Atrocity

 ドイツの器用貧乏?Atrocity。Death Metalから複雑怪奇なProgressive Deathへ変貌。その後硬質なIndustrial Heavy Metalへ進んだかと思えばTrad作品をリリースし、その直後クロスオーバーサウンドへ鞍替えたかのようなアルバムを立て続けに出した。そして現在は'80sのPopsをカヴァーするに至る。七変化Bandの代表格。
 さて、あなたのサウンドのお好みは?Atrocityのエライところはそれぞれの作品が徹底しているため、ありがちな中途半端なイメージはないのである。テクニック的にも凡百Metal Bandには到達できない域まで到達している。もうやり尽くしてしまったのか定かではないが、次の作品はどんなものにチャレンジしていくのか注目である。Space Operaかはたまた暴走ドラムン・ベース?またはテクノか?しばらくSM嬢と戯れているかもしれないが(笑)、彼らはきっと今まで私たちが耳にしたことの無いような奇妙な音をいつかはリリースしてくるに違いない。未来派Heavy Metalの代表格として君臨するのは間近であろう。
 Atrocityの詳細は下記:
http://www.atrocity.de/

☆Blue Blood (Nuclear Blast Records NB 023 : EP) '89
 Blue Blood b/w When The Fire Burn Over The Sea、Humans Lost Humanityを収録。メンバーショットが青臭くて微笑ましい。

☆Hallucinations (RC Records RCD 9322 : 1st) '90
 ギーガーのジャケ。Last Temptaionのような邪悪なキーボードが割り込んでくるサウンドが極めつけで他のDeath Metalとは違うことを世に知らしめた作品として有名。

☆Todessehnsucht (Roadrunner Records RR 9128.2 : 2nd) '92
 アグレッシブで複雑な展開、変則技多用のTechnical Death Metalを極めた作品。イキまくりドロドロのProgressive Deathの代表作。傑作。

BlueBlood
Blue Blood
☆Todessehnsucht (Roadrunner Records RR 9128.2 : 2nd) '92
 アグレッシブで複雑な展開、変則技多用のTechnical Death Metalを極めた作品。イキまくりドロドロのProgressive Deathの代表作。傑作。

☆Atrocity's Blut (Massacre Records MASS CD 033 : 3rd) '94
 串刺し王ブラド・ツェペシ・ファミリーに関するコンセプトもの。BlutとはBloodのこと。この3rdよりがらりと様変わりしました。前作のようないきまくりのスピードは殆どみられませんが、「ザクッ」と斬れるギターの鋭さは相変わらずなので納得できます。Progressive Technical DeathからドラマティックなHeavy Metalへ変貌した過度期の作品と言えます。

☆Atrocity feat. Yasmin - Calling The Rain (Massacre Records MASS CD 071 : 4th) '95
 何が彼らをそうさせたのか?エスニックなトラッド風の作品。YasminはAlex Krullの姉らしい。

☆Atrocity feat. Das Ich - Die Liebe (Massacre Records MASS CD 069 : 5th) '95
 CD番号が「Calling The Rain」と前後しますが、入荷順は「Die Liebe」の方が後でした。企画物の完結編?Leibachをカヴァー。Industrial Death Metalのクロスオーバーの成功例。

☆Willenskraft (Massacre Records MASS CD 099 : 6th) '96
 Limited Editionの2枚組。ラストの"The Hunt"の攻撃力は唯一無二のAtrocityサウンド。エンジニアはDas Ich。Videoとのカップリングもリリーされていました。

☆The Hunt (Massacre Records MASS CD 112 : Single) '96
収録曲:
The Hunt (Unholy Version)
Blue Blood (Remake '96)
I'm in Darkness (Remake '96)
Unspoken Names (Demo Version '91)
Hold Out (4-track Rehearsal-session '90)

☆Shout (Massacre Records MASS CD0141 : Singlle) '97
 「Werk 80」の先行シングル。"Shout"はあのTears for Fearsのカヴァー。これが思いのほかザクザクしていてかっこいいのだ。Theatre of Tragedyの歌姫Liv Kristine Espenaesも参加。3曲目はDAFのカヴァー"Vershwende Deine Jugend"。この元曲は知りません。m(__)m

☆Werk 80 (Massacre Records MASS CD0138 : 7th) '97
 カヴァー集。とにかく深い。カヴァー曲をここまで見事に料理したBandは今後もなかなか出てこないでしょう。ジャケのセンスも抜群。"Shout"はシングルとはミックス違い。収録曲は下記の通り。4,5,6,7,11,12の原曲は知りません。(^_^;
収録曲:
Shout (Tears for Fears)
Rage Hard (Frankie Goes to Hollywood)
Wild Boys (Duran Duran)
The Great Commandment (Camouflage)
Send me An Angel (Real Life)
Tainted Love (Soft Cell)
Der Mussolini (DAF)
Being Boiled (Human League)
Don't Go (Yazoo)
Let's Dance (David Bowie)
Maid Of Orleans (O.M.D.)
Die Deutschmaschine (And One)

