Valensia

 1993年オランダでデビュー以来、20世紀最後の王子様として君臨。ライブはナニだがアルバムは高品質揃い。

日本のファンサイト、再度発見:
http://www.sol.dti.ne.jp/~rei-shi/

☆Gaia (Mercury PHCR-1253) '94
 
初回盤はロゴがホログラムで浮き出る特殊ケース(中にシートが挟まってるだけだからケースの交換可)。
 日本のFMでも一時期流行っていた名曲"Gaia"を含む名盤。HRファンにはラテンノリやホーン多用などなじめないアレンジが多いようです。しかしこれだけのギミックを使いながら、破綻のない曲を作り上げる才能には敬服します。"Tere"は王子が体験した、女の子の幽霊と恋をした話が元らしい。プログレファンには元KayakのPim Koopmanがプロデュースを担当したことで少し話題になりました。

☆Gaia (Mercury PHDR-905) 'Single 94
 
ファーストシングル。収録曲は総て「Gaia」からの曲。

☆White Album (Mercury PHCV-2981) Single&Video '94
 
王子からのメッセージとビデオクリップ2本が付いたミニアルバム。クリスマス企画らしい。
収録曲は以下:21st Century New Christmas Time

       The Ex-(July-July)
       A View To A Kill
       The March Of Scaraboushka
       Singing The Swan

 1.2.は80年代のブリテッシュ・インベイジョンを体験した人なら懐かしくなるような曲調です。そして3.はDuran Duranのシンフォニックなカヴァー。付属のビデオクリップは"Gaia"と"Tere"。"Gaia"は当時としては凝ったCGビデオです。

☆K.O.S.M.O.S (Mercury PHCR-1445) '96
 初回盤は特殊ボックスに収まっていて、顰蹙を買っていた(笑)。
 「Gaia」の壮麗さはありませんが、じっくり聞くと味わい深い、ユーロポップの香り漂う作品。"Blue Rain"がいいバラードで、ミエミエの泣きではなく、ほんわかした雰囲気の中に美しい旋律が引き立ち、ジワジワと泣けてきます。

☆V III(Valensia '98 Musical Blue Paraphernalian Dreams Of Earth's Evevtide Whiter Future & Darker Present Soundpheres From New Diamond Age Symphonian Artworks To Yesterday's Westernworld Rockcraft Under The Raging Nineties' Silver Promse Of The Happy Hundreds On The Break Of The New Millennium's Hazy Misty Dawn) (Mercury PHCR-1631) '98
 
世界一長いタイトルでギネスに申請中か?いち早く「ミレニアム」という言葉を使っています。
 2ndのしっとりとした雰囲気より1stの訳の分からないギミックが好きだった私は、こちらの方が好きです。ただ曲によっては昔の焼き直し的の曲もあるので、Vはいい息抜きだったかも。バラード派は後半がお奨め。

☆V (Valensia/Valentine) (Polydor POCP-7394) '99
 オランダの貴公子2人がタッグを組んだ!それだけで笑ってしま・・・期待できる作品です。
BeatlesからQueenから作り手の趣味丸出し、しかししっかりオリジナルになっているという離れ業をやっています。だから聴いてて微笑ましくもサラリといけます。

☆Gaia II (AVALON MICP-10206) '00
 レコード会社移籍第一弾。プロモ来日まで果たし、スリーブも何気なくエンボス加工。力入ってます。
 好きなことが好きなだけ出来る環境になって良かったね。でもタイトル通り「Gaia」の焼き回し的な曲が多くてちょっとがっかり。収録された曲はインタビューなどによると「Gaia」制作直後の曲が多かったらしいので、しかたないのかなぁ。でもラテン調の曲が復活したのは嬉しいし、演奏時間のトータルが約50分という聴きやすい長さなのも嬉しい。このような音を出すアーティストは本当に貴重なのでやっぱり聴いてしまいます。ボーナスの"Einstein"みたいな曲好きなんだよな〜「Gaia」収録の"Mr.1999"みたいなんだけど(^_^;)。"Phantom Of The Opera"はB!誌で言われてるほど"Bohemian Rhapsody"ではないです。影響が感じられないと言えば嘘だけど、ちゃんと「Valensiaの音」を出していると思います。こっちの方が繊細。次作に期待。

☆Phantom Of The Opera (AVALON MICP-40002)

