Baltimoore (Sweden)

☆Baltimoore / Freak (SPV 084-88872) '90
 Baltimooreの2nd。北欧のDeep Purpleと言われたSix Feet UnderのVo. Bjorn Lodinが結成した渋めの哀愁を漂わせるメロディアスAOR Blues Rock。深みのあるVo.が魅力的で、シャウトすると声質のためかDavid Coverdaleを彷彿させる。The Beatlesの"Oh Darling"のカヴァー有り。Key.はYngwie MalmsteenやTalismanで活躍したMats Olausson。
Six Feet UnderTalisman

☆Baltimoore / Double Density (SPV 084-89052) '92
 3rd。前作がAORだったのに対してこちらは全編に渡ってHR色。この作品のBjorn Lodinは、かのVow Wowの人見元基を思い起こさせてくれるようなパワフルなVo.である。後にTalismanで叩くことになるJamie Borgerが参加しているのも注目。





☆Six Feet Under / same (Zero Corporation XRCN-1166) '83
 '94に世界初CD化として再発されマニアを狂喜乱舞させた。この偉業を成し遂げたZero Corporationも今は残念ながら存在しない。北欧のDeep Purpleと異名をとる彼らの1stがこれ。Vo.のBjorn Lodinが在籍しており、裏ジャケを見るとDeep PurpleのTシャツを着ていて微笑ましい。全て1テイクの7日間で取り終えたと書かれており、音質はそれなりであるが、軽快でアップテンポに突き進む当時の彼らの熱い音が楽しめる。ギターはJammer、後にGlenn Hughesのプロジェクトに参加することになるThomas Larssonである。
JammerGlenn Hughes

☆Six Feet Under / Eruption (Zero Corporation XRCN-1167) '84
 2nd。これも世界初CD化。Ds.はClaes AnnersjoからJammer, Death-Organで活躍することになるMarcus Kallstromに交替。オープニングはいきなりRainbow風のハード・ドライヴィン・サウンドが炸裂する。1stよりもこなれたサウンドになっているためSix Feet Underを初めてトライするならば2ndからがベターだろう。ちなみに"Candle in The Dark"は何故かCCRの"Have You Ever Seen The Rain"を思い出してしまった。
Death-Organ



☆Jammer / Take Me Higher (LimeLite S-8301 : 7inch) '83
 Thomas LarssonがSix Feet Under在籍時に録音されたJammerシングルのみ唯一存在する作品。またSix Feet Under, Death-OrganのMarcus Kallstromも参加している。メジャー・コード中心のメロディアスHRが実によい。恐らく激レア盤だと思うがマニアは見つけたら即ゲットだ!



☆Glenn Hughes / From Now on... (Zero Corporation XRCN-1080) '94
 北欧ミュージシャンの厚いサポートの中、悪夢のドラッグ/アルコール依存症から見事に復活を果たしたGlenn Hughesの力作。Six Feet Underで活躍したPurpleマニアのTomas Larsson、EuropeのJohn Leven、Mic Michaeli、John Norumバンドに参加していたHempo Hilden、Deep Purpleの"Burn", "You Keep on Moving"のCoverが収録されたボーナス・トラックではEuropeのIan Hauglandが参加している。
Europe



Talisman

☆ Talisman (Dino Music DINCD 21) '90
 Rising Forceの危ないデモ音源をリリースし、Yngwieの怒りをかっているベースのEx.Yngwie Malmsteen's Rising ForceのMarcel Jacobが共にYngwie Malmsteen's Rising Forceで活動していたアメリカ人Vo.のJeff Scott Sotoと結成したTalismanの記念すべき1st。Key.はMats Olausson。この作品はそれを抜きにして考えて欲しい程珠玉の曲のオンパレードであり、Marcelの才能が開花している。"I'll be Waiting"に見られるような力強いメロディアスなHR、"Dangerous"の北欧独特のコーラス、"Just Between Us"のJeff Scott SotoのVo.とギターのハーモニーがとても魅力的だ。このDino盤(現在はEmpire Recordsに変更)は6曲ボーナス・トラック('90のLiveをセレクト)を入れた再発盤である。

