Shin JoongHyun

 Shin JungHyunは韓国Rock/Pops界ではゴッドファーザー。'60sから活躍し数々のアイドルなどをサポートしてきた韓国のドン的存在。最近Shin JoongHyunの再評価が本国でも高まっており、Boxや紙ジャケで再発されてきている。我が家にも結構マテリアルは揃ってきたので簡単に紹介してみたい。Shin JoongHyunは本国のみならず世界のサイケ・マニアにも評価が高くオーストリアの辺境読本「1001 Record Collector Dreams」でも取り上げられている。なお、最近Cheol氏に会った際にShin JoongHyunの近況を教えてもらったが、すっかり中年太りになっているそうである。(^^;


Shin JoongHyun & Yup Juns

☆Vol.1 (Jigu Records JCDS-0451) '74
 韓国Rock黎明期のサイケ/ビート色の強い音である。韓国Rockのアクの強さではNo.1。わたしゃ、最初きいたときは椅子からずり落ちちゃったもんね。でも慣れてくるとギターがかっこいい事に気付いた。ジャケも強烈!

☆Shin Joong Hyun / 大韓民国楽音楽人 (Jigu Record JG-1) '02
 韓国のゴッドファーザー、最早人間国宝と言って良いShin Jung Hyun(Shin Joong Hyun - 韓国人は英語表記結構適当に日によって変えているみたいで?正確な記述をすることを無意味/気にしていない感じが...。(^^;)の究極のBoxが登場!4CDにボーナスCDが付いた5CDである。このBoxをきけば Shin Joong Hyunの凄さが明確に分かる内容となっており、こんな所を見ているあなたは何はともあれ入手することを強烈に推薦しておく。Boxのタイトルに偽り無し。
 Disc -1(楽-1)は「Shin Jung Hyun & Yup Juns Vol.1 + Vol.2」。やはり何度きいても"MiIn"("美人"という意味)の格好悪すぎて逆にイケている曲が強烈で耳から離れない。British Hard Bluesを意識したCreamのようなリフなのであるが、韓国人の血が注入された結果、後々ポンチャックで有名になるような妙に明るい独特のノリのVo.が絶妙にミックスされた最強の辺境音楽となっている。無駄に演奏が安定しているのが素晴らしい。(^^; そう言えば、イ・パクサは今何しているのだろう...?
 Disc - 2 (音-2)は'80リリースの「Shin Joong Hyun & Music Power Vol.1」であり、大ヒットしたのであろうか、再度"MiIn"が収録されている。曲の幅広さといったらこのDisc - 2がお薦めである。男性ウィスパーVoiceにバックの女性コーラス隊、ホーンセクションがビシバシ入っている。特に圧巻は、"MeiDulRi"。これはメドレー形式にUriah Heepの「Firefly」のようなビシャーっというようなKey.と一瞬EL&Pかと間違ってしまうようなKey.が同居し、突然Hawkwindのように飛んだかと思えば突如ブルージーなギターが重なり女性Vo.が歌い繋ぐという目眩がする内容。これはマジ切れで凄まじい!何と13分を超える大作だ!
 Disc - 3 (楽-3)は'82リリースの「Shin Joong Hyun & Music Power Vol.2」。これはイタリアン・ロックと言って良いぐらいのアクの強さ。HRとムード演歌的歌謡曲が混ざった落差の激しさが魅力だ。(^^;
 Disc - 4 (人-4)は「Shin Joong Hyun & Peoples」と題されたコンピレーションで彼が参加したマテリアルを収録。パワフルで圧倒的で堂々とした存在感のソウルフルな女性Vo.のInSunIが素晴らしい。GSサウンドとホーンセクションと安めのシンセが入り乱れた曲に非常にマッチしている。その他ParkInSuのVo.はハングルで歌っていなければ憂歌団がイタリアン・カンタウトーレを歌っているような雰囲気である。(^^; またInSunI同様、これまたアクの強さが素晴らしいKim JeongMiのVo.にも注目だ。渋いギターが心に沁みる。
 ボーナスCDはShin Jung Hyun & Yup Juns時代の未発表マテリアルでインストVer.などが収録されている。
 なお、このBoxは彼のマテリアルの極一部だそうで、韓国音楽産業のいい加減さでマスターテープの消失、著作権を30年彼に支払っていないなどが災いをしている。Shin Jung Hyun MVD Seriesの音質の悪さもそういった経緯があるらしい。


Vol.1


大韓民国楽音楽人


Shin JoongHyun MVD Series


☆Lee JeongHwa (Shin Jung Hyun & Donkeys)/ SiRo/BomBi (Shin Jung Hyun MVD SJHMVD 0001) '68

 Shin Jung Hyun MVD Seriesの第一弾。現在韓国では日本から飛び火した紙ジャケシリーズが盛んらしい。Shin JungHyunとDonkeysがバックを固めた'68発表のサイケディック・ムード歌謡。靄のかかったエレキのエコー処理、存在感のある女性Vo.。ある意味究極と言っていいだろう。正にアジアの神秘である。(^^; 何か凄かった...。個人的には久保田安紀さんにカヴァーしてもらいたい...。なお、オリジナルLPでの音源もきくことができたが、音のツブ立ち明瞭度は断然LPの方が良かった。いろいろワケありのようで、これに関してはちょっと残念な形でのリリースであったかも。

