いつものようにロビーに行き、朝食を摂る。毎日決まった時刻に食べて、とにかく水分を摂るのでとても体調が良い。しかし天気はよろしくないようだ。TVの天気予報では警告を表す赤いゾーンがPennsylvania州に近づいてきている。窓を見ると本当に雨が降り出した。今日こそ「Thunderstorm」の覚悟をしなければならないかもしれない。
車に乗り込む頃にはかなりの降りになっていた。今はまだ明るいからいいが、夜になって視界が悪くなるのが怖い。まだ一度も迷わずにホテルへ帰ったことがないのだ。曇り防止のために冷房を入れるとかなり寒かった。今日の会場も寒いだろうか。悪天候にもかかわらず、今日は初めて迷わずにZoellner Arts Centerまで行くことに成功!かなり余裕の到着となった。昨日寄ったガススタンドで飲料水と昼に食べるサンドウィッチを購入した。二日目となると色々段取りが分かってきた。会場に入り、寒かったのでロビーでスターバックスコーヒーを注文。Largeサイズとおぼしきカップを受け取り、自分でポットから注ぐ。欲張ってカップに目一杯注いだので、最後の方は苦しくなってきてしまう。学習していない。ももがコーヒーを飲んでボーっとしてる間、しぶは別室のCD売り場を彷徨っていた。すでに最終ステージ2部屋は熱心なファンが溢れ、昨日の買い残しをチェックしている。しぶが「特に買う物がなくて、安心した」と訳の分からないことを言って戻ってきた。席について開演を待っていたらD.F.A.のメンバーが挨拶してくれた。日本人が握手や写真を求めてきたのがよっぽど珍しかったのか、覚えてくれていたようだ。それに比べ、ももはしぶに「誰?」と訊いてしまう。ヒドイ<私。会場内部
(1)Nexus: L to R |
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インチキ臭いkeyソロでスタート。2曲目からセクシー衣装のMariela登場。Japs系である。様式美系keyのお約束、白いブラウスと黒ベストをしっかり踏襲。しかしkeyソロはもっと短い方がいいぞ。
笑ったのは最後の曲の後、Marielaが自分たちのTシャツを3枚ほど持ってきて客席に投げる。前の方のおじさん達が鯉のように群がってきた。4枚目はMarielaが自ら着ていたTシャツを脱ぎ「これ欲しい人?」と訊くと、さらに鼻息の荒くなったおじさん達。おいおいおい(^_^;)。
(しぶ:)Nexusはですね、Rata Blancaの大仰さを更に誇張したような音ですね。あるいはJapsプログレ系+EL&Pって感じがしたよ。それにArs Novaテイストをかぶせてね。Keyはもう少し抑えて欲しかった。若いから、今後期待って感じですかね。
おねいちゃんの歌は・・・まぁ、おねいちゃんです。巧いとは言いませんがDreamyでした(笑)。
(もも:)曲の中では良いけどKeyのソロタイムが長すぎ。10分以上ここぞとばかりに。
Rata BlancaよりもっとKeyが全面に出てない?あ、その辺が大仰さに繋がるのか。もう少し整理した方がいいですね。おねいちゃんテイスト全開。そういえばマスクも付けてました。おねいちゃんの一人勝ち。しぶが「そういえば、French TVのCDが2枚売ってたよ」と思い出したように言った。なにー早く言えー!French TV自体よく知らないのだが、最近出たアルバムではZamla Mammaz Mannaの名曲"The Fate"のカヴァーをやってるらしいのだ。Samla来日推進委員幽霊部員(ようするに何もしてない)としては買わないわけにはいかない。売っているというCuneiformのブースに行き、自分の分とおみやげ用に2枚買おうと店の人に差し出すと「2枚で良いのか?」と問い返されてしまう。いいんです、早くちょうだい。なにかのプロモ用カセットもおまけで付けてくれた。
French TV / The Violence Of Amateurs
Birdsongs Of The Mesozoic / Pyroclastics(どっちがバンド名でアルバム名かわからん)
買い物を済ませ、再びしぶももは長椅子に座ってボーっとしていると、昨日D.F.A.と一緒に写真を撮ってくれた女性が話しかけてくれた。
「Nexusはどうだった?」
「(個人的にはいまいちなんだけど、演奏の勢いと、最後がおいしかったので)よかったですよ」
その後は聞き取れず(T_T)。ボーっとしてたので「起きてる?」と訊かれたのか、朝一番のバンドだったので「目が覚める感じだったわね」と言われたのか、どちらかだったと思う。せっかく話しかけてくれたのに日本人特有スマイルしか返せなくて申し訳ない・・・。
(2)Thinking Plague: L to R |
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コロラド出身、今回唯一のRIO系バンド。
「In This Life」(1989)を人に借りて聴いたことがある。時々光るモノがあるけど全体的には冗長なArt Bears、というあまりよくない印象。ライブはどうだろう?
