Tiamat

 通称ティアマッちゃん。(嘘)
 '88にSwedenにて結成。但し当時はTreblinkaというBand名であった。7inch等をリリースしているが、ロゴは既に初期のTiamatとほぼ同じようなものであった。
 初期のTiamatはBlack/Death/Doom Metalであったが、次第に幻想的で耽美な世界へ変化を遂げる事になる。最近は更に耽美感を押し進め、浮遊感がありながらも引き締まった暗くて妖しく異様なサウンドに踏み入れ始めている。全ては中心人物のJohan Edlundのヴィジョンによって作品が作られており、他メンバーは常に流動的である。
 近作ではモダンなエレクトリック・ミュージックに接近しているが、ストリングスや管楽器はサンプリングではなく本物を使うほどの徹底さ。サウンドの深みに一役かっている。

 Tiamatの名前の由来:
  CDの解説では「異教の悪魔」と書かれている。当たらずも遠からず。でも古代バビロニアの『創世記』に登場する女神が正解だと思う。
 その天地創造の神話は男神アプスー(真水)とティアマト(塩水、海)が混じり合い、ラフムとラハムが生まれ、また子から子へと神々が増えていくところから始まる。その中にずば抜けた能力を持つ男神マルドゥークがいた。そのうち古い神々と若い神々の間に対立関係が生まれ、戦争になる。マルドゥークの父エア(ヌディンムド・創造者)にアプスーを殺されたティアマトは次々と怪物を作り対抗するが、マルドゥークに殺されてしまう。マルドゥークはティアマトの体を切り裂き、一つを天上に持ち上げ天とし、宇宙が創り出された。ちなみにマルドゥークはご存じMarduk。
 かなり端折った説明ですが、こんな感じです。アルバムタイトルに「大地」を表す「Gaia」という名があるのも興味深い。

 Tiamatの詳細は下記:
http://www.churchoftiamat.com

参考資料:歴史読本ワールド’93.11
特集・世界の神話伝説(新人物往来社)

☆Sumerian Cry (Metalcore CORE 9 CD : 1st) '90
 自費出版。オリジナルジャケVer.は暫く廃盤でしたが、最近白ジャケ+ロゴ盤のジャケ違いで再発されました。(オリジジャケの内ジャケの部分を使用?)

☆A Winter Shadow (CBR CBR-S 125 : EP) '90
 B面は"Ancient Entity"。このシングルをきっかけにCentury Mediaと契約を掴むことに成功。

☆The Astral Sleep (Century Media 84 9722-2 : 2nd) '91
 Death Metalとしてのサウンドの終結を見た作品。Death Metalマニアにとってはマスト・アイテム。

ティアマっちゃん
A Winter Shadow
☆Clouds (Century Media 84 9736-2 : 3rd) '92
 耽美派Gothic Metalの傑作。水墨画のような侘び寂の世界。"Undressed"の絶望一直線になだれ込んでいくエンディングは見事。

☆The Sleeping Beauty - Live in Israel (Century Media 77065-2 : Live Mini CD) '94
 デジパック盤と通常盤あり。脂が乗っている時期の充実したLive。テルアヴィヴ公演。

☆Wildhoney (Century Media 77080-2 : 4th) '94
 様式美的なところも見え始めた彼らのブレイク作。日本での知名度が一気に上がった作品。個人的には試行錯誤中の作品と思う。

☆Gaia (Century Media 77089-2 : Mini CD) '94
 Pink Floydの"When You're in"のカヴァー収録。デジパック盤の見開きジャケ。

☆The Musical History of Tiamat (Century Media LC6975 : Best + Live) '97
 やっと入手しました。2枚組。Bestは1st〜4thと「Gaia」から収録。Live盤は「Wildhoney」Tour時'94/10/2のStockholmで収録。地元ということもあり、非常に充実したLiveで素晴らしい出来。
 蛇足ですが、私が入手した盤はHistoryとかかれた盤にLiveが、Wild Liveと書かれた方にBestが収録されていました。これってレア?(^ ^;

☆Cold Seed (Century Media 77167-2 : Single CD) '97
 タイトルは名曲。

☆A Deeper Kind of Slumber (Victor Entertainment VICP 60034 : 5th) '97
 徹底的に陰に籠もりながら北欧の叙情性を極めた新境地。既に孤高の存在。Metal Onlyな方にはお勧めしませんが、素晴らしい作品です。ヌメッと粘膜のような音像と、冷たく妖しいVisual世界でノックアウトされました。完成度はとても高い。
 日本盤は「Cold Seed」から"Only in My Tears it Lasts "(The Cat Mix), "Three Leary Biscuits"の2曲追加収録。

☆Brighter Than The Sun (Century Media 77279-2 : Single CD) '99
 彷徨える人達として他の追随を許さない存在のTiamat、とうとう動き出しました。New Single。メンバークレジットを見るとThomas Peterssonの名が無く、現在3人となっております。The Rolling Stonesの"Sympathy for The Devil"をカヴァーしており、これがまた渋いんです。