Kim JeongMi / BaRam (風) (Shin Jung Hyun MVD SJHMVD 0002) '73
 Shin Jung Hyun MVD Seriesの第二弾。Soul女性シンガーKim JeongMiのバックとしてShin JungHyunが参加。なんとJeong Cheol氏のご厚意により、Shin JungHyunの直筆サイン入りCDを入手することが出来た。Thank a lot! "NaDo MulRe(私も内緒で)"における強烈なヨレ一歩手前のギター・トーンは流石はShin JungHyunのゴッドファーザー暗躍ぶりが発揮されている。(^^; 全般的には韓国のSlapp Happy(真に受けないように)であった。これも名盤だぁ!しかし、このCDは残念ながら音が割れ気味でシャリシャリしている。ちょっと音も揺れているかも。この音源も上記同様オリジナルLPでの音源の方が断然良い。今回は音源が出たというだけで歴史的な快挙だったかもしれないが、次の再発の機会があったら音質の改善を是非ともやってもらいたいものである。


Lee JeongHwa / SiRo/BomBi

☆Kim JeongMi / Now - HenRim/Baram (Shin Joong Hyun MVD Series SJHMVD 0003) '73
 やっぱり彼女の歌声は素晴らしい。残念ながら時々音揺れがあるが、それを補って余りある歌唱力でもって気にならない。ただ不思議なのはSJHMVD 0002, SJHMVD 0003, SJHMVD 0007盤とも同じ曲が音質が異なっていたりアレンジが違ったりしていることである。例えばSJHMVD 0007盤とSJHMVD 0003盤の"KaNaDaRaMaBa"ははっきりとアレンジが異なり、3枚のCDに収録されている"KoDoKan MaUm"はSJHMVD 0007盤のみアレンジが異なりSJHMVD 0002, SJHMVD 0003はCh位相が逆だったり...?オリジナル盤をきく限りSJHMVD 0002のChが正しいようだ。うーむ、ある意味韓国らしい...。


☆Kim ChuJa / NeutGiJeonE (Shin Joong Hyun MVD Series SJHMVD 0004) '69
 Shin JoongHyunによって見出された最初の女性スターだそうである。真っ直ぐに延びるVo.が清々しい。明るいサウンド。陰で鳴っているエレピが心地よい。モンド・ミュージック・マニア必聴作品かも。なお、ジャケットのCD番号が0005と間違っている。本来0005は「Peal Sisters / NaPal-BaJi/Nim-Ah 」と思われる。

☆Peal Sisters / NaPal-BaJi/Nim-Ah (Shin Joong Hyun MVD Series SJHMVD 0005) '68
 Kim ChuJa同様Shin JoongHyunによって見出された'60sの姉妹アイドル・スター。サイケ・ポップ。これも盤落とし、しかもかなり盤の状態も悪いため音が割れている。
 蛇足であるが、これもジャケットのCD番号が0004と間違っている。本来0004は「Kim ChuJa / NeutGiJeonE」と思われる。

☆Shin JoongHyun & The Man / GeoJitMalIYa (Shin Joong Hyun MVD Series SJHMVD 0006) '72
 The Doorsのような哀愁と暴力的なパワーが交錯する辺境アートロック傑作。特にタイトル曲"GeoJitMalIYa"は強力無比のサイケディックなインタープレイが凄まじい。MVD Seriesの中にあっては比較的音質は良い方なのでマニアは必聴だ!


Peal Sisters / NaPal-BaJi/Nim-Ah

☆Kim JeongMi / CheShinGaYoJip / KanDaGo HaJiMaO/ANiYa (2LP in 1CD)
                             (Shin Joong Hyun MVD Series SJHMVD 0007) '72, '73

 彼女の1stと2ndアルバムから選曲して1CD化した変則ベスト盤。ソウルフルなVo.が素晴らしい。特に2ndにおけるDs.の音質が時代を物語っている。上記に書いたとおりアレンジが異なっていたりするので、これも入手できるのであればマニアは抑えておきたい音盤であろう。例によって板起こしのため音質には目をつぶって。

☆Shin JoongHyun / In-A-Kadda-Da-Vida (Shin Joong Hyun MVD Series SJHMVD 0008) '70
 サイケデリック・ワールドの極み。なんと'70のLive実況録音盤である。題名から察するにIron Butterflyの"In-a-Gadda-da-Vida"のCoverをダウナーにキメている。音質は劣悪であるが凄まじいサウンドだ。CDクレジットは2カウントのみ。

☆Suh YuSeok / SonNyo + Yang HeeEun / TangShinWi Kum (Shin Joong Hyun MVD Series SJHMVD 0009) '73
 Suh YuSeok(男性)とYang HeeEun(女性)の2人のフォークシンガーによる変則1CD盤。Shin JoongHyunは作詞作曲などで大活躍。どちらもムード歌謡といった印象である。日本で言えば昭和30年代〜40年代の雰囲気を感じさせてくれる。個人的にはYang HeeEunの時折吐息一歩手前の声が宜しいのではないかと。女性Vo.マニア必聴。


Shin JoongHyun / In-A-Kadda-Da-Vida