Kingston Wall

 フィンランドの奇才Petri Wali率いていた90年代サイケデリックHRの最高峰。FinlandのHelsinkiのトリオ。
 '87年のクリスマスにGuitars & Lead Vo.のPetri WalliとBassのJukka Jylliによって結成され、'90年にはDrumのSami Kuoppamakiが加入し活動を続けていた。
 '92年に彼らの1stが輸入盤にて入荷した際は、マニアの間で大変な話題になった。当時の北欧盤はとても高くて¥4,000近くしていてなかなか買えなかった。¥3,000を切った時点で即ゲットした記憶がある。(笑) キーボードレスのProgressive Hard Rockとして非常にユニークな音づくりでリリースの度に多くのマニアを驚喜させてきたのであるが、ひとつの頂点に達した3rdを発表後'95年の8月にこのバンドのブレイン的な存在であったPetri Walliが亡くなってしまう。死因ははっきりとはしないものの、自殺と言われている。従ってKingston Wallはすでに存在していない。現在に至ってもその独創的なサウンドを受け継いでいるBandも見かけない希有な存在。早すぎた死が悔やまれる。
 3枚のアルバムの裏ジャケが殆ど同じというのが興味深い。

(追記:'08/08/16)
【何故Kingston Wallは日本盤がリリースされたのか?】
 '08/8/9thのPower Rock TodayでFinland期待の新鋭Von Hertzen Brothersの紹介時のついでに、かつてKingston Wallのオリジナル・アルバム3枚が何故リリースされたのかのエピソードを披露。真相はこうだった。
 伊藤政則氏が外盤でKingston Wallの2ndを買い、あまりに内容が良かったので番組でOn Air。Zero Corporationに電話して日本盤を出せば?と掛け合ったらしい。Finlandの電話案内でメンバーの名前から割り出して連絡。その結果、契約にこぎ着けることが出来たらしい。(゚゚;) Zero Corporationの執念を感じた。この遺志?を我々は継承していかなければいけないね。(^^;

【Interview記事】
 BURRN! '93/12号に2nd発売時のPetri WalliのInterviewが掲載されている。この時Petri Walliはハウス・ミュージックが好きと言っていて、この時既に3rdのヒントが隠されていたような気がして成る程と思った。しかし"Shine on Me"は仲の良かった友達が突然自殺してしまったことが題材になっていたなんて...。

Kingston Wallの詳細は下記:
THE MIRRORLAND -the official KINGSTON WALL website

☆Kingston Wall (Trinity TTYCD 0002)
         (Zero XRCN-1084:国内盤)
         (Zen Garden GAR 16 : 2CD)
With My Mind
Used to Feel Before
I'm Not The One
FireWaste of Time
Nepal
And I Hear You Call
Tanya
Mushrooms
I Prelude.II On My Own.III The Weep.IV Mushrooms
V Circumstances.VI Captain Relief.VII MoreMushrooms
VIII The Answer
Bonus CD
Feak-Out Intro
Purple Haze
Call Me The Breeze
Rocky Racoon
Western Plain
Freak-Out Outro

 正直言って3rdをきいてしまうと印象は薄く、曲としても完成度は必ずしも高いとは言えないが、自由度が高い拡散性を持った作品であり、実力があることが充分伺えるハイ・テンションなサウンドである。ジャケットの雰囲気からも感じるがアラビア調サイケ&トリップの浮遊サウンドが心地よい。Zeppelinからの影響も伺える。2nd & 3rdでハマってからトライすべし。組曲"Mushrooms"のぶっ飛び度は凄まじい。Bonus CDは小さなLive会場での音源のような和やかな雰囲気の中で渋いBluesナンバーをきかせてくれる。またLive盤ではPiirpaukeのSakari KukkoがSaxophoneにて参加もしているというマニア垂涎の内容。なお、"Fire"、 "Purple Haze"はJimi Hendrixのカヴァー、"Rocky Racoon"はThe Beatlesのカヴァー。


☆We Cannot Move (Trinity TTYCD 0003 :SingleCD)

