昨日に引き続き「Thunderstorm注意報」が流れている。夜になるほど荒れるらしい。本当かなぁ。一応傘は準備しておこう。それでもDorney Parkには怒濤のお客が詰めかけている。
今日から2日間がNEARfestである。1日5バンドずつ登場するので、始まる時間も早い。「日本のインディーズのライブだって5バンドぐらい出るぞ。なんで?」と思う人もいるだろう。余裕の国はライブも余裕を持って挑むのだ。11時から公演が始まり、1バンドが終わるごとに45分の(機材の入れ替え)休憩が入る。トリのバンドが出る前には2時間のDinner Timeまで用意されている。素晴らしい。
昨日は迷って迷ってたどり着いた会場だったので、やはり2時間の余裕を持ってホテルを出た。Hamilton.St.辺りはかなり馴れてきて風景を楽しむゆとりも出てきた。川が多く大変緑が美しい。いい場所なんだな。問題はLehigh University周辺だ。大通りから目的の路地に入るタイミングがまだよく分からない。夜に雨が降ったら更に道が分からなくなるだろう。昨日の夜は地図を確認しながら道案内をするのが難しく、ペンライトの必要性を感じた。どこか電気屋があったら忘れずに寄っていこう。(ついでにMDも売ってたらいいなぁ・・・値段次第だけど)。
ももは今日も混乱に陥った。一度予想しない方向へ行かれてしまうとパニック(汗)。迷ってしまったが会場のZoellner Arts Centerには開演の1時間前には到着することができ安心。会場の隣のパーキングビルに車を止めて、昼や夜に食事をする場所を下見することにした。この週末、Bethlehemでは2つのイベントが行われていた。1つはこのNEARfest、もう一つはNASCAR raceなるカーイベントだ。会場の近くのガススタンド前を、南部旗をボンネットに張った自動車が凄い音を立てガンガンHipHopを鳴らしながら通過していった。彼らがアウトドア派なら我らはインドア派だろう。青白い顔をして、一日中踊るでもなく音楽を聴きCDを漁るなど、やはり変わった人種だ。
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そのガススタンドで我らは簡易ライトと飲料水を買って会場へ戻った。MDは結局見つからず。チケットに「録音お断り」と書かれているのだ。悪いことはできないね。 Still Cameras Are Permitted: 写真はOKなのだ |
まだしぶもも二人揃った写真を撮っていなかったので、会場に入口に立っていた白髪のおじさんを捕まえ、写真を撮ってもらった。我らを日本人と認め、「日本の有名なプログレバンドを教えてくれないか」と尋ねてきた。よくよく話を聞くと、彼は「HEY! HEY! HEY!」などの日本の歌番組を見たことがあるのだが、ポップスしか流れないのでプログレはどんなバンドが居るのか分からない、そうだ。そりゃそうだ。Music StationにGerardとか出たら大事件だもんな、と思いつつ、バンド名を紙に書いて紹介してみた。今度の9月に行われるProgfestに登場するKensoはまずマスト。最近活動していないがProvidenceも渋谷家としてははずせない。他に我らが思いつくのはシンフォ系よりアヴァンギャルド系が多くて、Happy Family、Bondage Furit、マリア観音。マリア観音はどうかな(^_^;)。あ、Mr.Siriusは是非教えておくべきだった。とっさになると名前が浮かんでこないものだ。個人的にはMarge Litchなんて勧めてみたかった。
会場のロビーには出演バンドのCDやマーチャンダイズの他に、コーヒーや紅茶、ベーグル、デニッシュなど販売されていた。ブラボー\(^_^)/。昼食を食べる時間は特に設けられていないので、ここで買えばかなりの時間の節約になるだろう。今日もみんなのTシャツからは濃いプログレ臭がにじんでいる。今日出演するIluvatarやAnekdoten、Happy The ManのTシャツが多い中、一番着られているのはYesである。昨日大活躍の(^_^;)フラワーパワーおじさんはIluvatarの「Sideshow」のジャケの絵柄Tシャツだ。意外にGenesisやPink Floydは少ない。今日のしぶのファッションはAnglagardの亡霊のようなプリントTシャツ。ももはRushの「Counterparts」ツアーのパーカー。負けないわよ。
テーブルに置かれているフリーペーパーを適当に貰う。「Music News Network」には、投書欄に知り合い(日本人)の名前を見つけ、世間は狭いと思う。主催者二人の挨拶。昨日Echolynが終わった後にしぶに話しかけていた人物は主催者の一人、Chad Hutchinson氏らしい。それなら日本からの参加者が気になるよね。
(1)North Star:
