The Flower Kings
Hasse Froberg

 TFKというより、Hasse Fの歌声に惚れた人の為に。
"Stardust We Are"という曲がなければこの人のファンになることはなかったと思います。しかしHasseが歌っていなければそんなにTFKに入れ込んでなかったのではないか、とも。何度だってライブで聴きたいです。
 TFKでは"The Truth Will Set You Free"やYesのカヴァー"Soon"などで澄んだハイトーンヴォーカルを聴かせてくれますが、Spellboundやライブでは"Rollin' the Dice"で聴けるような、Robert PlantやDavid Coverdaleあたりに影響された感じの歌い方をしています。

☆Hasse Froberg and Musical Companion / Future Past (Reingoldrecords RRCD004) '10
                            (Belle Antique MAR 101749) '10
 ついにHasse主導の作品も登場!本人的には「バンド」だそうです。リズム隊は元SpellboundのThomsson (b.)とOla Strandberg (ds.)。Key.にはKjell Haraldsson (Michael Schenker & friends, Glenn Hughes, HTP等のツアーメンバーを務めたことがある)を迎え、ギタリストは期待の新人Anton Lindsjo:。「予想以上」とは違う、「予想外」の出来でした。
 初めの印象はそれほどTFKっぽいとは思わず、むしろそれより以前の、TFKとHasseの共通のルーツ(GenesisとかYesとか)がそのまま聞こえてくるのだろうと思いました。アルバム全体に、Hasseのルーツにある70年代ロックのかけらをあちこちに見つけることが出来ます。しかしそれより、時々木に竹を接ぐような展開があり、そっちの方に「何じゃコリャ」と気を取られ、すんなり好きになれなかったです。ワタクシとしたことが…!でも何度か聴いて、曲の構造が見えてきて、その奥にある歌心みたいな物を感じられるようになって、ようやく作品に入り込むことが出来ました。
 10分を超える長尺の曲を複数擁する、シンフォニックロック的な音作りをしたプログレな側面と、ヘヴィーなギターリフやハモンドサウンドが中心となる、ハードロック的な側面が面白い具合にミックスされている上、私は80年代のHR/AORが聞こえてきたのが面白いと思いました。ありそうでないんじゃないかな、そういうの。そして、Hasseの変幻自在なヴォーカル。シャウト気味のハードな歌唱から、しっとりとしたAOR的な歌、TFKでは殆ど聴くことがなかった低音からハイトーンまでのレンジの広さを聴かせてくれます。作曲/作曲はすべてHasseが手がけたので、彼のこれまでの音楽的経験と知識が素直に表現された作品になったのではないでしょうか。
 ということで、曲はHasseが歌うメロディが中心になっているのだけど、Kjellが小技を効かせたり、曲を締めていると感じることが多かったです。オルガンだけの人かと思ってたんだけど、結構多才でアイデア豊富な人だと思う。Antonは現代的なギタリストで、時々John Petrucciのような音色を弾くのだけど(本人はPaul Gilbertが一番好きみたいですが)、70年代風の豊かなギタートーンもちゃんとプレイできる技量があります。
 "The Ultimate Threill"は2002年のSpellboundのデモに入っていてもおかしくないような曲。"Everyday"は先に言った「木に竹」な展開をする曲だけど、甘めなAORサウンドから、Dream Theaterを彷彿させるヘヴィなキーボード・ソロに突っ込んで、その後何事もなかったようにライトなギターソロに戻っていくのは笑いがこみ上げます(笑)。各曲に必ず聴き惚れるパートがあるのですが、自分はあまり突飛な展開もなく、Hasseのヴォーカルが熱い"Above"が一番好きです。
 思い入れが深すぎて、短くまとめられないよぅ。本当はこの3倍くらい書くことがあるぞ。


☆Hasse Froberg and Musical Companion / Powerplay (Reingoldrecords RRCD007) '12
                            (Belle Antique MAR 121950) '12
 
