MEMORIES OF 1989 |
【イントロ】 個人HPを立ち上げて早10年が経った。今は余り更新することが無くなってしまったし、今となっては分かりきった情報、嘘情報(笑)も少々あるが、他で見つからない情報が少々存在するので、個人的にもこのHPは便利に使っている。10周年を記念して?1999年について書こうとしたのだが、ぱっと思いつく物がなかった。そこで、その更に10年前、すなわち20年前の音楽シーン、というかHR/HM/Prog.シーンに個人的にどう付き合っていたか記憶の限り書いてみたいと思う。 |
話題に出たアルバム(byしぶ)
BLUE MURDER / same (Warner-Pioneer 22P2 2665)
Whitesnakeを脱退したJohn Sykes、400本以上のVo.オーディションのデモ・テープを聴くも期待外れの結果で結局サイクシー自身が歌うことに。皆が一抹の不安を抱える中、届けられた作品は、ファンが耳を疑うほど予想以上に良い声で驚く。結果、楽曲の良さも相俟って傑作と言われる作品となった。DREAM THEATER / When Dream and Day Unite (Warner-Pioneer 22P2-2629)
私が初めて買ったCD。人生を狂わせてしまった作品の一つ。でもその後のVo.脱退、レーベルの問題等々活動休止に近い状態。2ndがリリースされることは無いだろうなぁ、なんて思っていたのも事実。W.A.S.P. / The Headless Children (東芝EMI CP32 5696)
個人的にはW.A.S.P.の最高傑作はコレ。キワモノ的なデビューを乗り越え?真っ向勝負に出た意欲が満ち溢れた異様にレベルの高い作品。'70s HRの良き理解者でありマニアなBlackie Lawlessの本性ここに極まる。"Forever Free"に感動。ゲストのFrankie Banali、Ken Hensleyも良い仕事してまっせ。MR.BIG / same (Warner-Pioneer 22P2-2789)
'09再結成がこんなに盛り上がるとは思わなかったMr. Bigの'89デビュー作。1曲目の"Addicted To That Rush"インパクトがあったが、実はLiveではあまりやらなかった"Had Enough"って日本で人気があったと記憶している。Bon Joviで言うところの"She Don't Know Me"みたいなものか?
BLUE MURDER / sameIT BITES / Eat Me in St. Louis
(Virgin VJD-32213 : 日本盤)
(Virgin CDVX2591 : イギリス盤)
(Geffen 9 24261-2 : アメリカ盤)
まさかの再結成を果たしたIt Bites、解散前の最高傑作「Eat Me in St. Louis」の3つのフォーマット、この際だから整理してみよう。
日本盤とイギリス盤は曲順が異なり日本盤には"Vampires"を収録、一方イギリス盤には3曲のシングルCD付の2枚組仕様。アメリカ盤は1st、2ndを前半4曲収録して3rdを入れた変則仕様。従って外された曲も多い。そう言えば1stのプロデュースはBabe RuthのAlan Shacklock、2ndはSteve Hillageというのも渋いね。
日本盤
1.Sister Sarah
2.Underneath Your Pillow
3.Let Us All Go
4.Still Too Young To Remember
5.'Till The End of Time
6.Murder of The Planet Earth
7.Positively Animal
8.Vampires
9.Leaving Without You
10.People of America
11.The Ice Melts Into Water
12.Charlieイギリス盤
<Disk 1>
1.Positively Animal
2.Underneath Your Pillow
3.Let Us All Go
4.Still Too Young To Remember
5.Murder of The Planet Earth
6.People of America
7.Sister Sarah
8.Leaving Without You
9.Till The End of Time
10.The Ice Melts Into Water
11.Charlie
<Disk 2>
1.Having A Good Day
2.Reprise
3.Bullet in The Barrelアメリカ盤
1.Calling All The Heroes
2.All in Red
3.Kiss Like Judas
4.Midnight
5.Positively Animal
6.Underneath Your Pillow
7.Sister Sarah
8.The Ice Melts Into Water
9.Still To Young To Remember
10.Murder of The Planet Earth
マニアねらい打ちのヴァージョン違い...
