2018 My Best 20


Album部門:


しぶ
1 Orphaned Land / Unsung Prophets And Dead Messiahs (Israel)
2 Voivod / The Wake (Canada)
3 Behemoth / I Loved You At Your Darkest (Poland)
4 Laura Pausini / Fatti Sentire (Italy)
5 高円寺百景/ Dhorimviskha (Japan)
6 The Sea Within / same (Multi-National)
7 Dave Sinclair / Out Of Sinc (United Kingdom)
8 Revocation / The Outer Ones (United States)
9 Coheed And Cambria / The Unheavenly Creatures (United States)
10 Kriegsmaschine / Apocalypticists (Poland)

11
Carol Panesi & Grupo / Primeiras Impressoes (Brazil)

12
Maria Toro / Echate A Un Lado (Spain)

13
PiNioL / Bran Coucou (France)

14
Sean Khan / Palmares Fantasy (United Kingdom)

15
Lalle Larsson Trio / Ashen Lights (Sweden)

16
Atrocity / Okkult II (Germany)

17
Bubu / El Eco Del Sol (Argentina)

18
Gsndae / Korean Tales (Korea)

19
Cabal / Mark Of Rot (Denmark)

20
Rikard Sjoblom's Gungfly / Friendship (Sweden)

寸評
 2018年も素晴らしい作品に出会えたことに感謝。なんとか20枚に絞っての選出。
(Orphaned Land)
 2018年一番聴いたアルバム。全ての面、良い意味でメジャー級の音へ格段の成長を遂げている。また、怒りのポテンシャルは過去最高ではないかと思っている。結局世の中は何も変わらないかもしれないが、表現していくことによって何か希望が持てるかもしれない、そんなプロテストソングが充満した渾身作。検閲音導入などのアイデアも見事だった。ゲストも豪華でSteve Hackettらも参加。次回は単独での来日公演を希望。2枚組仕様には過去コラボ7inch EP Boxの音源が収録されているので入手するならそちらを。
(Voivod)
 "The End of Dormancy"の演劇性、"Always Moving〜Sonic Mycelium"でのサイケデリックな浮遊感。骨まで使用など様々な楽器の起用で実験性に溢れる圧倒的な個性。見事な尖り具合。初の単独、来日公演期待大である。参考までに、2枚組仕様はPost Society EPと70000 Tons of Metal Cruise 2018のLive音源が収録されているので、入手するならそちらを。
(Behemoth)
 邪悪かつ暴虐性極まる彼らの最高作だろう。漆黒で重厚なサウンドに平伏した。また、NergalのVo.がいつにも増して強烈。少女コーラス隊導入など背徳感満載の傑作。結局2019年3月の来日は実現しないのか?
(Laura Pausini)
 イタリアを代表する歌姫。自信溢れる堂々とした歌いっぷりと、そこはかとない哀愁漂う雰囲気にイタリアを感じた。曲がとにかく良すぎて中毒性も高いね。素晴らしい。
(高円寺百景)
 なんと13年ぶりの新作。ジャケも相変わらず和を感じて素晴らしい。結局2018年は彼らを見る事が出来なかったが、2017年暮れに見たギグでは新作からの曲も披露していてその内容が素晴らしかっただけに待望だった。しかし、初期オリジナル・メンバーの久保田安紀さんが他界したのはとても哀しかった。安らかに…。なお、3/29に高円寺百景の安紀さん追悼Liveがある。
(The Sea Within)
 Marco Minnemann、Roine Stolt、Daniel Gildenlow、Tom Brislin、Jonas Reingoldとその筋のスーパープロジェクト。ヴィンテージ楽器群のアナログ的な音の意外性とDanielのVo.の表現力で単なるプロジェクト作の枠に収まっていないところが見事だった。
(Dave Sinclair)
 