散々待たされた1stアルバムと比べて、意外と早く登場した2ndアルバム。前作の「シンフォニック」「ハードロック」「80年代的」「突飛な展開」というキーワードをそのまま、八方に拡散させたような作品に仕上がっています。ネットラジオで初めて"My River to Cross"を聞いた時の、何とも言えない「なんだこりゃ感」がそのまま、いやそれ以上のことがアルバムで起こっていて、前作同様すんなり入り込むことができませんでした(^_^;)。割とストレートな"Godsong"が救いでした。でも曲の構造が掴めてくると、頭の中をグルグルし始めたら止まらない、麻薬的にキャッチーなメロディに取り憑かれて、楽しくなってきました。特に"My River to Cross"と"The Final Hour"は、思わずサビを口ずさんでしまう人も多いのでは。「木に竹」どころか「木に鉄パイプ」くらい強引な展開というのは、もはやこのバンドの個性なのでしょう。前作はクラシック・ロックと表現しても良かったけれど、今作はヴォーカルハーモニーが強化されていて、もう少しAOR色が強い感じがします。
 HasseのVo.に関しては、音域の広さは前作に譲るものの、表現の幅は更に広がったと思いました。"Waves"、"White Butterfly"のような、しっとりと透明感のある声で歌う曲もあれば、"My River to Cross"や"Is It Ever Gonna Happen"、"Godsong"の一部分ように、非常に荒々しく歌うスタイルまであって、TFKでしか彼の歌を聴いたことがない人は、全てをHasseが歌っていると判別できないかも(実際、そういう感想を聞いたことがあります)。TFKの新作のレコーディングと被ってしまい、非常にタイトなスケジュールで制作されたと聞いているので、この荒々しさを「雑」だと感じるか、「生々しい」と感じるか、人によって違うと思います。Shibuは前者、私は後者でした(^_^;)。
 ちょっと気になったのは音質。どうもギターやキーボードのキメのフレーズやソロが、グッと前面に出てこないのがまどろっこしい印象です。Vo.オリエンテッドな作品を目指したのなら「アリ」なバランスだと思いますが、そうだとは思えないんですよね…個人的な見解です。

Hasse Froberg and Musical Companion / HFMC (Grassville Records GVR017) '15
                         (Disk Union DUPG198) '15
(*アルバムのレビューというより、いかに私はこの作品に挑んだか、という感想文です)
 オランダのGrassVille Musicに移籍して発売された3rdアルバム。いままでのスタイリッシュなカヴァーアートとは違う、もっさりした微妙なアートワークに、正直「え・・・?」と引きました。だって、自分が高校生の時に美術の授業で書いた描いた、シュールレアリスムもどきの油絵みたいなんだもの(爆)。中身といえば、かなりシンフォに傾倒していて、YesやTransatlanticのような雰囲気を強く感じました。いままでの「木に竹を接ぐ」的なぎこちなさはなくなって、AntonのギターやKjellのKeyソロを挟みつつ、一体感のある演奏は好印象でした。一方、キーボードがかなり全面に出たミックスに戸惑いました。それだけならまだしも、肝心のHasseの歌がガツンと来ない。メロディはいいのだけれど、もっともハードロック色が強い"Something Worth Dying For"のような曲が物足りない。私はこの作品を好きになれないかもしれないかも、と真剣に考えました。
 作品に入り込むとっかかりになったのは歌詞でした。過去のバンドの苦い思い出がそのまま描写された"Can't Stop the Clock"や、肉親の死に揺れ動く思いを歌った"Pages"など、どんな思いでこの曲を作ったのだろう?と、思いめぐらせることで、なんとか曲に近づこうとしました。このアプローチで一番最初に腑に落ちたのは"In The Warmth of the Evening"でした。「帰る場所がある」というごくありふれたの日常にある幸せを、少し不穏な雰囲気を漂わせながらドラマティックに歌い上げる曲に、ホロッときてしまったのですね。
 作品が出た後に、彼らの地元Uppsalaで行われた、リリースパーティの動画も助けてくれました。そこでは、「私はこう鳴って欲しかった」という演奏が聞こえたからです。つまりヴォーカルとギターが全面に出ているというもの。バンドの本質が変わっていなかったことに安心しました。それから、この作品はどう調整されて神経伝達されればいいのか、というのを私の脳みそが理解したようで、だんだん曲の骨格を感じられるようになりました。元々曲そのものは嫌いではなかったのですが、音に慣れるのに要する時間がどんどん長くなっているので、次回作が怖いです(^_^;)。
 この作品を聴いて嬉しかったのは、Ola Strandbergが演奏でも作曲でも頑張ってくれたこと。これは一聴してすぐに思いました。ライブでは発揮されるドラムの手数や重さが、アルバムではいまいち伝わり切れていないのに歯がゆさを感じていましたので。そして、曲のアレンジが洗練されてきたこと。前作とは違い、アレンジに時間を掛ける余裕があったのも一因でしょう。先に書いたとおり、「木に竹」的な唐突な展開で気を散らされることは少なくなりました。とはいえ、"Someone Else's Fault"の様に、爽やかでポップな曲調から、いきなりヘヴィでブルージーなパートに展開する曲もありますけど、コレはもう、このバンドの個性でしょう(笑)。
 私を悩ませた音のバランスですが、ライブっぽい音作りをした前2作とは違い、(特にKeyの)レイヤーを重ねた実験的なものにした、とHasseは言っていました。これが私を戸惑わせました(私は1stの音が好きですから)。一方、シンフォニックな音を好むファンには受けが良いようで、海外でも国外でも今までにない反響が聞こえてきます。違うアプローチを取るのは悪いことではないし、今までと少し違うファン層にアピールできたのならば、これはこれで成功したのでしょう。「今回はひと味違う作品を作ろう!」という意気込みは感じられるし、その挑戦は実って、バンドとしてひとつハードルを越えた作品になったと思います。
 それでもちょっと気に掛かるのはHasseの声質。自覚があるようですが、段々細くなってきてるんですよね。"Genius"のようなアコースティックな曲にはとても合ってるのですけど、"Something〜"のようなハードな曲調に、もう一つパンチが足りないように聞こえたのは、わがままでしょうか、それとも音質のせいでしょうか・・・。

