くむーる&ぬむるすカナダラ旅行記



(2日目)
7月20日
曇り時々晴れ、にわか雨

 朝一番、チュルさんお奨めの大公園「Seoul Land」の場所が分からなかったので、フロントに聞いてみると、なんだか遠いらしい。チュルさんには悪いが、今日は予定通り国立国楽院に行くことにしよう。

 昨日、街を歩いていて気付いたのだが、韓国人男性のもみあげは短い。昔流行ったテクノカットか?全員とは言わないが、みんなすっきりさっぱり、無精ひげを生やすガラの悪そうなあんちゃんも少なくて清々しい。韓国人女性の外見は日本人女性とあまり変わらない。チャパツは珍しくないが、ギャルファッションやだらしないカッコをした人が少ないのは男性と同じ好印象だ。そういえばミニスカートを履いた人は殆ど居なくて、かわりにキュロットスカートを履いた人が多かった。太った人もあまり見掛けないな。これはキムチ・パワーの賜物だろう。

 今日の朝食は明洞にある「瑞源(ソウォン)」というお粥(ジュク)専門店で摂ることにした。世宗ホテルを目印にするとわかりやすいだろう。お店に行く途中で「にんじん・のり・ラメソ」というインチキ日本語の看板を観て、思わずシャッターを切ってしまう。ちなみに、瑞源はるるぶ情報版だと「端源(ゴウォン)」と書かれているが、うそである。

 階段で地下に下りていく。店にはいると昔のラーメン屋みたいな、でも落ち着いた雰囲気の店だった。禁煙なのが嬉しい。混んでいたので相席でテーブルに付き、Shibuは高麗人参粥、私は鶏粥を頼んだ。キムチをつついていると隣のおじさんが日本語で話しかけてきた。出身を聞かれたので「千葉の松戸から来ました」というと「俺は市川だよ、近いねぇ」というローカルな話で盛り上がる。ついでに「SeoulLandってどんなところですか?」と聞いたら「東京ディズニーランドみたいな所だ。広いぞぉ。でも隣の競馬場の方がもっと良いぞ」という答え(^o^;)。戦争の時に憶えさせられた日本語なのだろうか訛りが強く、少し聞き取るのに苦労した。でも少なくとも個人レベルでは「通りがかりに殴られる」ようなことはないのだと安心した。
 Shibuの頼んだお粥は、高麗人参のみじん切りが入っていてゴボウのような味。私の鶏粥はコクがありとても美味しかった。大推薦!値段はW6,000位だったような。

 お粥で腹を満たしたところで明洞の街に入っていく。目的はショッピングではなく、PC房へ行ってチュルさんにメールを出すためである。

フリガナも微妙に間違えてます
上半身が背景にとけ込んでいますが、心
霊写真ではありません。

 PC房(バン)とは日本で言うインターネットカフェみたいな場所。しかし飲み物は自販機にてセルフサービス、1時間W1,000程度という安さから、ゲームセンター感覚で利用されている。ネットゲームやチャットを楽しむ若い人が多いようだ。テンポラリーアドレスが簡単に作れるという話なので、Shibuが挑戦してみることにした。

 再び地下に降り、薄暗い照明とかったるそうな店員が居るのはまさにゲームセンター的。店員に指定された番号のパソコンの前に座って起動させると、韓国版Windows98が立ち上がった。Macの普及率はデザイナーを除けばとても低いらしい。Shibuまたもやマシンと悪戦苦闘する。昨日のTV電話と違って、一応(ハングル表記でも)Outlookを立ち上げ、メールを書くことが出来た。が、送れない。SMTPサーバーやPOPサーバー、パスワードなども設定しないと送れないようだ。そんなのメモしてるわけないよ・・・とノートをめくるShibu。
 あった(笑)。
 
奇跡的に持っていたノートに控えられていたデータを設定し受信はできたものの、やはり送信は出来なかった。店員に聞いてみてもよく分からないらしい。あまりパソコンに詳しい人ではなかったようだ。「どうしようか」とあちこちいじっていると、日本人男性が近づいてきた。事情を話すと「じゃぁ、僕のアドレスで送りましょうか?」と言ってくれた。おおおおぉぉ、なんていい人だ。向こうの人もShibuに質問があったらしく、その男性とShibuは場所を移動し、私は空いた席でネットサーフィンしてしまう。さすがIT先進国、快適である。しかし日本語は読めるが書けない。友人のBBSにローマ字文章で「今韓国だよ」メッセージを残しておいた。
 しばらくしてShibuは無事にメールを送れたようだ。その親切な方と名刺交換をすると、なんと某国営放送(1つしかないが)の番組プロデューサー(@_@)。タイからの帰りで、乗り換えついでに一日ソウルに寄ったそうだ。その偶然が迷えるヘナチョコ旅行者を救ったのだ、ありがとうO氏。
 早い話、YahooやGooのブラウザ・メールサービスを使えば良かったのだ。わはは。パソコンに個人データが残らないよう念入りに消してから、PC房を後にした。

