WHEN

 WHENことLars Pedersenによる謎の一人ゴシック。サンプリングと自作の曲をミックスし、独自の暗黒世界を構築する。
Marqueeのレヴューでもたびたび書かれているが、「音楽やってて良かったね」と言ってあげたい音楽性だ。南に行けばDevil Doll、同じ北欧ならBurzumと双璧をなすパラノイア・ミュージック。ボッシュ、フリークス、サテリコン(映画だ)、ピンと来たら挑戦あるのみ。

詳しくはこちら:
http://www.myspace.com/witchwood

☆Drowing But Learning (CD: Tatra Records TATCD 024) '87
 
'83年から'86年の初期の未発表曲集。もしかして1st?スリーブの絵に笑っていいのやら怖がるべきなのか?なぜか日本語(しかも東北訛りだ)がサンプリングされています。地獄のお湯もいい気分。音響派BlackMetalファンは聴くべし!

☆Death In The Blue Lake (LP: ? WIT 002) '88

☆Black White & Grey (LP:Tatra Records TAT 003) '90

 3rdアルバム。どういう経緯でそうなったのか、歌詞はRIO、レコメン系の親分Chris Cutlerが3曲書いています。ペーパーアーキテクトのパラダイス的なジャケットとCutlerの謎かけのような詩、絶望一直線な音楽が、世界の終末を華麗に飾ってくれます。何もやる気が起こらなくなります、はい。

☆Black White & Grey (CUNEIFORM ReR WHCD) '91
 3rdアルバムに2nd収録の大曲"Death In The Blue Lake"を加えたお買い得盤。A.Bjerkeの小説に影響を受けて作った曲だそうです。比較的見つけやすいです。底なし沼にドップリ沈んでいくさまはいかが?

☆The Black Death (CD:Tatra Records TATCD 008) '92
  Theodor Kittelsenという画家の作品「SVARTEDAUEN」をベースに作られた作品。もの悲しい鉛筆画に宿る病んだ魂が、WHENとBurzumを呼び寄せた?現代人の鈍感な耳には聞こえない、忍び寄る死の声があるのならば、きっとこんな音なのだろう。波長が合ってしまった貴方は、蛙が大合唱する夜のあぜ道も歩けなくなることうけあい。
☆Prefab Wreckage (CD:Tatra Records TatCD 18021) '95
 Chris Cutlerがまた3曲詩を書いている上に、ストリングスのゲストがいます。絶対顔を外に向けないArt Bearsというか、内省も破滅的になったDavid Sylvianというか、という感じの表題曲は圧巻。アコースティックやダンサンブルな曲もありますが、かなり歪んでます。

☆Gynt (CD: Tatra Records TATCD 036) '98
 グリークの「ペール・ギュント」とイプセンの詩をモチーフにした、ノルディック魂が熱い?作品。美しくも禍々しい仕上がり。あの清々しい名曲"Morning Mood"が、こんな荒涼とした曲になってしまうなんて・・・。インナーのアートワーク、壊れてます。

☆Psychedelic Wunderbaum (Jester Records trick 004) '99
 前々作でも多少ダンサンブルな音を出していたが、今回はそれがメイン。元々サンプリングで音を作っている人だからデジタルビートになるのはわかるが、お約束「
ヒュ〜〜〜〜・・・ぐわしゃぁぁぁぁん!」の暗黒オープニングSEもなく、ジャケの絵もやけっぱち。どうした、疲れたか?しかし聴いていくうちに「あ〜やっぱり壊れてるなぁ」と安心?できるサイケなWHEN躁状態サウンド(注:ハッピーな音ではない)。歌の下手さも目立ちます。実際、これで踊る人なんて居ないんでしょうけど・・・(汗)。


