Sadist

 イタリアのProgressive Death Metalの元祖。最新作は違うジャンルに完全移行しているが、これまでの経歴を追っていきたい。
 '90にPesoが在籍していたNecrodeathが一旦解散。そのPesoの元へ新しいバンドを始めるべく集まったTommy(g.&Vo.)、Andy(b.)、Fabio(Vo.)がSadistの原型。このラインナップで7inchとカセットの「Black Screams」をリリース。その後Vo.のFabioは脱退。ベースのAndyがVo.を兼任する形となった。'92にNosferatu Recordsと契約。'93/5にProgressive/Death Metalマニアが注目することになった1stアルバム「Above The Light」がリリースされた。2年の歳月が経った後、2nd「Tribe」がリリース。何故にこの間の空白期間が長かったかというと、その後Andyが脱退してChicco(b.)、Zanna(Vo.)が加入といったメンバー交替、リーダーのPesoの健康状態の悪化(左手首のトラブル)があったからである。2ndリリース後はEndless Worldwide Touringと称したツアーを実施している。ところが、レーベルをオランダのDispleased Recordsに変わり、なんとPesoが脱退してしまうのである。それにつられるようにChiccoとZannaも脱退。バンド崩壊の危機にさらされたがTommyが建て直しを図り、3rd「Crust」リリースまでこぎ着けた。サウンドもモダン・テイスト溢れるインダストリアルでブルータルなイメージのSadistらしい作品であった。
 その後、特に日本には情報が届いていなかったが、ひっそりと輸入盤で4th「Lego」がリリースされた。ジャケットの印象がSadistらしくなかったので一瞬目を疑ったが。(^^; 今後の彼らは何処に行くのであろうか?Necrodeathで復活したPesoとともにイタリアン・アンダーグラウンド・シーンは見逃せない。

参考資料:
EAT magazine No.9, BASTARDS! Vol.4

☆Black Screams (Obscure Plasma Records 91003) '91
 Sadist初音源の7inch。裏ジャケはThe Alan Persons Projectを意識して(嘘)、メンバー全員うつむいていて表情は見えない。全世界で2,500枚売れたそうだ。Death系のお約束である限定666枚以上はあるので、入手はそれ程難しくないと思われるが、最近プレミア価格になっていた。裏面はこちら

☆Black Screams (Wild Rags Records WRR-SAD) '92
 カリフォルニアの今週の0点の宝庫レーベル、Wild Ragsからリリースのカセット。7inchの2曲に"Musicians Against Yuppies"を追加。


☆Above The Light (Nosferatu Records NOSF-001) '93
 Nosferatu Recordsの第一弾、彼らの記念すべきデヴュー作。Progressive Death Metal黎明期を飾る名作中の名作。'90sの革新的なバンドの登場であった。メンバーが公言しているように'70s Progressive Rock(Yes, ELP, Goblin, PFM)に影響を受けている。それにモダンなスパイスを効かせているというか...。テクニカルな音であるが超絶というわけではない。Key.のアレンジ/センスが抜群なのである。ここまで大胆なKey.テイストを入れたDeath Metalはこれまで無かったと言って良い。まぁ、本人達はDeath Metalと呼ばれるのは嫌みたいであるが。
 日本盤ジャケットはオリジナル盤と異なる。ボーナス・トラックとして'94/8/13にオランダで録音された"T.C.Psyche (Live)", '96/1/14にイタリアで録音された"Spiral of Winter Ghosts (Live)"を収録。


☆Tribe (Toy's Factory TFCK-88780) '95
 英国のWarwickshire's Rhythm Studioで録音され、前作より音質が格段にアップした2nd。技術的な複雑さも増した。初めてSadistのサウンドに触れようとするならば今作をお薦めする。若干メロディアスよりになっているためメロディック・デスに接近か?と囁かれたものの、本質はAvant-garde Rockである。ボーナス・トラックとして'94/8/13にオランダで録音された"Enslaver of Lies (Live)", "Sometimes They Come Back (Live)"を収録。