☆Skeleton Skeletron (Century Media 77280-2 : 6th) '99
 待望の新作。Johan Edlundの求めた?冷めた狂気の世界を追求した結果、深遠な作品となりました。これは大傑作でしょう。しかしながら欧州で熱狂的に受け入れられるだろうと思う反面、ここ日本ではどうかな?とも感じました。マニアやDeath/HM以外のファンを巻き込めればいいのですが。

☆For Her Pleasure (Century Media 77281-3) '99

 「Skeleton Skeletron」よりシングルカット第2弾。但し、全て別ヴァージョン。
収録曲は:For Her Pleasure (Edit)
     Lucy (Demon Mix)
     Brighter Than The Sun (Bullsrun Mix)
     As Long as You are Mine (Lodmalm's Cocktail Club a Go-Go Mix)

 "Lucy"はオリジナルVersionの方が良かった。"As Long as You are Mine"は突き放したような冷たさが快感。

☆Judas Christ (Century Media CM 1199-2 : 7th) '02
 現在通常パッケージ、デジパック、そしてこのBoxケースと3種類見かけた。Boxケースは"Sixshooter", "However You Look at it You Loose "の2曲ボーナストラック、"Vote for Love"のVideoトラック、小型ポスター、そしてステッカーが付いている。再びThomas Peterssonがクレジットされていた。"The Return of The Son of Nothing"の冷ややかで穏やかな曲に挿入される生Violin、女性の叫びとシタールが交錯する"Sumer by Night"が実に哀しげで素晴らしい。Victorより日本盤がリリースされる予定であるが、発売日は未定。 なおTiamatは2002年3月からMoonspellと欧州Tourに入る予定だ。


For Her Pleasure

Judas Christ

☆Cain (Century Media 77479-3) '03
 「Prey」からの先行3曲入りシングル。"Cain"のEdit Ver.、"Love in Chains"そして何とW.A.S.P.のカヴァー"Sleeping"を収録。VIVA! '80sである。(^^; "Cain"でのJohan Edlundの色気に虜になる女性ファンは多いと見た。(^^;

☆Prey (Century Media 77480-2) '03
 一聴した感じでは牧歌的なGothicといった印象である。第一印象としてのインパクトはないが、きき込んでいけば作品の幅広さが見えてきて作品の質の高さに気付くであろう。アコースティック・ギターを巧みに取り入れた手法、特に今作は鐘の音が非常に効果的だ。ゲスト参加の女性Vo.、Sonja Brandtとのデュエットも素晴らしい。なお、"Cain"のVideo Track入り。このVideoでは妖しい出で立ちのJohan Edlundが拝めるぞ。個人的には日本のヴィジュアル系ファンの次ステップとして推薦したい。(^^;
 なお、デジパック盤もリリースされている。


Cain

☆V.A. / Beauty in Darkness (Nuclear Blast NB 166-2) '96
コンピレーション。

☆V.A. / Music Tele Vision - Go To Hell! (Century Media)
Video。MTVはMTVなんですが、Go To Hell!なんデスよ。
収録曲:
Stuck Mojo / Not Promised Tomorrow
Strapping Young Lad / S.Y.L.
Tiamat / Gaia
Sentenced / Nepenthe
Grave / Soulless
Samael / Baphomet's Throne
Unleashed / The One Insane
Tiamat / Whatever That Hurts
Nevermore / What Tomorrow Knows
Mucky Pup / Own Up for What You Say
Only Living Witness / Slug
Cro-Mags / Path To Perfection
Morgoth / Under The Surface
Tiamat / The Sleeping Beauty
Morgoth / Sold Baptism
Unleashed / Before The Creation of Time
という、錚々たる連中?です。
 Stuck MojoはLive凄そうですね。スタジオ盤では分からない度迫力Liveが良いと思いました。S.Y.L.はこのVideoの中ではダントツで危険度ナンバー1。ファンはこれだけで買いでしょう。(^_^; 
密かに期待していたGraveはあまりのチープさに笑いが止まらなかったです。Tiamatは映像もサウンドと同様どよ〜んと暗雲がかっており、朝から聴くとさわやかな気分もすっかり滅入ってしまい、流石だなぁと思いました。Morgothはそれぞれ曲がずっしり重い名曲という事もありますが、文句なしにかっこえぇ〜〜!ピーク時の彼らを垣間見ることができてうれしかったです。Unleashedの"The One Insane"はいかにもインディーな作りでがっくりしたのですが、最後に収録されていた"Before The Creation of Time"は素晴らしいリフのDeath/Thrashチューンで株が急上昇しました。
 と言うことで、Nuclear Blastに対抗して?リリースされたCentury MediaのコンピレーションVideo、マニアは店頭で見つけたらゲットせよ。
☆Expulsion / Overflow (Godhead GOD 011 CD) 
 元TiamatのStefan LagergrenとAnders Holmbergが中心になって結成された。
 なかなか正統派Doom路線を突き進んでいて興味深かったです。アドヴァイザーとしてJohan Edlundのクレジットなど発見する事ができる。イタリアのDoom Metal系を出しているレーベルからのリリース。

