素敵なおじさま・3
私たちがそのラーメン屋に入ったときには彼はすでにこの体勢だった。
彼はどんぶりにコンタクトを落としてしまったわけでもなければ、
ラーメンがまずくて吐いているわけでもない。
どんぶりに全体重を預けつつ、ひっくり返さないバランスは見事だ。
耳を澄ませばノイズじみた音も聞こえる。まさか−−−。
そうか、彼は熟睡中なのだ。
(場所:吉祥寺・Hラーメン 閉店しました)