現在日本在住のDave Sinclairのとっても優しい素敵な作品。豪華ゲストも現在のテクノロジーで難なく実現するので、そういった意味では良い世の中になったなぁと思う。YammyのVo.も見事。参考までに、Disk Union特典の未発表CD「That Day」は泣けるので、是非とも併せての入手を勧める。
(Revocation)
 Death、Voivodなどの影響を公言して志が高かったので、試しに聴いてみたら見事な作品で打ちのめされた。野蛮な雰囲気がするVektorよりもかっちりとした音作り。ハイテクニックでありながらも楽曲もかなり練られていると思う。但しジャケのグロさ具合はあまり感じられない。過去来日経験ありのようだけど完全見逃していた。再来日希望。
(Coheed And Cambria)
 C&Cは一定のクオリティーがあって、あとは何度か聴いてジワジワはまるか否かにかかっているのだが、この作品は正にスルメ的な味わいのある充実作だった。欧米と日本でのファン格差が著しいので、もう来日は難しいと思うがまた見たいなぁ。なおこの音源、近所にCD店がなく、輸入盤店に行っても見つからなかったので結局サンプルレート88.2kHz、サンプルサイズ24bit仕様のダウンロードで購入。過去ランキング初のフィジカルCD以外での選出であるw
(Kriegsmaschine)
 Mglaのメンバーが絡んでいる邪悪極まりないPolandのBlack Metal。漆黒重金属音楽の決定盤。
(Carol Panesi & Grupo)
 Hermeto Pascoal参加。爽やかな南米のそよ風が吹くようなウットリする見事な作品。2018年にHermetoが参加した作品で聴いた中で一番気に入ったのはコレ。
(Maria Toro)
 こちらもHermeto Pascoalが参加しているというので聴いてみたスペインのフルート奏者コラボ作。スピーディーに駆け抜ける曲調がとにかくカッコイイ硬派な作品。
(PiNioL)
 Primus + Happy Familyでダークな疾走感が素晴らしい。ギグを見たい音である。
(Sean Khan)
 こちらもHermeto Pascoalとのコラボ作。躍動感ある曲がとても気持ちイイ。2018年はHermeto Pascoal翁の精力的な活躍が著しい事が分かった。喜ばしい。
(Lalle Larsson Trio)
 キレの良さは相変わらず抜群でやっぱり彼の作品群は好きだわ。実はあんまりAllan Holdsworthを意識して聴いていませんが。
(Atrocity)
 Leaves' Eyesでとうとう初来日するAtrocityの面々。やれる音は何でもやって1周回って近作はブルータリティ溢れる作品回帰でガッツポーズしている私。Leaves' Eyesでの来日だけどバックの演奏期待している。
(Bubu)
 なんと40年ぶりの新作!である。実は2016年にミニアルバムをデジタル音源でリリースしていたが、それらの曲を生まれ変わったような完成度に高めていたのにも感動。
(Gsndae)
 「Depressive Suicidal Black Metal Guidebook」の紹介で興味を持った。CDリリースが無さそうだったので、仕方なくダウンロードで聴いた。Primitive Black Metalに韓国伝統音楽のサンプリングを絡めた、奇妙な音楽を奏でており、どこまで本気なのか分からないが根詰め度はMaxであることは分かった。金石出のシャーマン音楽と共に聴くと興味深いと思う。
(Cabal)
 コペンハーゲンの漆黒Deathcore。Djentに突き刺さるアヴァンギャルドなギターにシビれた。
(Rikard Sjoblom's Gungfly)
 レトロな音色をモダンなアレンジでまとめあげる職人としてRikardを注目しているが、今作もひっそり素晴らしい作品をリリースしてくれた。もっと表舞台に出ても良い気がするが地味かなぁ?



もも
1 Voivod / The Wake
2 PiNioL / Bran Coucou
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寸評
MONKEY MAJIK×サンドウィッチマン / ウマーベラス

 2019年、ついに単独公演が実現するVoivodの新作、頭おかしくて良いです。前作同様、まずPVからアルバムの世界に入りました。それにしても"Iconspiracy"のPVは、Awayの世界観をよく消化して作り上げられた傑作。そして音楽。どうしてもPiggyという唯一無二のギタリストの後釜、ということでChewyに注目してしまいます。でも彼はPiggyではないので、「Piggyがもし生きていたら」ではなく「ChewyというギタリストがVoivodの歴史の上に新しい物を積み上げた」音を作りました。"Sonic Mycelium"のストリングパートは、彼じゃなければ生まれなかったでしょう。とはいえ、そこここにPiggyへのオマージュと思えるリフもありますね。一番印象に残ったのは"Always Moving"の中間部の不協和音のリフ。ストラヴィンスキーの「春の祭典・第1部 大地礼賛:春のきざし-乙女達の踊り」ぽくないですか?Piggyは「Nothingface」収録の"Pre-Ignition"で、同じく「春の祭典」(第1部 大地礼賛:敵の都の人々の戯れ)からリフを書いているのですけど、それを彷彿させてます。これが書きたくて長くなりました(笑)。このアルバムは「プログレメタル」に分類されると思うのですが、これ見よがしの演奏テクニックに頼らず、とことんコンセプトを突き詰めた作り方がユニークだし、とにかくスゴイ意欲作であることは間違いないです。

 PiNioLは、PoilとNiという、フランスの2バンド合同の作品だそうです。恥ずかしながら、どちらのバンドも知りませんでした。PrimusがMeshuggahを演奏しているような、骨太なリフ攻撃が気に入りました。Happy Familyが好きな人にもお勧めです。Vo.が好み分かれるかな?