  1. We Cannot Move
  2. She's On Fine
  3. I Feel Love

2ndからのシングル。ジャケットは無し。他にもシングルがあるらしい。TTYCD 0001,0005が気になる。


☆Kingston Wall II (Trinity TTYCD 0004)
          (Zero XRCN-1067:国内盤)
          (Zen Garden GAR 17 : 2CD)
We Cannot Move
Istwa
Could it Be So?
And it's All Happening
Love Tonight
Two of a Kind
I Feel Love
Shine on Me
You
Palekastro
Bonus CD
Between The Trees
She's so Fire
Can't Get Thru'
 "Istwan"から"Could it be So?"の延々と流れるようなサウンドは、彼ら独自の世界が広がっていて素晴らしい。浮遊感というか間の持たせ方というか、世の中に動きに流されずに自然体でいる姿が美しい。"I Feel Love"はDonna Summerのカヴァー。

☆V.A. / MVP Compilation Series Vol.II (Zero XRCN-1082) '93
 Kingston Wallは2ndからの"We Cannot Move"を収録。他のBandはReturn, Da Vinci, Tarotなどが収録されておりZeroの幅広さが垣間見ることが出来る。

☆Kingston Wall / Tri-Logy (Trinity TTYCD 0006)
              (Zero XRCN-1200:国内盤)
              (Zen Garden GAR 18 : 2CD)

Another Piece of Cake:
Welcome to The Mirrorland
I'm The King, I'm The Sun
The Key: Will
Take You to Sweet Harmony
Get Rid of Your Fears
When Somehing Old Dies
Alt-Land
Party Goes on
Stuldt Hajt
For All Mankind
Time
The Real Thing
Bonus CD
Skies are Open(Live Recording from Lepakko, Helsinki on December 5th '94)
Third Stone from The Sun(Live Recording from City Sound, Turku on November 13th '94)
Have You Seen The Pygmi-Mies(Origanlly Released on "Stuldt Hajt" Single)

 この3作目でついにサイケデリックの頂点に達した。曲調はますますサイケ色が強くなり、ぐんぐん上昇して宇宙まで飛んでいくようなエンドレスなサウンドで浮遊感たっぷり。エネルギッシュな勢いのテンションの高さは並の人間が決して到達することが出来ない領域にまでイッテいる。とにかく凄すぎる展開でシンフォニックとはまた別の意味でのめくるめく展開に至福となる。大作"The Real Thing"は感涙もの。こういった作品はどうやったら出来るのか不思議でならない。生死を超越したサウンド。'90年代の10枚には確実に入る作品。

☆Freakout Remixes (Zen Garden GAR 29) '00
 ずっと前にSwedenのRecord Heavenで注文していたが、一向に来ないので(おそらく船便だろう(^^;)痺れを切らして結局Unionで買ってしまった。このアルバムは普通のアンリリースド物とは違う。既にBandは解散しているし。また、Fear Factoryでいうところの「Demanufacture」←→「Remanufacture」という訳でもなく、元々あるマテリアルを外部でいじくったリミックス物である。一応Zen Gardenから出ているので巷で溢れている腐ったトリビュート物とは根本的に異なるが、正直言って大きな衝撃はなかった。元々ぶっ飛んでいた孤高の作品群をきいてしまっているとやっぱりオリジナルが一番と感じる。一聴したところパンニングしまくっていたのでヘッド・フォンできくと面白いかも知れないが。

☆ Real Live Thing (Sony BMG 82876705242) '05
 本国Finlandでは彼らをリスペクトするアーティストが多いことが分かる。そんな中リリースされた未発表コンピレーション3枚組Live。音質はOfficial Bootlegレベルと考えておいた方が良いだろう。ラフで自由度が高いPsychedelic Hard RockのLive集。マニア感涙のマテリアル。Disc 2の"Shine on Me"はPiirpaukeのSakari Kukkoが参加している。Waltariの作品でプログラミングを担当したことのあるTommi LindellはDisc 3の"The Real Thing", "The Answer"でKey.で参加。
 なお、'05当時のSonyのDisc、しかもCOMPACT disc DIGITAL AUDIOマークがないのでCCCDの確率が高いが、Macでは普通に読み込めたので定かではない。未入手の方はこの点気になる方もいるだろうが、どうするかはご自身の判断に任せるしかないなぁ。