☆Tainted Love (Massacre Records MASS CD0143 : Single) '97
 「Werk 80」からの第2弾シングル。

☆Atrocity (Massacre Reocrds MAS SH0196) '99
Saviour Machine同様、Massacre Recordsの変形ピクチャーシングル企画盤。やっと買えた。(^^;
 収録曲は下記の通り:
The Great Commandment (Taken from The Album 「Werk 80」)
Shout (Single Edit Taken from The Singlle 「Shout」)
Der Mussolini (Taken from The Album 「Werk 80」)
Send Me an Angel (Taken from The Album 「Werk 80」)
Tainted Love (Albrin-Mix, Taken from The Single 「Tainted Love」)

☆Non Plus Ultra (Massacre Records MAS CD0208) '99
 2CDのBest盤ですが、ただのBestとは訳が違います。それぞれのCDにMultimedia Tracks + 全ての曲はDigitally Remastered + Previously Unreleasedを含む出血大サービス盤です。初出のものは"Shake Your Heads", "The Great Commandment "(Video), "Shout "(Video), "Procreation"。
 見所は内ジャケとVideo Tracks。Tears for Fearsのカヴァー"Shout"のVideoを見た瞬間、来日公演は無理だろうなぁ、でも見たいなぁと思う凄まじいものでありました。Iron Maidenの前座だったのか分かりませんが、動員数が多く、むさい男達で溢れる会場にヌードで踊るお姉さんはシュールでした。また、このCDの内ジャケもモザイク無しでヤバいです。目指せBizarre Metal!

☆Gemini (Motor Music 549 314-2:German) '00
     (Motor Music 549 315-2:English) '00
 久々の新譜である。レーベルが替わってしまったため入手にはエライ時間がかかってしまった。今回のジャケットも気合いが入ってよろしいのだが、曲調が全般的に平坦な作りになってしまっているのが残念な気がする。もう少しアグレッションが欲しいところ。但し、ドイツへの拘りが増しているところは今後期待大。ラストに収録されている"Lili Marleen"、青ジャケ(549 314-2)はドイツ語、赤ジャケ(549 315-2)は英語Versionである。
 なお、AtrocityはThe Mera Luna Festivalを最後に個人的理由によりThorsten Bauerが脱退することになった。7年間に及ぶ活動の中で友好的な別れであると最新ニュースでは報じられている。
☆Cold Black Days (Napalm Records NPR 138) '04
 4年ぶりの新作「Atlantis」に向けての先行シングル。一時的に脱退していたThorsten Bauerは結局復帰している。"Cold Black Day"はアルバム・テイクの他、Radio Mix, Das Ich Remixが収録、その他アルバム未収の"Antediluvian World"が収録されている。
 なお、このシングルはマルチメディア盤でスクリーン・セーヴァー入りらしいがOS X未対応のようでまだ見ていない。(^^;

☆Atlantis (Napalm Records NPR 143) '04

  Official Web(http://www.atrocity.de/)のトップを飾る"One German is a philosopher, two Germans are a beer pub, three Germans are a heavy industry, four Germans are a world war, five Germans are ATROCITY!"のイキなキャッチコピーに偽り無しのAtorocityが戻ってきた。久々の傑作と言って良いだろう!心機一転のアグレッシヴに迫るモダンなDeath Metal路線でしかもコンセプト作。
 最近のある程度活動してきたBandのメンバーはいろいろな事情のため?(^^; 髪が短くなるのだが、このAtrocityの司令塔Alexander Krullの長髪ぶりは神々しさを感じるまでの美しさ。筋金入り度と気合いの入り方が違う。(とは言っても子煩悩さも凄いらしいが。(^^;)
 洒落たフォントデザイン(対応表付)はAlexander Krullの妻であるLiv Kristine Espenaes Krullによるもの。作品全体のクオリティを求める実にドイツらしい配慮も素晴らしい。
 今作は特にリズムが非常に重いながらも疾走していく曲調が多いものの、"Aeron"の重厚なバックコーラスなど随所にエレガントなゴシック・ムードが漂い、Liv Kristine Espenaes Krullのコーラスも効果的という今までの集大成的な意味合いを持っているように思う。また、Mastersound Studioでの録音ということであるが、Atrocityの出す音に非常に合っているような気がする。
 なお私が入手したのはLimited Edition Digibookのマルチメディア盤で"Cold Black Days"のVideoclip等が楽しめる。但し、これもシングル同様OS Xではなく、Classic環境やOS 9対応のようであるが...。