Alice Cooper / Trash (Epic/Sony 25・8P-5278)
Desmond Childをプロデュースに迎えたAlice Cooperのメジャー・ヒット復活作。Joe Perry/Steven Tyler/Tom Hamilton/Joey KramerのAerosmith組、Jon Bon Jovi/Richie SamboraのBon Jovi組、Kane Roberts、Kip Wingerなど豪華ゲストを迎えPopさと妖しげな毒々しさ同居しつつも、時代の波に見事に乗った傑作。まぁ、正直Bon Jovi的な曲調もあるのがDesnibd Childらしさかな、と。
日本盤のみ"Cold Ethyl"と"Ballad of Dwight Fry"の2曲の未発表Liveテイクがボーナス曲だった。DBC / Universe (Combat 88561-2003-2)
CDは1st「Dead Brain Cells」も収録したお買い得盤。VoiVod、Rushを生み出したCanadaらしい聴き込むほどに嵌る不思議なサウンドだった。手法は古風でありながら何故か近未来的な広がりを持つ作品。今きいてもオタク度100点満点のサウンドだ。
既に解散しているが3rdアルバム用に制作されていた未発表音源が'02にCDで「Unreleased」としてリリースされていたのはマニアの記憶に新しいところ。そのCDで私はギターのGerry Ouelletteが'94に他界していたことを知った。R.I.P.
D.A.D. / No Fuel Left for The Pilgrims (Warner-Pioneer 22P2-3061)
Disneyland After Darkのメジャー・デビュー作。西部劇的なユニークなギターと妙に哀愁漂うメロディは新鮮だった。"Point of View"なんか名曲だよ。日本盤リリース直後のプロモーションを兼ねた、たった1日だけの昼夜2回のショウケース・ギグ来日の衝撃は新たな時代の幕開けを感じた。
ちなみにここ日本ではD.A.D.の人気は何故かこの作品がピークだった。本国では今なお超メジャーに君臨している。
DBC / Universe
SHARK ISLAND / Law of The Order
(Epic Sony ESCA 5010)
(Bad Reputation 309 706 2 : remaster)
当時は「W. Axl Roseに影響を与えた、L.A. Metal最後の大物、デビュー」みたいな宣伝がされていたと思う。メンバーは黒の衣装でイメージを統一し、バンドのロゴマークに描かれた菱形の中の4本の線は、メンバー達の血の誓いだったとかも(本文参照)。ジャケ写に見られるように、長髪である以外は、ふわふわなレース、カラフルなメイクを施したL.A. Metalのイメージとは程遠い。
音楽性は、割とオーソドックスなハードロックであるが、Richard Blackのハスキーで、どことなくねっとりした歌唱が、他のバンドとは違う雰囲気を醸し出す。"Paris Calling"のPVを見たことがある人ならご存じだろう、Richardのアクションは独特だった。どことなくシニカルで、それでいて熱っぽい「雰囲気」こそ、このバンドの個性だったと思う。ギタリストのSpencer Sercombeは、当時L.A.に掃いて捨てるほどいた速弾きギターヒーロータイプではなく、バンドイメージや曲に忠実な、メロディアスなプレイを心がけていた。
'04年にリリースされたリマスター盤には、未発表曲3曲と、1989年のライブ6曲、ボーナスのライブが2曲収録された2CD仕様(下のリスト参照)。日本盤ボーナス曲"Make A Move"は収録されていない。音質はクリアになっているが、残念ながら"Get Some Strange"のナレーション部分のノイズはそのまま残っており、ブックレットの画質は荒くなってしまった。(もも)
SHARK ISLAND / Law of the Order
Disc:1
<Law of the Order>
Paris Calling
Shake For Me
Somebody's Falling
Bad For Each Other
Passion To Ashes
Spellbound
Get Some Strange
Why Should I Believe
Ready Or Not
Chain (Fleetwood Macのカヴァー)
<Titre Bounus>
My City
Dangerous
Father TimeDisc:2
<Alive at The Whiskey>
Paris Calling
Ready Or Not
Shake For Me