 他に期待の新譜もあったけれど、気に入るまでには至らず…。そんな中、予想外にハマったのは
MONKEY MAJIK×サンドウィッチマン の「ウマーベラス」でした。自分でもビックリよ(^^;)。単純にカッコイイ曲だと思ったのと、PVのEarth Wind & Fireへのトリビュートっぷりが清々しかったです。現実逃避的なところもありますが…。ここからMONKEY MAJIKにハマれたら、また新しい世界が広がったのかもしれなかったのですが、そこまでは至れませんでした(一応何曲か聴いたのよ)。

 「新しい音楽を聴かないくちゃ」という強迫観念と「好きな音楽だけ聴いてれば楽しいじゃん」という本音の狭間で苦しんだ1年だった気がします。だってポストロックとか、もや〜っとしたモダンなプログレとか言われてる音が苦手なんだもん。楽しめないのは感性が古いから?単なる好みじゃないの?逆に、Jan Johansson(1960年代)について掘り返していた時の方が面白かったな。「プログレ」という名称に恨みを覚えますね。あとThe Flower Kingsがかなり残念な状態になってしまったので、悲しくてやりきれない。

 やりきれないというと、久保田安紀(ex-高円寺百景、Bondage Fruit、etc)死去のニュースは大ショックでした。彼女を知ったのは筋肉少女帯のバックコーラスをやっていた頃。出番は少ないながらも神々しくもパワフルな声を響かせていて、とても印象に残りました。「夜歩くプラネタリウム人間」(「月光
」収録)ではオーケンとVo.パートを分け合い、武道館(「三年殺し」としてリリースされてるライブ)でその姿を見た時は、案外若い人だったのだと思いました。
 その後、Bondage Fruitというバンドにいることを知り、吉祥寺まで観に行った日が彼女がバンドから脱退する日でした。身近で歌う姿を観たら美しくて、格好良くて。BFを脱退した後もジョリーン(多分一回きりのユニットだったかと)とかアントニオ・ムスクーロ、新宿アキのライブなどを観に行きました。
数年前にご主人の転勤か何かで福岡へ引っ越しをして、ミュージシャンを引退したと知りました。非常に残念でしたが、体調が悪かったらしいので、まずは彼女の回復を願いました。でもガンだったなんて…。
 プログレを聴き始めて、まだプログレ雑誌だった頃のmarqueeを買い、聴く音楽がメタルから大きく外れ始めた頃に、さらにディープなライブハウスの世界に誘ってくれた存在が
安紀でした。筋少やBFのオペラヴォイスを聴く度に、私は彼女の凛々しい姿を思い出すでしょう。陳腐な表現ですが、私にとっては女神のような存在でした。



Live部門:

しぶ

もも

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King Crimson (12/07) 1 ---
Marillion (09/15,16) 2 ---
Camel (05/19,20) 3 ---
Steven Wilson (11/06) 4 ---
Leprous (01/30) 5 ---
(King Crimson)
 約1ヶ月間の長期来日公演で東京公演はSS席抽選全てハズレ、結局見られたのは金沢公演のみだった。セトリは個人的に東京3日目が最高、金沢公演の第1部の"Indiscipline"に鳥肌立つも、第2部あっけなく終わった感などあるけど、充分納得の内容。また下記の思い出深さを含め、総合で堂々の1位だね。
・ロイヤル・パッケージでのFripp、煙に巻く講釈で通訳者が頭抱える
・ロイヤル・パッケージでのPat Mastelottoへの戦慄質問に対する回答
・約20年ぶりに旧友、地元の知人と会えたこと
・プログレ割烹貸し切りで朝方までレッシャー達とプログレ馬鹿話したこと
・金沢の町の雰囲気
(Marillion)
 2017年来日公演が大盛況、日本に沢山の熱心なファンがいたという事を理解してくれたのか間髪入れずに再来日。全盛期の彼らを見られる事は至福。これからもアルバム・リリース毎に来日して欲しいね。ただし、海外でのWeekend Liveと趣向が違っていたのは個人的に疑問だったけどな。(^^;
(Camel)
 名作「Moonmadness」の完全再現も良かったけど第2部の選曲が良かったなぁ。Rose of SharonやIceが聴くことが出来てホント良かった。
(Steven Wilson)
 2006年の招待タダ券乱発のPorcupine Tree & Robert Frippでの東京公演の寂しい入りは何だったのか?ほぼソールドアウト状況だったのが嬉しかったね。また、予想を上回る低音爆音で驚いた。まぁ、RAH公演のBlu-rayを見ちゃうとコンパクトな内容だったけど、次の来日繋がる素晴らしい公演だった。
(Leprous)
 たった1回のみの単独公演。過去見てきた中でも最も充実していた内容で上昇気流に駆け上がっている姿を見られてホント良かった。曲間はSEとVisualで繋ぐアートな指向となっており、殆どMCがないまま進んでいったが、EinarのVo.の説得力も抜群であった。願わくばチェロ奏者も連れて欲しかったところだがあの客入り状況では予算が持たない…。この点は残念だったな。

