Lars Hollmer(らーしゅ・ほるめる)
 スウェーデン人。1948年7月21日生まれ。キーボードやオルガン、アコーディオンなどの鍵盤楽器奏者。

 1969年にSamla Mammas Mannaを結成。バンドではヨーロッパの大物バンドを凌駕する演奏力とFrank Zappa経由と思われるユーモアセンス、トラディッショナル・ミュージックの人なつっこいメロディを兼ね備えた、独創的な音楽表現を追求。途中メンバー交替やバンド名をSamla→Zamla Mammaz Manna→Von Zamlaと変えながら1985年までHollmerはバンド活動を続けていたようだ。その活動の中にはChris Chutler提唱の「Rock in Opposition」参加がある。反体制的なバンドと世間では言われていたが、実際はどうだったのか謎である。(誰かスウェーデン語の聞き取りできますかー?)しかしRIO参加によってそのオリジナルな音楽はスウェーデンのみならずヨーロッパ中から喝采を受けることになった。

 Von Zamlaの活動をしていた1981年頃から並行してソロ活動も開始し、現在まで続いている。S(Z)amlaで聴かれるような「畳みかけるような展開!かっこいいジャズロックアンサンブル!」ではなく、アコーディオンやパーカッションを主体としたのほほんフォークミュージックである。しかし可愛らしいメロディーと「おもちゃ箱をひっくり返したような」サウンドはS(Z)amlaという伏線がなくても十分魅力的だ。

 遊び心とイタズラ心に満ちた、その小曲の数々を聴いていると「音楽って、音を楽しむって書くのよね」という感想を述べてしまう感じ(日本人のみ有効)。楽しい音だけではなく寂しげな音もある。多くの人はサーカスの「ちゃ〜らららちゃ〜らら〜♪」という物悲しい調べを思い出すのではないだろうか?あの切ないような、懐かしいような。楽しいことと寂しいことは表裏一体でやってくることを子供は感覚で知っているのに、大人は理屈を付けないと納得できない。Hollmerはきっと理屈を付けなくても分かる人なのだ。そんな人の音楽は聴いていると素直な気持ちになれる。

 Von Zamlaの活動を停止した1985年にはLooping Home Orchestraを結成。いままで宅録野郎(自宅にChickenhouseというスタジオがある)だったので、彼のレパートリーを演奏するプレイヤーを得たHollmerは海外遠征もする。西に「弾いて」と言う声あれば、「ポルカしかないぜ」おじさんGuy Klucevsekと一緒にアコーディオン5人組Accodion Tribeを作り、東に「やろうぜ」と呼ぶ声あれば、中年仲間で(失礼)突然トラッドダンスミュージック「Fem Söker En Skatt」を発表。80年代後半から90年代初めに沈黙があっただけで、精力的な活動を続けている。2000年秋には新しいユニットUtsikterのアルバムをリリース。

 2008年12月25日、腫瘍のため死去。ご冥福をお祈りします。

所属レーベルのHP
http://www.amigo.se/krax(閉鎖)

代表作紹介
Samla Mammas Manna
Von Zamla / Lars Hollmer
Discographyページも参考にしてください。

「VIANDRA」解説を書くにあたってのメモ兼Lars Hollmer活動記録



2004.05.30 Uppsalaにて