語り継がれるべきJap's Rock名盤シリーズ

 大胆不敵にJap's Rock無責任Reviewをブチ撒けてみた。辺境の極致と言えば日本が最右翼だろう。


☆Millplat / same (Millplat MP-9401) '94
 Novela/Scheherazade/Nuovo ImmigratoのAngieこと五十嵐、元Kennedyの泉、元Sophiaの細川が組んだユニット。打ち込み東洋的なフレーズが絡み合う"Ambassador"、'80s的なもの悲しさの"追憶"、Sophiaのリメイク曲"Prism"はゲスト参加の堂地のSaxが冴えている。"Down"での五十嵐のVo.が良い。Kennedyの名曲"Twinkling NASA"のVo.入りVersionがあるが個人的にはオリジナルの方が好み。結局今となっては1作のみのプロジェクトとなってしまったMillplat、当時入手性に問題があったのかも知れないが、余り話題にならなかったような気がする。'80s後半のあの独特のフラット気味な音質は好みが分かれるかも知れないが、なかなかの作品と思う。なお、CDDBに登録されていなかったため登録しておいた。活用いただければ幸いである。


Millplat

 〜 宗修司氏の軌跡 〜
☆V.A. / まぼろしの世界 サンプルズ (まぼろしの世界 MABO-001) '95
 冒頭の曲が宗修司/原田仁のHard Punk DuoのBazooka Joeの"Jesus Vs"が収録されている。'94/12/30シルバーエレファントでのLive音源。¥1,000で当時の先鋭アーティストを知ることが出来た大判振る舞い盤。

☆Bazooka Joe / Porno and Candy (まぼろしの世界 MABO-003) '95
 Ruins / 高円寺百景をよりストレートにRockしたようなサウンド。Punk Rockといっても良いかも?後半に収録されているストリングスが入った曲は「架空線上の音楽」を彷彿させる事もあり。パワフルな演奏はLiveで映えしていたことであろう。

☆Soh Band / No Problem at All (地底Records B-6F) '96
 当時アルカリ・ジャズと言われていた。この表現、分からないようで分かるような強引さでイカしていた。"Humble Paranoia"や"Dream Breaker"のいろいろMixされたサウンドはドタドタした楽しくて優しい曲。沖縄民謡のような"Anything will Do"、"素敵なお仕置き"の何でもありの暴れぶり、そして名曲"No Problem at All"...。どれもLiveに映える強力なサウンドである。伊藤氏の解説も必読。

☆Soh Band / Omake Cassette 2 (地底Records Presents - Not for Sale) '96
 どこで入手したか記憶が定かではないが、「死ネバ馬鹿モ治ル」をLive会場で入手したときだったと思う。収録曲は下記の通り。
Side A - "Introduction", "セクサロイド”私チャコちゃん”" ('96/5/25 高円寺20000V)
Side B - "Dream Breaker" ('96/6/23 Mandala-2)
 竹内氏のフルートがJethro Tullばりで良い。"Dream Breaker"のドタドタ&走り&遅延Ds.プレイが痛快である。パワー全開のLive。

☆Soh Band / 死ネバ馬鹿モ治ル (地底Records B12-F) '98
 いきなり「帰れ!」コール/マイ・シャローナで幕開ける実にSoh BandらしいLive。'97/9/19江古田Buddyでの録音盤。チェルノブイリ渡部と竹内直の自由奔放なプレイに増田隆一、清水正樹の的確なプレイ、暴れながらもなんとなく優しい宗修司のDs.が美しい。一押しは"Beyond Beyond"。


