The Flower Kings Live Report
2013/01/12 at Club Citta' Kawasaki

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 14年ぶりに来日したThe Flower Kingsの、うっとおしいライブレポです。基本的にTFK来日希望・簡易版に掲載した物を同じですが、もう少し、いらない突っ込みとかミーハーな感想が入っています。

 昨日とは違うシンセのアンビエントなソロが流れはじめた。TFK2日目の公演の幕が上がったが、なんと、1日目の本編最後の曲、"Rising the Imperial"!えーどうして?と、戸惑っている間にも、曲は進行していく。この日は下手側の端の席だったので、Felixを背中側から見る形になったが、手元がよくみえた。細かくシンバルでおかずを入れるのがよくわかる。面白いなぁ、シンプルな刻みだけでもいいパートでも、どうしてそんなパターンが?と思うようなアイデアがどんどん出てくる。Roineの声は、昨日と比べるとよく出てる感じで、バンドの演奏も、リラックスした感じで落ち着いていた。曲の途中、ドラムのフィルインからギターソロに移るところ辺りで、HasseがFelixに投げキッスしてたな(^^;)。チャーチオルガン風の音色とともに曲が終盤に向かって盛り上がり、Hasseのロングトーンがエンディングを飾った。今日はちょっと荒いかな?
 Roineが「Thank you」と簡単に挨拶をして、すぐに"What If God is Alone"を演奏し始めた。ちょっと待てー!なぜ私の好物をそんなにさらっと最初にやってしまうのだ−!?終盤でしみじみ聞きたいじゃないかよぅ。あまりにも意外な順番に、ちょっとションボリだったのだけど、演奏してくれないよりかずっとずっといいじゃないか。「これは昨日から長い休憩を取った後の第二部なのだ」と思うことにして、気を取り直す。昨日と場所が違うのと、端っこの席という利点でずっと立って見ていたこともあると思うけど、音のバランスとかバンドのアンサンブルが、ずいぶん改善されたように思った。少なくとも途中でギターの音が消えるとか、ヴォーカルマイクにエコーがかかりすぎるということはなかった。"I can see beyond time -"の二度目の、Hasseの歌の後ろで叩きまくるFelixがかっこよかった。
 「10年前の曲だと思うけど。時が経つのは早いね、歳も取るよ」とRoineのMCがあってから、"The Truth will Set you Free"のイントロが。おおぉぉ!!ずいぶん曲を入れ替えてきたなぁ。JonasとFelixのコンビがとても緊密にリズムとアクセントを奏でているのがわかる。そして、各パートの強弱と絡み合いの濃淡で、曲のダイナミクスがコントロールされていて、その波に乗るのがとても気持ちいい。Roineがちょっと、西部劇風のフレーズを即興でつま弾いてから、アコースティックギターのリフ。キーボードのメロディから歌へと繋がっていく。Hasseの歌い出しがちょっとよれていたけど、自分でもわかっていたのか苦笑して、すぐ持ち直して、その後の歌唱は安定していたように思う。"We will Fight, Fight with fire"では拳を振り上げてるのはお決まりの動きだ。熱いぜ。それからギターソロに入ると、ドラムがオリジナルとはずいぶん変わっていることに気がついた。アクセントは変わっていないと思うんだけど、その間のフィルが、オリジナルに比べるとすごく音数が多いし(ツーバスも踏んでた)、それに引きずられてか、Tomasのソロもとてもエキサイティング。オリジナルと雰囲気は壊してないのに。面白いなぁ。それから静寂。ちょっと休憩なのか、Roineはマグカップから何か飲んでから(後で尋ねたら「多分ローズティー」だったらしい)、ふわふわしたサイケなインプロパート、Roineの太い音色のギターソロと繋がっていく。とても気持ちいい音だぁ・・・。それからは天国ですね、はい。今日はインストパートがいいなぁ。すごくノってるぞ!!Roineの歌が、なぜかつぶやき調で入ってきたのが変な感じだったが、ヴォーカルハーモニーはきちんと決めて、その後は普通に歌っていた。じわじわと盛り上がっていき、曲はクライマックスへ。もうどうしたらいいんですか。

 Roineがメンバー紹介。まずTomas、それからFelixを紹介しようとすると、すでに居なくなっていた(笑)。その次、「背が高いジェントルマン、Jonas Reingold」って紹介するんだけど、彼もすでにステージから引っ込んでいて、最後のHasseも居ない(笑)。さすがのRoineも笑い出してしまう。そうしたらHasseがチマチマと走ってステージに出てきて、すぐ袖に引っ込んでいった。その様子が、か・・・かわいいじゃないか。それからRoineはNeal Morse Band(Mike Portnoy入り)とのヨーロッパツアーの宣伝(今度はオレンジじゃないよ、次は何かは秘密だよ、みたいなことを言っていたような)と、Facebookの宣伝をして、引っ込んでいった。
 Tomasのキーボードソロは、細かいプレイはともかく、昨日とそんなに大きく変わらない内容だったと思う。余計なお世話だが、今日の席はTomasを正面から見られる位置で、けっこうドスコイな体型なんだと再確認(^^;)。いや、ちゃんと演奏してくれればいいんですけど、はい。今日もカッコよかったです。そして昨日と同じく、ピアノのイントロから"Stardust We Are"へ。Hasseのヴォーカルは持ち直していて、手振り身振りを交えて、伸びの良い素晴らしい歌声を披露した。自分の歌が終わった後も、FelixやRoineに絡みに行くHasse、すごくノってるんだなぁ。14年前と、若干声質が変わったような気がするけど、今でも変わらぬ感動を観客に届けてくれるクォリティと熱意に、じわじわとこみ上げるものがあった。
 "You Gotta Move"(多分Mississippi Fred McDowellの曲だと思いますが)をアカペラで一フレーズ歌ってから"Paradox Hotel"に繋がる展開はクールだった。この曲は、よく聴けばややこしい拍子もあるんだけれど、難しいことを考えずにただただ楽しめた。ブルージーなギターの掛け合いも再び見られたし、曲の最後の"Yeah---ho---woo---"という掛け声もかっこよく決まって、「はっせ様、」な一曲だった(<壊れた)。Hasseは曲中のMCで「Sweden Weekに来てくれてありがとう」とか言ってたような気がするけど(^^;)。