☆Mysterious (Dino Music DINCSG 20-1) '93
 2nd「Genesis」に伴ってリリースされたシングル盤。収録曲は"Mysterious"のシングル・ヴァージョンとアルバム・ヴァージョン、そしてまるでMr. Bigの"Addicted to That Rush"の北欧版のような"All or Nothing"を収録。なお、この時期ドラマーが不在だったため、Marcel Jacobとクレジットされているが、打ち込みDs.であるらしい。

☆Humanimal (Zero Corporation XRCN-1122) '94
 北欧HRにみられるような湿った様式美HRというよりも乾いたメロディアス・ロックにより傾いてきた3rd。もともとTalismanはこのような要素があったため別段急激な変化とは思えなかったが一般的には評価が分かれた作品であったと記憶している。Ds.の加入は大きい。

☆Human Clay / same (Pony Canyon PCCY-00978) '96
 Marcel JacobとJeff Scott SotoのTalisman休止を期に結成されたプロジェクト。正直言ってTalismanとそれ程かけ離れていない。(^^; "Jealousy"にてYngwie J. Malmsteenがゲスト参加、いかにもといった彼のソロがきけるぞ。また、日本盤のみのボーナス"Eternal Flame"ではJohn Norumとの共作であり、Talisman組のFredrik Akessonが参加している。小曲"2 Your Heart"の素晴らしいVo.で始まるこのアルバム、Jess Scott SotoのVo.が冴え渡っている。"Outside Lookin' in"はまるでJSSがRainbowに参加したような曲である。(^^;


☆Talisman / Truth (Pony Canyon PCCY-01321) '98
 前々からJeff Scott SotoのVo.が好きであったが最近特に数日に一回くらい彼のソウルフルなVo.をききたくなる症候群が続いているので追記してみた。(笑)
 巷ではこのTalisman復活作「Truth」の評判はぱっとしていないが、私はこの作品でJeff Scott SotoのVo.の良さを改めて認識した。今Talismanで1作といえばコレ選んでしまうかも?(^^; ギタリストにYngwieマニアのEx.Great King RatのPontus Norgrenを迎え(Talismanの最新作では既に抜けているが(^^;)Human Clayで一息ついた後の心機一転作である。"Here 2day, Gone 2day"、ベースラインが非常に心地よい"I'll B There 4 U"、絶品のバラード"Heaven's Got Another Hero"、PopなQueen風"Your Man"は名曲と思う。インストの"T411/2"は日本盤ボーナス・トラック。但しいきなりのQueenの"Let Me Entertain You"やPrinceの"Darling Nikki"、Madonnaの"Frozen"のカヴァー3曲というのは多すぎると思う。
Great King Rat

☆Talisman / Live at Sweden Rock Festival (Empire Records WCD 2042) '02
 2001/June/9に行われたSweden Rock Festivalの模様を収録したLive。ds.はJamie Borger。アップテンポの曲中心のほぼTalismanのベスト的な選曲で突っ走る。そしてQueenのカヴァー"Tie Your Mother Down"に続きラストはYngwie Malmsteen's Rising Forceの"I am a Viking"となっている。"I am a Viking"でのg.のPontus NorgrenのYngwieなりきり具合が楽しい。(^^; Marcel JacobのBassソロがあるところがTalismanらしいかな、と。コーラス・ワークが素晴らしい"Here 2day, Gone 2day", オーディエンスとの一体が素晴らしい"I'll be Waiting"がお薦め。
 そう言えば最近のJeff Scott Soto Band関連のNewsではCaliforniaの"Platinum Live"で2003/Sep./6に行われたQueenの曲だけのLiveの模様のDVDがリリースされた。

☆Talisman / Cats and Dogs (King Records KICP929) '03
 Talisman再復活。もうここまでくればHuman Clay、Humanimalなどプロジェクト名は何でも良いという気がしてくる。(^^; ストックホルムのHumanimalのギグでPontus Norgrenが怒って脱退しHumanimalが解散。そして今作のTalismanではFredrik Akessonが復帰している。"Break If Down Again"、"In Make Believe"は名曲だろう。いつもながらMarcel Jacobの作曲センス&プレイは素晴らしい。なお、日本盤のみのボーナス・トラック"Time"を収録。
参考記事:BURRN! 2003年6月号