まぼろしの世界 サンプルズ


Omake Cassette 2

☆Soh Band Live at 西荻窪Bin Spark ('01/3/24)
演奏曲目:
1. Dream Breaker
2. セクシャル・ハラスメントNo.1
3. レッツ・ゴー・カンマ(新曲)
4. 狂い咲きのバラード
5. Black Outよこんにちは
6. 暴れん坊内閣
7. No Problem at All
- アンコール -
8. 思い出にサヨナラ
 相変わらずの直球勝負な宗氏のキャラクターは楽しかった。「セクシャル・ハラスメントNo.1」はホント良い曲。新曲として披露された言葉の句切りを変えるとヤバイ曲名(というかそちらの方が正しい?)"レッツ・ゴー・カンマ"はゴリゴリのリフが炸裂するアグレッシヴな曲で高円寺百景風。名曲「No Problem at All」がきけたことで大満足。欲を言えば"Beyond Beyond"も...と次回の機会を伺っていたが永遠にLiveできける機会を失ってしまった。白衣を着ながら拡声器でがなる宗氏の姿はもう見ることが出来ない。(;_;) 今まで素晴らしい音楽、ありがとうございました。宗修司氏の冥福を祈ります。



4/14, 5/10のLive告知


Soh Band Live告知チラシ2


Soh Band Live告知チラシ3

☆Cosmos Factory / トランシルヴァニアの古城 (Columbia COCA-15236) '73
 Cosmos Factoryは'70に名古屋で結成された個性派集団で立川直樹氏に見出された。この1stは日本の重厚なるプログレッシヴ・ロックの名盤である。当時大胆に導入したメロトロンやシンセサイザーが今となっては逆に新鮮。リーダーの泉つとむの気迫が漲っている。フラワー・トラヴェリン・バンド、フライド・エッグなど当時の日本のHR/Prog. Rockに対してこのCosmos Factory、特にこの1stは実に日本独特の音を奏でる。このCDは2度目の再発であるが、新たなデジタル・マスタリングを施している。プログレはとかく演奏に耳が行きがちであるが、このCosmos Factoryは徹底的に日本語歌詞に拘りを見せている。"神話"、"追憶のファンタジー"は彼らの真骨頂である。日本の未来に安心感を与えてくれる物はないという思いをつづりながら完成させたタイトル組曲"トランシルヴァニアの古城"は沈み込むような混沌とした雰囲気で唸りまくる重厚なキーボードで彼らの代表曲と言っていいだろう。

☆Cosmos Factory / Black Hole (東芝EMI CT25 5577) '76
 Cosmos Factoryの3rd。私が初めて彼らの音に触れたのはこの極東ロックコレクションのCD化シリーズの再発にてであった。彼らのことを知ったのは'87のBURRN!臨時増刊号BURRN! Japan 1の酒井康氏のPleasure Vinylでの紹介。これに「Black Hole」が掲載されていてとても興味を持ったのである。しかし、今このReview記事を眺めると随分とマニアックな選出である。伊藤政則氏、ジョージ吾妻氏、酒井康氏はやりたい放題であり、子供の目の毒であった。この3rdは期待していただけに最初きいたときは正直言って肩すかしをくらった。今きくとかなり良い。(^^; 個人的には1stの方が日本的イメージが強くて好みであるが、サウンド・クオリティ、独特な世界観に関しては本作でも全く劣っていない。宇宙的広がりを見せる"Crystal Solitaire"の儚い美しさ、"鏡の誘惑"のゴチャゴチャした不思議なサイケデリック感覚は中期Crimsonマニアも必聴の内容である。なお、CD化にあたりシングル"遠い日々"のB面の"不思議の窓"のボーナス・トラックを収録している。2ndも確かCD化されたと思ったが結局入手できなかった。



トランシルヴァニアの古城

☆Keep / DG-581 (Vivid Sound Corporation VSCD-3021) '81
 深町純を中心としたセッション・プロジェクト記念すべき1st。プリズムの和田晃のプレイにも注目である。2ndの目の醒めるような展開というよりもリラックスした雰囲気で浸れるアルバム。この作品はBGMで流れてしまうかもしれない。最初はやはり2ndから入るべし。私は深町純を生で初めて見たのは四人囃子目的で行った'99/9/23の日比谷野音であった。深町純は完全に浮世離れしていた。現存するミュージシャンで孤高の存在、仙人の域に達している数少ない人、深町純はそういう存在と思う。四人囃子で思い出したが、その日の森園氏のプレイは見ていて痛々しかった。