 「セットの最後に、オープニングの曲をやるよ」とRoineのMCがあって、"Numbers"。場所柄、どうしてもドラムに耳に入ってくるので、Felixについてのコメントが多くなってしまうけど、どうしてバンドがFelixを選んだのかわかるような気がした。Jazz畑のテクニックとグルーヴ、メタル的なパワフルさで、今までのドラマーと違う個性でバンドの推進力になっている。この二日間、今までのTFKのライブと比べても、ずいぶん自分がライブに乗って身体を動かしていると感じた。プログレという音楽、とくにシンフォニックと呼ばれるジャンルと、グルーヴという言葉は似合わなそうだ。でもそれを吸収できるだけの懐がTFKの音楽にはある。Felixの存在が、今までとちょっと違う次元にTFKの音楽を持って行ってくれそうな気がするのだ。ここ数年ドラマーの入れ替わりが多かったので、彼に定着して欲しいな。聴いている方は、大胆さと繊細さが入り交じるアレンジ、メロディと、感情を揺さぶる演奏に、もう翻弄されっぱなしなのだけど、ステージの上ではRoineが自らモニターの位置を直したり、つまみをいじったりしていた。演奏にただ没頭するだけではいけないのだな、職人は、と妙に感心もしたり(笑)。演奏する順番が影響しているのかわからないけど、この日の"Numbers"は、前日の演奏やヴォーカルハーモニーが、よりタイトにまとまっているように思えた。Roineのギターの音が会場中を、より軽快に、力強く駆け回る。ワタクシ、心の中で何度もガッツポーズをしましたよ。メモには「Roineのギターソロも」とか書いてある。曲のどの辺のソロにそう感じたかはわからないんだけど(^^;)。問題のベースペダル(笑)は、Jonasとは離れたサイドの席でも充分ビリビリと振動が伝わってきたが、気になったのはこの曲くらいかな。

 Roineがデジカメを持ってきて、「笑ってくれる?Say, Cheese!」とか話しかけて、観客をパチリ。Jonasが腕を曲げて力こぶを作るポーズを作ってるのもパチリ。
 アンコールは、ホーミーのサンプリングで始まった。"Last Minute"のヘヴィなリフに心躍る。ところどころ不安定なところがあったHasseだが、この曲ではしっかり力強い歌を聴かせてくれた。この人の歌声は、ハードに歌ってもどこか優しさを感じさせるところがあって、ふと垣間見えるさまざまな表情が魅力なのだ。キーボードソロに入ると、グッとテンポが上がって、Tomasがベンドホイールをグイグイ使ったソロを披露、いったん落ち着いてからRoineのギターソロ。これがまたいい音なんだな〜。ゆったりとしたベースのフレーズと相まって、いい感じで身体を揺らしてユラユラ・・・気持ちいいなぁ。それから"In the Eyes of the World"へと繋がるギターソロも絶品で、もはや形容詞を使い果たしたよ。とにかくこの日のRoineには何かが降りてきてたと思う。バンド全体のかみ合わせというか、ノリもとても良かった。その勢いで最後まで突っ走ったバンドの演奏は圧巻。は〜・・・楽しかった。

 昨日は、始まるまで色々神経質にになっていたんだけど、この日はとにかく余計な心配をせずに、心から楽しむことが出来た。良かった、本当に。
来てくれてありがとう。呼んでくれた人もありがとう。

 音楽が段々商売にならなくなっている現在、プロモーションとか、取り合わせとか、色々難しいのだろうとは思う。特に、プログレというマニアックなジャンルに置いて、どのバンドが客を呼べるのか、人気があるのかがわかりにくい。ネットの普及で、各個人が好きなバンドを、メディアを介さず見つけることが出来るようになったからだ。YesやKing Crimsonみたいな安全パイだけではなく、意外なバンドが客を呼ぶ可能性だってある。今回のフェスでは、正直Moon Safari人気がフェスのチケットの売り上げを伸ばしたとは思うけど、TFKを待っていた人も少なからず居た。隠れたニーズを探り出す努力を、プロモーターはもっとするべきだと思う。一方twitterとかFacebookに「来ればいいのに」と一人で呟いても、たいした意味は無いことをファンも知るべきではないだろうか。いちいちそんなの、プロモーターやレコード会社が拾ってるとは思えない。もっとプロモーターに、バンドに、積極的に働きかけてみよう。「I love your music!」程度の一言が、バンドの心を動かすかもしれないじゃないか。

Setlist:
1. Rising the Imperial
2. What If God is Alone
3. The Truth will Set You Free
4. Keyboard Solo
5. Stardust We Are (pt.3)
6. Paradox Hotel
7. Numbers
<encore>
8. Last Minut on Earth〜In the Eye of the World


個人的に盛り上がって作ってしまったフラッグ。FCの会費は使ってません(^^;)
今誰が持ってるんだろう?