☆Talisman / same (Rock Treasures RTCD005) '03
 2CD Set Remastered + Live + Demo。Dino再発盤にDemoを追加したTalisman再発シリーズ第1弾である。CD 1はアルバム、CD 2はDemo + Liveとなっている。音質的にはより立体感のある仕上がりである。"I'll be Waiting"のDemo Ver."If You Need Somebody"、"Just Between Us"のDemo Ver."Oceans"など非常に興味深い。内ジャケの貴重なフォトなどは嬉しいが、Dino盤の表ジャケットの仕上がりよりも印字が銀から白に変わっている上、かすれてしまっている。コピーの質が悪いのが残念である。また紙ケースとプラケースがぎちぎちで取り出しにくいのも難点である。

 詳細は下記:
http://www.talismanworld.com/
http://www.jeffscottsoto.com/
http://www.marceljacob.com/

☆Southpaw / same (Z Records ZR 1997006) '98
 Fredrik AkessonがTalismanを離れている間にMats LevenとJohn Leven、以前Ebony Tearsなどに参加し、そして現在Soilworkに加入しているRichard Evensandが結成したSouthpaw唯一の作品。悪名高きZ Recordsからリリースである。(^^; 日本盤もリリースされていた。オルタナティヴHR風で昔からのメンバーのファンの間では不評だったような気がするが、"Permanent"、"Vertigo"、"All That I Want"はなかなかの佳曲と思う。そう言えば、このアルバムでのFredrik Akessonの写真は何となくCathedralのLee Dorrianに似ている。(^^;


Jeff Scott Soto

☆Holding on (Frontiers Records FR CD 133) '02
 2ndソロ「Prism」に先駆けてリリースされたミニ・アルバム。他収録曲としてはJourneyのカヴァー"Send Her My Love"、The Gods FestivalからプロジェクトHumanimalの"Again 2 be Found"とSammy Hagerのカヴァー"Stand Up"。これらは日本盤「Prism」に収録されている。また1stソロの「Love Parade」から"4 U"も収録。このミニの価値はJSSが次々と出現する"Holding on"の濃すぎる&ナルシーなVideo Clipである。必見。(^^;

☆Prism (King Records KICP908) '02
 JSSのVo.の巧さが光る会心の出来の2ndソロ。"Heaven Knows"、"Don't Come Easy"、"Don't Wanna Say Goodbye"、"2 Late 4 Goodbyes"、"Till The End of Time"なんか痺れるねぇ。ファンキーな音がOKであれば、Glenn HughesとのデュエットIke and Tina Turnerのヒット曲"I Want to Take You Higher"なんか如何?強烈だよ。Jody whitesidesのAcoustic 12 Stringが冴える"By Your Side"も注目である。

☆JSS Live at The Gods 2002 (Frontiers Records FR CD 149) '03
 ミニ・アルバムの「Holding on」にも収録されていたがその模様を収録したLive盤。オーディエンスのノリも素晴らしい。メンバーは基本的に「Prism」と同じでベースはTakaraのGary Schutt。脂がのりきった充実の内容で、実際のLiveが見たくなってくる。"Again 2 be Found"ではPontus Norgrenもゲストで参加。"I'll be Waiting"はほんと素晴らしい曲だと再認識。このLiveは日本盤でもリリースされている。なおDVDもある。
 お薦めレポートはこちら

☆Love Parade (Frontiers Records FR CD 130) '94

 Jeff Scott Sotoの1stソロ。'02にFrontiers Recordsから再発された。お洒落なファンキー&ソウル魂炸裂。今あらためてきいてみるとCharのソロに近い印象があったりして興味深い。彼の音楽ルーツが惜しみもなく発揮されているため、HRファンから総スカンをくらったような気が。(^^; 従ってメロディックHR的な部分を期待している人にはお勧めしない。私的には大推薦だが。"4 U", "Friend"は名曲。Queenの"Dragon Attack"のカヴァー収録。

☆Believe in Me (Frontiers Records FR CD 198) '04
 アルバム「Lost in The Translation」に先駆けてリリースされたEP。Neal Schonとの共作であるリーダーズ・トラックの"Believe in Me"の軽快なHR、Vo.の表現力が光る"As I Do 2 U"のバラードが美しい。"As I Do 2 U"は「Three Kings」という未発のDemoからなので貴重だ。なおこの盤には"Believe in Me"のVideoトラックも収録されている。