☆Keep / Rock'n Rocked Rock (Vivid Sound Corporation VSCD-3028) '82
 Keepの2ndアルバム。単なるフュージョンと思っている人は認識を改めていただきたい。この作品にはあらゆるカテゴリーを超越した究極の姿を垣間見ることが出来る。この音には無限の可能性を秘めているようなワクワクするものを持っている。シャープな切れ味と瑞々しい美しさが同居した"Moonbeam"に卒倒した人、数知れず。これをまだ未聴なあなたは幸せ者だ。この素晴らしい作品に出会い、堪能できる楽しみが残されているのだから。大音量で体感して欲しい。Mariahの山木秀夫の気持ちよいぐらいの超絶突っ走りDs.も実に爽快。深町純によるアルバム解説も必読だ。

☆Mariah / Yen Tricks (King Records KICS 2816) '80
 Keep関連で1枚。Ds.の山木秀夫が参加していたMariahの2nd。'98のJapanese Rock Legendシリーズの再発で初めてきいたので各メンバーがフュージョン畑で意外なPop性で腰を抜かした等の衝撃は正直言って無い。当たり前だ。印象としては凝ったPopsと行ったところか。Vo.がシャウトするとNovelaを思い浮かべるが、どちらかというとTotoとかそういった高品質Popであろう。辺境マニアにとってはFSBに近いと言った方が通じやすいかも。(笑)



Keep / Rock'n Rocked Rock

☆Flower Travellin' Band / Satori (wea WPC6-8425) '71
 ジョー山中の雄叫びで幕開ける2nd。完全にプラントを意識しているのは明白であるが、何せそれを凌駕する勢いが素晴らしい。実際の歌は結構ダウナーなためDoom/ストーナー・マニアにも必聴だ。東洋サイケデリック・ハードロックの名盤。海外でも評価が高い。深町純同様ジョー山中を'99の日比谷野音で見たが相変わらずの歌唱力に度肝を抜いた。確か気怠い日本的リズムが爆裂する"Satori Part II"をやっていたぞ。

☆Flower Travelling Band / Made in Japan (wea WPC6-8426) '71
 3rd。EL&Pのラッキー・マンのBGMの中でFlower Travelling BandがDJに紹介されているところからスタート。"Unaware"が随分とブルージーで妙に枯れた印象を与えるが、ジョー中山のVo.は相変わらず強烈だ。"Hiroshima"はダウナーな東洋的サイケ、"That's All"の陶酔感は大変魅力である。
詳細は下記:
http://www.angel.ne.jp/~water/flower/flower.html



Satori

☆佐藤允彦&サウンド・ブレイカーズ / 恍惚の昭和元禄 (P-Vine Records PCD-1461) '71?
 Jazzピアニスト佐藤允彦がRockのインタープレイに挑戦した意欲作。モダンな印象のA面1曲、フリーJazz色が強いB面1曲全2曲のパワフルな演奏が収録されているが、残念ながらイタ起こし。しかし21世紀において実に新鮮な音である。題名も昭和中期の臭いがプンプンしていて最高。日本のアングラという文字が相応しいモンド・サウンドである。エナジーがほとばしるサンプリング・コラージュが脳みそを刺激する。なお、Rockマニアではお馴染みの柳田ヒロ、水谷公生も参加。

☆Love Live Life + One / Love will Make a Better You (Made in Japan Records NKCD 471) '71
 サックス奏者の市原宏祐を中心としたJap's Prog.黎明期のセッションアルバム。アートロックという響きがよいかも?ギターは水谷公生、キーボードは柳田ヒロ、ヴォーカルは布施明。今きくと古くささは否めないが、あの時代でよくもこんな音をレコードに封じ込めたものだと思う。



佐藤允彦&サウンド・ブレイカーズ /
恍惚の昭和元禄

☆水谷公生 / A Path Through Haze (P-Vine PCD-1584) '71
 海外では日本のプレミア盤といえば、必ず水谷公生が挙がる。このCD化は我々日本人よりも海外コレクターが喜んだのではないか?ジャズ・ロックというよりもドグサレ・スペース・サイケ・ロックと言った方が近い。スキャットが入るが、まぁ、全曲インストと言っていいだろう。"Tell me What You Saw"のフリーキーぶり、"One for Janis"のダウナーながらも疾走するHRナンバーは必聴だ。ストーナーRockファンに激お薦め。(^^;

