超絶ドラマー列伝

A:よ、久しぶり!生きていた?

B:猛暑で死にそうだよ。何かネタでもあるのか?

A:あぁ、あるよ。猛暑に加えて追い打ちかけるような熱い話題がな。

B:何だよ。オレ、夏バテしているのでそっとしておいて欲しいなぁ。

A:最近少しだけ話題になっている超絶ドラマーについてなんだがな。

B:げぇー、ぐったりして話聞き終わる前に死にそーだー。

A:あぁ、君には死んでもらおう。

B:イヤだけど気になるー。

A:お前はマゾか?まぁ、いいや。超絶ドラマーと呼ばれる人って世の中に存在するけど、若手最右翼のTim Yeungって知っているか?

B:あぁ、何か聞いたことある。確かブルデス界を渡り歩いている奴で、Hate Eternalなんかに参加していた気がするなぁ。

A:おめぇさん、よく知っているねぇ。で、このTim君、今Divine Heresyというバンドに加入していて某民放FMでOn Airされてマニアの間で話題沸騰なんだ。極一部から再度リクエストがあって更に加熱しているらしい。彼、昨年度NAMMショーのFastest Feet部門の優勝者らしいんだよ。1分間に872拍のツーバスを踏んだらしいけど。取り敢えずDivine Heresyの"Impossible is Nothing"と"Royal Blood Heresy"を聴いてみてよ。

(試聴)

B:がははー!何ですかこれは?すげぇーね、キックが尋常じゃないね。しかも速いだけではなく超重量級で安定感も抜群。こいつ、バカか?(笑)

A:まぁ、圧倒的だね。流石のオレも爆死したよ。で、このDivine Heresyなんだけど、元Fear FactoryのDino Cazaresが結成したバンドなんだ。

B:おおー、そうなのか。Dinoってドラマーを見る目があるって事だな。Fear FactoryのRaymond Herreraも超絶ドラマーだしな。

A:Raymond Herreraのツーバスもキテるよね。この人も超重量級で正確なタイミングでビシッと決まる。ギター・リフとシンクロしたときの快感は何事にも代え難い。Fear Factoryの重要な位置を占めているよね。まぁ、実際Live見たら彼も人間って事が分かってちょっとほっとしたけれどね。(笑)

B:逆にLiveで凄さを改めて認識したのはCharlie Benante。今はAnthraxで居直っているけれど(^^; S.O.D.での唯一の来日Liveは壮絶だった。足が完全にマシーン化していて人間じゃなかった。

A:そうなんだよねー。彼にはもっとトコトンやって欲しいし、まだやれる体力あると思うんだが...。

B:Liveと言えば最近ではNileのGeorge Kolliasもキテたね。バスドラ速すぎてゆっくり聞こえてきたもの。(笑)

A:車輪が高速で回転するにつれゆっくり逆回転するように見える現象と同じだな。あれには呆気にとられたね。(^^; Nileの前任者ドラマーのTony Laureanoも凄かったけれどね。

B:Tony LaureanoってAngelcorpseにいた奴だろ。彼も凄いよね。(笑)

A:Angelcorpseと言えばそのバンドに一時在籍したことがあるオリジン弁当、もといOriginのJohn J. Longstrethって奴も超絶だね。

B:あぁ、Originに今出戻っている彼のことか。奴も凄い。体力の限界を知らない向こう見ずなイキッパナシぶりが堪らない(笑)。足と言えば、オレはPlanet XのVirgil Donatiのプレイも外せねぇよ。
実際のLive見ておしっこ漏らしそうになったもの。

A:あぁ、'00の今のところ唯一の来日公演の事だな。俺たち最前だったもんな。Live見て度肝を抜かしたというのは久々だったもんな。

B:彼は変態中の変態だね。真の変態さんだ。(笑)
彼、おかしいよ。

A:当時のPlanet XのLiveのメンバーで一番まともに見えたのがTony MaCalpineだったものなぁ。

B:えーと、今まで足中心な話だったけど、手の話題は?

A:手って(笑)。そうだなぁ、まずはMats / Morgan BandのMorgan Agrenだね。Meshuggahのギタリスト、Fredrik Thordendalとの競演"Sol Nigar Within"のVideoはMorganの腕が速すぎて手先が見えなかった。(笑) 実際のLive見ても強烈だった。

B:ドクター・キリコもといDs.Chiricoは?

A:そうそう!イタリアのArti + MestieriのFrio Chirico先生ね!特に、腕がきっと昆虫みたいに何本もあるに違いないと思わせた「明日へのワルツ」が極致。暢気な邦題だけれど。(笑) Liveで本当に再現できるのかと疑われていたが、Bootleg級の音質の'74 Live音源でちゃちいドラム・セットで実現できていたことが証明され、マニア驚愕したんだよね。そしてその後まさかの来日公演。

B:彼は本物だったよ。プレイも凄かったけれどマッチョぶりも凄かった。(笑)

A:まぁ、3時間ぶっ通しLiveだったからね。あれだけやるには体力がないと。体力あるといえば、今は脱退してしまったらしい元SepulturaのIgor Cavarelaも見過ごせないね。