生で聴くとVo.はDagmarにはあまり似てなくてむしろHarpyのきょうこに近いかな。調べてみると「In This Life」からVo.とB.Key.がメンバーチェンジしているようだ。key.は「Tim Hodgikinson好き好き」系。リード楽器担当が一人いるが他の楽器とのバランスは良好。Dr.がキレのある演奏を見せてくれた。ブラシは当然、鎖や泡立て器などでシンバルを叩く姿はChris Cutlerを彷彿させる。
元々シンフォニック系よりチェンバー系を好む私だが、今回の彼らのライブが楽しめたかというと、そうも言い切れない。引きずり気味のVo.ラインはどの曲も似通ってて面白くないので、バックがもっとアクセントを付けてあげるべきだと思う。決められたスコアだけを追うだけの演奏はつまらないじゃないか。途中でBass.がアコーディオンに持ち替えた曲でも印象は同じ。ライブの流れに山場がない。前に座っていたおじさんは「More Guitar」とつぶやいて退屈そうだった。G.はちゃんといて、かなりのハイテクニックを披露していたにもかかわらず。Key.のソロに関しては不要と断言。ギラギラした音色のKey.が多かった中、Pianoの音色で現代音楽風のソロは変わっていたが眠気を誘うだけだった。それでも後半の演奏はテンションがあがり、Vo.の表情も出てきた気がする。最初からこういうの聴かせて欲しいよ。
テクニックは十分すぎるのに、見せ方がライブ向きではないのか。Dr.の元気な演奏だけが会場を湧かせていたように思えた。もも的には暗黒パワーがもっと欲しいが、これはこれでお国柄なんだろうなぁ。熟睡していたしぶを叩き起こしてロビーへ出る。2階のロビーに行ったことがなかったので、初めてあがってみた。なんとCharismaレーベルの絵柄にGenesisのロゴを付けたやくざなTシャツが売っている。他にはGenesisの7inchばかり。怖い怖い。雨はすっかり上がっているようなのでテラスに出てみた。今日はTransatlanticにMike Portnoy(Dream Theater)が出るせいか、メタル系のTシャツをきた若い人が多い。お、目の前にMegadethのTシャツのお兄さんが。よくよく見ると「Megalife」「Prayer 」と書かれている・・・イカす。うますぎる。(*1)今日の最強Tシャツ大賞だ。テラスから会場の入口あたりに降りる階段があり、そこでまたボーっとする。土手の向こうの方では小学生が遠足に来ていた。とてものんびりした風景。いったんロビーに戻る。
昨日の好演の影響でずっと混んでいたAnekdotenのブースだが、たまたま暇そうにしていたので、記念撮影をお願いする。ブースには新しいデザインのTシャツが売られていた。Magmaマークに似ている。「良いデザインだね」とMagmaのTシャツを着たしぶが突っ込む。「Peterが作ったのよ」とAnnaが教えてくれた。Peterはしぶが着ていたTシャツを誉めていた。もー、マニアなんだから(^_^;)。写真はこちら
係員が開演を告げたので、会場に戻り席に着いた。よくよく周りを見ると出演したバンドのメンバーが結構座っている。もしかして関係者席だったのだろうか。
(正規の手続きが分からず、主催者の一人Rob LaDuca氏に直接「どうやってチケットを取れば良いんだ?」というメールを送った。すると「もうあんまり席はないけど日本からわざわざ見に来るなら取っといてやる」と返事が来た。特別に手配してもらった席かもしれない。良い子は真似してはいけません。)
D.F.A.のメンバーと話しているあの派手な衣装の人物はGianni Leoneだ。うわ、30センチぐらいしか離れてないよ。近くで見ると背は小さいけどスタイルがよくてモデルみたいだ。写真撮っちゃおうかな、としたら出番のためステージの方へ行ってしまった。惜しい。
(3)Il Balletto Di Bronzo:
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イタリアの伝説的バンドが甦った!疑惑のライブアルバム「Trys」ではファンの夢を膨らませ(一部では萎ませて)くれた。しぶは「Ys」を口ずさめるほど聞き込んだ大ファンで、私は一応聴きました程度。これが後の態度を決定した。
