A.C.T. 


 メロディアス・ハード・ロックというには余りにも幅広い音楽性を持った新人が突如Swedenから登場した時、今世紀最後の衝撃としてマニアの間でかなりの話題に上がったA.C.T。今もマニアの間でしか話題に上らないが...。バンドのメンバーが地味だからであろうか。しかし、'70s〜'80sの偉大なるBand達のエッセンスを巧みに吸収して自分達なりに昇華したバンドとして私は高く評価したい。曲はよくよくきくと複雑な展開であるが、これを感じさせない明快さ、珠玉の美旋律ハーモニーと自然な流れできかせてくれるため、ふつーのRockファンでも気軽に一気にきけてしまうという、非常に高度な技を駆使したアルバムなのである。この手法は甘めのVo.がValensiaっぽいものの、初期Queenを彷彿させるものである。また、演奏面の硬派なリフはDream Theaterを感じさせ、'80sアメリカン・プログレ・ハードを思い起こさせる一方、ワルツ風のリズムが飛び出したりする時もある。すなわち特定のスタイルに入りきれない様々な要素が程良くブレンドされた'90s〜'00s特有のサウンドである。但し、録音処理はハード・ロック・ファン以外にはアピールしない音色なのが唯一残念かなぁと。キラキラしたKey.とソリッドなギターがHR/HMをあまりきかない方に辛い面があるかも。実際プログレ中心にきくリスナーにはウケは今一歩だった記憶が。(^^; 皆若いメンバーであるものの、こんなに幅広い音楽性を持っているのは、メンバーの両親がきいていた音楽の影響が大きいらしい。
 A.C.Tは以前は前身のFairllandとしてKey.のJerry Sahlinが中心となって'94にSweden南部のマルメで結成されたのが始まりで、その後Vo.のHerman SamingとBassのPeter Aspが参加しA.C.Tのメンバーが固まる。'96にYngwieの前座、'97にThe Flower Kingsも参加したThe Gothenburg Art Rock Fes.に参加。またSwedenのHRマニアJanne StarkにDemoを送ることによって大きくクローズアップされることとなる。でも何故かSwedish Hard Rock and Heavy Metal辞典にA.C.Tは紹介されていないけどね。(^^; '99/8に行われたSagaの前座で起用されたが、Sagaのメンバーもすっかり惚れ込んでしまったという。'95以降数え切れない程Liveをやっているらしく、Liveアクトとしても優れた実力を発揮。一度Liveを見てみたいBandである。

A.C.Tの詳細は下記:
http://www.actworld.nu/
http://www.progressiveworld.net/actinterv.html
http://www.melodic.net/act2.asp
http://www.act-imaginary-friends.net/ (日本語サイト:充実した素晴らしい内容)

参考記事:
BURRN! 1999年11月号
2001年5月号
2003年2月号


☆Today's Report (Avalon MICY-1140) '99
 "Abandoned World"のイントロギターの音色と途中のギター・リフがたまたま「Images and Words」「Awake」しているが、突如摩訶不思議なメロディの洪水で心を鷲掴みにする衝撃の1st。このファンタジックな雰囲気は何と言っていいのか表現することが困難である。全体的にギターはDream Theater風であるが、これはDream Theaterと音楽背景が近いためであって、QueesnrycheとFates Warningと同じようなものである。A.C.TはもっとPopsよりだけどもね。(分かりにくい表現だったか?(^^;)兎に角全曲捨て曲無しの名盤。組曲形式の"Personaities"でこのバンドの器の大きさを充分に感じ取ることが出来るだろう。この1stは完全日本先行発売で日本盤のみ"Grandpa Phone Home"のボーナス・トラック入り。外盤ではMTMからリリースされていたがジャケットが異なる。最近Atenzia Recordsから'03/3に日本盤ボーナスと"Happy Days", "Recall"の'96のDemoを追加したリマスター盤が再発された模様。

☆Amaginary Friends (Avalon MICP-10234) '01
 1stも衝撃であったが、より幅広い音楽性に拍車がかかった渾身の2nd。Vo.を完全に生かし切った楽曲群と本物のストリングスを導入し暫し時間が経つのも忘れてしまう。個人的には彼らの今のところ最高傑作だ。個性的なVo.にぞっこんな私は非常に嬉しい。Valensia風"Hippest Flop"のPopなメロディーにメロメロ。(^^; Tomas ErlandssonのDs.も光る名曲。Sagaとの幻のTourに終わった事に対する意味深な歌詞が印象的な"A Supposed Tour"のギターがDream Theaterしているが、悲しげな美しいメロディーとストリングスが素晴らしい。めくるめく展開の"Biggest Mistake"で彼らの引き出しの多さに舌を巻く。これは名曲中の名曲と断言しても良い。今作も"Relation Ships"という組曲が収録。もう立派にProguressive Rockである。これも完全日本先行発売で日本盤のみ"New Age Polka (Demo from '96)"のボーナス・トラックが収録されている。2ndも外盤はジャケットが異なる。蛇足であるが、"Take it Easy"のイントロでNew Trollsの「Concerto Grosso Per I」を思い出すアナタはかなりのプログレ重症患者とみた。

☆A.C.T / Last Epic (Avalon MICP-10349) '03
 待望の3rd。結束力があったA.C.Tであるが、音楽性の違いからDs.はEx.AndromedaのThomas Lejonに交替。正直、今のところ個人的にはTomas ErlandssonのHRに留まらない懐があるプレイの方に軍配が上がるが、次作ではよりメンバーとして慣れてくるであろうThomas Lejonに期待したい。このアルバムは古いアパートに住む様々な人物を描いた初のコンセプト作品。ハイライトは"The Cause〜The Effect"であろうか。何とTomas ErlandssonのGirl FriendのSara Svenssonの歌声が後半に入ってくるが実にツボを得ていて素晴らしい。


Today's Report

Amaginary Friends

Last Epic


☆Locomotive Breath / Train of Events (Avex D.D. AVCB-66030) '98
 Janne Stark率いるLocomotive Breathの1st。GFRのようなジャケットに似合わず'70s〜'80sを彷彿させるメロディアスHRの隠れた傑作と言って良いだろう。Vo.のHerman SamingがA.C.Tデヴュー前に参加している。当初Herman SamingはA.C.TとLocomotive Breathを掛け持ちしていく予定であったが2nd制作を前に脱退。現在はA.C.T優先で活動している。なお、ゲストでFreak KitchenのMattias "IA" Eklundhが参加している。
詳細は下記:
http://www.locomotivebreath.net/

☆Andromeda / Extension of The Wish (Nothing to Say 3071902) '01
 Andromedaの1st。A.C.Tの2ndリリース後突如脱退してしまったTomas Erlandssonに替わって3rdの「Last Epic」から参加したDs.のThomas Lejonが在籍していた。このThomasは元々A.C.Tの熱心なファンだったらしく、A.C.TのLiveを総て見るために遠くからも駆けつけていたようである。AndromedaはDream Theaterからの影響が感じられるProgressive Metalである。但し、どちらかというとA.C.T程音楽性の幅広さはないため、リスナーはHR/HMファン層に限定されると思う。"The Words Unspoken"の押しの曲も魅力的だが、個人的にはさりげないアレンジの"Journey of Polyspheric Experience", "Eclipse"がお気に入りである。クオリティは高いよ。なお、この盤はCD1 : Definitive Extension, CD2 : Original Versionと2枚組Special盤でCD2にはSession Vo.としてEx.DarkaneのLawrence Mackroryが参加している。
詳細は下記:
http://www.andromedaonline.com/



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