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Kevin Leonardと知人がメル友(^_^; ?と知り驚いた。結成は1976年とかなり古いバンドだが、のんびりとした活動をしている。
Tuned Percussionってよくわからなかっったが、Neil Peartみたくセットが回ったりしたんだろうか?(それはturnだ)
Vo.の動きがかなり変だ。両手を持ち上げつま先で小刻みに歩いたり、なにか両手で掲げたときの足がガニ股でなんとも決まらなかったり。楽器の持ち替えも頻繁。70年代の大物バンドの美味しいところは全部真似したい感じ?しかし「プログレ大好き」という気持ちはとってもよく分かった。
(しぶ:)昔聴いたら良かったと思うんですが、もうこの辺聴かなくて。B級シンフォニックです。音はGenesisとYesの中間のような感じ。悪いけど、まだアマチュア臭さがあります。久々の復活だし、程々に頑張って、傑作を出したら買おうかと思います。
(もも:)楽器の持ち替えが多かったです。GG意識してるのでしょうか?音的にはGGと全然関係ない音でした。1曲Disciprine期King Crimson風のインプロをやろうとして失敗してました。それがなかったらもうちょっと好印象だったかも。うーん、頑張ってください。
40分ほどで第一セットを終了。みんな素早く席を立ち、外へ流れていく。空調がきつく、とても寒かったので我らも退場。喫煙コーナーさえ建物の中にはないので、喫煙者はすべて外でたばこを吸っている。おかげで快適。他の人は何をしているかというと、ジュースやビールを飲んでいたり、マーチャンを見回ったり。別室2つが用意され、その中には各国から集まったプログレCD屋が並んでいた。体の大きいアメリカ人が背中を丸めてチマチマとCDを探す姿はなんとも笑える。腹の脂肪が邪魔そう。雰囲気としてはコミックマーケットにとても似ている。手作り感覚のグッズに熱いマニアの熱気。プログレファンの最終ステージといえよう。
(2)D.F.A.: Alberto Bonomi-Keyboards,Vocals Luca Buldassari-Bass Alberto De Grandis-Drums,Vocals Silvio Minella-Guitar Setlist: Escher Caleidoscopio Trip on Metro La Via Pantera Ragno (The Spider) Esperanto |
L to R:Silvio Minella,Luca Buldassari,Alberto De Grandis,Alberto Bonomi |
イタリアのフュージョンバンド。アメリカでの演奏は今回が初めてだという。演奏レベルはA級。器用すぎてもう少しイタリアらしい熱さが欲しい。しかし最後になんとIl Balletto Di BronzoのGianni Leoneが凄いエスニック調のコスチュームで飛び入り参加!歌が入ると途端にイタリア臭くなる。こうじゃなくちゃ。明日のイルバレは違う意味で期待が高まる。
(しぶ:)うまいです。思うに、トリのHappy The Manを除けば、本日(6/17)出た中で一番テクニカルでした。Djam Karetに近い感じで、GGぽいところもある。1曲目は"Escher"でした。
上手いんだけど、もっとVo.欲しい。まさかDr.が専任Vo.やるわけにはいかないですね。フェスティバルの中での演奏としてはちょっとクールすぎる感じでした。もう少し盛り上がる曲でガンガンいった方が良かった。で、Vo.がはいるとイタリア臭くなってよろしいと(笑)。
最後に"Esperanto"でGianniさんが飛び入り参加してるんだけど、本来はDeus Ex MachinaのVo.(Alberto Piras)が入るところです。ライブの方がいいです。CDはちょっと落ち着いて聞こえます。
Gianniさんはゲスト参加でもいいからこういう歌唄って欲しいな。エキゾティックでイイ感じ。1stか2ndかといえば、1stの方が好きなのでD.F.A.にはこういう曲をもっとやってもらいたい。2ndは落ち着きすぎ。
(もも:)スキンヘッド率が高いです(笑)。Keyは4台使っていました。メーカー不明。
巧かったです。巧いんだけど、もうちょっとイタリアらしいはじけてる感じを欲してしまいます。Dr.のVo.が入るとほのぼのしていてイイ感じだった。シンバル使いが巧みなDr.でした。
でもあんまりやり過ぎちゃうとDeusと被る部分が多くなってしまうかな。(Deusの方が)もっとうっとうしいけど。こっちは大人って感じで人格の差が出てしまいますね。(笑)
D.F.A.は今回アメリカで初めての公演。今回の観客のなかでどれだけの人が聴いてたのか分かりませんが、たしかライブ終わったあとは2ndはもう売り切れてました。だから良いお披露目になったと思います。
