Lars Hollmer

 S(Z)MMのメンバーの中ではもっともコンスタントに活動をしてきたのが彼。さらに詳しくは「Andetag」日本盤の本人による年表を読みましょう!すっかりアコーディオン魔人になってますが、もっとピアノも弾いて下さいよう。
 2000年12月に初来日を果たしました。

【Lars Hollmer来日記念特別ページ】

☆Vill Du Ho¨ra mer? (Urspa゜r KRAX-1) '82
 ソロの2nd。いきなり「イエーィ」だし"Indojazz"なんてインチキ臭い曲はあるし、でもまぁいいか、と許してしまう。ジャケット通りの「おもちゃ箱」サウンド。キーボード類の音色が多彩です。

☆Fra゜n Natt Idag (Urspa゜r KRAX-2) '83
 3rd。
1曲目の歌い出しこそズッコケてしまうが、全体の演奏は手堅いです。愛らしいメロディーはそのまま、突然の「ドンガラガッシャーン」もほとんどありません。和みます。Hollmerが全パート担当。

☆The Siberian Circus (resouce rescd-502) '93
 
1980-1988年までに発売されたソロ5作から数曲ずつ収録されたベスト盤。入門用。

☆LOOPING HOME ORCHESTRA/LOOPING HOME ORCHESTRA"LIVE 1992-1993" (VICTO CD024) '93
 
LHOバンド名義。タイトル通り集大成的ライブです。元S(Z)MMのLars Krantz(B)、Eino Haapala(G)や、大御所Fred Frithも参加しています。密室的なスタジオ盤の音に比べかなりダイナミックな音です。人懐っこいメロディ盛り沢山、でもオチョロケは少ないからシリアスなファンもぜひ!

☆XII Sibiriska Cyklar (Resource Rescd 512) '94

 Hollmerの初ソロ作品である「XII Sibiriska Cyklar」(1981)と「Vill Du Ho¨ra Mer?」のカップリングCD。Hollmerワールドの原点を確認するにはまずここから。

☆Vandelma¨ssa (AYAA cdt 1093) '94
 
83年に作られた結構古い曲なども入ってます。S(Z)MM時代からレコーディングに使われていたスタジオ「Chickenhouse」のリニューアルに関するHollmer直筆の文章と、その部屋の様子の写真がインナーに載せられています。自分の父親がこんな部屋にこもっていたらちょっと怖いです。95年にnewヴァージョンが出ているらしいです。聞いてないよぅ(涙)。

☆Andetag (KRAX 10) '97
      (Arcangelo ARC-3002) 国内盤 '98
 シンフォニック・ロックにも通じるようなアレンジは今までになかったものですが、その根底にあるHollmer節は変わってません。「おいおいっ」と裏手で突っ込みたくなるSEもあれば、思わずホロッとくるメロディーあり。インナーのイラストも素晴らしいです。傑作!

☆Lars Hollmer (resource rescd-517/518) '98
 
CD化されていなかったソロ3作( 「Fra゜n Natt Idag」「Tono¨ga」LHO名義の「Vendeltid」)をボーナスも含めて2CDにまとめたもの。

☆Utsikter (KRAX 11) '00
 一聴マニアックな感じがしました。前作「Andetag」に比べるとシンフォ的な派手さが完全に撤退し、今までのソロ作品のようなアコーディオンを中心とした素朴な音、プラスヴァイオリンの華やかな音。曲によってはVon Zamlaを思わせるチェンバーナンバーも。考えるに、Utsikterでツアー活動をしているうちに、ヴァイオリンの使いどころを彼なりに消化した上で現れた変化だと思われます。
 とはいえ、どこを切ってもいつものホンワカHollmer節。シリアスすぎず、オチャラケ少し。今作は特に美しいメロディーを生かすために、周りの音を選びに選んだ感じがします。
 「Andetag」までの可愛い音楽、変な音楽、泣ける音楽、よく分かんない音楽を通過してきて、自分の音楽への視野がかなりはっきりしてきた、あるいは新たなステージを迎えたと言うところでしょうか。ジャケットによく使われていた「窓」から、外へ。
 そういえばutsikerの意味は「views」だそうです。