Get Some Strange
Passion To Ashes
Make A Move
<Titre Bounus>
Spellbound (Live bonus)
Sanctuary (Live bonus)話題には殆ど出なかったが'89の名作群
VIPER / Theatre of Fate (Victor VICP-5069)
正に磨けば光る原石の塊のような作品。クラシカルなフレーズ、一歩間違えると凡百German Power Metal的クサ・メロディ満載になるところ、録音の甘さも何のその、南米パワーの情熱と真剣さがそれを凌駕し、ブラジリアン・パワー・メタルの名作になった。琴線に響くサウンドとはこういった作品の事を言うのだろう。しかし、次作「Evolution」、その後のViperのチッタ来日公演にも行ったが、残念ながらマジックは消え失せてしまっていた。結局、この作品を傑作たらしめたのは、後にAngraで活躍するAndre Matosの力量によるものが大きな要因だったということだ。RUSH / Presto
(MMG AMCY-4 : 日本盤1st Press)
(Atlantic 7 82040-2 : アメリカ盤1st Press)
(Atlantic 83736-2 : アメリカ盤Digitally Re-Mastered from The Original Tapes)
この時期私は京都方面へ長期出張中でたまたま立ち寄った輸入盤屋で入荷ホヤホヤのRushの「Presto」を入手した思い出が。ホテルにCD Player無かったので暫く聴けないのを分かっていながら無謀な事を。(^^; この作品、曲は凄く良いのだけれど音の細さが唯一不満だったがThe Rush Remastersにおいて大いに解消。入手するならリマスター盤で。"The Pass"は超名曲。(しぶ)
シンセのギラギラした音が苦手なのだが、このアルバムは、実に繊細で自然なシンセサウンドがバックグラウンドを彩っているので、逆に感心してしまった。しかしドラムの音が細いのが弱点か。Neil Peartは80年代に何度かアフリカへ自転車旅行をしており、現地で刺激を受けたのであろうアフリカンなビートが時々出てくるのが面白い。特に"Scars"ではアフリカンなシーケンスビートにアクセントとしてのドラム、その上にGeddyの弾力的なベースと、語りかけるようなヴォーカルのミックスは面白い。あ、泣きの曲が好きな人は"Available Light"も忘れるな!(もも)
Watchtower / Control and Resistance
(Victor Musical Industries VICP-8006 : 日本盤)
(Noise N 0140-2 : 解説付直輸入盤)
私の人生を狂わせた作品。個人的には'89 No.1アルバムで文句無しの金字塔。変態音楽の決定盤。今なおこの作品を超えているTechnical Thrash/Fusionアルバムは存在しないのでは?
CARCASS / 疫魔交響曲 (Toy's Factory TFCK-88520)
リバプールの残虐王、私にとっては彼らの最高傑作は音質が異様に向上して殺傷力が増した「屍体愛好癖」であるが、衝撃の「疫魔交響曲」2 in 1は記憶に留めておくべきだろう。1st「Reek of Putrefaction」と2nd「Symphonies of Sickness」、まるで悪夢を見ているようなゲロ吐きサウンドで邦題も凄まじかった。対訳を担当した秋山幸子さん、つらい仕事だったのではないか?収録曲と邦題を整理してみる。
CARCASS / 疫魔交響曲
<Symphonies of Sickness>
1.Reek of Putrefaction (腐敗臭)
2.Exhume To Consume (飢餓は屍体を貪り喰う)
3.Excoriating Abdominal Emanation (腐ったはらわた)
4.Ruptured in Purulence (はらわたの膿)
5.Empathological Necroticism (屍体大好き)
6.Embryonic Necropsy and Devourment (屍鬼は死産児を貪り喰う)
7.Swarming Vulgar Mass of Infected Virulency (保菌者の群)
8.Cadaveric Incubator of Endoparasites (寄生虫の卵)
9.Slash Dementia (××ゴロシ)
10.Crepitating Bowel Erosion (爛れたはらわた)<Reek of Putrefaction>
11.Genital Grinder (×××をミンチに!)