☆ LUNA LUNA-The Spring Album- (AVALON MICP-10246) '01
1.The Moon
2.Gabba Girl
3.Yo Yo
4.Luna luna
5.Hijo De La Luna
6.Illsia (Extended Ver)
 シングル曲を含んでいない6曲入りミニアルバム。レコード会社が変わって、ノリにノってる感じです。
1曲目は「サーペンス・アルバス」期のWhitesnakeかと思ったぞ(^_^;)。Vo.が入ったらいつもながらのValensia節でしたが、ギターのハウリングやキーボードがもろWhitesnakeだよぅ。2曲目はミニモニじゃんけんぴょん(爆)。3曲目、The BeatlesやVっぽい、軽いノリの曲に続いてギターインスト曲に続きます。辺境ファンには5曲目、スペインのバンドMecanoのカヴァー"Hijo De La Luna"が興味深いだろうか。"Gaia"の発送の元となった美しい曲。
 このアルバムについてはEuro Rock Press #9でValensia自身が詳しい解説をしています。

☆The Blue Alnum (AVALON MICP-10311) '02
 仏の顔も3度まで。本人もわかってるだろうけど、昔の曲の使い回しがココまで露骨だと鼻につきます。王子もここまでか・・・。しかしCDが4曲目にさしかかったときにその考えは覆りました。
 Valensia自身の解説から察するに、音楽業界への不信感がたまり、かなり鬱屈した精神状態で作ったようです。タイトルの「Blue」(憂鬱)にはそんな意味も込められているのかもしれないですね。
 彼が愛したロックスター達、それは宇宙人か、夢の中の住人のように現実味がない人種。キラキラ、ワクワク。そんな時代への憧れや懐古と、現在の困難な状況の狭間で葛藤する王子の姿が正直に出ている作品だと思いました。80年代のニューロマンティックそのままの曲調9.11.はヤケ入ってるし、「僕は僕のやり方しかできない」という開き直しがおかしな方向に吹き出した4.-6.のメドレーや12.のエキゾティックで不可思議な曲、Valensia風Jazzを表現した14.は、今まで自らに課していた一般的なポップスの枠組みを取っ払って、新しい進路を開拓したと思う。プログレオタク(^_^;)な私としてはこういう曲は大歓迎なのだけど、王子はこればかりをやる気はないでしょう。
 興味深かったのは、彼と以前のプロデューサーとのやり取りにまつわる話。Pim KoopmanやJohn Sonneveldに「主題を引き立てるために、周りを簡潔にすること」の大切さを説かれると、王子は「僕は全部を表現したいのに、周りを取り除いたらつまらない主題だけになってしまうよ」と言ったという。隙間恐怖症のごとくコーラスで埋め尽くされる彼の曲を考えると、納得できるエピソード。
 これはリアルであることを求められる「現代のポップス」ではない。しかし愛らしいメロディーや実験性に支えられた「永遠のポップス」にはなれるかもしれない。頑張れValensia王子!夢の住人であり続けるあなたの道は間違ってないよ。

Queen Tribute (AVALON MICP-10368) '03

 最近、演奏や曲のクォリティがある水準以上のバンドだと「これは好きだ!」と思えるポイントをギターかヴォーカルの響きに求める傾向があるようです(技巧じゃなくて性質)。Queenの曲は、ものによってはアレンジがとても凝っていて、Brian May独特のギターハーモニーを聴くのも楽しいです。自分が好きなバンドの中でも、このギターを真似しているギタリストは少なくありません。では自分はなぜQueenに思い入れが出来ないかと考えると、もしかしてFreddie Mercuryの声があまり好きじゃないのかも、と思い至りました。
 で、本編。"Bohemian Rhapsody"の完コピ振りには驚きを通り越して笑っちゃいました。ゆったりした"Killer Queen"はValensia王子ならではのエレガントなアレンジが気持ちいいです。他の曲でも細かいアレンジがされているようですが、押しつけはなく愛を感じます。
 "I'm in Love With My Car"、"All the Young Dudes"あたり、原曲を聴いたらあまりおもしろみを感じなかったかもしれませんが、Valensiaが唄うことによって楽しめました。Valensiaの曲にQueenの影響を探すのは簡単です。でも私が聞きたいのはValensiaが作った曲であり歌である、と再確認できた作品でした。えぇ、第2弾はいりません。

☆1996/10/18 赤坂BLITZ
 初来日。2ndアルバム「K.O.S.M.O.S」のツアー、と言っても日本公演のみです。アルバムの壮大なアレンジをはたして再現できるのか?今までライブをやったことがないらしいが、マルチプレイヤーといいつつも演奏はヘタだったりして・・・。不安が脳裏をよぎります。
もうずいぶん前のライブなので断片的にしか残っていない記憶をたぐり寄せると・・・。

