Pain of Salvation
Dream Theaterヨーロッパツアーの前座起用、TransAtranticでのサポート起用(Daniel Gildenlow)で、メタル、プログレ両フィールドからの注目度急上昇のPOS。創作意欲は留まるところを知らず。
オフィシャルHP:The Kingdom
Of Loss
お薦め日本語HP:
●ナニヲタメニイル(ら。さん)
●Pain
Of Salvation Japanese Web-Site (Nukkaさん)
●Pain Of Salvation
Japanese Fan Site (Johnさん)
●No Pain, No Gain(ケインさん)
参考資料:
炎1998/2
BURRN! '97/10 (EntropiaについてのInterview)
BURRN! '98/9 (One Hour by The Concrete LakeについてのInterview)
BURRN! '01/1 (The Perfect Element Part 1についてのInterview)
BURRN! '02/3 (Remedy Lane新作に伴うInterview)
Euro-Rock Press Vol.7 (The Perfect Element Part 1リリースに伴うInterview)
鋼鉄魂 Vol.95 (The Perfect Element Part 1リリースに伴うInterview)
EURO-ROCK PRESS Vol.23 (Be新作に伴うInterview)
☆Entropia (Avalon MICY-1013) 1st '97
☆One Hour by The Concrete Lake (Avalon MICY-1066) 2nd '98
☆The Perfect Element (InsideOutMusic IOMCD 067 - Limited Edition
2CD) 3rd '00
素晴らしい作品を出し続けているPain of Salvation。'90〜'94まで現在MeshuggahのGustaf
HielmがPain of Salvationに在籍していたし、ついでに紹介してしまおう。(^^;(さらに独立させました(笑))
Daniel Gildenlow(Vo.&g)を中心に新人らしからぬ堂々とした音作りでマニアをあっと言わせた高度な音楽性を誇っていた驚異的な1st。高度な複合技を駆使しProgressive
Musicのイディオムを存分に利用した上でのHeavy Metalである。ただ、このデヴュー作はまだ若干音に硬さがあったが2ndで見事に開花。様々な音楽を吸収した新世代Progressive
Metalの真骨頂が味わえる。オリジナリティあるとてつもない作品であった。Vo.スタイルは時折QueensrycheのGeoff
Tateを彷彿させ、彼らもこういった道に進めばよいのに思うこともしばしば。(^^; 最新作である3rdでは2ndの音楽性を更に拡張し次にどうなってしまうのかという予想だにしない展開がスリリングである。2nd
& 3rdは大傑作と思う。なお、3rdはLimited Edition 2CDフォーマットでもリリースされており、1stと2ndの日本盤に収録されていたボーナス・トラックとエンハンスド・トラックを収録。
☆Remedy Lane (Avalon MICP-10282) 4th '02
待望のPain of Salvationの4th。奇しくもDream Theaterの「Six Degrees of Inner
Turbulence」と日本同時発売だったために完全に陰に隠れてしまったことは否めないが、それが正に良かったぐらいの重苦しい雰囲気で覆われた大傑作アルバム。特にこの緊張感の持続性は他に例を見ないものでDream
Theaterと共に'02を代表する作品であることを決定づけている。3rdをきいたときにはこれから先どうなってしまうのだろうと思っていたが、彼らの器は私が思っていた以上に大きかったことが証明された。日本盤のみ6曲目に"Thorn
Clown"を追加していることと解説と対訳も物凄いことになっているので国内盤での入手を薦める。
思わせぶりなイントロから複雑なパッセージの中で突き抜けるようなVo.が印象的な"Of Two Beginnings"、"Ending
Theme"はシンプルな中でも繊細なテーマが脈々と流れておりアルバムを集中してきくことを促している。続く"Fandango"はHR版VdGGと言い切ってしまっても良いくらいのゾクゾクするようなリズムとVo.の表現が魅力的だ。突如明るめのギターに心安らぐのも束の間、その先どん底感に襲われる恐るべき"A
Trace of Blood"はPain of Salvation節が存分に活かされた名曲である。その後残念ながら若干中だるみするが(これが今後のPOSの課題かも。さして重大な問題にならないであろうが。) |
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Daniel Gildenlow自らの解説による"Rope Ends"は衝撃的で涙なしには読めない。また左右に振り分けられるギターリフはヘッド・フォンできくと格別だ。"Chain