Cold Black Day(single)

Atlantis

☆Werk 80 II (Napalm Records NPR 238) '08
 「Werk 80」で'80sのカヴァー集をリリースしたが、これが好評だったのかPert 2がリリースされた。
 収録曲は下記の通り。
People are People (Depeche Mode Cover)
Smalltown Boy (Bronski Beat Cover)
Relax (Frankie Goes To Hollywood Cover)
Don't You Forget About Me (Simple Minds Cover)
The Sun Always Shines on TV (A-Ha Cover)
Hey Little Girl (Icehouse Cover)
Fade To Grey (Visage Cover)
Such A Shame (Talk Talk Cover)
Keine Heimat (Ideal Cover)
Here Comes The Rain Again (Eurythmics Cover)
Forever Young (Alphaville Cover)
Feels Like Heaven (Fiction Factory Cover) (Bous Track)

 お馴染みの曲からマニアックなカヴァーを収録。私が気に入ったのは Frankie Goes To Hollywoodのカヴァー"Relax"、Simple Mindsのカヴァー"Don't You Forget About Me"、Vo.でLiv Krisitneが参加しているA-Haのカヴァー"The Sun Always Shines on TV"、最もAtrocityのGothic的なサウンドに嵌っているEurythmicsのカヴァー"Here Comes The Rain Again"など。
表ジャケだけでなく内ジャケなどモデルの女王様達、レトロさと近未来さを融合させた芸術的かつ雰囲気抜群のエロさが素晴らしい。(^^; ジャケット路線はこのまま続けて欲しいが(笑)、カヴァー集は今回で最後の方が良いだろう。(^^;
なお、デジパック盤は"Feels Like Heaven"のBonus Track入り。


☆Theatre of Tragedy / same (Massacre Records MASS CD 063) '95
 Dark Wave-Metal from Norway with Female Vocals.Liv Kristine Espenaes嬢が在籍する7人編成のBand。
神々しい透き通った美しい女性Voiceに、超強力なDeath Voiceが絡むという、どうなっちゃったの状態の展開なんですが、中盤の大作はまどろむような奇麗な女性Vo.のパートで昇天しました。次作はジャケットが素晴らしすぎたせいか?(^_^;、さっぱり中古盤でお目にかかれずまだ入手に至っておりません。(^_^;

☆Liv Kristine / 3am (Massacre Records MASS CD0151) '98
 ソロミニCD。その後アルバムとシングルをリリース。Paradise LostのNick Holmesが参加。

☆Skyclad / The Answer Machine? (Fandago Records TKCF-45034) '97
 Yasminが参加。
Death声で敬遠していた方も近作のSkycladはお勧めです。Trad.とHRの見事な融合。Britishだぜ。

☆V.A. / A Tribute to Accept (Victor VICP-60823) '99
 Acceptのトリビュート。私はWatchtowerがあのWatchtowerなのか知りたかったので入手したのですが、本当でした。但し、1stのメンバーと思われ、Watchtower史上一番普通のアレンジという最も拍子抜けしてしまったのでした。コメントにJason McMasterが述べており、これって反則じゃないの?(^_^; ある意味で貴重だけどもね。で、このトリビュート物で光ったアレンジをしているのは何を隠そうAtrocityなのでした。インダストリアル未来派Metalアレンジでやっており、流石なのでした。後は完全コピーに近いSeven Witchesの"Monsterman"が面白かった。Vo.までそっくりで驚いた。

☆V.A. / Death's Door II (FEMS APCY-8119) '93
 今から思うととても美味しいラインナップの究極コンピレーション。Atrocityは2ndより"Unspoken Names"を収録。日本盤は5曲のボーナストラック入り。

☆Liv Kristine / Deus ex Machina (Massacre Records MAS SP0154) '98
 白布Box、32ページのBooklet仕様の限定盤。

☆Korova / A Kiss in The Charnel Fields (Napalm Records NPR 009) '95
 Atrocityの最新作('04年)はNapalm Recordsという事も関係していたのか分からないが、最近Ds.がAustrian Black Metalの雄AbigorのMoritz NeunerがAtcocity/Leave's Eyesに加入したらしい。このKorovaの1stはそんなMoritz Neuner参加のデヴュー作でもある。当時の私はNapalm Recordsをレーベル買いしていた。(^^; 今きくと流石に若さと荒さが目立つが、向こう見ず/怖い物知らずの音でViking Metalぽいフレーズがちらほら。民族音楽フレーズとピアノが入っている訳の分からない展開の"Latin Dreams in Turpentine"がお薦め。(^^;


女王様