12.Regurgitation of Giblets (内臓大爆破)
13.Maggot Colony (蛆の巣)
14.Pyosisified (Rotten To The Gore) (腐敗(ドロドロシテル))
15.Vomited Anal Tract (汚れた尻)
16.Fermenting Innards (発酵したはらわた)
17.Excreted Alive (くそったれ人生)
18.Suppuration (膿汁)
19.Foeticide (堕胎)
20.Feast on Dismembered Carnage (死体の宴)
21.Splattered Cavities (はらわた血だらけ)
22.Psychopathologist (精神病医)
23.Burnt To A Crisp (焦熱地獄)
24.Pungent Excruciation (拷問地獄)
25.Oxidised Razor Masticator (腐ったナイフ)
26.Malignant Defecation (悪性の下痢)
Jorn Zorn / Naked City (Elektra/Nonesuch 9 79238-2)
Jorn Zorn's Naked Cityのデヴュー作。日米先鋭アーティストが作り上げてしまったJazzでありながら危険且つ究極のハードコア作品。映画サウンドトラックのカヴァーなどを大胆に切り貼り、Brutalな地獄絵図として昇華。MINISTRY / The Mind is A Terrible Thing To Taste (Sire 9 26004-2)
MegadethのLive開演前のBGMでかかっていてMetal Kidsに知れ渡ることになったMinistry。今聴くと流石に古いと思うし、意外にも伝統的な音作りが随所で見られるが、当時はインダストリアル/デジタル・スラッシュ的な斬新さがウケた。元々Metalオンリーな連中ではないので作品によってはMetal信者にうったえない作品もあるが、「Psalm 69」、「Houses of The Mole」辺りは抑えておいて良いだろう。ISILDURS BANE / Cheval - Volonte de Rocher (Isirdurs IRLP 004)
たった一人で自らの宮殿を作り上げてしまったフランスの前衛建築家(本職は郵便配達員)をコンセプトにしたIsildurs Bane中期の傑作。'89のユーロ/プログレ・シーンは限度知らずの再発CDの嵐が吹き荒れ、洪水のように押し寄せていた中、リアルタイムのこのIsildurs Baneの新譜は強烈だった。この作品はCDよりもLPの方が早く入荷したので私が所有しているのはLP。このLPを手に取ると、何故か薄暗く狭いYSビル内(個人的には勝手にイプシロン・エッセ・ビルと命名していた)、World Disqueで空き缶を灰皿代わりにしていた松本昌幸氏が店番していたのを走馬燈のように思い出す。(^^;PAGEANT / 夢の報酬 (Crime 292E 2008)
Jap's Prog.シーンではKensoの「Sparta」にしようかと思ったけれど、「Sparta」スタジオ盤収録の曲は音質がダイナミックさに若干欠け、Liveアレンジの方が圧倒的に良いので、Pageantの方をセレクト。ユーロ・ポップスを巧みに取り入れた復活作で、とにかく永井博子のVo.が素晴らしい。
Ivo Papasov & His Bulgarian Wedding Band / Orpheus Ascending (VideoArts Music VACK 5013)
ブルガリアのクラリネット奏者、Ivo Papasovと彼のウェディング・バンドの「オルフェウス昇天」。これも忘れてはいけないだろう。Ivo Papasovの相棒サックス奏者Yuri Yunakovのプレイも凄まじく、この作品で聴かれる音楽は判別不可能なぐらいの変拍子で目が回るような錯覚と血沸き肉踊るような感覚が同居。これがブルガリアの田舎の結婚式のダンス音楽とは驚き。羨ましいね。(^^;
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