くむーる&ぬむるす米国漫遊記



(7日目)
6月9日(木)
 晴れ

 8:00起床。まだ喉は痛いが、昨日がピークだった気がする。かわりにShibuが「喉痛い」と言い始めた。
今朝安物だけど気に入ってたピアスをなくした。疲れてるのか注意散漫この上ない。

 とりあえず資料をまとめて、昨日電話を掛けてもらったMargoさんを捕まえ、もう一度Tampaに電話をしてもらった。今度は繋がって、「今ウチのホテルに泊まっている客が、あなたのホテルで忘れ物をしたらしいので調べて欲しい」と伝えてもらう。結果はすぐに分からないので「3時にここに来てね」と言われる。
 とりあえず朝食を食べに外へ。日本と同じサイズのマフィンにチーズを混ぜたスクランブルエッグを挟んだサンドウィッチとコーヒーでおしまい。このくらいの量でちょうど良いよ。でも何というか・・・塩加減が違うのかなぁ。味が余りない割に脂っぽさだけが口に残る。

 ホテルに一度戻り、身支度を整えてからシカゴ美術館へ向かう。広大なグランドパークの中にあって、メトラ(鉄道)をまたぐ形で立てられた、アメリカ3大美術館の一つ。曜日によって閉館時間が変わったり、無料拝観日が設定されているので、ガイドブックを参照されたし。私たちが利用した「地球の歩き方 シカゴ」では入場料が$10となっているが、$12取られたような記憶がある。大きい荷物は持ち込めないので、有料($1)のCheck Roomに預けなくてはいけない。特に用事がなければ、ポシェット程度のカバンで来た方がいい。ちなみにだがカメラ撮影は自由(フラッシュ禁止)。

 スーラの「グランド・ジャット島の日曜の午後」はココでしか観られないほか、印象派やアメリカの現代美術コレクションで有名らしいが、個人的に印象派の絵はどうでもよく、とにかくコーネル(Joseph Conell)の作品さえ観られれば良かった。箱の中の壊れた小宇宙。中学生の時、気まぐれに観に行った展覧会で出会ってから、この無名なのか有名なのか謎のシュールレアリストの作品を見る機会が持てるとは思わなかった。
 無骨なようで繊細。特に、正面から見るとただ白くペイントされた木片が配置されているように見えて、斜めから見て初めて小鳥の絵を確認できる作品には感心してしまった。闇夜で踊るバレリーナの妖しさにも目を奪われる。この箱に住みたい。家族の病気の世話のために、殆ど家から離れることがなかったらしいこのアーティストも、自分のための架空の巣を作ったんじゃないだろうか。
↓ココで彼の作品の一部を観ることが出来ます
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/cornell/

 スーラの「グランド・ジャット島の日曜の午後」。刺繍みたい。絵の題材にはあまり興味がないけれど、この手法を編み出したことと、完成させた忍耐力に脱帽。あとホドラーの絵が一枚見れたのはラッキー。モダンアートやルネサンス美術にも興味ないので、中世の版画・宗教画の部屋へ行く。あの狂ったパースとか、あり得ない躯体が逆に魅力的。ブルージュの美術館よりはエグい絵は少なかったが、「首ちょんぱ、血がピュ〜」という独特の絵巻が1作品だけあった。絵に見入って顔を近づけすぎると「Hey !」と体格の良いおばちゃんに怒られた。
 不思議なのは、古代ギリシャ時代の彫刻というのは、現実の人間とあまり変わりないプロポーションで作られているのに、中世になって、何故あんなに稚拙で頭でっかちな人間の絵ばかりになってしまったのだろう?その間の技法の断絶に興味がある。絵画と彫刻は別物なのかな?