Utsikter
Utsikter

☆Autokomp A(nd) More (KRAX 12) '01
 2001年来日記念盤。80年代のソロ曲の未発バージョン、別ミックス、未発曲などが収録されもの。なので最近のシリアス路線ではなく、いわゆる「おもちゃ箱をひっくり返した」ような音です。息子さんとのデュエットもなかなか微笑ましい。
 このCDは来日公演を行ったTLGとStar Pines Cafeの両会場のみでの発売されました。500枚限定生産。(Hollmer直筆ナンバリング入り)ジャケはHollmerの愛娘Rindaさんのイラスト。味あり過ぎ。
(でも柏のユニオンで売ってるのを目撃。)

☆SOLA Lars Hollmer's Global Home Project (Krax 12+1 / Tutinoko TUTI-0002) '02
 シットリと聴かせる最近のHollmerのソロの中では、かなり異色のアルバムではないだろうか。その原因は吉田達也のドライブ感溢れるドラミングにあり。ロックしているのだ。ストレートな音に、去年の来日公演と曲目がほぼ重なっているので、コレを聴いて来日公演のデジャ・ヴに包まれる人もいるだろう。アカデミック臭さを感じさせないニートな演奏(個人的にはこの辺りが日本的かと)に、百戦錬磨のミュージシャン達の実力を感じる。中でも向島のヴァイオリンはHollmerの曲と相性が最高!すでに何度か録音されている曲も多いにも関わらず、味わいがにじみ出てくるのは楽曲の力ですね。
 バンドを自主練習地獄に陥れた(笑)因縁の曲"Parallell Angostura"はLHOでは荘厳な印象だったが、このアルバムのヴァージョンは不思議な浮遊感があって、また違う印象の曲に仕上がった。一部RUINS化はリベンジ完了の印か(笑)。
 "Yrsa Requem"は去年亡くなった愛犬に捧げる鎮魂歌。ボーナストラックは2000年来日公演で演奏された"Hoppas Att Det Ga゜r "。

☆Lars Hollmer Yuriko Mukoujima Duo Live and More (Krax 15 / Tutinoko TUTI-00026 '03
 2003年3月のライブが好評で、同年の10月には北海道と東京で公演が行われたHollmerと向島の最強ほのぼのタッグ。2人の相性の良さはすでにライブでも証明済みですね。
このアルバムは3月のライブと"Tama-chan Snoa"、"Wave to C"新曲2曲を含む変則ミニアルバムで、ジャケットの絵はお馴染みとなったRinda嬢の力作です。ライブに来なかった人はこのアルバムを聴いて雰囲気を味わってくださいね。愛だろ、愛。
Autokomp
Autokomp A(nd) More


SOLA

☆Fanfare Pourpour & Lars Hollmer / Karusell Music (Monsleur Fayteux MFMV?16 / Krax 16) '07
 カナダ・モントリオールのビッグバンド(というか、ブラスバンドかな)Fanfare PourpourとHollmerが、Hollmerの過去の曲をリアレンジし、録音したアルバムで、未発表曲が1曲含まれている。
 Fanfare Pourpourは1974年にモントリオールで結成されたL'enfant Fort Inというストリートバンドが母体になっているらしい。バンドとHollmerとの共演は2004年のFestival International De Musique Incroyableが初めてのようだが、FPPの音楽監督をしているJean DeromaはLooping Home Orchestraに参加したことがある。(Lars Hollmer来日記念特別ページこの写真はその時の物だと思われる)
 作品を聴いた印象は、チェンバーロックの生真面目さがあったLHOの演奏や、カッチリとしているようで意外と粗野な味があった日本のSOLAとも違い、底抜けに陽気で楽しい。もの悲しい"Arvevals"まで楽しそうだし"Avlagsen Strandvals"と"Experiment"は大人数編成ならではのコーラスが愉快である。
 曲目は以下(()内は収録アルバム):
Annu Ingen Pelle (Tonoga)
En Grekisk Faster(未発)
Ante Flottar Ja Te Sjoss (XII Sibiriska Cyklar)
Arvevals (Tonoga)
Karusell Musik (Vendeltid)
Inte Quanta (Fran Natt Idag)
Avlagsen Strandvals (XII Sibiriska Cyklar)
Skiss Mellan Brest och Segosero (Tonoga)
Experiment (Vendeltid)
Cirkus-2 (Andetag)
Cirkus-2 (Andetag)
Sarasnoa (Vandellmassa)
Eyeliner (Vendeltid)
Det Maste Bli Gjort (Lars Hollmer Bonus truck)
Boeves Psalm (XII Sibiriska Cyklar)
Pompen (Vandellmassa)
Simfageldans (Tonoga)