Hasse Froberg and Musical Companion / No Place Like Home - the Concert (Grassville Records GVR022) '17
 2016年4月に行われたライブを収録したDVDと、その音源を収めた2CDのセット。選曲は3rd「HFMC」の曲がメインで、他のアルバムとTFKの曲から2曲ずつ演奏されている。ツアー中のライブを収録したわけではないので、少し固い印象もあるけど、下準備は入念にやったのでしょう、新曲も2曲演奏していますからね。"Valleys and Fields"は"Song for July"の導入として作られた小曲。"Chasing a Dream"はライブ中で「大曲の一部、この前半」と紹介されていた。とはいえ、8分近くあるそこそこ長い曲で、「これはこれで1曲として聴けるのでは?」と何度か聴いて思ったら、どうも次のアルバムには完成版は収録されないらしい(^^;)。ということで、"Chasing a Dream"はこの作品でしか聴けない「ボーナストラック」という扱いになっていて、映像もこの曲だけちょっと違う編集がされている。ドラマティックな展開と、Hasseのヴォーカリストとしてのボキャブラリーの豊かさを味わえる佳曲なのですが、ホントに「ボーナス」で終わっちゃうのかな。もったいない。
 ライブを3回見に行ったバカから見たら、よくぞこのバンドのライブをこんなに素晴らしくパッケージしてくれた、と感激しました。ライブにおけるパワー、エナジー、メンバー各自のスキル、メンバー間の信頼感、もう全部。"Pages"の壮大さ、"In the Warmth of Evening"の親密な雰囲気、"Stardust We Are"の神々しさ。本当にライブはこのテンションで演奏してますからね!演奏のミスや、テンポがちょっと走るところもそのままで、ライブ後のインタビューも含めて、「ライブDVD」というより、これはもう「ドキュメンタリー」だと思いました。Hasse以外のメンバーがどのようなキャラクターなのか、日本のファンに観て貰える機会になったのだけど、特にギタリストのAnton Lindsjoの力量は、この作品でもっと広く知れ渡って欲しいです。
 この作品の制作スタッフ、ほぼみんな、悪い言い方をすれば「片手間」で作ってます。本職があって、その空いた時間に制作をしている。レコード会社からお金や人材をもらえる環境にないだろうから。予算だってたぶん少ない。ただ愛はある、絶対ある。その中でも、6台のカメラの映像から適切な映像をより分け、臨場感溢れる編集をしたkicki Holmenさんに大喝采を送りたいです。

