロックの壮麗さの美しい結晶。Saxで参加のUlf Wallanderがいい仕事してます。
☆Retropolis (MARQUEE MAR 96251) '96
時間を掛けたからって良いアルバムができる訳じゃない。このアルバムを持って胸を張って言おう。インスト曲の完成度の高さは今更ながら驚きました。でも、もろ"宮殿"したフレーズがあるのは愛嬌ということで。
北欧シンフォの「Back In The World Of Adventures」と少々メタリックな「Stardust We
Are」の間と言えばとてもわかりやすい過渡期の作品。
☆Stardust We Are (Belle Antique MAR-97376〜7) '97
2枚組攻勢の第一弾。Disc1の1曲目こそストレートかつキャッチーな名曲ですが、以降メタルファンの言う「脈絡のない展開」を含む大曲が並んでおります。いいじゃん、長くったって。Hasse.Bのパーカションが冗長になりがちな曲にアクセントを付けていき、リズム隊のセンスがのよさが長さを感じさせません。そしてTomasが色々なキーボードでちりばめたテーマとRoineのギターが全体を引き締めていきます。聞き込むうちに"Just
This Once"が気に入ってしまいました。Vo.がすこしJohn Greavesっぽいから。(^_^;) 他ではあまり聴けないタイプの曲。
それにしても”Stardust We Are"ですよ!厳かなアコースティックギターとヘヴィーなギターを絡みから美しいストリングスとキーボード。熱っぽいRoineの歌を擁して、曲は北欧の冷ややかな空気を湛えながらドラマティックに展開し、Part.3に行き着いたときにはもう、滝のような涙が流れていることでしょう。長かった旅も終わりよければすべてよし。ちなみに来日公演でも演奏されたこの曲でのHasse.Fの熱唱ぶりは、私の近年のライブ観戦の中でBEST3に入ります。この人の歌はライブの方が100倍いいです。
☆Scanning The Greenhouse (Avalon MICY-1076) '98
アメリカ進出用に編成されたベスト盤。"The Flower King"と"Stardust
We Are(pt3)は再録音されている。おそらくライブで演奏を重ねた上で出来あがったであろう、ヴァイタルな仕上がりになっています。
☆Quebec Limitied Edition 1998 (Ipso Facto IF-9802) '98
フランス語で挨拶してるし、カナダ・ケベック州のみに向けて発売されたと考えていいでしょう。6曲入りの企画盤CD。"Kite"は名曲です。全体的にあっさり味。
☆Flowerpower〜A Journey To The Hidden Coners Of Your Mind
(Foxtrot Records FOX CD 020) '99
(Avalon MICY-9001) 国内盤 '99
2枚組攻勢の第二弾。オーケストラが参加するは、オペラ歌手は導入するはで大変な騒ぎ。パーカッションがさらにエキセントリックになりました。私、いわゆるシンフォ・ファンではないのでわかりませんが、どこまでが許容範囲なんでしょう?気迫は感じられるけど、とっちらかった感じがして疲れます(^_^;)。もっぱらDisc
2の小曲集を拾い聴きして楽しんでいます。
☆The Flower Kings(Avalon Not For Sale) '99
「Flowerpower」日本盤に付いてる応募券を同封のアンケートはがきに貼って来日公演の会場に持っていくと、もれなく貰えた3曲入りミニCD。すべてインスト。
収録曲は以下:She Carved Me A Wooden Heart
Space Revolver
Jupiter Backwards
☆Alive on Planet Earth (Belle Antique MAR 00543/4) '00
外盤より¥1,000くらい高いんですね〜!と言いつつも何故か国内盤買ってしまった。それはともかく帯が間違っているぞ(汗)。
Disk 1は'98のアメリカ・ツアーのLive。一番盛り上がっているのは、Genesisのカヴァー"The Lamb
Lies Down on Broadway"だったりしますが。オーディエンスの合唱が凄い(^_^;)。今も心に焼き付いている来日公演のLiveはDisk
2。解説によりますと3/16からの音源がメインらしいです。充実した演奏と歌がとても魅力的です。お値段は高いですが、必聴でしょう。
内ジャケのベタなショットとトレード・マークになりつつある?着こなしも彼ららしい。チェック柄にチェック柄を重ね着するRoineのセンスが侮れないッス。
☆Space Revolver (Inside Out IOMCD 062 : 限定盤) '00
2枚組攻勢は終わったものの、CD収録時間いっぱいのロマンを詰め込んで早くも登場。アイデアが枯れるということがないんでしょうか?