☆Lost in The Translation (Frontiers Records FR CD 205) '04
 今脂がのりきっているJeff Scott Sotoの3rdソロ。暫くして日本盤もリリースされたが、これはスリップケース入り盤である。この盤には"Dulce Lady"とJourney & Mr.Bigバラード風の"If This is The End"のVideoトラックが収録されている。
"Soul Divine", "Drowning", Talisman的な"High Time", "Sacred Eyes"など小気味良い曲が満載でJeff Scott Sotoの魅力がたっぷり味わえる力作。


Love Parade


Believe in Me

☆Soul Sirkus / World Play (Frontiers Records FR CD 239-E) '05
 Jeff Scott Soto, Neal Schon(Journey), Marco Mendoza(Whitesnake, Thin Lizzy), Virgil Donati(Planet X, Ring of Fire)のThe New Hard Rock Superstar Band。後に日本盤でもリリースされたが、この盤は2 Disc CD & DVD Setの限定デジブック盤。「Lost in The Translation」の"Believe in Me"で弾きまくっていたNeal Schon、Soul SirkusでもとてもハードでJeff Scott Sotoとの相性はかなり良い。ドン真ん中直球勝負、骨太なHRサウンドが楽しめる。元々Neal SchonがVan Halen組とやる予定のPlanet Usというプロジェクトだったらしく、収録されている"Peephole"という曲はSammy HagerとNeal Schonのクレジットである。Journeyのようなサウンドが出るかと思えばまったく違っていて驚くと共に、Neal Schonの熱く激しく燃えるようなギタープレイに酔いしれた。素晴らしい作品である。
 なお、DVDでのJeff Scott Sotoはレコーディング時、ガム噛みながら歌っていた。シャウトしているときにガムが口の中で暴れているのを見て外に出ないものなのかハラハラした人は多いはずだ。(^^;
 詳細は下記:
http://www.soulsirkus.com
参考記事:BURRN! 2003/1月号:「Prism」リリース時の必殺仕事人シンガー特集でのInterview。イングヴェイと上手くやっていくためのコツが語られている。(笑)



☆Great King Rat / same (Planet Records MOP CD 3055) '92
 Talismanに在籍していたことがあるPontus Norgrenが在籍していた'90s初期北欧HRの代表バンドの一つGreat King Rat。ブルージーなHRで当時のメロディアスな面が全面に出ていた他のバンドとは雰囲気が異なった作風であったのが興味深い。PontusではここではYngwie風なギターは弾いておらず、作風がBad CompanyとZeppが混ざったような魅力的な音で心躍るHRオジサンは多いはずだ。取りあえずThunderファンも必聴だ。



☆Locomotive Breath / Heavy Machinery (Sweden Rock Records SRR-001) '02
 記念すべきSweden Rock Recordsの第1弾。このSweden Rock Recordsは密かにマニアの間では話題になっている本格派HRバンドがひしめいているので注目だ。そしてHRマニアJanne Stark率いるこのLocomotive Breath、A.C.Tのコーナーでも取り上げたが、2ndではPontus Norgrenが不思議な変速リズムの"The Adventures of Zaphod Beeblebrox"で参加しているのでこちらのコーナーに登場となった。今作よりVo.が現A.C.TのHerman Samingに代わりMattian Osbackが加入。また、ゲスト参加者としてRoland Grapow、Mattias IA Eklundhなど。よりハードにメロディへの配慮も流石の力作に仕上がっている。凄く良い作品なのに今バーゲン・コーナーでよく落ちているのが残念だ。日本ではこの手の音は×なのか?見つけたら即ゲットを薦める。



☆Takara / Taste of Heaven (Zero Corporation XRCN-1232) '95
 2nd。USのバンドであるが、Jeff Scott SotoがVo.とプロデュースで参加しているので特別に掲載。"Days of Dawn"などのメロディーが魅力的だ。ただ、やっぱりというかリズム隊が軽めなので、アメリカン・ロックと感じる。なお、"Days of Dawn", "Your Love"ではBob Daisleyが参加しているのが注目か。軽快なHRで良いよ。