Sling"の民族色豊かなサイケデリックさは、かのLed Zeppelinを彷彿させるような開放感と拡散性を持っている。第2章を締めくくるインスト"Dryad
of The Woods"は唯一ほっとする曲であるが、これはかつてMekong DeltaのRalph HubertやJorg
Michaelが参加したSchwarzarbeitに近い雰囲気があると思う。暖かなVo.表現の豊かさが印象的な"Second
Love"は楽曲至上主義のProgressive Metal界において非常に貴重な存在と思わせるに充分な出来だ。悲壮感が漂うギターイントロが印象的な"Beyond
The Pale"はエンディングへ向かう幕の締め方も見事としか言いようがない。
ただ、ジャケットはもう少し考えて欲しかった。これ程の作品を作り上げながらも惜しい気がする。Dream Theaterの2002年欧州TourではPain
of Salvationが前座に抜擢された。来日熱烈希望。
☆12:5 (Avalon MICP-10428) '04
新譜「Be」発売に伴い、今更'03/5/12にSwedenのEskilstuna、Bla Salenで収録されたアンプラグド・ライヴ・アルバム「12:5」の感想を書いてみる。(^^;
このLiveは過去に収録されていた曲をアレンジし直して3部構成にした内容中心で一部新しいマテリアルを含んでいる。アレンジし直した曲はまるで別の息吹が感じられる斬新なもので普通のLiveとは大きく違った印象を受ける。
個人的にハイライトはBook IIと思う。現在進行形北欧プログレの雄Ritualの雰囲気と近いものを感じる「Entropia」に収録されていた"Winning
a War T5 - Book II: Genesister"のフラメンコ・ギターのアレンジが素晴らしい。「The
Perfect Element I」に収録されていた"Reconcilation T5"の物悲しさはピアノによって一層引き立っているような印象。Vo.の表現も見事。「Remedy
Lane」に収録されていた"Dryad Of The Woods T5"の中盤のアコースティック・ギターの開放的なコードからハープシコード/ピアノへ続いていくアレンジはアルバム収録曲以上に魅力的。"VIII
(Second Love)"のコーラスの美しさは特筆に値する。
現在The Flower KingsのメンバーであるDaniel Gildenlowの多才ぶりで注目度が高まっている今、最初にきくアルバムの入門としてもお薦めできる内容。
蛇足であるが、日本盤ライナーの曲目リスト部にボーナス・トラック印がないけど、このボーナス・トラック表記は誤植?結局外盤と曲数は同じ? |
サイン付き |
☆ Be (Avalon MICP-10472) '04
「私は誰なのか?どこから来たのか?」。約8年の歳月をかけてアイデアを温め、探求の旅の結果生まれた作品。過去の作品とは大きく雰囲気が異なる。日本語の解説/対訳を読んでも正直私にとって非常に難解な内容のため把握しきれない、というか分からなくても良いではないかと思うぐらい入り組んでいる作品であった。(^^;
まるで映画のサウンドトラック、個人的に一押しの"Dea Pecuniae"なんかきいているとミュージカル作品のようだ。しかし、こんなに難解な作品であるにもかかわらず、音の作りが従来の鋭角/尖った音の固まりが影を潜め繊細さが増しているのと、前作「Remedy
Lane」に見られた緊張の連続を強いられる作品ではなくゆったりきけるので、じっくり味わう事が出来るのである。これは今回The
Orchestra of Eternityや多くのゲスト参加も効果を上げていると思う。真の意味で究極のミクスチャー音楽/Progressive
Metalの完成形だ。また、曲名は全てラテン語のタイトルになっており、DanielのInterviewによると色付けされたり、フィルターを通され過ぎる事を避けるためとの一手段であるとの事。より詩的な自由を得るための配慮がされているようだ。とは言っても、この作品を理解する上で少し手も手助け/指針となってくれる解説/対訳/コンセプト訳(いずれも内容が素晴らしい)はとてもありがたい。日本盤を強く薦める。
「Be」制作時に同時進行で作業していたDVDのリリースにも大きく期待が膨らむ。また、彼らはどの曲もLive演奏出来るように考えられているようで、今回の「Be」も全曲プレイしたLiveを行った模様だ。将来のLive音源リリースも期待したい。
蛇足であるが、最近Avalonリリース作品をdisk unionなどで買うと先着でAvalonレーベル所属アーティストのFree
Samplerがついてくる。POSの時には'04/11/21発売のこれからリリース予定のアルバムからPete SandbergとMercenaryが付いてきた。でもこれ、抜粋という形なので曲がフェード・アウトしてしまうのだ。いろいろ権利の関係などで難しいのだろうが、1曲は全て収録して欲しいと思う。途中で終わるのは後味が悪すぎる。(^^;