Amorphis

☆My Kantele (Victor VICP-60038 : Single CD)
       (Relapse RR 6956-2 : Single CD)
☆Tuonela (Victor VICP-60673)
 
メロディアス・デスとして君臨していた彼らの近頃の作品は良い意味で脱線してていいかもしれない。
「My Kantele」では同郷Kingston Wallに敬意を示したと思われる"And I Hear You Call"とHawkwindの"Levitation"を収録、そして最新作「Tuonela」はPiirpauke(下記)のSakari Kukkoが参加!
'70s Rockオヤジはマストアイテムと思われる。

☆Alone (Spinefarm Records SPI117CD) '01
 「Am Universum」リリースに先駆けての先行シングル。"Alone"のAlbum VersionとEdit Version、日本盤ボーナストラックの"Too Much To See"が収録されている。伝統とモダンな音楽が絶妙にミックスされた名曲"Alone"はKingston Wall、Waltariを産んだFinlandの音楽シーンのレベルの高さを窺い知ることが出来る。この"Alone"においてもSakari Kukkoが素晴らしいプレイを披露している。なお、"Alone"はFinlandのナショナル・チャートでNo.1を記録した。

☆Am Universum (Victor VICP-61329) '01
 また一つ高いレベルへ到達した5th。客観的に見ても傑作と言って良いだろう。Sakari Kukkoも"Alone"の他にも"Crimson Wave", "Drifting Memories", "Veil of Sin", "Grieve Stricken Heart"で見事なSaxを吹いている。中でも"Drifting Memories"はお薦めだ。
 なお、今のところの最新作「Far from The Sun」はCCCDのために未購入/未聴。AmorphisをCCCDにしたことろで全く良いことがないことはファンであれば誰でも判る事。その後Amorphisは中心人物であるPasi Koskinenが脱退。現在Tomi Joutsenが新しいメンバーに迎えられている。今後の動向に注目だ。しかし、またCCCDだったらこのバンドともサヨナラしなきゃならないなぁ...。


Alone

 Amorphisの詳細は下記:
http://www.amorphis.net/

Piirpauke

☆Piirpauke / same (Si-Wan Records SRMC 4048) '75
 彼らの1st。既にこのアルバムからいろいろな国のTradをベースに独自の音楽を展開している事が分かる。独特の世界観が感じられるサウンドでとても興味深くきくことができる。2ndが好きであればこの1stも推薦したい。ジャケットも秀逸。

☆2 (Love Records LRCD 192) '76
☆Live (Love Records LRLP 2518) '77
☆ Live in der Balver Hohle (JG048) '80
☆he Wild East (RockAdillo EFA 4128) '87
☆Muuttlinnut/Terra Nova (Zen Master ZENCD 2037) '93
 変なトラッドというイメージがある彼らであるが、哀愁の音楽と特異な音楽性には「世界は広いな」と思わせるに充分なサウンドである。偉く渋い北欧サルサ。現在Sakari Kukkoは50歳らしいがフィンランドでも屈指の才能溢れるアーティストで皆から尊敬されているらしい。最新Newsによると結成25年記念ツアーも企画されている。

☆Zerenade (Jaro 4142) '89
 Piirpauke '89の作品。この作品も演奏は勿論、内容も素晴らしいね。ギターはJukka TolonenとBaduでそれぞれの曲でソロを分け合って弾いているのが興味深い。改めて今の耳できいてみると分かってきたが、もはや人間国宝と言っていいSakari Kukkoの素養の深さに脱帽である。取り敢えずKebnekaise, Arbete och Fritid, Daniele Sepe好きなら必聴だ。(^^;

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Live
Live('77)

詳細は下記:
http://music.sky-sea.net/official/piir.html(日本)
http://www.rockadillo.fi/piirpauke/(フィンランド)