☆Takara / Eternity - The Best 93-98 (Zero Corporation XRCN-10015) '98
 未発表アコースティック・ヴァージョン2曲を含む1st〜3rdのベスト・アルバム。Takaraは結局の所、ギタリストのNeal M. Gruskyのプロジェクト的色合いが強いが、Jeff Scott Sotoの歌声を活かしたアレンジが見事であった。




☆220 Volt / same (Epic/Sony Records Epic EPC 25449 : LP) '83
           (Epic/Sony Records ESCA 7653 : CD)
 220 Voltのデビュー作。Talismanの助っ人Ds.だったPeter Hermanssonが在籍。まだまだの出来のHMのため、マニア以外にはお薦めできない内容である。"Lonely Night"はUFOの"Doctor Doctor"とGirlの「Sheer Greed」に収録されている"Hollywood Tease"のパクリ、"No Return"はOzzyの"Crazy Train"、"Woman in White"はRainbowの"Spotlight Kid"のパクリであることは明白。(^^;
 なお、'95/10のBURRN!誌のScandinavian HM/HR特集においてBassのMike Larssonが取材にジャージ&素足+中年サラリーマンが履くような革靴で現れて当時の編集長を不快にさせたことは北欧メタルマニアの間では有名な話だ。(^^;
 蛇足:220 Voltについていろいろ調べていたらLPを発掘してしまった。ということは知らない間にCDとダブり買いしていたことになる。ちょっとショック

☆220 Volt / Eye to Eye (Epic/Sony Records 25・8P-5089) '88
 3年の兵役を終え3年ぶりに完成させた4th。プロデューサーにMax Normanを迎え、N.Y.レコーディングにて飛躍的にRev.Up。"Love is All You Need"のバラードは名曲。メンバー直筆解説は必見。この作品でブレークするのかと思いきや、特に目立った動きが無く、結局この作品の後、一旦220 Voltは解散してしまう。その後Blacksmith(Meshuggahの項参照)のPer EnglundとVolt Ergeistというバンドで活動するもこれも長続きしなかった。しかし'96に再結成で復活を遂げる。
 参考資料:BURRN! '88/12月号
詳細は下記:
http://www.220volt.nu/



☆Europe / same (Victor VIL-6067) '83
 邦題は「幻想交響詩」。力が入っているのが良く分かるが、帯叩きに「ブリティッシュ・ハードの真髄」と書かれていたところにレコード会社の空回りというか。(^^; 実際北欧HRの幕開けを告げた作品として決して外せない作品である。一方、垢抜けない表情をした赤いほっぺをしたメンバー達が新鮮である。メンバーフォト同様、サウンドもメジャーレベルの音質とは言えず、名曲と言われている"Seven Doors Hotel"にしても北欧のローカル・バンドがよくここまでの作品を作り上げたものだというのが当時のマニアの印象ではなかったか。なお、"In The Future to Come"のプロモ・ヴィデオを見たことがあるが、余りにも恥ずかしくてこっちが赤面してしまうような内容であった。この作品後EuropeはSwedenを代表するBandに成長していったことは皆さんご存じの通り。



☆Death-Organ / 9 to 5 (AD Perptuam Memoriam APM 9506 AT) '95
 Ds.はEx. Six Feet UnderのMarcus Kallstrom。Death-Organの輸入盤が初めて日本に上陸した当時はプログレ畑で話題になり、誰か挑戦してくれないかとの要望により怖いモノ見たさ(ききたさ?)から入手した記憶がある。(笑) 確かにこれはDeathか?'95にオルガン全開だったのは大変ショックであった。Deep Purple, Atomic Roosterのようなオルガンに専任Vo.(2人(笑))が絡みつく。今思うとLoud Rock / Rap Metal、現在の北欧HRの'70s回帰の先駆け的サウンドを確立していたのではないか。ちなみにVo.は2人いるが、ギタリストはいない。(笑)

☆Death-Organ / Universal Stripsearch (Belle Antique MAR 97411) '97
 インパクトとしては1stに譲るが、なんといっても注目するべき点はRushの"Tom Sawyer"のカヴァーであろうか。なんか凄くて笑える。プロデュースにはBoom ClubのJan Bergmanのクレジットあり。



