くむーる&ぬむるす聖地旅行記



(6日目・最終日)
6月19日
曇り

地下鉄入口

数少ない記念写真。PhiladelphiaのSuburban駅前。

 朝の5時半起床。帰りのフライトは9時と早いうえに、レンタカーの燃料を満タンにして返さなければいけないので、かなりの余裕を持った。この時間ではホテルの朝食も始まっていない。空港に着いたら食べることにしよう。身支度をして6時にチェックアウト。なかなか快適なホテルだった。

 時間のせいか走っている車も少ない。快調に空港へ飛ばしていく。「Airport Road」の表示が見え始めたあたりのガススタンドに適当に入ってみた。ももはガソリンスタンドのバイトを3ヶ月だけやったことがあるが、海外のセルフサービスでガソリンを入れるのは初めて。説明書に書いてあるとおりクレジットカードを入れ、メニューを選びハンドルを持ってトリガーを引くと・・・出ないじゃん。何度も最初からやってみても「コォー」っと音がするだけでガソリンが出てこない。どうしよう、と思っていると、ショップから店員が出てきて、何も言わずハンドルが引っかかっていた部分のレバーを下げた。途端、ガソリンが出てきた。よくよく読めば書いてあったのだが、気が付かないよそんなところ(汗)。ようやく燃料を満タンにして再び空港へ向かう。
 空港に入る間際、大きな道路と交差する辺りで最後の混乱を招き(^_^;;;)、なんとか無事に空港のレンタカーの返却場所まで到着。すでにHertzの係員が待っていた。勤勉じゃない。走行距離などの書き込み方を教えてもらう。OKを貰い、カウンターの方へ提出。支払方法の最終確認をとって終了した。あとはもう飛行機の時間を待つだけとなった。

 Leihigh Valley Airportでも食事をする店は早くから開いている。カフェに入り"Open Eye Set"なるものを注文。スクランブルエッグを挟んだパンとコーヒー。(もう一つ"Wake Up Set"というのもあって、そちらはハムも入っている)字面だと少なく感じるだろうが、パンが大きいのと、胃の疲れのおかげでこれで十分な量なのだ。
 フライトのチェック・インをしてくれたUAのカウンターはとても親切。荷物を預けたりする際に色々質問を受けるのだが、英語が話せない日本人と分かると、日本語(兼中国語兼韓国語)で制作した質問シートを用意してくれた。ナイース。荷物を預ける手続きが終わり、担当のおばさんが「コンニチワ」と言ってきた。え???おばさんは「Thank You」の意味で覚えていたらしい。しぶが「Thank You は『ありがとう』というんですよ」と教えると早速使ってくれた。気さくな人だ。その後はおみやげを買おうとショップに入った。親にはTシャツを買うつもりだったのだが、サイズがLかXLしかない。それではパジャマにしか着れない。とりあえず父親用にPennsylvaniaと書かれた地味目のキャップを買う。他にはこれといって特産がない土地なので、Chicagoに行ってから買うことにした。
 早めにボーディングゲートの方に行くと、もう一つショップがあって、こちらでは種類は少なかったがMidiumサイズのTシャツが売られていた。Allentownと書かれた地味目のものを母親用に買う。土産物屋は投げやりでも食事のスペースはしっかり取ってある。こちらでもカフェは大盛況だ。飛行機の中ではきっとしっかり朝食が出るんだろう。地元の大学の飛行機部隊の展示品を眺めつつボーっとしている間に9時をまわり、飛行機に乗り込んだ。さようなら、新緑のAllentown。多分もう来ること無いんだろうな。

 行きのフライトでは雲が厚くて殆ど下を見ることができなかったが、帰りは時々雲が下を流れる程度で、下をよく眺めることができた。といっても、進んでも進んでも平らな大地、碁盤目状の道路、わざと曲線に刈られた畑や芝生がアクセントを添える。ところところに林が散在する。Chicagoなど大都市に近づくにつれ緑の面積が減っていく。もし大昔。これらの林が一つの森だったら・・・大変な乱伐をしてきたことになるんだ・・・。視界の上の方に起伏が出てきたので「山かな?丘かな?」と思ったら、湖の湖岸線だった。行きには丁度上空を飛んでいたErie湖だ。大きさは地図で見てみると九州が入るくらいの大きさがありそうだ。一応対岸は見えるものの、その光景は海に近い。
 Erie湖を越えたMichigan湖(ミシガン湖)のほとりに煌びやかなスカイスクレイパーが輝く。Chicagoを上空から観るのは初めて。誰かが「東京を空から観ていると墓石が並んでいるようだ」と言っていたが、Chicagoでもその印象は変わらない。人種が違うから墓の形も違うだけだ。システムの大地。Michigan湖の蒼さがその冷たさを和らげてくれる。

 空港に着き、行きと同じ手順を踏むものと思って、荷物を引き上げにターミナル間を移動した。地下道の天井や壁がレインボーカラーに彩られ、とてもポップだった。Baggage Claimで荷物が流れてくるのを待っていると、見覚えのある女性が声を掛けてきた。D.F.A.と写真を撮ってくれた女性だ。名前はChristine。