 今日のメイン、国立国楽院に行く前に昼ご飯だ。以前ソウルに来たときに食べたサムゲタン(参鶏湯)が忘れられず、ソウルにいる内に一度は食べておきたかったので、明洞にある「百済参鶏湯(ペクチュサムゲタン)」で昼食を摂ることにした。日本のTVで紹介されるくらいの有名店であった。
 ビルの2階、大衆食堂のように広い店内はガンガン冷房が効いているのに、その冷房の真ん前に座らされてしまった。かなりの冷風で髪がなびく(笑)。ソウルの食べ物屋は大体冷房が効きすぎる(食事するときに丁度いい)位なので必ず1枚、薄手の上着を持ち歩きたい。
 キムチをつまみつつ、ビールやサービスの人参酒を飲んでいると、怖いくらいグツグツと煮えているサムゲタンが来た。サムゲタンは雛鳥のお腹に餅米や高麗人参、ナツメや栗などを詰めて長時間煮込む料理である。少し白濁したスープはさっぱりとしているのにコクがあり、鶏肉はスプーンで軽く剥ぐだけでポロリと崩れる柔らかさ。食うぞ食うぞ食ってやる・・・・・・・!


・・・・はぁ。
 「激」が付くくらい満腹になった。ふくれた腹で呼吸困難気味になりながら、国立国楽院へ向かうため、明洞駅に戻った。

 明洞から隣の忠武路(チュンムロ)で一度3号線に乗り換え、川を越えて南部(ナンブ)ターミナル駅まで30分くらい。川を越えるときだけ地上に上っていったのが面白かったが、川の地下を掘り進むより橋を架けた方が工事が簡単なのだろうか。
 南部ターミナル駅で国立国楽院の場所を確認し、地上に上ったところでまた確認。なんと雨が降ってきたので急いでカサを広げる。あれ?地上と地下で地図の方角が違う・・・。町中の地図は方角より、今地図を見ている人がどちら側を向いているかが基準のようだ。惑わされる。目印になるような建物もなく、どちら側へ歩いて良いものか見失ってしまった。が、しかし。国楽院の隣にあるソウル・アート・センターまでは有料のバスが出ているので、それに乗っていくことにした。W300なり。安!

国立国楽院
観光名所ではありませんが、面白い場所です
 アート・センターから更に歩くこと5分。瓦屋根が立派な国立国楽院に到着。
一体ここに何があるのかというと、韓国の宮廷音楽、国楽(日本でいう雅楽)や農楽(祭り囃子)の楽器、世界中の民族楽器が展示されていたり、曜日によってはそれらの演奏やパンソリ(講談+民謡かな?)を観ることが出来る場所だ。明日(土曜日)に観ることが出来るらしいが、既に他の予定が入っているので今回は博物館の見学のみにする。日本語の説明も所々読むことが出来るようだ。なんと無料。

このような楽器が展示されています

 韓国の太鼓類はとてもカラフル。土台を支える動物のモチーフもなかなか可愛らしい。それに比べ琴(カヤグム)は、日本の琴とそう形は変わらないが、小振りで素朴である。琴の弦高や音程を調節する琴柱の扱いが日本とは少し違うようだ。
 ハープのような弦楽器やハンマーダルシマーのように弦を水平に張って叩く物もあると思えば、日本の笙や琵琶そっくりの楽器もある。大昔から細く、しかし確実に文明の交流があった証。 展示室の中には、偉大な演奏家達の遺品を展示している部屋がある。日帝時代に演奏を禁止された伝統音楽を守り続けた人達だ。割と早い時期から女性演奏家がちゃんとした地位を得ているのは面白いと思った。才能があるなら性別は関係ないと言うことか。楽士の正装は何となく雅楽の束帯に似ているが、チマチョゴリのようにハイウェストのデザイン。帯ではなくひものような物を巻いている場合もあり、正装も何パターンかあるようだ。

 小一時間程ですべて見回ってしまったようだ。休憩室でジュースを買って休憩。NeverStopというスポーツ飲料を購入した。気の抜けたラムネのような味で、色が体に悪そうな綺麗な水色だった。日本のスポーツ飲料とは大分イメージが違う。