 地下のカフェで昼食。自分で好きな飲み物やデザートを取り、好きな食べ物を注文して一皿に盛ってもらい、最後に会計。やはりヨーグルトとコーヒーは個々にとって料理は一皿をシェア。私は絵を見ているときはそうでもなかったけど、デジカメのことを思い出してしまい、また食べ物を受け付けなくなってきた。野菜やヨーグルト、ポテトフライは食べれるのに、どうもパン類を飲み込むのがダメみたい。残そうとすると「もったいない」と言ってShibuが食べたが「『もったいない』と『苦しい』がせめぎ合ってる」とか言うし(^_^;)。
 カフェからMichigan St. 方向へ戻りながら、古代エジプトのミイラの棺、古代ギリシャの壷、古代ガラス、ルネッサンス期の宝飾、現代家具デザインなどをさっと眺めて中国・韓国・日本の部屋へ。工芸品の細やかさ、洗練度はアジア諸国の展示の方が楽しめた。日本人の感性から観ているからかもしれないけど。


Chicago名物の高架線路、通称「L」。かなりうるさい

 Check Roomから荷物を受け取って、2時過ぎくらいにホテルに戻った。Margoさんはいるか?とフロントに尋ねると「彼女の仕事はもう終わったから家に帰ったわ」と言われた。えーーーー!!!困るーーー!!「彼女は、私たちのトラブル解決を手伝っていた。何か彼女からメッセージはない?Tampaの方からは?」と聞くと、何もないと言う。当直で帰っちゃうなんて言ってなかったじゃんかー(T_T)。仕方ないので、今話している女性にもう一度事情を説明し、Tampaのホテルに電話を掛けてもらった。が、今度はTampaのホテルの受付が終了しているので、また朝に着てくれと言われた・・・。そんなに早く窓口閉めて仕事しないから太るんだよ、米国人!!(<暴言)。部屋に帰ってもう一度Hertzに電話。昨日と違う人が出たらしい。Tampa営業所になかなか繋がらない、とのことで一度電話を切った。これは電話だけじゃダメだと思い、街へ出てネットカフェを探すことにした。

 特にアテがあった訳じゃないが、ループ(高架鉄道が輪になっている部分)内の道をフラフラ。大学のネット施設のようなモノが見えたので入ろうとしたが、大学関係者専用のスペースだったようで、IDカードがないと入れない鍵がかかっていた。ここから北にあるマグニフィセントマイル・エリアまで行かないと見つからないのかなぁ・・・。ん?あの黄色い看板、インターネット5分/$1って書いてない?ホテルのネットの半額以下だ。行ってみよう!

 店は怪しげなアクセサリーや携帯電話(向こうはCell phoneて言うんですね)、時計などが並んでいて、どこにPCがあるのか分からない。???お店の奥の、あの暗い部分か?勇気を持って入ってみると、店番の親父に「名前は?」と聞かれた。名前と時間をメモって、帰るときにお金を払うらしい。Shibuが自分で名簿に名前を書き入れ、蒸し暑くて暗いPCスペースに入った。他にもチャットをやってるらしき少年が一人。クーラーはなく扇風機。
 ホテルのネットでも四苦八苦したBest Western Hotelへのメールは向こうのサイトのプログラムエラーで受け付けないみたいだ。幸いFAX番号を見つけたので、後でホテルからFax送信を頼むことにした。念のためTampaの空港のLost & Foundにも捜索願を出した。多分50分ぐらい居たと思われたのに、請求されたのは$5程度。
Wabash St.とRandolph St.が交差する十字路、やや公園よりにそのお店の中にあった(店名不明)。女の子一人や、夜の利用はやめた方がいいと思うが、困ったときはぜひ。

 Shibuにずっとデジカメのことで迷惑を掛けてしまったので、ここでシカゴ観光らしきものをしないと、と思い、ガイドブック片手に有名建物案内。James R. Thompson Center、市庁舎、バンク・ワン・ビル、にシカゴテンプル、カーソンビリー・スコット(デパート)。残念ながらシアーズタワーに昇る気力はなかった。この部屋に泊まり始めてからShibuは「アメリカって、パッと見は『お!』と思うけど、よくみるとダメダメだよな。パッと見の国だ。」と主張する。建物のに関しては、日本の細やかな施工・仕上げ(日本は世界一精密だと思う)を見慣れているから、特にそう感じてしまう。このホテルも、エレベーターホールのカウンターはパッと見は豪華だが、下を覗くと隙間だらけだったり(イジワルだろ)。しかし1Fフロントロビーの垂れ壁のモザイクタイルだけは見事な作品だったと一応言っておこう。サリバン設計のカーソンビリー・スコットのアールヌーヴォー風な外壁模様は本当に見事だった。