一聴した印象は「ずいぶん地味になったなぁ」。思えば前作「Flower Power」が異様な詰め込みようだったのですね。あまりに露骨で失笑してしまうYes調のコーラスやギターが減り、「Back
In The World Of Adventures」の頃の、シンプルながら知らぬうちに気分が高揚させられる曲作りに立ち戻った感じです。繊細な音作りなので、大音量で聴けない環境の方は是非ともヘッドフォンで。万華鏡を覗いたような驚きがあなたを待っています。
ベースは脱退したMichael Stolt(音楽関係のコンサルタント業をしているらしい)からJonas Reingold
(Midnight Sun, Reingold)に交替しています。彼のフレットレスベースは"Dream
On Dreamer"のような新しい世界をもたらしました。前半は割と実験的。従来のTFKの魅力を堪能するには特に8,9,10曲目の流れがお奨め。まるで宇宙をたゆたっているような心地よいサウンド。まさにSpace
Revolver。その前奏曲のような7曲目、"You Don't Know What You're Got"やコーラスが美しい"Chiken
Farmer Song"も結構和めて好きだったりします。
今回、Bruniussonさん抑えめですね・・・あぁ、Jaime君のツーバスに消されていたのか。色々変化があったようです(^_^;)。
・Space Revolver日本盤ボーナスCDの感想など・・・
二昔前だったら、十分アルバムになるボリュームですね。40分テープで収まる。やはり一番印象深いのは"Last Exit"のRoineのギターの音色です。すごく豊かで、暖かみのある音。アレンジもギターを引き立たせるためにある。安直ですが北欧の音って感じです。なるほど、Kaipaの名前が出てくるのも分かります。順番が前後しますが、他の曲の印象は
"The Meadow"---無駄を廃したプレイが見事。Reingoldいい仕事してます。
"A Good Heart"---なんてTFKらしいタイトル。目を閉じて聞き入ると、魂吸い込まれそう。
"Dream On Dreamer(Alt take)"---初めHasse Bの声だと思っていたんですが、Tomasなんですね。渋い声・・・なんですけど、来日公演のあのキャラを観てしまうと、なにかのパロディかしら?と勘ぐってしまいます(^_^;)。
"Venus Flytrap"---なんだかTomasさんを見直してしまった曲。本当に弾ける人なんだなぁ。そして赤ん坊の泣き声が入ると、VAIを思い出してしまうのでした。
☆The Rainmaker (Inside Out IOMLTDCD 085 : 限定盤) '01
どうなのこのペース!? Roine Stoltの頭の中はどうなってるのでしょう?睡眠とってるんでしょうか?Transatlanticの新作も出たし。
前作に同様、第一印象は「地味だなぁ」。ジャケの色調も昔に比べて渋めです。前作のような押しの強いインスト曲がなく、初期の作品のような淡い曲調のインストを挟むスタイルが多いです。聴いてすぐ頭に残ったオープニング曲"Last
Minute On Earth"とラスト"Serious Dreamer"はVo.の力強さが印象的。RoineのVo.は頼りなさが味だと思っているのですが(^_^;)、今までになく強気な歌い方をしてます。"Sword
Of God"のようなヘヴィーな曲ではHasse Fの歌唱が光ります。ライブで聴いたらもっと良いんだろうなぁ・・・。
このアルバムに関してよく「初期を思い出す、懐かしい感じ」という意見を聞きました。確かに音の密度は初期と同じくらいかも。でも個人的には「Space
Revolver」を通過してこそできた作品だと思います。初期のストレートさと、「Stardust」以後のカラフルなテクスチャーがうまく調和した感じ。調和した分、引っかかりがなくマイルドな感触が「地味だなぁ」と思わせたのかもしれません。
曲のイニシアティヴがキーボードに移り(キーボードの音色の多彩さは一聴の価値有り!)以前のような情熱的なギターソロが減ったのは少し寂しいかな。このアルバムを最後にJaime
Salazarが脱退(T_T)。
Disc 2にはボーナスが6曲と映像が入ってます。"Violent Brat"では新しいドラマーZoltan
Cso¨rszが叩いてます。Jaimeの後を引き継ぐだけあって、若いながら並の技量ではなさそうです。映像のエフェクトがウザいんですが、動いている彼らを観るのは今では貴重ですね(涙)。Roineは殆ど映ってません(一瞬だけアップがあるよ)。