●考えてみると当たり前なのですが大概が女性のファンで、Valensia王子が登場すると黄色い声援が起こって驚きました(それまでどんなファン層が存在するのかよく知らなかった)。
王子はギターを持ち、トレードマークの闘牛士風の派手な衣装に身を包み登場。「White Album」に収録された"Tere"のビデオクリップのように、それ以上に王子は早弾き魔でした。何か曲のイメージと合わない(^_^;)。
ある曲のギターソロはローディーがスタンド代わりになってギターを支えてました。そのギターを弾く姿は正に王子様。(たしか"Tere"?)
ギターを持たず歌を歌うときのアクションはMichael Jacksonのようでした。さすがRock Star。
2ndの「K.O.S.M.O.S」は割と地味目な曲が多いので盛り上がるのは1stの曲。"Gaia"を喉をからして歌ったのは私です(^_^;)。

 王子はマルチプレイヤーを称するだけあってギターにピアノに大忙しでしたが、総じて演奏は荒かったです。安心して観ていられたのはバックバンドがしっかりした演奏力の持ち主達で固められていたから。しかしプレイヤーとして観てもらいたい気持ちは分かりますが、ショウの流れを分断するほどの長い早弾きギターソロ大会は必要?元気いっぱいのステージアクションも無駄が多いと言えばそれまでで。ただ「観客を喜ばそう」という意気込みが感じられました。誠実だけどペース配分が分かってないということでしょうか。
 「最高の」ライブだったとは言いません。曲のクォリティは折り紙付きなのです。あとはステージに馴れることで、更に良いステージを作る可能性があることを「期待させてくれる」ライブだったと言ってきましょう。
 p.s.プログレファンは秘かにKayakのPim Koopmanがプレイヤーとして来てくれることを願ってませんでしたか?残念ながら来ませんでした。

(右は初来日のチラシ)

初来日のチラシ

☆V (Valensia/valentine) JAPAN TOUR 1999 1999/11/15 ON AIR EAST
 予測していなかった来日公演の発表を見てびっくりしました。はぁ〜日本での人気が高いって本当ですね。(Valensiaは1stこそヒットしましたが、最近のアルバムは日本盤しか発売されていないようです・・・(涙))しかも今回はオランダのHR貴公子、Robby Valentineも一緒に来るとなれば、行くしかありません。Valensiaの前回の来日を踏まえて、過剰な期待はせずにライブ会場に向かいました。
 B!誌'00/02号に載っているライブレポートとほぼ同じ意見です。むしろ藤木氏は好意的(?)なくらいで驚きました。問題は曲云々ではなく、ライブ慣れしていない為のバランスの悪さ、この一点に尽きます。
 Valensiaは全然変わってなかった・・・良くも悪くも。ソロ作品(Valentine作品は未聴)に比べればシンプルな曲だけれども、ホーンやシンセや様々なSEを織り交ぜられた曲を4人で再生しようとする試みがまず無謀。もう1人くらい専任のG.かKey.が必要だったと思います。(たしかValensia初来日ではバックは5,6人いました。)あとソロタイムが3つも必要だったか?名古屋は予定の曲をやりきらずにライブが終了したそうですが、ソロタイムよりは楽曲をより多く聴きたかったでしょうに。Valentineのピアノソロはかなり端折った演奏ながらもまぁまぁ楽しめたけど、王子のギターソロは3年前と大して変わらず。Vでは曲作りで新境地を見せてくれましたが、ライブプレイヤーとしてはまだまだ考えなければいけない問題があると思いました。
 ライブ中に気づいたことは、「どうしてValentineはHRファンにも受けがいいのにValensiaはいまいちなのか?」ということ。Valentineの曲は展開もめまぐるしく長い曲でもサビはとても覚えやすく、みんなで歌いやすいのに対し、王子の曲はメロディはたしかにPopなのだけれども歌いやすいラインではないこと。必然Valentineの曲の方がライブで盛り上がります。曲を聴いたことなくてもサビだけ歌えたりしますし(<自分)。HRの醍醐味はライブ!と信じる人は少なくないでしょうから、やっぱりValentineはHRなんだ、そこで改めて「あぁ、王子の曲は本当に観賞用なんだ」と分かりました。確かな腕を持った人材を多数確保し、セッティングもしっかり決めて、ライブ映えする演奏ができるなら・・・そりゃぁ王子の曲だってライブ映えするでしょうが、資金とか日程とか色々な問題があるんでしょうね。
 堅い話はここまでにして、今回のヒットはValentineの「分け目自在の長い髪」です。その動作も素敵(^_^;)。あとValentineは細いけれど結構ごつい顔でした。王子は下半身が太めで相変わらずかわいい顔をしてました。こんなこと言うファンは励みにならないそうですが(笑)。
 Valensia、またはVの来日公演があったらまた行ってしまうでしょう。でもそれはきっと「王子の姿を拝見して"Gaia"を歌いに行く」のであって、曲を堪能するためではないでしょう。消えて欲しくないアーティストだから応援は続けます!
 p.s.一緒に行った友達は「V(石野真子と高見沢(アルフィー))」と言ってました。大受け。