B:いいところ突いてくるね。南米ブラジルの体力思い知ったか!ってな力でねじ伏せるような手数。トライヴァルでパーカッシヴなビートが素晴らしいよね。最近ここ日本ではSepulturaって話題が下降気味で来日できていないけど。

A:Beast Feastのイヴェント以来、前回の来日からもう5年以上は経過してしまっているよね。「Against」リリース時の寂しい入りのLiveでの彼のプレイを見て、更にファンになったんだがなぁ。

B:手数と言えば日本の手数王。

A:菅沼孝三さんの事ね。私はドラム叩くときの姿勢の良さが好きだな。

B:なんじゃそりゃ。

A:手というかパーカッション的体力素手ワザでは、いじめて君キャラ岡部洋一さんが素晴らしいよね。

B:あー、Altered Statesの芳垣さんと人力テクノをやっているRovoに在籍している人でしょ?

A:最近はあの体力で「栄養不足」を身にまとう訳の分からない人になりつつあるけど、かつて30分に及ぶBondage Fruitの"Recit"の壮絶な超絶プレイをLiveで体験した身としては、これからも応援していきたいと思うね。(苦笑)...で、取り敢えず今回の所はこれで終わりだけれど、死んだ?

B:何か元気になったよ。(笑)

マゾな貴方に送る超絶ドラマー参考音源


Arti + Mestieri
Giro di Valzer per Domani





Bondage Fruit
Recit
☆Fear Factory / Demanufacture (Roadrunner Records RR 8892-2) '95
 傑作2nd。Raymond Herreraのプレイはタイトル曲"Demanufacture"と"Self Bias Resistor"がお薦め。

☆Nile / In Their Darkened Shrines (Toy's Factory TFCK-87296) '02
 徹底的にエジプトに拘るNileの名作3rd。余りの素晴らしさに私は180g LPも入手してしまう。(笑) Tony Laureanoのプレイとしては"The Blessed Dead"がお薦め。

☆Nile / Annihilation of The Wicked (Relapse Inc. Japan YSCY 1001) '05
 音の分解能が増した4th。音質向上により、Ds.の凄さも更に際だつ。プロデューサーは往年のHMアルバムなど数々の名作を生み出してきたNeil Kernon。彼もコアな奴だな。George Kolliasのプレイとしては"Dusk Falls Upon The Temple of The Serpent on The Mount of Sunrise - Cast Down The Hereti"がお薦め。な、長いタイトル...。

☆Origin / Informis Infinitas Inhumanitas (Ritual Records HWCY-1098) '02
 完全なるブルータリティを確立した2nd。John J. Longstrethのバカっぷりを堪能するには"Awaken The Suffering"がお薦め。

☆Planet X / Quantum (Victor VICP 63904) '07
 驚異のバスドラ高速ダブルストロークで世の中のマニアを震撼させたVirgil Donati、Planet Xの最新作。今作では御大Allan Holdsworthもゲスト参加。しかしながら、お薦めはやっぱり日本盤ボーナス曲の"いいぞ!"かなぁ。(^^; Kensoの小口健一さんの解説も必読。

☆Mats/Morgan / Live (Belle Antique MAR 01635) '01
 宇宙から北欧に舞い降りた超人兄弟といっても過言ではないMats/Morgan驚愕のLive。全曲開いた口がふさがらない状態であるが、Morgan Agrenのプレイでのお薦めは"Etage A41"。

☆Arti + Mestieri / Giro di Valzer per Domani (King Records KICP 2739) '75
 Ds.の異常なフィーチャーぶりが物凄い2nd。邦題は「明日へのワルツ」(笑) 現在はいろいろなフォーマットで再発されているので最終リリース作で入手することをお薦めする。全編キリコ先生の大変なDs.プレイが聴けるが、特に"Sagra"聴いて死んで貰いましょう。なお、'05来日公演の模様を収録した「First Live in Japan」(Progcitta' Records PCCD-1001)もお薦め!

☆Sepultura / Against (Roadrunner Records RRCY-1080) '98
 新Vo. Derrick Greenを迎えてリリースされた7th。ハイパーぶりが増強された力作だったが、この作品以降どうも日本で盛り上がらない。あんなにいたファンはどこに行ったのか?真のSepulturaファンはこの作品の真価に気付いているはずだが。Igor Cavaleraのプレイとしては"Tribus"がお薦め。

☆Bondage Fruit / Recit (Mabo Roshi No Sekai MABO-008) '97
☆Bondage Fruit / Recit (Remixed) (Mabo Roshi No Sekai MABO-020) '05

 本当は高円寺20000Vで収録したLiveカセット音源の"Recit"が一番好きだが、余りにもレアなため順当に3rdを。益子樹のリミックスにより再発盤が後にリリース。自然な音質的には再発盤を推薦だが、'97盤に慣れてしまっている人はオリジナル盤か?(^^; 当然アルバムタイトル曲の大作"Recit"を聴かなきゃ始まりません。

☆Rovo / Sai (Warner Indies Network WINN-82073) '01
 今となっては超メジャーのRovo。どの作品が一番好きかと言えばこの「Sai」かなぁ。私にとってRovoとは山本精一、勝井祐二でもなく人力トランステクノ芳垣&岡部のツイン・ドラムなのである。"Seer"は強烈なインパクト。



続きがあるそうです




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