☆Viandra (Arcangelo ARC-3008) '07
 Hollmer氏久しぶりのソロ作。前作の路線を引き継ぎつつ、もう少し内省的な印象を受ける。Disk Unionで購入すると、LHOの「Live 1992-1993」収録に収録されている"Franklat"のオリジナルテイク「Franklat original 1992」が貰えるよ。その他、詳しくはライナーで(わはは)。Lars Hollmer来日記念特別ページに、『「VIANDRA」解説を書くにあたってのメモ兼Lars Hollmer活動記録』をアップしましたので、よろしければお読みください。

☆With Floury Hand (sketches) (Cuneiform Records RUNE 340/341) '12
 Hollmer氏の死後4年近く経って、ご子息Gabriel Strand Hollmerによって監修された作品が、愛娘Rinda Strand Hollmerのカヴァーアートに包まれてリリースされた。未発表曲はいっぱいあるんだろうと思っていたけど、まさかCD/DVDとちゃんと形になって、商品として買えるようになるとは想像もしていなかったので、本当に驚いた。
 一聴して、「Vandelma¨ssa」を思い出した。未発表曲集という、まとまりのなさもそうだけれど、「Utsikter」や「Viandra」のようなシリアスさは後退していた。よく彼の音楽の形容詞として使用されていた、「おもちゃ箱をひっくり返したような」ゴチャゴチャ、楽しい感じが復活していた。Gabriel氏の解説によれば、80年代のデモも2000年代のデモもごっちゃに収録されている。でもすべてが、時代の空気に汚染されることなく「LHの音楽」として聴くことができる。彼は自宅にChicken Houseというスタジオを持っていて、そこに籠もって曲を作っていたと思うんだけど、70年代も2000年代も、「スケッチ」に利用していた機材は大して変わらなかったんじゃないだろうか。(勿論、作品として体裁を整える時は、いろいろ新しい機材も使っていたと思うけど。)どれを聴いても「彼の音」なので、ホッとして聴けるけれど、SOLAでも演奏された"Tivolimarsch"がやっぱり良いなぁ。一筋縄ではいかない展開、愛らしくもねじれたメロディ。"Antilobo"のエセトロピカルもたまらない。"Tages"は、SamlaやVon Zamla「1983」のジャケットを手がけたTage Asenに捧げられた曲。
 DVDはライブが2つ収められている。ポルトガルのプログレフェス、Gouvereia Art Rock Festival 2005では、ソロ、Michel Berckmans (Univers Zero)と共演、そしてMiriodorのゲストとしても1曲演奏している(全11曲+インタビュー)。もう一つはスイスはHeuwiesseでのライブで、現地のミュージシャンFizze (accordion)と共演している(全7曲)。多分YouTubeを探せば出てくる映像だとは思うが、ソロアーティストとして正式にリリースされた映像は、この付属DVDだけではないかなぁ。映像はちょっと粗めだが、音質は良好。靴下でリズムを踏む茶目っ気たっぷりのHollmer氏を観たい人は入手しよう。
 Disk Unionから発売されている日本盤には、大熊ワタル氏のライナーが付属していて、そこでしか読めないようなHollmer氏の生い立ちとか音楽経歴が読めるので、日本盤購入をお勧めしたい。

 ちなみに、スウェーデン語のタイトル「Med mjo¨lad hand (skisser)」は、英語タイトルと同じ意味である。2007年の晩夏、このスウェーデン語のタイトルを教えてもらい、「どんな意味だと思う?」と本人から聞かれた。当時、独学でスウェーデン語を学んでいた自分は、辞書を引っ張り出して、足りない頭で考えた。「粉だらけの手はキレイじゃないけど、多分、彼が作るパンは美味しいそうだね。あと、この人は試行錯誤をしてると思う。」と答えると、彼はその答えを気に入ってくれたようだった。良い思い出です…。

☆Panta Rei / same (Asid Symposium AS009) '73
 ジャケのインパクトが強烈なので、聴かず嫌いされている方が多いと思われるPanta Rei唯一のアルバム。内容はまっとうなので、恥ずかしがらずにレジに向かって欲しい(^_^;)。
Lars Hollmerが一曲目"Five Steps"の作曲に関わっているが、演奏はしていない。ファンキーなブルーズロックで、Thomas Arnesenの伸びやかなギターソロが気持ちよい。ThomasはCoste Aptreaが加入する以前にSamlaのメンバーだったことがあるらしい。他の曲もブルーズを基調にした少しサイケがかった雰囲気。スウェーデンの、のどかというか、たおやかな空気感が好きな人には気に入ってもらえるだろう。歌詞も英語で歌われているので取っつきやすいと思う。
ブックレットなどでは全5曲と表記されているが、CDプレイヤーの表示は6曲。5曲目の"The Knight"が13:45の長さがあるのだが、2曲に分けられてしまっている。