昨日のD.F.A.の飛び入り参加のインパクトを裏切ることなくオレンジの全面刺繍のスーツでGianni Leone登場。インナーは流行のラメですねラメ。Key.を弾きながらのパフォーマンスなので昨日ほどの身のこなしは見られないが、やはりただ者ではない。よく言うと郷ひろみ、悪くいうと「ウンナン/キャラクターランキング」のホワイティ(^_^;)。総合してにしきのあきら。う〜ん、雰囲気伝わるかなぁ?華のあるスターの貫禄を漂わせています。プログレのミュージシャンはファッションに関して無頓着な人が多いけど、こういう人がいるのはやっぱりいいよね。歌う姿もステキー。
肝心の演奏に関して。音質は全体的にダブダブ気味で、特にBassの割れた音は辛かった。勢い一発のパフォーマンス。
感想はこちらビールを買おうとすると「IDを見せてください」と言われた。え、昨日は平気だったのに。パスポートを提出すると、納得して売ってくれた。でもID提出を求められていたのは我らだけだった。一体何歳に見られているのか問いただしたい気分だ。
中庭のベンチに座って昼食。北欧方面とおぼしき数人が上半身裸で日光浴をしている。太陽が少しでも顔を出すと浴びずにはおられないようだ。ちょっとだけ立ち読みした「スウェーデン人のまっかなホント」という本には、彼らはひ弱そうな真っ白い肌にコンプレックスを持っているので、少しでも肌を焼きたがっている、とあった。もしかしてストックホルムには日焼けサロンとかあるんだろうか?会場の前では去年のGGコンベンションに出席したであろう人々が記念写真大会をしていた。無邪気すぎる(^_^;)。
まだ時間があったので、ロビーの2階に続く階段でまったりしていると、ひときわ派手な衣装の人物が関係者口から出てくるのを見た。Gianniさんだ。さっき写真を撮り損ねたので、ファンと談笑している姿を秘かに撮らせて貰う。お腹に子供一人分くらいの脂肪を付けてる人達の中ではとても眩しいわ。うふ。
(4)Par Lindh Project L to R |
Nexusに負けず劣らずハッタリ臭く始まる。メタル?メタルじゃないの?Burrn!!読者に「様式美系プログレメタル」と銘打って紹介したら結構受けそうだ。1曲目からスタンディングオベイションが巻き起こる。え〜。なんでEcholynはメタルっぽくて不評なのにPar Lindhはいいのだぁ?彼らだって元々は素朴なシンフォニックを奏でていたはずなのに・・・。
しかし全体的にリズム感が悪く、特ににDr.が走り気味(汗)。2曲目から出てきたMagdalenaが八面六臂の活躍でステージに花を添えていた。
ちなみにG.とB.を担当していたKopecky兄弟はアメリカ人。自身のバンドをやっていて、今年のProg Dayに出演する予定。
(しぶ:)メロトロン持ってこなかったのは残念だね。このPar Lindhおじさんもハッタリ臭かったなぁ。ライブはスタジオ盤以上にバタ臭かった。野暮ったいです。"Green Meadow Lands"は女性Vo.でイイ感じでした。
(もも:)Par Lindhは読みましたね、「アメリカはおねーちゃん受けが良い」と(笑)。Par Lindhは意外に目立たなかったです。Dr.のほうがよっぽど目立ってた。Par Lindhはアレンジャーとしては悪くないと思うんだけど、そんなにKey巧いとも思えなかったなぁ。ロックをやってる割にノリがロックじゃないのかもしれない。グルーヴっていうのかな、それが全然感じられない。
Dinner Timeに入る。あぁ、次のTransatlanticでこのフェスティバルが終わってしまうんだ。寂しいなぁ。空模様もまた怪しくなってきた。昨日のインドカリー屋の近くにイタリアン・ピザの店があり、そこで食べるつもりだったが店は開いていない。日曜日のせいか、開いてる店が昨日より少ないようだ。さっさと食べるところを見つけないと。
通りを渡ってファーストフード風のピザ屋に入る。早くも満員気味。注文の前にピザの大きさがどれくらいか調べると、やっぱりでかい。16inchの8分の1切れなのだが、日本の冷凍ピザ一枚分は裕にあるだろう。ピザは止めてスパゲティにしよう。コーラとホワイト・クラム(ボンゴレ・ビアンコみたいなもの)を頼む。注文カウンターがある部屋は早くも満席。隣の広い部屋は灯りがついてないし、お客さんは3人くらいしか座ってないし、う〜んいいや。座ってしまえ。よくよく見るとこの暗い部屋は禁煙席らしい。誰かが気を利かせてくれて灯りをつけてくれた。こんなに客が来ることを予想していなかったようで、3人しかいない厨房はフル回転。注文したスパゲティはなかなか来ない。・・・ずいぶん前から来ていた隣の男性二人組のピザができあがったようだ。うわぉ、なんだあの大きさ!子供用の自転車の車輪くらいあるぞ。全部食べるのか・・・・・やっぱり何か間違えている・・・。