寸評
棄権

印象に残っているライブは
Orphaned Land / Myrath (04/22)
山本恭司 (05/04)
Sons of Apollo (09/12)
辺りで。

 特に山本恭司。「弾き語り・弾きまくりギター三昧」というタイトルが付いていた通り、サンプリングは使うものの、ギター1本で聴かせるライブでした。その技の多彩さや正確さとか、創造力など、長年第一線で活躍している大御所の底力を見せつけられました。あと、案外歌声が太くて魅力的でした。しかも大御所なのにフレンドリー。あれは、長年ファンをやっていそうなお姉さん達の目がハートになるのは分かる。
 Orphaned Land / Myrathはペイガンメタルのイベントで観ました(あと3バンドくらい出演してました)。エキゾティックな風味とメタルの融合については、Orphaned Landのクオリティは群を抜いてますね。Myrathは、ラウドパークでは殆ど観られなかったベリーダンスもしっかり堪能できて楽しかったです。
 Sons of Apolloは「プロの仕事を観たなぁ」と感心。猛者が集まっている割にはイマイチ華がないんだけど(^^;)。

 北関東に引っ越ししまして、音楽に限らず、面白いイベントは都内に集中してることを痛感しました。それでも日帰りできる程度の距離だから、まだ恵まれてるのかなぁ。


<しぶGig観戦済メモ>
 東京公演見るのは毎度VIPパッケージ値段と同じぐらいの費用となってしまう場所に引っ越ししたためLiveを見る機会が激減。ここ10年では最も少なかったのではないか?

01/10 Premiata Forneria Marconi @ Billboard Live Tokyo (1st Stage)
01/30 Trooper Entertainment Presents Leprous @ 渋谷Club Quattro
02/10 バスクのスポーツワンマンライブ凹・プリズムパワー、メイクアップ! 月がかわって如月よ! @ 下北沢Shelter
04/13 Obscura, Archspire, Exocrine, Xaon @ 渋谷Cyclone
04/22 Pagan Metal Horde Vol.3 (Orphaned Land, Myrath) @ Space Odd
05/04 山本恭司 弾き語り・弾きまくりギター三昧 @ 水戸ガールトーク 
05/09 Le Orme Japan Tour 2018 Felona & Sorona + Hits @ マイナビBlitz赤坂
05/19,20 Club Citta' 30th Anniversary Progressive Rock Invasion Vol.1 Camel "Moonmadness Tour 2018" Entirety and Other Classic Songs@ Club Citta'
06/23 バスクのスポーツワンマンライブ「幸せ翁計画」@ 下北沢Garage
07/18 Marquee presents Symphonic Night Vol.3 The Atoll and The Southern Cross - サンゴ島と南十字星- Atoll / Mario Millo Band @ Tsutaya O-East
07/28 Remission, Earth Rot, Bloodshot Dawn, Taake @ 渋谷Cyclone
08/19 壷井彰久弾き倒し!  〜音単価下げっぱなし〜 (Trinite, Era, KBB) @ 天王洲アイルKiwa Tennoz
09/12 Sons of Apollo Japan Tour 2018 @ 恵比寿Liquidroom
09/15,16 Club Citta' 30th Anniversary Progressive Rock Invasion Vol.3 Marillion - Japan Tour 2018 - 「ウィークエンド・ライブ」@ Club Citta'
09/17 Jan Lundgren Trio @ 杉並公会堂大ホール
11/02 Tenebreae Solemnis Vol.7&8 (Atrexial, Samael, Gorgoroth) @ 渋谷ストリームホール
11/06 Steven Wilson Live in Tokyo 2018 @ Ex Theater Roppongi
12/07 King Crimson Japan Tour 2018 Uncertain Times @ 北陸電力本多の森ホール



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