Russian Rock
1999/12/31にエリツィン大統領が狙っていたように辞任し、ロシアはどうなっていくのか注目される中、我が家ではロシアのRockを再検討してみる必要があるのではないかと思い立ち、少々追記することにいたしました。
旧ソ連では信じられないことですが、公には'85年のペレストロイカまでRockは認められていませんでした。勿論会場では演奏できず、レコードに録音するなどという事は許されない行動でした。最近、1989年頃「あすの世界と日本」という報道番組(司会:堺屋太一)で「ソ連のロックと若者たち〜音楽界のペレストロイカ〜」と題した特集を放送していたVideoを見る機会がありまして、いろいろ考えさせられました。
紹介されたバンドとして、「バーバンク(Va-Bank 下記参照)」、ピョートル・マモノフ(Vo.兼詩人:当時37歳)率いるズブーキームー(BassがGentle Giantのおじさんそっくり(^^;)、異様に人気があり大会場で観客を湧かしていたユーリー・シェフチェク(当時35歳)率いるHeavy Blues Hard Rock Band「DDT」、そして、Symphonic Rockのキーボード・トリオ「ラジジェストペンヌイ・ソユーズ」が紹介されておりました。特に「ラジジェストペンヌイ・ソユーズ」は、Vo.のアンドレイ・ワシリエフ(当時21歳)とPink Floydが好きだと公言しているギターのジーマ・パレジャルスキー(当時17歳)による音楽はスタジオ練習風景でありがならもなかなかのシンフォ・ロックをきかれてくれて興味を惹きました。今どうしているのかなぁ?
それでは我が家にあるロシアのRockを再検証していきたいと思います。
ロシア音楽発信源プロスペクト・ミーラは下記参照:
http://www.prospectmira.com/
その他、興味深いサイト:
●oberiu music collection
ロシア、チェコ、アジア方面のCDショップです。サンプル音源はMonoながらダウンロードできるので参考になります。
●Lunar Society
ロシアン・メタルの日本語サイト。これは凄い。必見!
●Group Therapy
日本のジャズロックバンドGroup TherapyのHP。リーダー北田氏による連載「東欧ロック」がある。
●新世界レコード社
☆Horizont / Summer in Town (Boheme Music CDBMR 008152) '85
いつかは入手したいと思っていたが、この度中古盤特価でやっと発見したHorizontの1st。Rick Wakeman風のKey.とつんのめりそうなDs.、たおやかなSteve
Howe風のギターが素敵な"Snowball"、宇宙的な広がりを見せる"Chaconne"など魅力満載。安心してきけるテクニックも嬉しい。但し、LPで言うところの大作B面は好みが分かれるところか?いずれにせよマニア必聴の力作。
Eduard Artemiev |
☆Ode to The Bearer of Good News (МЕЛОДИЯ C60
21277 005) '84 ☆Three Odes (Electro Shock Records ELCD 030) モスクワ・オリンピックの公式盤。流石に今きくとキーボードのアレンジ、モゴモゴしたリズムなど時代を感じるものの、圧倒的スケール感、高揚感は抜群。コーラス隊の素晴らしさにも特筆もの。当時私は短波/中波のモスクワ日本語放送でききまくっていた。なお、最近ジャケ、タイトル(Three Odes)を変えてCDで再発された。CDではLPと曲名も若干変更がある上にボーナス曲もあり、しかもサウンドはCDの方がクリアなのでオススメだ。きいていると燃えてくる。冬にぴったりの音だ。これきいて熱くなろう! ☆Warmth of Earth (МЕЛОДИЯ C60 23029 000 : LP) '85 (Belle Antique MAR 99527 : CD) ロシアで1枚といえば迷わずこれ!The Boomerang Ensembleを率いてソヴィエト現代音楽の集大成ともいえる作品を残した。邦題は「地球のぬくもり」。Progressive Rockの名作としても燦然と輝き続ける大傑作。独創的、圧倒的なスケールで他の追随を許さない。 とうとう日本盤CDがリリースされた。リミックスを含み音質がCD化に合わせ?大胆に変化している。また、ボーナスとして9曲目に"Where Are You?"と10曲目に"Lonely Sali"が収録。個人的には要らなかったかなぁ?と思った。しかし、煌びやかで壮大な"Finale"での締めくくりには大満足。これぞ、シンフォニック・ロックの醍醐味である。全般的にはききこんだLP Ver.が好みの点では上だが、CD化して本当に良かった! |
Warmth of Earth |
☆АУКЦЫОН / БОДУН (SNC Records ME 1803) '95
Ruinsのようなジャケットですが、音は全く違います。 ☆АУКЦЫОН / ПТИЦА (Most CD 941) '94 アウクツィオンの鳥。ペテルブルクのグループ。 いろんなジャンルを取り込んだ切れ味のあるサウンド。これは傑作。 ☆ВИСОКОСНОЕ ЛЕТО / 1972 - 1979 (Sintez Records SRCD 00035) 英語表記ではVisokonsnoje Leto。AutographとMashina Vremeniの前身バンド。 当時の旧ソ連アンダーグラウンドHRを感じ取ることが出来る。 貴重ではあるが、よっぽどのHRマニア以外は手を出さない方が無難。 "Мир деревьев"は哀愁のイタリアン・ロックしているので、これはききどころと言える。 |