 入り口脇の通路にはいると、伝統音楽のCDやカセット、研究書を扱っているショップがあった。ここでShibuがついに自爆開始。すでにチュルさんとトレードして手に入れたアルバムも多かったが、正統派国楽から民謡まで何だか分からないものが盛りだくさん。こうなるとShibuは自分の世界に入ってしまう。待っているももはかなり暇。土産物物色も飽きる。楽器がとても綺麗だったので、写真入りの初心者向けの本でもあったら欲しいと思い捜してみたが、ここの店は専門書や楽譜しか扱ってないらしかった。

 1時間以上悩んだ末、Shibuは以下の物を購入。
☆安淑善(Ahn SookSun) / Jeok Byuk Ga (E&E Media SCO-156AHN)
 パンソリ、鋼喉の持ち主。分厚い歌詞カード入り3枚組Box。36,000Won。
☆Kim DukSoo / Samulnori - KyoljongPal (Synnara Music SYNCD 114-115)
 2枚組Box。18,000Won。
☆Won Il / Asura (E&E Media SCO-144WIN)
 Ex.EoEoBoo Project Band。アヴァンギャルド・パーカッショニスト。

Kim Ki-suさんの銅像
伝統音楽の研究、保存、採譜などに尽力を尽くした。この人の書斎を再現した部屋も展示されている。

 安淑善の3枚組Boxは内容が確認できなかったので、Shibuは店員に「これはベスト盤ですか?オリジナルアルバムが欲しいのですが」と尋ねた。店員は「ベストが欲しい」と勘違いして、もっと大きい5枚組Boxを薦めてきた。お互い英語が不自由で意志疎通が出来なかった。国立の施設なら英語出来る人を配置しようよ(^_^;。

 国立国楽院はアート・センターの広大な敷地の一角にある。ここには美術館、博物館、オペラハウス等々芸術に関する施設が集結していおり、隣の施設に移動するだけででも結構歩くし、Shibuの買い物を待っていて疲れてしまった。オペラハウスのカフェで一服することにした。ここの店員は英語OKだ。チーズケーキとコーヒーを注文。そう言えば韓国に来て初めてコーヒー飲んだかも。

国楽院からオペラハウスを見る
一番奥の、黒っぽい屋根の丸い建物がオペラハウス

 日用品を買いたかったので、一度明洞に戻ることにした。アート・センター前のからバスに乗り込んだ。南部ターミナルは次のバス停のはずだが、全然それらしい場所ではないところに止まった。「あれ?」と思いつつそのままバスに乗り続ける。結局隣の良才(ヤンジェ)駅まで来てしまった。運転手に何か言われたような気がするが、まぁいいや(汗)。とにかく地下鉄に乗ることが出来た。後で考えると、やはり「あれ?」と思った場所が南部ターミナルで、降りた後駅まで歩かなければならなかったようだ。

 ところで、ソウルの地下鉄はいろんな物売りが行き交う。新聞は当たり前、昨日は電池の8本パックを売ってる人がいた。今日の行きの電車ではかごを持ったいわゆるおもらいさん、今乗っている電車には傘売りがいる。さすがににわか雨に困ったのか買っていく人がいた。疲れたので座りたかったのだが、日本のおばちゃんより、強烈にお尻の大きいおばちゃん軍団が来て席を強奪された(T.T)。韓国人はお年寄りを大切にするので、日本のように寝たふりをする若者は少ないそうだが、若くたって疲れてる人がいるんだよぅ。ヨレヨレになって明洞に到着した。

 駅のすぐ近くのミリオレに入ってみた。日本でもショッピングスポットの一つとして紹介されているファッションビルなのだが、ディスプレイデザイナーが泣き出しそうなセンスで、小さいブースにひたすら物を並べる様はさながら秋葉原デパートorラジオ会館。Shibuの靴下や歯磨き粉を探していたが、洋服や化粧品は山程並んでいても靴下や歯磨き粉が売られていない!?疲れもピークに来ていたのでかなり頭に血が上った状態で、道路の向こうのコンビニまで移動する。なんだよもーぷー(怒)。
余談:エスカレーターに付いた階案内に「滑板」という表示を見つけた。「スキーかスケボー?スポーツ用品なんて売ってたっけ?」と思ったら、どうもスケーターファッションを中国語表記するとこうなるらしい。滑板ねぇ・・・(笑)。

 道路下の地下道は工事中。ここもスペースを細かく区切ったレイアウトだった。工事中のペンキや接着剤の臭いだけではない、汚物の臭いがする。「変な臭いするねー」とShibuに言うと「これは人間の臭いなんだよ」と珍しく詩的な答えが返ってきた。人の汗と香水と排泄物の臭いがこの下に凝縮してしまったのか。確かに人間が排出する物はろくでもない。
 無事コンビニで靴下と歯磨き粉、友達への土産として現地のあやしげなお菓子を購入し、西大門へ向かった。

怪しげなお菓子
かっぱえ○せんコピー商品、M&Mコピー商品と本物




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