Psychedelic Wunderbaum

☆WriterCakebox-the unblessed world of When(1983-1998) (Jester Records trick 009:2CD) '99
 「Drowing But Learning」から「Gynt」までの作品と未発表曲を収録したベスト盤。ジャケットには
フラットウッズの巨大宇宙人の姿が(笑)。
Disc 1.(Glay)
The Black Death Jingle (Unreleased)
The Dark Abyss (Prefab Wreckage)
Witchwood (Drowing But Learnning)
Warfield (Drowing But Learnning)
Loosing Figure (Death in the Blue Lake)
Anitra's Dance (Gynt)
Peer Gynt's Serenade (Gynt)
Haxan (Unreleased)
Afterzone (Death in the Blue Lake)
Black, White & Grey-Excerpts (Black, White & Grey)
From White to White (Black, White & Grey)
Fellini's Hat (Black, White & Grey)
Under X-mas Tree (ReR Records Quaretery vol.2)
Paint the Dance (Death in the Blue Lake)
Fragments (Death in the Blue Lake)
Frozen Atlantic (Death in the Blue Lake)
Beardsoup in Tangier-part 1 (Unreleased)
Asylum (Unreleased)
Disc 2.(Black)
Sarood's Temple (Unreleased)
Fogface (Friendly geture compiration CD)
Karius & Baktus (Drowing But Learning)
Death in the Blue Lake-Excerpts (Death in the Blue Lake)
Ghosts (Prefab Wreckage)
The Black Death-the Movie (Unreleased soundtrack)
Heart of Rage (Black, White & Grey)
At the Wedding (Gynt)
Peer Gynt and the Herd Girls (Gynt)
Prefab Wreckage (Prefab Wreckage)
Evoe (Prefab Wreckage)
Bell II (ReR Records Quaretery vol.3)
In the Hall of the Mountain King (Gynt)
Peer Gynt Hunted by the Trolls (Gynt)
Peer Gynt and the Boyg (Gynt)
The Death of Ase (Gynt)
Morning Mood (Gynt)
WriterCakebox (Unreleased)
Veil & Mere (Drowing but Learning)



☆The Lobster Boys (Jester Records trick 014)'01
 
基本的に前作と同じ路線です。音楽的なテーマはインドみたいです。サンプリングのセンスの良さは侮れないですね。このにじみ出る歪みは、LA Metal化したCeltic Frostと似たようなモノを感じてしまうのは気のせいだろうか(^_^;)。明るくなりきれなくて、微笑む口が引きつっている。今までのスタンスをポジ/ネガと反転させても、その暗黒な本体の形はごまかしきれない。

☆Pearl-Harvest (Jester Records trick 032) '04
 
なんだかんだ順調に作品をリリースし続けるPedersen氏、今回はアラブに挑戦のようですが、あちこち破綻しているのはいつものこと。ポップなのに、どこかぎくしゃくしてる。最近の作品が好きな人なら安心して聴ける音楽だが、ラストの"Keys"で遂に本性を露呈。
ちなみにインナーには「When would thank you for buying, lending or stealing this record.」と感謝の辞が述べられている。
Bjorkファン辺りにコレ聴いたらどう思うか聞いてみたい。あぁでもBjorkはやっぱり彼女の歌が中心だから違うかな。

☆Whenever (Jester Records TRICK036CD) '05
 WHENシルクロードの旅(うそ)。インド〜中近東的なリズムのグラデーションが楽しい"Strapped of Its Coverings"〜"Modern Research Into Mummies"から、久々のチェンバー的音響の曲、暗黒にゆがんでる声のコラージュ、ハウスっぽい物まで、「Psychedelic Wunderbaum」以降の集大成的なアルバムと言えよう。元々か弱い声をしているPedersenが一生懸命ガナってる"Some Apocalypses"はちょっと心臓に悪い曲。久しぶりにChris Cutlerが作詞で参加している。浮遊感が同じ頃にリリースされたMats/Morganの「Thanks For Flying With Us」に似てると思ったのはワタクシだけか(^_^;)?

☆Trippy Happy (
Jester Records TRICK040) '07
 「オレ、本当はビートルズが好きだったんだ」と、ぼそっと呟いた後、逆ギレしたように制作されたアルバム(うそ)。

☆You Are Silent (
Jester Records TRICK042CD) '08
 怖いWHENが戻ってきたよ。「Psychedelic Wunderbaum 」以降のサイケな雰囲気は残しつつも、弦楽器・不気味なSE・不穏なアートワークに、不思議な安心感を抱いてしまう(^_^;)。メタルが表現する恐怖がスプラッター的なら、この人は日常の隙間の異界を表現する人だと思う。ポップなメロディでさえ、いつの間にか暗黒に引きずり込まれてしまう。