☆Boom Club / Buy One or be One (Bolanche Records BOLCD944) '94
 Death-OrganのWibergが参加している、PrimusとJimi Hendrixを混ぜたようなミクスチャー・フリー・ロック。傑作。苦労してSwedenからトレードで入手したが後日柏Unionで¥105で落ちているのを発見して泣いた記憶がある。その後シングル盤を出したようであるが、このユニットはその後消滅したようである。



☆Buckshot O.D. / Outta Coarse (Roadrunner RR 8922.2) '95
 Death-OrganのJoachim Sjostromが参加しているユニット。ハードコアRap Metal。SwedenではClawfinger(Meshuggahの項参照)というRap Metalのオリジネイターがいるが、Buckshot O.D.はそこまでメジャーになることなく一作のみ残して消滅したようである。



Spiritual Beggars

☆Mantra III (Pony Canyon PCCY-01196) '98
 Death-OrganのPer Wibergがゲスト参加でOrgan、Mellotronと大活躍。
 なお、日本盤のみ"The Band is Playing"のボーナス・トラックと、初回生産分のみロゴ・ステッカーが封入されていた。

☆Ad Astra (Victor Entertainment VICP-61008) '00
 完全に吹っ切れている感じがする快作。「Mantra III」では正直若干硬さが感じられたが、今作では見事な'70s HRの大胆不敵さを堂々とアピールしている。ギター、Vo.中心に骨太ドライヴィング・サウンドが大変魅力的だ。この作品よりPer Wibergが正式メンバーとして迎えられ生き生きとしたプレイを堪能できる。なお、この時の来日公演ではPer WibergがエセMagma TシャツであるAnekdotenTシャツを着て演奏していた。(^^;
 日本盤ボーナス・トラックとして"Let The Magic Talk"、"It's Over"を収録。

☆On Fire (Victor Entertainment VICP-61948) '02
 Spirtual Beggars創設メンバーのSpiceが脱退しJB(Vo.)とThe QuillのRoger Nillson(b)が加入。一抹の不安を抱いたが全くの心配は要らなかったようだ。土埃が舞うような豪快なHRを展開していて素直に格好良い。堂々とした歌がまた良し。よりメジャーな音になったような印象だ。ただおいしいところの拝借フレーズがちょっとHRをかじっている人にとってはメジャーすぎる曲なので深さが感じられないのが惜しいかなとか思ったりして。その点については、ほぼ同世代のCathedralのLee & Gaz組に軍配が上がるか。
 日本盤ボーナス・トラックとして"Burden of Dreams", "Blood of The Sun"を収録。



☆Anekdoten / Vemod (Virta Levy Virta 001 : 原盤) '93
             (Arcangelo ARC-1001 : 日本盤) '95
            (Record Heaven RHPD 2 : ピクチャーディスク) '96

 実に北欧らしくしんみりした暗さと初期Crimson風の爆発力が不思議に同居した衝撃のデヴュー作。この作品にPer WibergがPianoでゲスト参加している。日本盤タイトルは「暗鬱」。実にぴったりな邦題だ。(^^; なお、日本盤のみ10分を超える怒濤のメロトロンが素晴らしい"Sad Rain"を収録している。当時のマニアはこの曲をきくためだけに日本盤を入手したのである。しかし本当の日本盤ファースト・プレスはボーナス・トラック以外の曲の所でディスク不良があり、マニアはボーナスしかきいていなかっため気付くのが遅かったという話があったとか無かったとか。(笑)


Arch Enemy

☆Black Earth (Wrong Again Rec WAR011) '96
 北欧のバンドの殆どはアルバムリリース後大規模なTourを出来るわけでもなく時間が余るのが常である。リヴァプールの残虐王Carcassを脱退し、Spiritual Beggarsで活動していたMichael Amottが、友人であったJohan Liivaを誘ってArch Enemyを結成。攻撃的なサウンド、Amott兄弟の切り込むようなメロディアスなギターが美しい名作。ハイライトは"Bury Me an Angel"、"Fields of Desolation"であろうか。
 初来日公演や再来日など数回彼らのLiveを見たが、北欧のバンドでよく見られるような不慣れな感じはなく当時から実力が見て取れた。従ってAngela Gossowだけで今日の人気を獲得した訳ではない事は確かだ。激情型Vo.のJohan Liivaは正直言ってアルバムよりもLiveの方が個人的には好みであった。何故か巷では彼のLiveパフォーマンスは×だったという評価をよく聞くが、私の耳は通過周波数が異なるらしい。(笑)
 BURRN!誌'96/11月号のMichael AmottのInterviewを読むと実はArch Enemyは日本にターゲットを絞った作品だったことが読み取れる。この作品が話題にならなかったら多分1作のみで終わっていたプロジェクトだったのかもしれない。これを思いながら現在のArch Enemyの存在を思うと非常に興味深い。