Gianniさんが最後においしいところを全部持って行ってしまいました。ちゃっかり「明日イルバレの曲やるから来いよ」と言ってましたが、イタリアのチームの中では最年長ということで(笑)。
D.F.A.の演奏はかなり好評を博し、演奏が終わった後、D.F.A.のCD目当ての客が彼らのブースに並んでいた。小学生くらいの男の子がD.F.A.のCDを早速自分のCDプレイヤーに乗せて聴いていたのはビックリした。両親からの洗脳完了したんだな。かわいそうに(?)。しぶももは別室のCD売り場を眺めてみたが、やはりCDの品揃えは日本が一番だと思った。面白い売り場としては、GGおじさんやGenesis,Jethro Tullのアルバムカヴァーをモチーフにしたマグカップやデキャンタ、プレートを販売していたところだろう。権利はどうなっているんだろう、恐るべし。呆然と見ているとBill Gates似のおじさんに「コンニチハ。日本の方ですか?」と流暢な日本語で話しかけられてしまった。日本までCDを買い付けに来る業者に違いない。根拠はないけど。
我らの席は通路に面していて、他の内側の人が座ってくれないとなかなか落ち着けない。座面をたてて座り、おしゃべりしていると、「日本から来た方ですか?」と今度はネイティヴな日本語で話しかけられた。昨日噂にあがったU田夫妻だった。しぶがDisk Unionの鞄を持っていたので分かったそうだ。昨日のEcholynは良かった、という話をする。ところが地元のファンには「メタル色が強くて不評だったらしい」と聞いて驚く。あんなにテンションが高い演奏で不満を持つなんて、理解できないぞ!U田氏が見たことがないGGのTシャツを着ていたのでももは「凄いTシャツを着てますね」と尋ねた。なんでも去年GGの世界規模のコンベンションがアメリカで開催され、そのとき作ったものらしい。ん?どこかで似た話を聞いた気が・・・。次の開演時間が迫ってきたのでひとまず会話は中断された。
(3)Iluvatar: L to R |
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個人的にどう評価したらいいか困ったバンド。Vo.の歌は良いと思うが、半端な動きが気に入らない。North Starや白塗りで登場するDisciplineのVo.位の思い切りが欲しい。ベースの音が最悪だった。しぶは寝ていた。
(しぶ:)Priamに次ぐワースト2位だと思います。悪くないけど、オレは聴かないよって感じ。ももは素人目にも分かるGenesisタイプと言ってますが、オレはどちらかというとMallirionタイプとさせてもらいたい。HRとも言えるかもしれない、プログレハード。Vo.はJon Andersonを意識してる。
でも結構周りにTシャツ来てた人居たし、人気あるようです。服装は、一般のファンがステージに立ったみたいな感じでちょっと止めて欲しいです。1stの"Eagle"って曲を演って欲しかったんですが、それをやってないというのが敗因です(笑)。けなしてるけど、そんなに悪くありませんでした。
(もも:)私が最初から聴かないタイプなので(汗)。好きな人はとっても好きなんだろうな。
Vo.は悪くないんです。ちゃんと歌える人なんですがタンバリンが下手なんです。酔った勢いでやるような、頭にネクタイ巻いてるような感じのあの半端なパフォーマンスはダメです。
ギターとベースがボーボーしててそれが辛かったです。スタジオ盤のようにKey.が全面に出てなかったです。音のバランスが悪かったですね。
そろそろお腹がすいてきた。お昼用に、朝よりお腹にたまるようなものに品揃えが変わっていた。パニーニなんてある、あれにしよう、と思ったら目の前で完売。しかたなくしぶはタコス巻きみたいな物を、ももはスターバックスクッキーとビールを購入。幸い雨はまだ降っていないようなので、外で食べることにした。綺麗に手入れされた芝生の中庭。ベンチに座って、ふー。冷房で冷え切った体が甦る。3バンド観たのにあまり疲れを感じない。とても快適なスケジュールだ。日本ではこんな余裕のイベントはやる気はあっても、お金を出してくれる人が居ないだろうなぁ。アメリカにネガティブな印象しか持っていなかったが、生活や趣味のレベルでは見習うべきところがあると認識。でも食べ物は日本の方が好き。日本から持ってきたトマトプリッツが美味しいよう。
トイレにも行きたくなったので会場に戻る。D.F.A.のブースが暇そうにしていたので、一緒に写真を撮って貰う。しぶとバンドのメンバーで撮ろうとしていたら、近くにいた女性が「私が撮ってあげるわ」と言ってくれた。ももも加わり、なんか馴染んでます(^_^;)。記念写真はこちら
このバンドは来日公演を見ているので、どのようなステージか想像できる。日本公演では緊張のあまり手が震えていたNicklas Bergも相変わらずやわそうだった。しかしパフォーマンスは日本公演より格段に進歩していて、ダイナミックな演奏が見事だった。貫禄さえ感じられる。残念なのはCelloの音がやはり聞こえにくいこと。曲によってはミュートをつけたトランペットのような音だった。