☆Unfold The Future (Inside Out IOMACD 2047 : 限定盤) '02
もはや秋の恒例行事と化したTFK新作発売。一挙に関連作品も出してくれちゃって、お財布が痛かったです(^_^;)。
今年はTransatlanticがなかったせいか再びの2枚組攻勢。欧州限定盤はボーナストラック1曲追加のデジパック仕様。
第一印象「YESだなぁ(笑)」。第二印象「シンフォだけどロックじゃないなぁ」。
それから少し時間を空けて聴き直しましたら、曲が格段に洗練されていて良い感じ。でも今ひとつ足りない。それが何故なのかずっと考えていました。
初め違和感を感じていたのはDaniel Gildenlow (Pain of Salvation)のゲスト参加と、ドラマーの交替。これはミスマッチだ、というより、もっと個人的な嗜好(及びHasse
F.ファンの私情(^_^;))の問題なので、聴き慣れていけば、いつか解決する問題(多分)。それでも"Fast Lane"は、後半部分だけでもHasse.Fを絡めた方がスカンと抜けた曲調に合っていたと思います。Hasse、レコーディングの時に外せない会議でもあったのか?
次に思いついたのは、某掲示板で自分が書いたことですが「Falling Into Infinity」時のDream Theaterに近いのかな、ということ。この頃のDTは、ヘヴィな曲から売れ線の曲までヴァラエティに富んだメタルソングに、ありったけのテクニックを注いでおりました。「売れたいのか、実験的にしたいのか、何がやりたいのか今ひとつはっきりしない。何か一本筋を通すべき、というかコンセプトがないよねー」と友人と語りあったこともあります。その後「SFAM」がリリースされて驚きましたが、この時言っていたコンセプトはいわゆる「コンセプトアルバム」のコンセプトではなく、作曲時のポリシーというか、そんなものでした。(後にMike
Portonyが語るには、「FII」の頃は外野がうるさかったらしいですね。)
これをTFKに当てはめてみます。シンフォニック一辺倒でもないし、完全にジャズロックへ寝返ったわけでもありません。突然トロピカルになったり、相変わらず謎なSEや雄叫びが曲を飾っています。一つ一つを取り上げればTFKなのだけど、傾向がバラバラなそれらの要素をつなぎ合わせるリングが何なのだと考えてみると、やはりRoineのギターであるべきだと思いました。
ミックスのせいかベースとキーボードがかなり全面に出ています。ベースの音量がでかいくらい何でもないですが(イヤならRushが聴けるか(暴言))前作「The Rainmaker」でも影が薄かったRoineのギターが隠れてしまっています。勿論"Genie
in a Bottle"のバッキングや"Grand Old World"のアコースティックギター、"Devil's
Playground"などかっこいい場面もあります。でもTFKファンが望むRoineのギターは、魂を鷲づかみにして天空に放り上げられてしまうような、もっと強烈なギターソロ、ロングトーンではないでしょうか?"The
Truth will Set You Free"の24:36辺りののロングトーンがあと2秒長かったら・・・何か惜しい・・・。こんな凄いバンドを率いてて、一人だけ枯れるなんて早すぎるよ。しかも一番良いプレイがボーナストラックってどういうことですか(^_^;)?
あと中だるみを感じてしまう原因として、インプロ曲が多いこと。"Devil's Danceschool"辺りをハイライトとして、他の曲はもっと時間を絞るべき。たとえばDisc
2の前半、"Soul Vortex"が半分くらいだったら、流れが完璧だったと思う。ドラマーが変わってインプロも強力になったことをアピールしたいのだろうけど、スタジオ盤らしい聞かせ方があるんじゃないだろうか?
これも個人的趣向の問題だと思うけどもうひとつ。ベースの音がでかい割に重さが足りない。これが第二印象の感想に繋がったと思います。その原因がドラムなのか、ギターなのか、はたまたミックスのせいなのかよく分かりません。でも近作に「プログレメタルっぽくてヤダ」という印象を持った人には、今作はいいんじゃないでしょうか。
文句タラタラ言っていますが、傑作だと思います。テクニック的にも充実し、シンフォというカテゴリーをとっくに超越して、新しい領域に入ったと思います。以前にはなかった色気も感じられますし。一長一短かなぁ・・・フラワーチルドレンが夢から覚めて、大人になった感じ?