Hasse Froberg and Musical Companion / Parallel Life (CD: Grassville Records GVR192465) '19
                             (LP: Grassville Records GVR535703) '19
 プログレ界隈でお馴染みのアーティスト、Ed Unitskyのミステリアスなカバーアートを採用した意欲作。前回、作品に慣れるのに苦戦をしたことから、かなり警戒しながら聴き始めました。音質は前回ほど苦になりませんでしたが、アレンジが「アレみたいだなぁ」と思わせるところが引っかかりました。特にOla Strandbergが作詞・作曲した"Time Waits"が、近年のDream Theaterを彷彿させます。実際「A Dramatic Turn of Events」や「Distance over Time」等を聴き返して確認したのですが、具体的にソックリなフレーズやリフがあるわけではなく、雰囲気なんですよね。あと"All Those Faces"がRushの「Hold Your Fire」辺りに入ってそうなポップな曲で、これも何だか引っかかりつつ、でもパクッてるわけでもなく…うーん…と悩みながら聴いているうちに、脳内でメロディが無限再生されるという現象に見舞われました。なんだ結局好きなんじゃない(^_^;)。
 いきなりネガティヴなことから書き始めてしまいましたが、DTやRushという例が挙がるような、メロディが引き立っている、そこそこテクニカルなパートもあるハード目なプログレと思っていただければ。バンドのアンサンブルは前作より更に洗練されています。ちなみに、「アレみたいだなぁ」という引っかかりがなかった"Sleeping with the Ghost"は、緩急がある爽やかなメロディのロックチューンで、2019年の私のベストソングです。
 逆に意外性があったのが、アルバムタイトルにもなったスリリングな大曲、"Parallel Life"のHasseの歌い出しや(あまり聴いたことがない旋律でカッコイイ)、終盤のジャムっぽいパート。"Rain"の、「しっとりとしたアコースティック→チャーチオルガンを使ったシンフォ的クライマックス→ソウルフルなギターソロ→ルーズなR&B」と展開する滅茶苦茶さ(笑)。いいですよ、初期の曲より流れが自然ですし、これこそHFMCの真骨頂です。"Friday"は、70/80年代のハードロックにどっぷりな自分としては、ちょっと淡泊かな。ヘヴィ・バラードの"Never Alone"でアルバムを締めますが、「HFMC」でも思ったのだけど、Hasseの声質が変わったなぁ…。The Flower Kings「The Rainmaker」辺りの声でこの曲を歌ったら、もう少し迫力あっただろうなぁと、ちょっぴり寂しくなりました。"Rain"のような曲にはとても合ってるんですけどね。


Spellbound

Spellbound特設ページ(バンドの詳しい情報、近況はこちらにまとめました)

☆Spellbound/Breaking The Spell (Sonet SNTF-934:LP) '84
                 (POLYDOR 28MM 0461:LP:国内盤)
                   (SMCD 2/572524-2:CD)
 「自分たちが好きな70年代のバンドみたいなことをしよう!」とスウェーデンの地方都市で試行錯誤した結果、たまたま同じ時期に盛り上がっていたLA Metalと同じようなルックスになってしまった、とのメンバー談。裏ジャケットではタロットカードに見立てたメンバーショットがあるのですが、我がHasse Fは「The Lovers」だそうです。バラ持ってるぞ(笑)。音はメロデイアスなR n'Rという感じです。ガナリ気味のVo.の声は、伸びはいいのですがちょっと音痴気味です。
 日本盤の解説は有島博志氏。それによると、1984年秋に220VOLTとBathoryと一緒にツアーを回ったらしいですが、あの故QuorthonのBathoryですか?まじですか?
(追記)このツアーの話はデマだとHasse本人に確認しました。こちらのインタビューをどうぞ。有島氏はどこでこんな話を掴まされたんでしょうね(^^;))

☆Spellbound / My Kinda Girl / Gone Rockin' (Sonet SON-2294:7inch) '84

 リリース年がウソっぽいが、唯一の資料ではこうなっていた。「Rockin' Reckless」からの先行シングルだったのだろう。"My Kinda Girl "ドラムの音がダブダブで野暮ったいが、コーラスワークはとても美しいハードポップ。Def Leppard辺りを狙っていたのかな。B面はアルバム未収録曲。ミドルテンポのヘヴィロック。このバンドはメロディアスでもあるんだけど、それだけでは終わりたくない色々な試みをしていたと思う(実ったかどうかはともかく)。