АУКЦЫОН / БОДУН |
☆Crema Torium / Double Album
(Крематорий K1-K4 : 2LP) '93 2枚組でジャケットと6人組のメンバーが若干(ここがポイント(^^;)オドロオドロで期待していたが、実際出てきた音はDire Straitsのような音であった。ヴァイオリンなんか出てきて普通のRockとしてきけばむしろ良い部類に入ると思うが、予想していた音とのギャップが激しくて脱力。皆さんもジャケットには騙されないよう気を付けよう。 ☆Gunesh / Looking at The Earth (МЕЛОДИЯ C60 21197 007) '84 トルクメニスタンの怪物。とにかく信じられないほどの展開を見せる作品。辺境マニアならずとも必聴と断言します。Eduard Artemievの次きくとしたらこれでしょう。出だしは映画のサントラのようでアレレ?と思うかもしれませんが、徐々にMagmaとCrimsonの如く爆発しまくり!しかもアラビックな曲調が異形なサウンドに拍車をかけ、手に汗握ります。これは本当に凄い!!! ☆Horizont / The Portrait of a Boy (Boheme Music CDBMR 008153) '89 ロシアにはまだまだ知られざる怪物が眠っていたことが判明した。これはマジ切れで凄い内容だ。地の底から爆裂してくる圧倒的迫力のリズム・セクションと不安げなVoiceとの絡みの幕開け。また、明確でクリアな部分と安定した重低音の対比や突如暴走気味に展開する様は見事としか言いようがない。この「The Portrait of a Boy」は2ndでシンフォニック・マニアはマストのアイテム。Eduard ArtemievやGunesh級の衝撃を味わえるだろう。独特のシンセの音色もロシアを感じさせてくれる。作曲はKey.奏者のS.Kornilovが担当。 |
Gunesh / Looking at The Earth Horizont / The Portrait of a Boy |
☆Igor Garsnek - Ansambel Data / Loomade Farm
(Boheme Music CDBMR 010173) '86 Synopsis, RujaのキーボーダーのGeorge Orwellの「動物農場」をテーマにしたプロジェクト作。絡みつくような巻き舌による歌と軽快なキーボードの妙なハーモニーはジャケットと共に辺境Rockの極致。まるで旧東ドイツのElectra+バッティアートの雰囲気を感じさせてくれるような怪作。 ☆In Spe / АНСАМБЛЬ (МЕЛОДИЯ C60 19367 001) '83 これはエストニア。爽やかなシンフォニック・ロック。 ☆In Spe / same (Easti Raadio ERCD-028) '83 In Speの1st。旧ソ連の独特なキーボードの音色が美しい。フルートとキーボードのアンサンブルの職人的な味わいに酔いしれること必至。朝靄の中で景色がうっすら見えてくるような音像がひたすら良く、今回のデジパック再発CDで存分に堪能したいところ。Kensoの「夢の丘」が好きな貴方、速攻で入手せよ。 ☆Kaseke / Poletus(LP)/Sonum(EP) (Boheme Music CDBMR 008154) '81, '83 '81のEPと'83のアルバムのカップリングCD。最後の4曲は'81のEPより。独特の透明感漂う音色は澄み切った空気のように流れていく。Margus Kappel, Olav Ehala, Priit Kuulberg, Mart Metsala, Riho SibulなどRuja, In Speの参加メンバーも絡んでいるため当時のエストニアでも群を抜いた演奏力は今きいても新鮮な息吹を感じさせる。"Elephant", まるで初期〜中期のKensoのような"Con Fuoco", "Dancer", "Unsightliness"がお薦め。 詳細は下記: http://home.uninet.ee/~mel/estprog/ ☆Little Tragedies / Porcelain Pavilion (Belle Antique MAR 01663) これは衝撃的な作品だ。実は3rdだそうで安定した演奏力で納得した次第。時折シアトリカルな語り調Vo.も音楽の幅を広げており効果抜群。孤高のオリジナリティーの高さ。ロシア然とした深みのシンフォ・ワールドの傑作。 ☆L.Subramaniam / In Moscow (Boheme Music CDBMR 909095) '88 インド人ヴァイオリニストがロシアのミュージシャンと共作した作品。当時ロシアのメロディアからリリースされていた模様。メインはJazzと思われるが、Prog.感覚できける掘り出し物のアルバム。特に2曲目はスリリングで、3曲目は壮絶な中にもお茶目な所があって、なんだか凄かった。 L.Subramaniamについていろいろなサイトを巡回してみたところ、下記のような紹介があった。 「1973年、渡来。カリフォルニア・インスティテュート・オブ・アーツで西洋クラシック音楽を専攻し、修士号を取得。