Anekdotenの演奏が始まって程なく、MastermindのBill Berendsが入ってきた。去年は彼もこのフェスティバルに出ていた一人だ。
感想はこちら
予定より30分ほど押して18:45にDinner Timeとなった。今朝、街を散策した時にインドカリーの店を発見したのでそこに決めた。意外と混んでいる。メニューは勿論英語なのでよく分からないが、とりあえずチキンカリーとマトンカリー、ライスが付いてないようなのでナンを頼む。突き出し(?)にタコスのようなモノとディップが出てくる。タマネギのパプリカ風味が美味しい。そういえばアメリカに来てカレー屋って初めて見たし、タマネギをダイレクトに出されたのも初めてかもしれない。動脈硬化に良いのに。
ポリポリとタコスを食べていると、偶然U田夫妻と友人達のグループが隣のテーブルに来た。何かの縁なのかしら。テーブルをくっつけて、自己紹介。ワインをおごって貰い(えへ)、去年のNEARfest 1999に登場したSolarisの話で盛り上がる。「今日の演奏でいいのはD.F.A.だね」という意見で一致。
先ほど気になっていたGGコンベンションの話には驚愕。1999年の12月末に来日したPestというオーストリアのバンドの打ち上げに参加させてもらったとき、私の隣に座っていたビジネスマン風の人が「GGのコンベンションがアメリカであって、云々」という話をしていたのだが、その人こそU田氏だったのだ。なんたる偶然!なんたる狭い業界(笑)!U田氏が友人達にそのことを英語で説明した際、"small world"という言葉を使う。正に。
我らのテーブルの方にカリーがやって来た。うーむ、また失敗か・・・。ライスが付いていないかと思ったら、やっぱり付いてきた。ナンはとりあえず食べ、あとはライスの消費に精を出す。アメリカ風料理で特徴的なのは、ソースにしてもスープにしても、具だくさんで、特に肉の量が日本の倍近くは入っているんじゃないだろうか。日本で食べるチキンカリーなんて、肉が5,6個浮いてればいい方。こちらはカリーソースよりあくまで具がメインだ(煮込み料理という意味を考えると、本来はそういう食べ物だと思う)。
我らの方が早く食べ終わったので、一足先に店を出ることにした。他のテーブルを見るとライスが半分くらい残されている。なんだ、残して良いのか。外に出ると8時近いというのにまだ夕方の明るさ。会場の入口ではMastermindのBillさんがファンと一緒に写真を撮られていた。しぶも撮りたがっていたので撮影させてもらった。マブダチのよう(^_^;;)。記念写真はこちら
Stan Whitakerはなんか変な人。Dave Rosenthalのソロタイム中、クラシカルなフレーズの部分で、バレエのステップらしきモノを踊りながらDaveの後ろを通り過ぎていった。MCも変だったらしい。Daveの動きと衣装にHRの名残があり(笑)、体操をしているような動きだ。
本当にこれ、演奏してるんだなぁ。お腹が一杯になった後の心地よいサウンドにまどろむ。
感想はこちら
予定を大幅に越えて、日付が変わる頃に初日は終了。こういうときはやはり車は便利。しかしパーキングビルからなかなか脱出できなくて困った。明日はちゃんとバックで車庫入れして素早く出るようにしなければ。帰りにまたまた迷いつつ、何とかホテルまでたどり着いた。やはりライトを買っておいて正解だった。地図を見るだけでなく、St.表示が見えないときに照らすこともできた。気にしていた天気だったが、小雨程度は降っても「Thunderstorm」ほど大荒れにはならず、夜にはすっかり雨はあがっていた。アメリカの天気予報ってあまり当たらないらしい。ホテルの駐車場に車を止め、部屋に戻ろうとした時、ももは駐車ランプ(三角形のマークのアレです)の横の赤ランプが点滅していることに気が付いた。何かおかしなことをしたのかな?エンジンの止め方とかドアのロックなどあらゆることを確かめたが、ランプは消えてくれない。ひとまず部屋に戻り、説明書を読もうと英和辞典を引いたが、簡単な中学生用の辞書なので、いきなり掲載されていない単語ばかり(T_T)。もう一度、しぶはとりあえず試してくると一人で部屋を後にした。
30分近く経ってもらちが明かず、ホテルの人に訊いてみたらしい。どうやら盗難防止のシステムの関係で点灯するらしく、しばらくしたら消えるはずだ、とのこと。放っておけば良かったんだ。なんだよぅ。貴重な睡眠時間が訳の分からないシステムで削られてしまった。
天気は無事でも、しぶの心は晴れない。Happy The ManやAnekdotenの素晴らしい演奏を聴き、MD故障が悔やまれた。メカについていないしぶである。
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