 彼女の方は嬉しそうにPorcupine Treeの怪しい仏像ジャケットのLPを「未開封だったのよ」と満足げに見せてくれた。そして「Chicagoには滞在するの?時間ある?」と訊いてきたので「いいえ、これから日本に帰るんです」と答えたら少し怪訝そうな顔をされた。かみ合わない会話の後、「9月のProgfestには来るか」とか「来年もNEARfestに来るか」など訊かれる。そんなに来れません(^_^;)。こんなに話しかけられるのも縁だと思いメールアドレスを渡したら、彼女の方は「Music News Network (*1)の方に私のアドレスが載っているわ」と教えてくれた。確認するためにペーパーを出して差し出すと「これよ」と指を指す。おお、編集長だったのか。彼女の荷物がコンベアに乗ってきたので最後に「Chicagoに来たときはうちに遊びに来てね」と親切な言葉をいただき、握手を交わし別れた。

(右)そのMusic News Network 現物。
詳しくはページの下を見てください。

 我らの荷物がなかなか来ないので係員に「この札の荷物は来ないのか?」と訊くと、荷物はダイレクトに東京便に運ばれ、別に我らは取りに来なくて良かったらしい。Christineが「Chicagoには滞在するの?」と訊いてきたり、怪訝そうな顔をしたのはこのことだったのか。我らには聞き取れなかったが、荷物を取らず直接ゲートに行っていいことを説明してくれていたのか。再び申し訳ない・・・・(T_T)。

 再びレインボー地下道を通り、先ほど降りたゲートの付近まで戻ってきた。兄のために野球関連のグッズを買おうと思ったのだが、どちらかというとバスケの勢力が強いようだ(スポーツに無関心)。カフェの規模や数に比べ、Duty Free Shopはキオスクみたく小さく、チョコやクッキー、お酒などが売られていた。それでは面白くないなぁ、と思いつつ別の店でM&Mチョコとアメリカ製ポケモントレーディングカードを買ってみる。こんなので良かったですか?そろそろボーディングの時間だ。

 今度のフライトは初めての真ん中4列。私たちの席はその中2列。しかし両端にはカップルとおぼしき韓国人二人が離れて座っていた。席を変えたほうがいいのかな。そう考えていると男性の方が英語で「席を変えてくれませんか?」と言っていきてくれた。それはもう、どうぞどうぞ。彼女の方が真ん中に移動し、我らが空いた2席に座った。変な手配だね。前回のヨーロッパ旅行でもそんな座席だったなぁ。韓国人女性は食事中とトイレに立つ間以外はずっとクロスステッチの刺繍を刺し続けていた。凄い集中力だ。
 我らの3,4列前の方に同じような髪型(ほぼ刈り上げて、頭頂の部分だけ若干長めに残してある、ウド鈴木をもっと真面目にしたような感じ)をした大男の集団が居た。トイレ移動がほぼ一緒なのが面白くて、髪の印象から勝手に「キウイ軍団」と名付けた。
 係員から誰かへの呼び出しが掛かった。しばらくすると呼び出された客は降機することになり、その荷物を荷物室から探す作業に入ったという。それで1時間近く待たされた。それから空港の滑走路のスケジュールの都合でまた30分の遅れ。最後までスムーズにいかない旅である。

 フライトの間は殆ど寝ていた。行きと違うのは食事の量で、一食が日本人に合わせたくらいに減量されていた。それでも回数が多いので十分満腹になったが、外人男性達には足りなかったようだ。あっという間に食事が終わっていた。クーラーの冷えもなく、飛んでしまってからは快調である。
 12時間のフライトを終えて成田に到着。もう20日の夕方4時近くになっていた。バスに乗って到着口へ行き、手荷物を待っているとキウイ軍団のでっかいカーキー色のバッグがドスドスと落ちてくる。あー、軍人だったんだ。キウイとは失礼なことを(^_^;)。しばらくして我らの荷物が出てきた。ピックアップして、さぁ、帰るぞ!
 前回と同様、松戸駅行きの京成バスで帰ることにした。いつの間に千葉ニュータウンと柏に寄るようになっていた。柏駅で降りることにしよう。しかし5時20分まで便がない。食店街にあがってビールを飲んでまったりする。疲れの上にアルコールだから頭がグルグル。よく眠れそうだ。

 そろそろバスの時間、とバス停に行く。すぐに日本の嫌なところに遭遇。お願いだから喫煙コーナーで煙草吸ってよ、おばさん。吸い殻は吸い殻入れだよ、おじさん。それ以前に順番に並んでよ・・・。幸い、その一段は我らとは別のバスで行ってしまった。良かった。

 ニュースで見るアメリカはやっぱり好きになれないが、一般人のマナーは断然良いと思う。今回のフェスも「プログレマニアの祭典」と書けば、なんだか暗くてうっとおしい感じもするが、実際はフレンドリーで陽気な人が多かった。趣味が合えばバンド名だけで会話ができる(^_^;)。そんな世界を越えた目に見えない繋がりを感じられた、とても有意義な5日間だった。

 柏駅に着いて、夕食としてそばを食べたことはいうまでもない。

■・・・お疲れさまでした・・・■

消火栓


(*1)Music News Network:
 月刊で発行されているらしいProgressive Rock Newsletter。ライブスケジュールやアルバム発売などのニュース、ミュージシャンのインタビューなど、少ないページながら丁寧に作られてます。年間購読も受け付けています。問い合わせ先は以下:
http://www.musicnewsnetwork.net/




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