☆Sundown / Design 19 (Century Media 77161-2 : CD)
 元Tiamat、Johnny HagelのNew Band。CemetaryとTiamatの合体系。近作のTiamatと共通しているところがありますが、より機械的なイメージがありました。

☆Ceremonial Oath / The Book of Truth (Prim 3) '92
 '89にTiamatではベースを担当しているAnders Iwersがギタリストとして、またIn Flamesで有名になったJesper Strombladなどが参加した北欧Deathの聡明期を飾る名作。北欧独特の雰囲気の煽り系のDs.、テンポチェンジの中で見せるメロディの妙がこの作品を際だたせている。Dark TranquillityのMikael Stanneも曲の中で参加しており、今から思うと豪華キャストである。但し、レーベルが自費出版に近いためか現在では入手困難盤となっている。

☆Cemetary / Black Vanity (Teichiku Records TECX-25984) '94
 Ceremonial Oathに続き、最近このCemetaryも自分のDeath棚より発掘。(^^; Ceremonial Oathにも参加していたAnders Iwersがクレジットされている。この作品はGothic風味が強い気怠いDeath Metalといった印象。当時としては地下シーンの主流の音であったが、今となってはオーソドックスな曲調で、これと言った特徴が見いだせない所が残念。ただ、Black Vanityは欧州で想像以上に評価が高かった記憶がある。彼らはLiveで本領を発揮していたのかも知れない。なお、Vo.のMathias Lodmalmはその後Johnny HagelとSundownを結成することとなる。

☆Dismember / Hate Campaign (Nuclear Blast NB 419-2 : Promo盤) '00
「Wildhoney」にてSession Lead Guitarとして参加していたMagnus Sahlgrenが加入。彼は元々Dismemberのギター・テクをやっていたそうだ。この作品はSwedish Deathの好サンプル。"Suicidal Revelations"やIron Maidenぽいが"Enslaved to Bitterness","Patrol 17"のギター・メロの配慮も嬉しい。ただ、Metalファン以外には辛い内容だろう。
 なお、Dismemberはこの作品をひっさげて'00/12に初来日を果たした。Liveは意外にも普通のHeavy Metalであった。
DismemberはBastars! Vol.2のディスコグラフィー・インタヴューが参考になる。

Expulsion / Overflow


Ceremonial Oath / The Book of Truth


Cemetary / Black Vanity

☆V.A. / Terorized Vol.16 (TERROR16) '02
 Tiamatは「Judas Christ」より"The Truth's for Sale"を収録。他収録バンド / 曲名は下記の通り。
収録曲:
Trackone@European-Quality.Co.Uk / Track One
Canibal Corpse / Dormant Bodies Bursting
Decapitated / Perfect Dehumanization
Callenish / Obey Me
Vacant Stare / A Head Start
Burnt By The Sun / Famke
Remnante Of Deprivation Visceral Bleeding
Demonic Warlust Centinex
Evanesce / The Key To Salvation
Matter / Stabbed
Scalplock / Levelling Device/Define
Ephel Duath / The Embossed
Tiamat / The Truth's For Sale
Theory in Practice / Colonizing The Sun
The Enchanted / The Portal
Orange Goblin / Whiskey Leech
Thy Primordial / Menace Of Human Waste
Brain Choke / Microchipped & Mind

 注目はDecapitated, Theory in Practice, Orange GoblinそしてTiamatであろうか。PolandのDecapitatedは前作「Winds of Creation」も素晴らしい出来だったが今作「Nihility」からの収録曲"Perfect Dehumanization"のギター切れ味は前作以上であり非常に期待が持てる。またSwedish Technical Deathの雄Theory of Practice(あれ、Monumentに改名するはずだったのでは?(^^;)の3rd「Colonizing The Sun」からのタイトル曲はより一層ギターのリフが細かく複雑化されており、バッキングKey.は一捻り欲しいところであるがKey.&ギターのユニゾン・プレイは独特の雰囲気があってすこぶるよろしい。

Lucyfire

☆Lucyfire / This Doller Saved My Life at Whitehorse (SPV 085-72212 CD) '01
 Johan EdlundのNew Band。Tiamatの沈む込むようなサウンドと裏腹に、むしろ異様な明るさが不気味である。"Perfect Crime"のメジャー・コード中心の曲には正直驚いた。また"Sharp Dressed Man"はZZ Topのベスト・セラー・アルバム「Eliminator」からのカヴァー。これにも更に驚いた。しかしながら作品自体のクオリティは高い。なお、この盤は限定Box盤でカラー・ポスター、カラー・ステッカー付。また、エンハンスドCD仕様で"The Pain Song"のVideoclip入り。Johan Edlundが女達と明るく振る舞うパフォーマンスと顔色の悪さの対比が面白い。(^^;

☆Lucyfire / The Pain Song (Oblivion/Steamhammer SPV 055-62653 CDS) '01
 「This Doller Saved My Life at Whitehorse」からのシングル・カット。アルバム同様"The Pain Song"のVideoclip入り。他の未発曲としては"Devil Blues", "The Pain Song (Remix)"。

 詳細は下記:
http://www.spv.de/eng/lucyfire/default.html

This Doller Saved My Life at Whitehorse


The Pain Song