☆Fem So¨ker En Skatt (KRAX 9) '95
 演ってることは、S(Z)MMの項で紹介した「Ramlo¨sa Kva¨llar」に近いのですが(メンバーも殆ど一緒)、音がもっと軽めです。裏ジャケットにはダンスするカップルがいるライブハウスの写真が使われていますし、眉間にしわを寄せて作ったものではないことは明らかです。半分はライブ録音。Hollmer、裸足です。SaxにThe Flower Kings等にゲスト参加しているUlf Wallander

Panta Rei

☆Accordion Tribe/Bratko Bibic,Lars Hollmer,Marria Kalaniemi,Guy Klucevsek,Otto Lechner (Intuition INT-3220-2) '98
 
文字通りアコーディオンアンサンブル作品。上記の順番で、Nimalの人、説明不要、元Niekku、ポルカしかないぜ、北欧トラッドの人。良く知らないんでこんな説明ですみません。Hollmerファンなら黙って買う!

☆Accordion Tribe / Sea of Reeds (Intuition INT-3327-2) '02
 2nd。ひたすら渋くアコーディオンを演奏しています。女性ヴォーカル入り。Hollmer氏の曲は、演奏者が変わるとがらっと雰囲気が変わりますね。前作を気に入った人はゼヒ。

☆Accordion Tribe / Lunghorn Twist (Intuition Music INT 3389 2) '06
 LarsのプライベートスタジオChickenhouseで録音された3作目。前作と比べると軽やかさが戻ってきたような印象。3拍子の曲が多いのだけど、テンポによって随分と雰囲気が変わるもだ、と思った。Larsは過去の作品から"Pompen"(/Vanderma:ssa)、"Quickstep"、"Na^t"(/Utsikter)と"Soonsong"の4曲を提供している。特に"Soonsong"は、「Fra^n Natt Idag」ではシンセサイザーで演奏されていたので、アコーディオンで演奏されるとさらに安らかで優しい曲に変わったと思う。
他のメンバーからの曲も、どれも面白いのだけど、特に印象深かったのはMaria Karaniemiが提供した2曲。"Heimo"は北欧の爽やかな太陽の光を感じるような高音(おそらくメロディカ)と、大地を思わせるぶ厚い低音のコントラストが見事で、"Tuudittele"(trad)はMariaがVo.を取っている唯一の曲で、ドローンが冷涼な空気を作り出している。
Guy Klucevsek提供の"Fez Up"は「Flying Vegetables of Apocalypse (1999)」からの曲と思われるが、他の曲の出展は分からなかった。

 詳しくはこちら:http://hoedown.com/main.site?action=siteupdate/view&id=5

☆Volapu¨k / Polyglo¨t (Cuniform Records RUNE 134) '00
 フランスのチェンバーロックトリオ。Hollmerは"Voila Pu¨k"という曲(「Utsikter」にも収録)を提供、自らアコーディオンやメロディカを演奏している。バンドは違えどHollmer節。でもこのバンドの雰囲気にとても合ってると思う。
 暗黒Cro Magnon・アジアン風味?と思ったら、After Dinnerのヴァイオリニスト福島匠がゲストで参加していた。暗黒といってもサラッと聴けるところがフランスかな。良いです。

☆Miriodor / Parade + Live at NEARfest (Cuniform Records RUNE 208/209) '05
 カナダのフランス語圏ケベック州のベテラン・チェンバーバンド。Hollmer氏は"Talrika"、"Bonsai Givre"、"Foret Dense"の3曲に参加している。"Talrika"はHollmer氏のオリジナル曲。チェンバーロックファンには安心してお薦めできるクォリティだが、Hollmer氏のトラッドサウンドを求めると少し期待外すかも。しかし「この曲で弾いてるだろ?」と一聴して分かる独特のアコーディオン(特に低音部)は健在。
 ボーナスディスクは2002年に出演したNEARfestでのライブ音源。当日演奏された13曲丸々収録されている。無機質、かつ、おどろ可愛いサウンドがタイトな演奏で繰り広げられている。このライブは楽しそうだな。
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Volapu¨k / Polyglo¨t