☆V.A. / Made in Tribute 〜 A Tribute to The Best Band in a Whole Goddawn World! (Toy's Factory TFCK-87101) '97
 Iron Maiden Tribute。Sadistは"Wrathchild"を提供。

☆Crust (Toy's Factory TFCK-87144) '97
 中心メンバーだったPesoが脱退。Tommyを除き、他のメンバー総入れ替え。Andy (b.)が復帰し、Trevor (Vo.)、Oinos (Ds.)が新たに加入。サウンドの方もインダストリアル風味の激しいHeavy Metalに変化。一方Progressive度は減退。但し、クオリティの高さは相変わらず。日本盤のボーナス・トラックとしてA〜Haの"Take on Me", Frankie Goes to Hollywoodの"Relax"のカヴァー曲を収録。笑わしてくれた。なお、前田氏の解説はちょっと手抜き。

☆Lego (System Shock IR-C-145) '00
 4th。ジャケットからメンバーの風貌までまったく変わってしまった。Heavy MetalにこだわっていたのはPesoで、良いと思った音楽を貪欲に吸収するTommyとの違いがここに如実に現れた気がする。グルーヴィなLoud Rockといった印象。1stからのマニアの動向を注目したい。(^^;


Necrodeath

☆Necrodeath / Into The Macabre (Nightmare Productions NP 00661) '87
 Ex.SadistのDs.、Pesoが在籍していたNecrodeathの1stアルバム。最近リマスターCDがリリースされた。

☆Necrodeath / Fragments of Insanity (Metalmaster MET 114) '89
 2nd。

☆Mondocane / Project One (Metalmaster MET 121) '89
 Necrodeath & Schizoの合体プロジェクト作。

☆V.A. / Metalmaster Compilation (Metalmaster MET 125) '90
 「Mondocane / Project One」より"Necroschozophrenia"を収録。Death SSコーナーも参照いただければ幸いである。

☆Necrodeath / Master of All Evil (Scarlet SC 013-2) '99
 PesoがNecrodeathで復活!実はジャケット通りのB級を期待していたが(爆)、これは意外なほど強烈なA級作品で驚いた。Sodomの「Code Red」に匹敵するレベルの作品。

☆Necrodeath / Black as Pitch (Scarlet SC 033-2) '01
 直球/剛球/激烈Thrash。個人的にはもう少し楽曲に変化が欲しかった気が。

Necrodeathの詳細は下記:
http://www.necrodeath.com


Into The Macabre


Mondocane


Fragments of Insanity

☆Schizo / Main Frame Collapse (Crime Records CR 002) '89

☆Schizo / Sounds of Coming Darkness (A.V.Arts AVR CD 008) '94
 ミニCD。当時としてはサイバーなBrutal Death Thrash。結構カッコイイのに\100で良く落ちていた。Bass/SamplesのAlberto Penzinは現存するか分からないが、Nosferatu Recordsの社員だそうだ。


Opera IX

☆Opera IX / Born in The Grave (WIMP RCS. MFK 8390) ?
 7inchシングル。B面は"The Red Death"。このシングルのプロデュースはPesoであった。


☆Opera IX / The Call of The Wood (Nosferatu Records MS 005) '94
 イタリアン・オカルト・デスの1st。Vo.は女性である。ここに在籍していたFlegias(Ds.)が後にNecrodeathの新作にVo.として参加している。演奏力ははっきり言ってたいした事はないが、時折入ってくるピアノとドラマティックに仕上げようと努力しているところは大変好感が持てる。いきなり18分を超えるナンバーをかまし、やる気はヒシヒシとこちらに伝わってくる。他に12分を超えるタイトル曲"The Call of The Wood"、ラストの"Sepulco"は13分を超える大曲だ。なお、エンジニアリングとしてPesoがクレジットされている。Opera IXはこれまでに3枚のアルバムをリリースしている。


Born in The Grave

☆Opera IX / Maleventum (Avantgarde Music AV064) '02
 新しいVo.に替わった4thデジパック盤。前半は至って普通の展開で個人的には心地よい眠りに誘うサウンドであったが4〜6はOpera IXらしい怪しさでGood。彼らにはこの路線を貫いて欲しいモノである。