☆Spellbound / Rockin' Reckless(Sonet SNTF-952:LP)'85
                  (SNTCD 952 / 527 526-2:CD)
 プロデューサーはMotorhead等を手掛けたVic Maile。LPのインナースリーブにはメンバー達の幼児時代の写真も載っていまして、欧米人は赤ん坊でも彫りが深いんだなと妙に感心しました。弱みを握った感じです(謎)。
 えーと、聞いた感想。1stに比べるとさらにR n' R寄りになった感じです。それをヘンしているのはキーボードやおかしなアレンジのおかげでしょう。キーボードの軽い音色は時代を考えると仕方がないとしても、挿入が唐突(汗)。Ola(ds)とAlf(g.key)のStrandberg兄弟の父親がSaxでゲスト参加(プロのJazzミュージシャンらしい)。歌にしても、リズムにしても、やりたいことが一杯で、でも若さ故に空振りしてる感じがかなりB級です。でも何か好き(^_^;)。よくオヤジ臭いとか暑苦しいと評されていたHasseのVo.は、1stより力みが抜けた感じだが、まだ成長過程の途中。力を抜いて歌う箇所はなんとなくPhilip Lewisっぽくて、全体としてGirlを彷彿させます(私にとってGirlは誉め言葉です)。しかしこのバンドには"Hollywood Tease"がなかった。あ、最後の曲はWhitesnakeのパクリだな。
 あんまり良いこと言ってませんが、不思議と印象に残るメロディがあり、これは次のデモCDにも受け継がれています。
(追記)聞き慣れてくると"My Kinda Girl"ってすげーいい曲じゃないかと思えてきた。"Streetprowler"が愛おしいです。


Breaking The Spell


My Kinda Girl / Gone Rockin'

☆Spellbound / same (ROCK TREASURES RTCD-003) '97
 幻の3rdのデモらしい。個人的にネックだった(汗)Vo.がかなり上達していて一安心。音質はまぁまぁだと思いますが、デモのせいか、リズム隊のプレイが締まりなく聞こえます。JJ.Marshのギター弾きまくりはかなり好みです。80年代アメリカのギターヒーロー達に影響を受けた音だと思います。巧いです。アメリカンな雰囲気を漂わせながら、ヨーロピアンな影も感じられ、ユニークな音を出しています。オーセンティックなHR/HMが好きな人に喜ばれる音なのではないかと思うけど、くどいけど、北欧様式美+美旋律は期待するな。"Gypsys Kiss"がストレートにカッコイイかな。"Dancer"や"The Damage is Done"のようなシャッフルしたリズムに、畳掛けとタメのメリハリが効いている曲も素敵です。"Private Joy"のイントロでHasseとJJ.が、Robert PlantとJimmy Pageみたいに声とギターの掛け合いをやってるのは微笑ましいですな(笑)。
 解説はThe Encyclopedia Of Swedish HR/HM のJanne Stark氏。"Paradise Ride"はこの集成に同封されていたコンピCDに収録されてました。プログレな人には、長尺でQueen調のこの曲が一番アピールするかもしれませんが、あくまでメタルです。

☆Spellbound Promotion CD (-) '02
 デモCD。実は2002年の暮れには入手していましたが、2003年11月に開催されたTFKお茶会で公開されたのでレビューも解禁。
JJ.いわく「シンフォニックな感じ(でもプログレじゃない)」(参照先:glennhughesitalia.com
曲名は以下:
1.Drowning
2.Psychonaut
3.My Poor Brain
 1997年にリリースされたデモ集「Spellbound」に比べ、よりグルーヴ重視の曲作りをしています。徹頭徹尾引きずるようなヘヴィなリフの"Drowning"。中間部のフッと光が差すような展開、コーラスがなかなかドラマティック。ギターのアレンジ(というか、重ね方)が凝ってますね。これをシンフォニックと言っているのかもしれない。印象的なベースのリフで始まる"Psychonaut"。少しオリエンタルな雰囲気もある、ポジティヴでユニークな曲。エンディングの伸び伸びとしたギターソロが最高。今、私の中では世界一カッコイイギターソロである。JJってもっと評価高くてもいいと思うんだよなぁ。"My Poor Brain"はZepぽいメロディとノリのシンプルな曲。タイトルは微妙(^_^;)。
 全体的にLed Zeppelinの影響が感じられるオールドスタイルなHRです。Glenn Hughesを聴くようなリスナーには馴染みやすい音だと思います。HasseのVo.はパワーで押す感じの中高音が中心なので、TFK的な曲を期待してはダメです。でも一曲くらいクリアーヴォイスの曲があるとメリハリがあっていいかも。
 「北欧メタル」の典型からは外れてるし、流行の音でもないけど、逆に新鮮な音として受け入れられればいいなぁ。15,6曲くらい曲があって、2004年にはレコーディングをしたいとのことでしたが、メンバー同士の都合がつかず休止状態だそうです。

