7月27日
吉祥寺MANDALA-2

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2009年から、3年ぶりにLars Hollmerトリビュートライブが行われました。今回はSOLAの他に、日本版Accordion Tribeか?という前評判のBoevesと一緒です。Mandala-2といえば、Hollmerの初来日公演が行われた会場で、あの時は酸欠必至、売り切れ御免な動員だったのを覚えています。

 さて、そのBoeves、日本のLars Hollmer好きなアコーディオニストが集まってできあがったバンドです。基本的にオリジナルに忠実な演奏だけど、ところどころ歌ったり、かけ声をかけたり、実に楽しげ。日本版Accordion Tribeというよりは、やはり(MCで自ら言っていたとおり)「ラーシュ部」だと思います。
 演奏の合間に、「"Soon Song"と言うわりには、かなりゆっくりな曲だよね」、「"Sväng Bättre (Swing Better)"ってスウィングじゃないよね、こんな変拍子の(笑)」とタイトルに突っ込みまくり(笑)。バンド名にもなった"Boeves Psalm"の"Boeves"に関しては、アランは「牛を意味する古い英語(Bovine?)」だと思い、「牛の歌に違いない」と思い込んでいたらしいです。実は大叔父さん(私の記憶だと大叔母さんだった気がするんだけど、昔のメールが見つからない(涙))の名前だったのに。英語と違って馴染みのない言語なので、翻弄されますね。

 "Cirkus I"はアランいわく「身体は疲れないけど、脳みそが疲れちゃう」曲だそうで、それを受けて向島が「能率悪い曲、こんなに練習して1分台かい!」と憤っていたのが面白かったです(^_^;)。聞いているだけだとあまり考えたことないけど、プレイヤーがHollmerの曲に苦労しているのは何度も見てきました。"Utflykt M. Damcykel"にいたっては「変態」扱い(笑)。シンプルなフレーズが少しずつ形を変えながら、複雑に絡み合っているんだろうなぁ。
 "Höstvisa"と"Hajar Du Idealfamiljen?"は小峰による詞がつけられていた。"Höstvisa"はお母さんが子供に歌いきかせている感じ。"Hajar Du Idealfamiljen?"は日本の家族ヴァージョン。どちらも曲の雰囲気によく合っていて、"Idealfamiljen"は小峰作の方が良いと思いました(^_^;)。(オリジナルの歌詞は、うちのサイトにあるので見てね。)

 ところどころで、向島がHollmerの思い出話をしてくれて、ひとつひとつが目に浮かぶようで、とてもよかったです。

(おまけ)
ライブの間に「調べたけど意味が分からなかった」と言う場面が何度かあったので、(独学だけど)スウェーデン語を多少知ってる者として、一応調べてみたです。でも全部は分からなかった(^_^;)。

portaletyde:これは言葉遊びなんだと思われる。port-talet-tyde (gate-talk-interpret)なのではないかと推測。意味は?と聞かれてもまったく分からない(汗)。
pomp-en:華麗、虚飾。語尾の-enは定型名詞につくもので、英語の"the"みたいなもの。
inte:〜ではない
cirkus:サーカス(発音は、ライブでも言っていたとおり「シルコゥス」みたいな感じ)
höstvisa:秋の歌
sväng :回転、揺れること swing, turn
utflykt m. damcykel:婦人用自転車でピクニック(m.はmedの省略)
hajar:get it, understand, wise up



07/27
BOEVES:
向島ゆり子 (acc.)
小峰公子 (vo, acc)
佐々木絵美 (acc.)
アラン・パットン (vo, acc.)

1. Portaletyde
2. Pompen
3. Soon Song
4. Inte Quanta
5. Cirkus 1
6. Hostvisa
7. Sväng Bättre
8. Utflykt M. Damcykel
9. Hajar Du Idealfamiljen?
10. Boeves Psalm


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 SOLAの選曲は、2009年のトリビュートライブと同じだけど、一曲入れ替えがありました。"Pas Du Valse"の替わりに、今年の5月末に発売された、Lars Hollmerの未発表曲集「With Flowery Hands」から、"Tivolimarsch"が選ばれました。時々Hollmerから電話が来たよ(笑)。(<清水のキーボードのSEのひとつが電話っぽかった)
(写真右:"tranmpumpa"のエンディングで早くも火花が散る!)

