昨年末、腫瘍のために逝去したLars Hollmer氏を偲んで、共演したことがあるミュージシャン達が集ってトリビュートライブが行われました。久しぶりにお会いした方々もチラホラ。秋葉原GOODMANは初めての会場で、相方から「音が良い会場だよ」と聞いていたのですけど、生音やモニターの音がガッチリ聴こえる最前列にいたので、よく分かりませんでした(^_^;)。ステージと客席を仕切る柵がとても近いですが、普段は椅子が並べられているのでしょうか。あ、カールスバーグ樽生があったのがグー。 開演30分前くらいに、Hollmerさん生前の貴重な映像が流されていました。Utsikterのギタリスト、Tomas Arnesenは、Panta Reiに在籍していたことでマニアには有名だと思いますが、初期Samlaにも一時期在籍していたことがあります。現在はジャズのフィールドで活躍しているそうです。 続いて、吉田さん加入後のSamlaのライブ。ドリフのコントを彷彿させるような"Mjo:lk"は何度聞いても吹き出してしまう。合いの手が絶妙なんだよね(^_^;)。吉田さんの演歌熱唱に、スウェーデン人なぜか大盛り上がり。ビデオが終わった後で、吉田さんがSamlaとのライブの思い出を、いくつか披露してくれました。「セットリストが決まっていないので、曲を全部覚えていなくてはいけなかった」とか、「ステージ上で曲を決める際に、意見がぶつかることもあった」とか。日々是インプロ。 |
UTSIKTER:
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Lars
Hollmer (acc, melodica, keys, vo.) Michel Berckmans (bassoon, oboe, english horn) Matt Andersson (Cb, fl, acc, keys.) Tomas Arnesen (g. keys) Santiago Jimenez(vln.) |
SAMLA MAMMAS MANNA :
*「Dear Mamma」に収録されているライブと同じものだと |
Lars
Hollmer (keys,vo.) Coste Apetrea (g,vo.) Lars Krantz (b.) Tatsuya Yoshida (ds.) |
スクリーンが上がると、程なくPochakaite Malkoの演奏が始まりました。Hollmerさんとセッションした時は、まだ壷井さんは居なくて、ダブルキーボード体勢だったんだよね。ライブのセッティングをしているとき、キーボード関係の接続にものすごく苦労していた記憶があります。あれからメンバーが入れ替わりましたが、バンドとしてより力強い個性と存在感を身につけたと思います。 下のリストは、mixi内のPochaファンと思われる方の日記から拝借しました。1曲目"Requiem"は初演だそうです。ピアノの不吉なイントロの後に、ゆったりとしたヴァイオリンの旋律が流れ、リズム隊がダイナミクスを付けていくような構成でした。現在のメンバーでは編成的に難しいのか、"Ikarien"などSamlaの曲は演奏されませんでしたが、5曲目"Living Magic"の途中に、ほんのちょっと"Klossa Kapitalet"のフレーズが織り交ぜられていました。なんか新鮮。Hollmerさんは現在の編成のPochaを観ていないはずだけど、草葉の陰でお楽しみいただけたのではないかと。(約45分) |
06/17 POCHAKAITE MALKO: 荻野 和夫 (key.) 立岩 潤三 (ds.) 壷井 彰久 (vln.) 桑原 重和 (b.) 1. Requiem 2. LANKA 3. 絞首刑 4. World of Pain (ラクリメ) 5. Living Magic (inc. "Klossa Kapitalet") 6. D.N.A. |
休憩を挟んで、吉田さんがステージに登場。CDの音源を使って作ったカラオケ?にあわせて、約12分の「一人サムラ」メドレーを演奏。ややこしい曲を自然な流れで繋いだ、正統派なメドレーでした(ただし一人)。その後、Pochaの桑原さん、SOLAの伏見君、桑原さんと他のバンドをやっているキーボーディスト、堀越さんを迎えて、S(Z)amlaの曲をカヴァー。"Ikarien"のラジオバージョンというのは、以前PochaがHollmerさんと一緒に演奏したことがあったけれども、吉田さんがSamlaのメンバーと演奏していた"Ikarien"とはアレンジが違うので、「出だしどうだっけ?」みたいな一コマもありました。"Five Single Combats"では、堀越さんの派手なキーボード・インプロが堂に入ってカッコよかったです。伏見君は、"Ikarien"のCoste Apetreaのナチュラルな音に対して、ユニークな音作りをしていたと思います。"Five Single Combats"では超絶プレイも。彼は自分のバンド、The Peach Sunfishでは、もっとロック寄りの音楽をやっていますが、プログレをやらせても上手いなぁ。(約30分) |