☆Swedish Hard Rock And Heavy Metal 1970-1996 (vertigo 535360-2:3CD) '96
 渋谷家のバイブル、The Encyclopedia Of Swedish HR/HM のコンピレーションCD。Spellboundは2nd「Rockin' Reckless」から"Rockin' Restless"が収録されている。70年代のNovember、Neon Roseから80年代Yngwie、Europe、Madison、Treat、90年代Clawfinger、Nation、Freak Kitchen等々スウェーデンのハードな音総ざらい60バンド以上。珍しいところでは「○○Aid」ばやりだった頃に録音されたSwedish Metal Aidの"Give A Helping Hand"も。この曲にSpellboundのメンバーはコーラスで参加している(確認した)。Janne Stark氏の丁寧な解説付き(勿論英語)。

Solid Blue

☆Solid Blue / Vol.III (Foxtrot records FOX CD-014) '94
 Hasse.FがSpellboundの次に立ち上げたハードAORバンド。
 TFKみたいなシンフォニックな音や、いわゆる「北欧美旋律」HRを期待するとハズレです。メロディアスな、ごく普通の、でも質は高いロックソング12曲。1曲はカヴァー。"In A Broken Dream"(スタジオライブらしい)をやっています。どこかで聴いた曲だな、と思ったら、Thunderもカヴァーしてた曲ですね。オリジナルはPison Lee Jacksonというオーストラリアのバンド(Vo.はRod Stwert)。HasseのVo.はTFKでの澄んだハイトーンヴォーカルではなく、中音域を中心としたのラフな感じの歌唱。おそらくコチラの方が彼の本来の歌い方だったんでしょう。そんな彼にYESの"Soon"を唄わせたRoineって凄いな(^_^;)。Hasseは伸びの良い声を惜しげなく披露しています。派手なテクニカルさはないけど、key.やg.がいい仕事してます。
 なおキーボーディストのRickard Zanderは現在ドラマティック・メタルバンド、Evergreyに参加。スウェーデン人脈恐るべし。
 TFKのオフィシャルサイトで買えます(Paypal決済)。SpellboundともTFKとも違うHasseのリラックスした歌声が楽しめます。一家に一枚!・・・といいたいところだけど、TFKのサイトでも扱わなくなりました。罪な。

☆Solid Blue / Vol.II (vitaminic / Hb International Music) '01
 いわゆる未発表曲集(現在購入は不可能かと)。出所がちょっとアヤシイのだが、好奇心に負けて購入。音質はあまり良くないです。
「Vol.III」よりもさらに明るく、軽快です。曲によってはMr.BigとかBon Joviみたな雰囲気があると思いました。"Magic Pie"(「Flower Power」)のような優しいメロディの曲もあります(勿論短い)。これもプログレな人よりフツーのロック(少々枯れ気味)が好きな人にお勧めします。でもまずは「Vol.III」から。
 詳しくはコチラ:http://www.angelfire.com/band/pandora/Solid.html

☆Orange / Let It All Out (Kattguld Musik XTC S005 :single) '02
 Kent WennmanとSampo AlxelssonのUppsala出身の二人組。これはアルバム「Take A Look On The Inside」からのシングル。"Let It All Out"、"Peter's Basement"の2曲が収録されているようだが、"Peter's Basement"はアルバム未収録曲。どうやらこの曲にHasseが参加しているらしい。
 ちなみにアルバムの方にはJJ Marshが参加している。
 詳しくはこちら:http://www.kattguld.com/(スウェーデン語)

さて「Vol.III」のジャケです。Vitaminicの画像を拝借してきました。ジャンルにご注目。「ストーナー」です(汗)。初め見た時は「こんなジャケでSaint Vitusみたいな音なのか?意外な前歴!!」と思ったのですが、どうも「(ローリング)ストーンズのフォロワー」って意味っぽいです。欧州ではそう言うんですか??


 あとHasse.Fは15才の頃からBarrelhouseというバンドにも断続的に参加しており、1979年にミニLPをリリースしています。
聴いたことないからコメントのしようがないです。(^_^;)
ページはこちら:http://w1.181.telia.com/~u18104096/



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