アンコール
前回までのオープニングを飾っていた"Force Ten"がここで登場。不思議な浮遊感とスリリングな展開が観客を引き込んでいく。疾走感あふれるドラミング。ボトムを押さえつつもカラフルなベースライン。クリアーとノイジィを巧みに使い分け、曲に奥行きを与えるギター。そしてどこまでもまっすぐなヴォーカル。緩急織り交ぜてドラマティックに盛り上がるこの曲もRUSHの真髄を見せてくれる。この曲だけでなく、SEが曲の重要な部分を担うような曲では、PAシステムが多少変わったものだった。ステレオではなく(PINK FLOYDもツアーで使っていた?)サラウンドで、360度思わぬ所から声が聞こえたり、SEが流れたりしていた。座席の位置のせいか、ステージ上の音とのバランスが良くなかった。これから改良すればヴィジュアル効果に加え、さらに面白い効果が楽しめるだろう。
竜巻のごとく観客を飲み込んだRUSH、追い打ちをかけるように、とどめは究極のインスト"YYZ"でやってきた(代わりに"La Villa Storangiato"がなかったのね)。なんてひどいんだ、こんな選曲をするなんて。鼻血を吹いて倒れるかと思ったわよ、ホント。同世代、または年上のミュージシャンなど、かつてのテクニカルなフレーズをごまかすことが多いなか、RUSHはそのまま完璧に演ってくれた。ベースソロが終わった途端、隣の兄ちゃんと"Geddy!"と叫びましたわ。今でも彼はロックベーシストのアイドルなんだ。前回のセットに入っていなかったので二度と聴けないと思っていたから凄くラッキーだった。
「Thank You!」と、ステージから去っていくメンバー・・・。
アンコールの拍手もむなしく客電が付き、観客も次々と席を離れていく。今まで見ていたものは何だったんだろう。幻?蜃気楼?夢のような・・・。とにかくロックトリオの頂点の名に恥じない完璧なアンサンブルと、観客を置いていかないエンターテインメントの真髄を見たのだ。それは間違いない。
「RUSHを観に海外へ」なんて、もう二度とないかもしれない。だがAlexは「次の20年までバンドをやっていたいね」と言っているのを読み、思ったね、「信じていいんだな?」(笑)。あと20年なんていったら彼らは60のジイさま方で、私は40のオバサンだよ。それでも音楽をずっと好きでいたら、彼らがRUSHらしくあり続けてくれるなら、きっとまた会えるね?
RUSH SETLIST |
オ・チ
コンレポをかこうとポケーッとしていたら飛行機に乗り遅れてしまった(T_T)。バカ。Northwestの親切なオペレーターのお姉さんにホテルをとってもらい、そこでこのレポートを書き上げた。
今、ラジオからRUSHのクラシックが流れている。ラジオに慰められているようだ。出来過ぎだな(笑)。まぁ、こんなことでもなければHILTONホテルに33$で泊まることもないしね、と開き直った。運命の女神も捨てたもんじゃない。
なんで、私、こんなに冷静なのかな??
1994/3/27 デトロイトにて
1999/3/25 改訂