☆Adam & Eve (AVALON MICP-90017) '04
「あぁ、ドリーミーな音が帰ってきたなぁ」コレが第一印象。そしてようやく初心者にも勧められそうな最新作が出てきましたね(^_^;)。ここ数作では奥に引っ込みがちだったRoineのギターはメロディと力強さを取り戻し、私が好きだったRoineのギターとTomasのキーボードがお互いにテンションを高め合ってクライマックスに持っていくアレンジが戻ってきたのが嬉しかったです。かといって懐古的な音ではなく、しっかりJonasとZoltanのリズム隊がテクニカルなプレイでバックを固めています。ライブを見てからZoltanのプレイがすんなり入ってくるようになりました。キレがあってカッコイイです。それにTomesのKeyがとてもキュート。とにかく"Love
Supreme"、特に中間部から後半にかけての展開には参りました。和声にYesを強く感じてしまうのが人によってネックかもしれませんが、ポジティヴなパワーに満ちあふれた好作です。
と、他人のページのために書く文章だったら上部で切ります。ここからは完全に私感です。
インスト隊の充実振りに反して、Vo.アレンジに物足りなさを感じました。今回面白いと思ったのは"Love Supreme"の中間部と"The
Blade of Cain"。"Cosmic Circus"は別格(^_^;)。パフォーマンスそのものに不満はないのですが、「Unfold
the Future」の"Rollin' the Dice"みたいな意外な采配があってもよかったのではないかと。(あれは「ふたりの王女」における月影先生の配役並のインパクトがあった。って「ガラスの仮面」を読んでない人は分からない話)
現在Hasseの歌うパートはほぼ固定されていて、以前だったらRoineが歌うパートの、割とハードな部分をDanielが受け持ってる感じです。HasseもDanielも他のバンドでリードVo.をはっている実力の持ち主ですから、もっと多様な表現が出来るはずです。私はRoineの歌もわりと好きですが、Hasse、Danielにもっと任せても良かったのではないかと思いました。大曲の中間部でしめやかにRoineのVo.が入る展開はお決まりパターンで、変化が欲しいところです。個人的には"Timeline"をHasseのVo.で聴いてみたいです。淡々と歌うRoineの"Vampires
View"も面白そう。もっとも今回の作品に「意外性」は無用な要素かもしれませんが・・・。
あと"Love Supreme"は5分半辺り、Voラインが一段落したところから12分過ぎ、RoineのVo.が入ってくるまでの7分くらいごっそり抜き、歌詞を整理してヴォーカル中心の曲として11,2分くらいにまとめた方が聴きやすく、曲のインパクトが強くなったのではないかなぁと思ったり。歌メロが極上なのに小刻みにミニソロプレイが入ることによって、歌の良さを殺してしまっている感じがします。「惜しい」感が一杯です。なぜ"Love〜"に執着するかというと、この曲にバンドの未来を見ているからです。
☆Paradox Hotel (Belle Antique MAR 061124-5) '06
「初期を思い起こさせる」と言われてもあまりトキめかなかったと白状しておこう。だって私が入れ込んでるTFKは「Space
Revolver」以降だもん、今更戻られてもねぇ・・・コミカルなメンバーの似顔絵を眺めつつ、辿り着いた世界は知っているようで新しい世界でした。「Wall
Street Voodoo」で思う存分自分が弾きたいスタイルを弾き倒したRoineのギターは完全にパワーを取り戻し、ロマンティックなロングトーンをこれでもかと聴かせてくれます。"Blue
Planet"のギターは「Back In 〜」の頃を思い起こさせるし、"Touch My Heaven"はKaipaさえ彷彿させます。でも曲そのものを眺めてみれば「Adam
& Eve」までの要素を充分に含んだ作品だと気づくし、今までになかった要素も。特に制作面では、スウェーデン国外でレコーディングされたことと、今までスタジオではヴォーカルしか担当していなかったHasseがギタリストとしても参加していること。この二点は、Roineが自宅で「緻密で完璧な」音作りを止めて、新しい風を入れる試みのように思えました。実際、この作品にはいつものような満腹感(^_^;)はあまりなく、開放感があります。それに新加入のドラマーMarcusは、Zoltanに比べるとテクニカルなプレイは少ないけど、一打一打の存在感が大きく、ジャズ寄りになっていたリズム隊をロック側に引き戻してくれたようです。メンバーそれぞれが役割を完全に理解し、持ち味を存分に出しつつTFKの曲を気持ちよさそうに演奏している、このライブ的な雰囲気は、彼らのスタジオ盤では今までなかったんじゃないだろうか。"Pioneers
of Aviation"の躍動感溢れる演奏はどうですか!