☆Food Brain / 晩餐 (P-Vine PCD-1583) '70
 ルイズルイス加部、つのだひろ、柳田ヒロ、陳信輝のJap's Rock黎明期の最強ユニット唯一の作品。軽快なノリが基本であるが、正に岩のような塊のRockインストである。"レバー・ジュースの自動販売機"、唸りまくるキーボードが印象的な"目覚まし時計"なんか最高だ。2日で録音したという驚異的な状況下、熱さがほとばしっている。



水谷公生 / A Path Through Haze

☆柳田ヒロ / 7才の老人天国 (wea WPC6-8456) '71
 水谷公生、ファーラウトの石川恵樹、スピード・グルー&シンキに参加しているジョーイ・スミスなどが参加した2ndアルバム。「ニューロックの夜明け」シリーズにおいてデジタルマスタリングで再発された。前半は兎に角迫力ある凶暴なサイケデリック/プログレである。ジャケット通りのマッチ売りのサイケデリック少女といった趣だ?(^^; こういう野蛮と儚い美しさを伴った混沌な音は現在ストーナーきいている若い人がトライすると面白いと常々思っているのであるが...。

☆Farout / 日本人 (TRC Records TRC 005) '73
 私は最初にCD化された盤起こしのBootlegと間違えそうなTRC盤を入手した。しかもクレジットはFor Outになっているんだな、トホホ。宮下フミオを中心に結成されたFaroutの1st。冒頭でSabbathの4枚目を思い出してしまうあなたは重傷だ。(^^; なんとこの作品には琵琶が使われているのだ。実に日本的ではないか。しっとりとしみじみ浸れる作品である。確かジョー山中もゲスト参加していたと記憶している。

☆スピード・グルー&シンキ / イブ 前夜 (wea WPC6-8452) '71
 Food Brain解散後、米国人ジョーイ・スミスを迎えて陳信輝、ルイズルイス加部と結成したHeavy Rockトリオ。実に強力な布陣だ。基本はBlues Hard Rockであるが、ファズかかり捲りのVo.に自由奔放な演奏の不思議な絡み。生半可なグランジ・ロックきくよりこっちの方が断然良い。



柳田ヒロ / 7才の老人天国

☆Oni / 嫁入り (Lucky Bird LB-01) '97
 初めてきいたのは確か発売して間もない時。広島から「プログレ虎の穴」(広島のディープなプログレ仲間が集うディープな飲み会)へ行く三次への移動中、らめんと山田氏の車の中のBGMとして。(^^; シチュエーションの悪さから、残念ながらその時はあまりくるものがなかった。ところが、今年大阪で中古盤で目が合った時、運命のようなものを感じて入手してしまったのである。再チャレンジのつもりできいてみところ、これが大正解。凄く良いのだ。兎に角三橋美香子のVo.が素晴らしい。それを邪魔しない程度にしっとりとバックの演奏が厳かに流れる様はジワジワくるものがある。甘美な誘惑の中に潜む怨念、深い悲しみを感じる"すまなんだ"、"ララバイ"、"黄泉"、"魔法の船"が白眉。特に"ララバイ"は一時期取り憑かれたようにエンドレスで聴き続けてしまった。浦山秀彦のギターが美しい"黄泉"も中毒性が高い。なんか泣けてしまう。これは日本人でなければ絶対出てこない音であり、古来から伝統的に引き継がれている日本の湿った陰の姿が見事なまでに表現した名盤。Oniは残念ながら解散してしまったが、これぞ語り継がれるべき作品である。なお、Ds.は植村昌弘、ゲストに仙波清彦、小川美潮が参加。



☆P.O.N. / same (Creativeman disc. CMDD-00001) '95
 植村昌弘のリーダーユニットP.O.N.。超絶不条理な展開が理不尽に最後まで続く緊張が痛快な作品。Bondage Fruitの鬼怒無月、高良久美子、スペシャルゲストに金子飛鳥と強力布陣。植村さんの生演奏はHappy Familyで一度ピンチ・ヒッターで叩いたのを見たきり。P.O.N.でのプレイを見てみたかった。至極後悔&残念。