6/17
with 桑原重和(b.)、伏見蛍(g.)、堀越功(key.) |
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私の目の前に、チェロの坂本さんが座っていて、彼の後ろの道具箱にはグラインダーが置かれていたので、「火花ヤバイ」と思ったんですが、使用されることはありませんでした。ゲストのGideon
Jucksさんは、チラシではチューバも担当するように書かれていたのですけど、このステージではベースのみの演奏でした。Hollmerさんが居た当時は、清水さんが主にベースパートを担当していたそうです。しかし今日の清水さんはHollmerさんのキーボードパートを担当、大熊さんがアコーディオン(とバス・クラリネット)を担当していました。エレキ・ベーシストがいることによって、今までで一番骨太なサウンドになっていたのでは。他、向島さんはトイピアノとメロディカも担当していました。 このバンドが結成されるきっかけになった2000年、Hollmerさんの初来日から8年半。あっと言う間のようで、文字にしてみれば結構な時間が経過していたことに気がつきました。私は外野から覗き見していた程度のポジションでしたが、SOLAのメンバーの皆さんは、どんな思いを抱えてこのステージに立っているだろう?特に、Samlaでも共演した吉田さんや、Hollmerさんとの共作アルバムもリリースしている向島さんは、私など比べ物にならないような喪失感を感じているだろうなぁ・・・などと考えながら、演奏を聴いていました。 3曲目、"Trampump"が始まると、レコーディングスタジオで足踏みオルガンをブカブカ弾いていたHollmerさんの姿を思い出し、涙腺決壊。泣くような曲じゃないのに〜(汗)。とても個人的な話ですが、2回目の来日の後、"Trampump"をイメージしたクレヨン画を描いて、Hollmerさんにプレゼントしたら非常に喜んでいただけたこととか、Hollmerさんが子供の頃に、Trampumpという、鉄道のレールを走る手漕ぎの乗り物で遊んだという話を、メールで教えてもらったなど、いろいろ思い出がある曲です。演奏の後半、坂本さんの、エフェクターを効かせたフリーキーな音作りが面白かったです。 そのあと、"Växeltango"でも涙を抑えられなくなりました。これも泣きを誘う曲ではないのですけどね・・・イントロのアコーディオンソロとか、ユニゾンでバンド全体が疾走するパートなど、「どうしてステージの中心が空いているんだろう?リーダーはどこだよ?」と、複雑な感情に襲われました。 それからドラマティックな"Now"、愛らしい"Samma Zanzibar"や"Novelty"など、Lars Hollmerという音楽家が、いかに素晴らしいメロディを作ってきたのかを再確認しました。私がこの時ウルウルしていた理由が、悲しかったからか、向島さんのヴァイオリンの音色があまりに美しかったからか、もはやどちらなのか分からなくなりました。どっちでもいいです。 お手を拝借!!「例の曲」(笑)、"Parallell Angostura"は相変わらず難曲でしたが、ぶっといベースの力業でねじ伏せた感じでした。ライブ前に上映されていたUtsikterの映像でも、この曲を苦労して演奏していた印象でした。Looping Home Orchestra「Live 1992-1993」に収録されている同曲のニートな演奏は、奇跡なんじゃないかしら(^_^;)。 アンコールの"Continue"では、清水さんがヴォーカルを取りました。とってもレアらしいです。SOLAがこのライブの後、続いていくのか分かりません。彼らはみんな有能で忙しいミュージシャンだからです。最後にこの曲を選んだ意味を、私は肯定的に取ってもいいのでしょうか?しかし、Hollmerさんの音楽が、この日ライブを見に来た人達、来られなかった人達、そして彼を愛する世界中のファンの心の中で、鳴り響き続けることは間違いないでしょう。(約1時間) |
06/17 --encore 1-- |