☆Burning Bridges (Century Media 77276-2LE) '99
 3rd。私が入手したのは日本のみリリースされていた2曲のボーナス・トラック("Diva Satanica", "Hydra") + デジパック盤。個人的にはArch Enemyと言えば1stかこの3rdだ。"Silverwing"の突然メジャーコード挿入の妙、ブリッジ部と後半のスロー・テンポ部の泣きフレーズがMSGしている"Demonic Science"、新境地のDoom/Gothicムード漂う危うい雰囲気が充満しているタイトル・トラックの"Burning Bridges"がお薦め。その"Burning Bridges"にてPer WibergがMellotronとGrand Pianoで参加。哀しげで的確なプレイをしている。なお、この作品のArtworkはAnekdotenのAnna Sofi Dahlbergである。

☆Anthems of Rebellion (Century Media CM 77483-8) '03
 5th。私が入手したのはBonus Audio DVD付デジパック盤。この作品にもPer Wibergが参加している。傑作と言われている本作であるが、どうも私の耳には合わない。ようするにAngela Gossow派ではなくJohan Liiva派だったと言うことであろう。(^^; ただ、"Silent Wars"は良い曲だと思う。



 詳細は下記:
http://www.archenemy.net/japan/



☆Deranged / Architects of Perversions (Repulse Records RPS 002 MCD) '94
 Swedish Brutal Death Metalの雄DerangedのミニCDにMichael Amottがゲスト参加し印象的なギター・ソロを披露している。その時Michael AmottはSpiritual Beggarsの1st録音を終えた直後であった。なお、Derangedは'00/11に来日を果たしている。私は11/4に千葉のLookで観たが客の入りが異様に寂しかったのが一番印象に残っている。(笑)



☆Carnage / Dark Recollections (Earache MOSH 232CD) '89
 第1期Dismemberを創設したFred Estby(ds.)のプロ初リリース盤。'88に始めたDismemberが一旦解散してFredがCarnageに加入。その他DismemberのMatti Karki(Vo.)、最初期のEntombedにも加入していたDismemberのDavid Blomkuist(g.)、後にEntombedのVo.となるJohnny Dordevic(b.)、そしてArch Enemy/Spiritual BeggarsのMichael Amott(g)という、Carnageは北欧Deathシーンを支える錚々たる顔ぶれだった。しかしMichael AmottがCarcassに参加するためにCarnageはこの一作で解散の道を辿る。もたり気味でも力業で突進していくDs.は正に初期Dismember型である。(^^; 時折メロディアスなギターソロがきけるのでMichael Amottらしさが出ている。お薦めの曲は"Dark Recollections"と"Tom Apart"であろうか。
 '00に再発されたこの盤はボーナス・トラックとしてJohan Liiva Axelsson(ex.Furbowl, ex.Arch Enemy, Hearse, Non Exist)在籍時の'89「The Day Man Lost」Demo & Rough Mixes、「Infestation of Evil」Demoを収録したリマスター盤。リマスターといっても音は良くない事は皆さん想像の通り。当時の貴重な写真が見られるがJohan Liivaはやっぱり不健康そう。やはりここでもJohanはAmott君に見捨てられていた?(^^;
 プロデュースはメンバー達と共同という形でTomas Skogsberg、Sunlight Studioでの録音である。
 この再発盤のインナーにはMichael Amott回想記事が掲載されておりマニアは必読だ。