Disc1はRoine作曲の作品が中心で、Disc 2は他のメンバーの曲や共作が目立ちます。今回私が特に注目したのはJonas作曲の"Man
Of The World"(Tomas、Roineと共作)と"What If God is Alone"(Roine、Hasse.Fと共作)。Karmakanicの「Wheel
of Life」でも聴ける伸びやかなメロディラインがここでも活かされていて、これがHasseのソフトな声と良く合います。特に"What
If God is Alone"のサビの展開の妙にはガッツポーズを取ってしまいました。あと"Life Will
Kill You"や"Paradox Hotel"で、Hasseのハードロッカーな面がアクセントになっています。これは個人的に盛大に嬉しい。
このバンドが少しでも好きなら聴くべき作品。2枚組だが初心者にもお勧め。初めてジャケ画像も入れちゃう。
☆The Road Back Home (Belle Antique MAR 071282-3) '07
Roineがリマスター/リアレンジなど、全ての曲に何らかの手を施した、バンド初のベストアルバム。(「Scanning the
Greenhouse」は違うのか?)。聴きやすくなった曲もあるのですが、個人的に思い入れの深い曲は、あまりいじらないで欲しかった、と言うのが正直な感想。元の音源に別の時期の音をかぶせるのではなく、"The
Flower King"や"Stardust We Are (pt3)"のようにリ・レコーディングしてくれたら、もう少し違う感想になったと思う。Disc2の"Little
Deceiver"は「The Rainmaker」頃の未発表曲。そのアルバムには合わなかったかも知れないが、Hasseの優しい歌声が気持ちよい。
収録曲は以下:
DISC.1 1.Cosmic Lover 2.A Kings Prayer 3.Stupid Girl 4.Cosmic Circus 5.Babylon 6.Paradox Hotel 7.World Without A Heart 8.Church Of Your Heart 9.Vox Humana 10.What If God Is Alone 11.Starlight Man 12.Grand Old World 13.The Road Back Home 14.Cinema Show (Full Version) |
DISC.2 1.Ghost Of The Red Cloud 2.Painter 3.I Am The Sun (p2) 4.Different People 5.Little Deceiver[*] 6.Chickenfarmer Song 7.The Rhythm Of The Sea 8.Touch My Heaven 9.Life Will Kill You 10.Monkey Business 11.Compassion 12.The Flower King 13.Stardust We Are (end section) |
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☆Meet The Flower Kings (Belle Antique DVM 019-20 :DVD) '03
以前から「出る出る」といわれてようやく出た映像作品。「Live Recording」と書かれているが「Live Show」ではない。演奏には文句の付けようがないのだが、映像ならではの気になった箇所が幾つか。すでにネット上の掲示板などでで感想が上がっている通りカメラワーク(あるいは編集)に不満。Zoltanから向かって右側、なかでもTomasはもうちょっと映しどころがあったのではないだろうか。私はHasse.Fファンなので彼が多く映っているのは嬉しいんだけど、それでも「いまはHasseを映すところじゃないだろう!」と画面に向かって突っ込んでしまった。あと曲と曲の間に挿入されるオフステージの映像がダラダラ長すぎる。もう少し短く編集するとか、英語の字幕を入れるとか(メンバーは大部分スウェーデン語を話しているので)工夫が欲しかった。CD盤も出ているので、人によってはそちらで楽しんだ方がストレスが少ないかもしれない。
とはいえ。バックステージの様子や、男4人がカフェでそろってパフェ食べてたり、ヒゲソリを手に裸でにこやかに立っているキューピー兄弟がいたり、こぼれ話的なモノが好きな人にはそれなりに楽しい映像も入っている。
今度は本当の「ライブ」でお願いしますよ。
☆Instant Delivery (Belle Antique DVM 046-7 2DVD+2CD)'06