 出だし2曲ほどは少々アンサンブルの乱れがあったけれど、"Trampumpa"あたりから勢いに乗ったタイトな演奏が楽しめました。"Arioso Nearaway"は、前半のヴァイオリンのゆったりとしたメロディーが美しく、中間部で雰囲気ががらっと変わり、70年代的なトーンのギターソロと、タンゴチックなピアノのフレーズがぶつかり合う、そのコントラストが面白かったな。"Tivolimarsch"はサーカスとか遊園地を思わせるような、哀愁漂うクラリネットのメロディとマーチのリズムが楽しい曲。清水が時々変な音を入れ込んでいたのが愉快だった。このバンドで演奏したくなるのもよく分かります。BoevesでもSOLAでも思うのは、Hollmerの曲のメロディのシンプルさと美しさ。それを支える奇怪なリズムと変拍子の複雑さを感じさせないくらい簡潔。それがミュージシャンから、あんまりプログレとか変な音楽が趣味ではない人も楽しませる秘訣なのでしょう。(演奏する方から観たらまるで違うんだろうな(笑))"Parallell Angostura"は永遠の宿題ですね、きっと。
 ゲストのナスノは、ゲストと言いつつフル演奏していて、堅実にバンドを支えていました。いっそ正式メンバーに(^^;)。

 前回は涙腺崩壊した"Trampumpa"や"Växeltango"はわりと冷静に聴けました。"Växeltango"の演奏は、SOLA史上最高のタイトさと疾走感があって、それはそれはカッコイイ演奏でした。その反面、Hollmerが居なくなった穴は、もう塞がってしまったんだろうかと、ちょっと寂しくなってしまいました。それから"Tivolimarsch"が演奏されて、初めて、最初からHollmerが居ないSOLAだけの演奏というのを目の当たりにして、冷静でいられなくなってしまい・・・。もし生きていたら、彼はこの人達とどんな音楽を作っていたんだろう?「With Flowery Hands」はそのヒントになるけど、完成形はもう望めない。その後はまともにステージが見られなくなってしまいました。"Novelty"の美しいヴァイオリンの音色が追い打ちをかけるぅ…。

 でも、いつまでもメソメソして良いことはないし、むしろSOLAオリジナルの曲を作って欲しいくらい、このバンドには期待しているのです。集まったきっかけは偶然だったのかも知れないけれど、今思うと、Hollmerのヴィジョンを共有できる人達が、何らかの力で選ばれて来たんじゃないだろうか…なんてSFチックなことを考えたりして(^_^;)。でも、だから、オリジナルを作ったら、きっと楽しいに違いないよ。Hollmerが羨ましくて化けて出てくるくらいに。

 なんか、タダの戯れ言になってしまった。すいません。

(おまけ)
こっちも一応調べてみました。
Ljuva lägen:delightful situation。「喜ばしい立場・状況、みたいな感じかな?」
trampumpa:これはHollmer氏から聞いたことがあって、手こぎトロッコのような乗り物らしい。しかしこの単語で検索しても、そのような記述や画像は見つからない。単語を厳密に見ると、tram:ペダル/pumpa:カボチャ、なので、むしろこの曲に用いられる足踏みオルガンのイメージの方が強い気がする。
växel:gear, exchange
samma:same
Angostura:関係あるか分かりませんが、そういう名前のラム酒が存在します。


7/27
SOLA THE GLOBAL HOME PROJECT
:
清水一登(p,keys,vo.)
吉田達也(ds,vo.)
坂本弘道(cello,saw)
大熊亘(cl, etc.)
向島ゆり子(vln,etc.)
伏見蛍(g.)
ナスノミツル(b.)

1. Natiousjazz
2. Ljuva Lägen
3. Trampumpa
4. Arioso Nearaway (Jap. Bonus)
5. Växeltango
6. Samma Zanzibar
7. Tivolimarsch(「With Flowery Hands」収録)
8. Now
9. Novelty
10. Parallell Angostura

--encore 1--
11. Continue