☆Dismember / Like an Ever Flowing Stream (Nuclear Blast America NBA 6018/2) '91
 音質は決して良くないが、これはSwedish Death Metal黎明期の名盤。チリチリ焼けこげるようなギターの煽りが素晴らしい。しかもたった12日間で終わらせた作品だったとは驚きである。またレコーディング最後の5時間でテンパっていた彼らはex.EntombedのNicke Anderssonにギターソロをお願いしたというエピソードが残されている。(^^;
 当時アメリカ盤は2曲のボーナス・トラック入りだったため珍しく原盤ではないアメリカ盤を入手したが、今は再発デジパック盤ボーナス入りを買った方が良いと思われる。プロデュースはメンバー達と共同という形でTomas Skogsberg、Sunlight Studioでの録音。キラー・チューンは"Override of The Overture"。メンバーフォト見て一言、みんな若くて可愛いぞ。(^^;
 詳細は下記:
http://www.dismember.se/



☆Entombed / Clandestine (Toy's Factory TFCK-88578) '91
 Dismemberと共にアグレッシヴなDeath Metalとして双璧をなしていたEntombedの名盤2nd。北欧Deathを感じる曲展開は"Chaos Breed"などで感じるが、全体的にはアグレッシブなds.と、やかましさがとてつもなくかっこいいDeathrash。ゲボゲボVo.ではないためThrasherにも大変好意的に受け入れられていた記憶がある。邦題は「密葬」。この作品にはVo.は前任者Lars-Goran Petrovに替わりCarnageのベースであったJohnny Dordevicが勤めた。お薦めは"Living Dead", "Sinners Bleed", "Blessed be", "Chaos Breed"。なお、日本盤は前EP「Crawl」から"Forsaken", "Bitter Loss"が収録されている。このEPではVo.はOrvar Safstrom。両作ともプロデュースはTomas Skogsberg、Sunlight Studioでの録音。
 詳細は下記(但し更新が停止したまま):
http://www.entombed.com/

☆Furbowl / Those Shredded Dreams (Step One Records SOR 004) '92
 ex.Carnageの我らがヒーロー(^^; Johan Axelsson、ヨハン・リーバ本格的初リーダ作品。例によってCarcass加入中のMichael Amottがプロデューサと"Damage Done"と"Nothing Forever"のギターソロに参加している。プログレ人には暗黒人Lach'n Jonssonが"Those Shredded Dreams"でViolinで参加していると言えば血眼になって探すのか?入手ははっきり言って難しいと思うので諦めよう。(^^; お薦めは9:30と冒頭からいきなり長編で突進する"Damega Done", "Nothing Forever"、そしてLach'n JonssonがDoomyなViolinが怪しげな雰囲気を醸し出す"Those Shredded Dreams"。結局ゲスト参加曲が良いのだ。(^^;

☆Furbowl / The Autumn Years (Victor Entertainment VICP-5466) '94
2nd。本作にもLach'n Jonssonが参加、共同プロデュースも買って出ている。恐らく1st同様The Forest StudiosはLach'n Jonssonのスタジオだったのではないか?そんな気がする。今作は幾分キャッチーな作りになっており、これがJohan Liivaがその後Arch Enemy加入への布石になったのかとか妄想膨らませてみたり。"Cruel World"のメロディアスな展開をきくと、なおさらそう思ってしまう。ギターの美しいメロディーとエキゾチックなJach'n JonssonのViolinが光る"Dead & Gone"はDoomyなVo.とのギャップに笑ってしまうが良い曲だ。"Weakend"できかれる音楽性に幅を見せたり、まるでParadise LostなGothicな"Still Breathing"など興味深い曲が満載だ。しかし、この作品を最後に結局Black Markレーベルから殆どサポートを得る事なくJohanはバンドを去る。残った創設メンバーのMax ThornellはWonderflowとして再出発する事に。現在はHearseでヨハンとマックスは仲良く旧の鞘に戻って活動しているのはご存じの通り。


Those Shredded Dreams


The Autumn Years




☆Lach'n Jonsson / Songs from Cities of Decay (Bauta Records CD BAR9602) '89
 LPでは「Music for The Dying Forest」としてリリースされていたが、それの再発CD盤らしい。お先真っ暗なサウンド。インナーにクレジットが見あたらないが、ジャケットを見て、これはTheodor Kittelsenだろう!と判別がつく人は必聴だ。ジャケット通りの寂しく朽ち果てていく様を見事に表現している暗黒音楽。アナログでいうところのA面はどちらかというと美し目のサウンドだが、B面の24分以上の大作"Monument"は怖いぞぉぉぉ!

Songs from Cities of Decay



 その他の北欧HRの参考資料:炎'96/11月号