東西の古典音楽の高い教養をもとに優れた作品を発表し続け、作曲家としても、インドの古典音楽を踏まえたヴァイオリニストとしても、第一級の評価を得ている。また、ワールド・ミュージックにも貢献し、数々の国際的な音楽祭の美術監督、音楽アドヴァイザーとして活躍。また、ピーター・ブルックの創作舞台『マハーバーラタ』やベルトルッチの映画『カーマスートラ』などで作曲・演奏を担当。慈善団体ヴィジ・グローバル・アーツの創設者で、芸術監督でもある。」 http://iij.asahi.com/opera/profile/l.htmlにて ☆Mental Home / Upon The Shores of Inner Seas (Century Media Records CMR7937-2) '00 5th。Key.編成の安定した演奏力を誇るHeavy Metal。様式美とは違う不思議な感覚を持ったサウンドだ。残念な所はもう少し録音に配慮が欲しかったところか。ちなみにバンドのスポークス・マン的な役割のKey.のMichael "Maiden" Smirnoffは東京築地生まれで父親は外交官。そんな訳で10年ほど日本で住んでいたためテレビアニメで覚えた日本語が完璧だそうな。(^^; 詳細は下記: http://www.rusmetal.ru/mentalhome/ http://www.asahi-net.or.jp/~uv2s-oob/travel/russia/index.html http://ww4.et.tiki.ne.jp/~sophia/japanese/review_3.html#mental_home |
Igor Garsnek / Loomade Farm In Spe / АНСАМБЛЬ In Spe Kaseke L.Subramaniam |
☆Pesniary / Gusliar (Boheme Music CDBMR 009170)
'80 '96のOrange Power誌に「ベラルーシの崇高なるロック芸術集団スニャーリ」という見出しが目を惹き、それ以来気になって仕方がない存在だったPesniary。最高傑作と噂の「Gusliar」がとうとうCD化とされた。確かにイントロなどいきなりNew TrollsのConcerto Grosso風のストリングスが入ってくるが、堂々としたある意味で美しいとさえ思ってしまう歌声(CDにはVocal Instrument Ensembleと記述されている!)とホーンセクションなど一般のRockと印象が異なり、オリジナリティの面で突出している。シンフォニックともJazz Rockとも言えない...。表現しにくい音である。 このアルバムはYanka Kupalaの詩からのもののようでCDクレジットは1曲のみの大作である。マニア必聴作品。 |
Pesniary / Gusliar |
☆Shar / Terror Collection (SNC
Records ME 1459-60) '86 ジャケットに似合わず'80s中期〜後期によく見られたような、突っ走り系のなかなかのB級スラッシュである。この手の音は皆Iron Maiden風と言われていた時代が懐かしく感じられた。(^^; Vo.のエコー処理などAgent Steelに近いかも?(^^; 記憶違いかも知れないが、Shahはテイチクから日本盤CDが出ていたような気がする。 ☆Shar / P.S.I.H.O. (Moroz Records MR-2027) '93 Sharの'93の作品。これはMind Funkのようなちょっと変なミクスチャー・スラッシュ寄りなっており、結構時代の流れに敏感な奴らと思ってしまった。結構クオリティは高いと思う。リズム隊が美味。 |
Shar / Terror Collection |
☆V.A. / ПАНОРАМА−86 (МЕЛОДИЯ C60 25131 003)
'86 Rock Panoramaシリーズの。Pop Rockが主体です。どれがバンド名でどれが曲名かはっきりしませんが(爆)、A面、B面ラストはインストでプログレ風です。これはなかなかテクニカルな演奏が楽しめます。この2曲が素晴らしいです。この2曲はдуэт электронной музыки:И.Кезля,А.Моргуновというユニット?らしいです。 たまたま昔のBURRN!('89/11月号)を読み返していたら、Moscow Music Peace Festival 1989リポートと併せてソ連のロックを特集していました。МЕЛОДИЯレコード店の写真など興味深いものが満載です。それにこのアルバムが掲載されていて、持っていたことを思い出しました。(^_^; また、MASAの今月の断言に当時のソ連のМЕЛОДИЯとブラック・マーケットの関係の記事も面白いです。HM辺境マニアは読み返してみることをお薦めします。 ☆V.A. / ПЕСНЯ БЕЗ ГРАНИЦ (МЕΛОДИЯ MEL CD 60 00430) ロシアRock/Popsのオムニバス。チークダンスやロシア語講座のBGMとしては最高。(^^; 辺境マニアは最後の2曲"ВОЛОГДА", "ЗАЧАРОВАНННАЯ МОЯ(Live)"にスニャーリ(Песняры)が収録されているのが注目だ。 |
ПЕСНЯ БЕЗ ГРАНИЦ |
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