20分近く待ってやっと我らの分ができあがったようだ。そしてやっぱり量が多かった。(日本人の平均摂取量との比:1.5倍)ホワイト・クラムは想像していたものと違い、にんにくと同じくらいにみじん切りにされやたら塩っぽい。逆にパスタは茹ですぎの上味気がない。お腹がすいていたももはなんとか完食できたが、しぶはグロッキー気味。ももの胃はアメリカンになってきたか。ううう、この食事も今日でおわりだぁ。開演まで30分以上時間があったが、会場に戻った。お腹がふくれてやたら眠い。いかん、我らは何を見に来たのか?Transatlanticではないか。わかっていても瞼が重い。考えてみるとアメリカに来てから毎日の睡眠時間は4時間くらいしか取れてない。そりゃ眠いよ・・・。しぶは二階ロビーのソファーで寝っ転がってしまった。寝るのはいいが横になっちゃまずいよ、と叩き起こす。
Transatlanticのリハーサルが押しているようで、なかなか会場のドアが開かない。時間つぶしに別室CD売り場へ行ってみたが、すでに店じまいが始まっていた。スウェーデンから来ていたRecord Heavenはもう梱包に入っていた。いよいよプログレの祭典も終わりの空気・・・。
予定より20分ほど押してようやく会場の扉が開いた。いよいよフィナーレへ。
登場しただけで拍手喝采。フラワーパワーおじさんはグルグル回って大喜びだ。よく使われる大げさなタタキだけど、今世紀最後の奇跡と言って怒る人は居ないだろう。しかし機材のトラブルに悩まされる。強烈なハウリング。Neal Morseのインカムマイクが壊れ、急遽スタンドマイクを用意。それでも演奏が疎かにならないところが流石。4人ともVo.が取れるのですかさずフォローが入る。ポーさんの親バカ炸裂。奥ゆかしいRoine。知らないうちに大活躍してたPete。Happy The Manがいぶし銀のオーラをまとっていたとすれば、Transatlanticは極彩色のオーラを放っていた。
ももが前の方に写真を取りに行っている間、いつの間にかGianniさんがしぶの右隣の席に座っていた。握手したという。うう、ずるい・・・。彼とイタリア人グループは途中で退席してしまったが、D.F.A.のメンバーの一人が別れの挨拶してくれた。律儀。惚れるね。Deus Ex Machinaに見習って欲しいぞ!
感想はこちら「来年もここでやります、また会いましょう!」主催者の閉会の挨拶があって、計3日間に渡るNEARfestは幕を下ろした。
初めての海外のフェス形式ライブ、と言うことで、はじめは不安だらけで臨んだ。しかし屋内ということで天候に左右されず、ゆったり観ることができて疲れはあまり感じなかった。観客のマナーは日本と比べるのは難しい。休憩中のマナーはとてもよく、「良いじゃん、オレ吸いたいんだから」と屋内でたばこを吸うバカ野郎は一人も居なかった。酔っぱらって陽気にはなってもバカ騒ぎするオヤジもいない。演奏中にトイレや喫煙のために座席を立つのは多分、アメリカでは常識なのだろう。日本の椅子の小さいすし詰め会場と違い、通路や座席スペースはかなり広めに取ってあるので、前に人が通ってもそれほど苦痛ではなかった。目の前を人が通るのがムカツク人にとってはかなりムカツク雰囲気だったとは思う。観客の態度はとても率直で、良いと思えば1曲目から立ち上がって拍手をするし、それなりならそれなりな拍手をする。全体的には出演者にとても寛大だったと思う。
良い話一つ。バンドの開演・終演の度に私たちの前を通るコアな感じのお兄さんが、Transatlanticの開演時に「何度も前を通って申し訳ない」と言ってくれたこと。紳士〜。全然気にしてないよ。警戒していた「Thunderstorm」は夜になってもやってこなかった。アメリカの天気予報は信じないことにする。例によって道に迷いながら(^_^;)ホテルに着いたのは午前0時過ぎ。明日の朝は早いから荷物を今のうちに纏めておこう。量が多くてウンザリしていた大味の食事さえちょっと名残惜しい。
(*1)よくよく見ると「Megalife」「Prayer 」と書かれている。・・・イカす。うますぎる。:
Megadeth->Megalifeはご覧の通り反対語。PrayerはSlayerのパロディ。悪魔の餌食は敬虔な信仰者なのだ。
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