そうしたら本当に作ってくれました。偉いぞ!「Paradox Hotel」ヨーロッパツアーの最終日、オランダ・Tilburgの公演を収録した作品。元気のいい新作からの曲が多く演奏され、現役のロックバンドとしての活気か感じられるのがとても嬉しい。カメラワークも「Meet
The Flower Kings」に比べると自然な感じ。
オープニングの2曲"Paradox Hotel"と"Hit Me With A Hit"ではHasseが大暴れしてるし、ノリがハードロック過ぎて「バンドが変わっちゃったんじゃないか?」と心配されるかもしれないが、ちゃんと"Jerousy"や"Pioneers
Of Aviation"などRoineが聴かせる場面もあるのでご安心を。
TFKのライブで、アルバムと比べて不満なパートがあった。一時期Daniel Gildenlowがメインにバッキングに大活躍していたけれど、メインの二人(RoineとHasse)が頑張っても、アルバムの美しいヴォーカルハーモニーが再現されないのが歯痒かった。しかし今回のツアーからMarcusと、今まであまり積極的にマイクは取らなかったJonasやTomasまで歌うようになったのだ。"What
If God Is Alone"や"End On A High Note"のゴージャスなハーモニーは、来日時の4人Vo.編成を思い起こさせるが如く素晴らしい。逆に少し残念なのは、"Love
Supreme"〜"The Truth Will Set You Free"のメドレーは2曲を切って繋いだだけで、冗長気味になってしまったところ。インプロに頼るだけじゃなく、イントロを少し短くするとかアレンジ上の工夫が欲しかった。(こうゆうのはRushがいつも上手くやっている。)
個人的なハイライトは"Life Will Kill You"で(^_^;)、HasseがPhil Lynottの様な語り口調からスキャット、そこにRoineのブルージーなギターと掛け合うシーンは「プログレ」なんて冠いらんわ!という感じでステキだ。『「Paradox
Hotel」はシンフォより70年代ロックにシフトした』という意見を読んだことがあるけど、こういうライブシーンを見せられると納得してしまう。
☆Tour Kaputt (Reingold Records DVD 001) '11
2007年「The Sum of No Evil」ツアー、オランダ・Zoetermeerでのライブの模様を収めたDVD。Pal方式のため、日本盤は発売されていない。同公演の2枚組CDはBelle
Antiqueからリリースされている。DVDは未見なので、CDを聴いた感想を書くことにする。このツアーではPat Mastelottoがドラマーを務めていた。"Hudoson
River Sirens Callや"Retropolis"など、インプロの要素が強い曲ではそれ程気にはならなかったけれど、"There
is More〜"など、お馴染みの曲では「ココを決めて欲しい!」という曲のキメをことごとく外されて、プレイスタイルもバンドにあまり合ってないと思うし、とてもモヤモヤしてしまった。そんな中、全然仲良くなれない「SONE」からの"The
Sum of No Reason"だけが、すっと耳に入ってきて、やっと「あれ、もしかして良い曲かも?」と思えたことが収穫だった。これがPatの功績かは分からない(^_^;)。いまだにこのアルバム、聴けないんですけどね…。上の有頂天な自分が非常に懐かしいですね(汗)
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☆1999年3月15,16日 渋谷On Air West
CD聞き込み期間1週間にも関わらず、私を花王の僕にしたライブのレポートはここから。
☆2004年5月27-29日 Sweden XXXL Mini-Tour
スウェーデン旅行記とライブ観戦記。音楽的にはまったく参考にならない文章はここから。
☆2005年6月4日(Los Angeles) & 6日(Tampa)
言いたい放題、オレ様なライブレポ対談はこちら。(読むと後悔すると思う)4日 6日
☆2006年12月8日(Rotherham)&10日(London)
イギリス(主にロンドン)旅行記とライブ観戦記。相変わらず錯乱している文章はここから。
☆2012年6月8日(Sweden Rock Festival)
再始動一発目の、感動のライブはここから。
☆2013年1月11,12日 川崎Club Citta'
14年ぶりに再来日を果たしたTFKのライブレポはこちら。11日 12日