 ホテルに戻って、文面を考えてTampaにFaxを送ってもらう。$3.75もかかってしまったよ。

 明るいうちに、と向かいのミシガン湖の近くまで行ってみる。バッキンガム噴水もパッとも豪華だが、よく見ると何だか意味不明(^_^;)。このグランドパークではハトの代わりにカモメが幅を利かせていた。少し離れて座っていたカップルが湖岸に群れていたカモやカモメに餌をやっていたが、他に動物に餌をやる人間は見掛けなかった。なので日本に比べるとハトもカモも心なしか小さい。バッキンガム噴水から離れたところからドラムの音が聞こえる。今はちょうどグランドパーク音楽祭やシカゴ・ブルース・フェスティバルが行われている時期で、きっとそのコンサートのどれかだろう。

暗くなって、Chicagoの最後の晩餐。まだ私の胃の調子は良くなったわけではないが、Shibuが選んでくれたディープディッシュ・ピザの店、Lou Malnati's Pizzeriaに行くことにした。ループから適当にパープル/ブラウンラインの駅を選び、北上する路線に乗り込んで、Merchandise Mart駅で下車。一度Merchandise Martビルの中に入ってから階段で下りていくという、変則的な作りでビックリした。

 あ。地図で見ると近くにHouse of Bluesがあるではないか。Dream Theaterも出演したこの会場をちょっと観に行って見ようではないか。(画像右)地図上では気が付かなかったが、House of Bluesの裏はかの有名なトウモロコシビル、マリーナシティではないか。うわーーなんだこのビル?変!!下層の1/4階分は駐車場になってるんだ、へぇ〜。House of Bluesのおにーさんに「今日はフリーライブやってるよ!」と誘われたが、日本人得意の愛想笑いを浮かべながら通り過ぎた。


中央の青銅色の建物がHouse of Blues


Marina City
 Lou Malnati's Pizzeriaはとても混んでいた。2人だから入れたと思うけど、団体で行くなら予約が必要かも。席についてまずビール。Chicagoに地ビールらしきGoose Island Beer (http://gooseisland.com/index) を注文したが、しばらくして「売り切れましたので、他のをオーダーしてください」と言われ、Sam. Adams Seasonalを注文。ピザは念のため一番小さいIndivisualを一つだけ注文した。焼き上がりに20分かかると言われた。TVではバスケットボールの試合が流されていた。ゲーム前のオネーチャン達のダンスが恐い。どうしたらそんなポリネシアンダンス並に腰が動くのだ。ビールが来たので乾杯。迷惑掛けてスイマセンです。元々はShibuの休暇だったのにねぇ。Samuel Adamsは"Seasonal"とついてるから、多分この時期限定醸造のものだと思うが(San Franciscoの地ビールAncher Steamにもクリスマス限定で出るモノがある)・・・飲んだ瞬間はハーブか何かの香りがワッと広がってイイ感じだが、後味が全然ない辺りにアメリカビールを感じた。
 さて、いよいよピザの登場。フライパンには入ってこなかったが、2cm位の厚さだろうか。普通の厚手生地のピザとも違う形状。
 
うま━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!

今回アメリカに来て、一番旨い食事です!てか、この味はイタリアです(<多分)!ジューシーなトマトソースとサクッとした生地が絶妙。チーズも脂肪の塊みたいな味じゃなくて、ちゃんとチーズだ。うまーい!さすがガイドブックに「シカゴNo.1」と書かれているだけある。このガイドを読まなくても、私は「うまー!」と叫んでいたと思う。大体ちゃんとこの胃が食べ物を受けつけてるもの。よっぽどうまいぞ。初めて小さいサイズを頼んで後悔をした(笑)。体調が良ければSサイズ(Indivisualの一つ上)をシェアできただろうなぁ。自信を持ってお勧め。
Lou Malnati's Pizzeria
http://www.loumalnatis.com/

 帰りはMer.Mart駅に入るために正面玄関まで歩いてビルに入ってから、非常階段のような階段を登って駅に出る。変な駅だ。すごく長かったような、短かったような一週間。電車の中でしばし放心。

今日のビール:Samuel Adams Seasonal




Los Angeles

Tampa

Chicago

TOP

6/3

6/3(夜)

6/4-1

6/4-2

6/5

6/6

6/7

6/8

6/9

6/10